「かさこじぞう」の読みの教材研究はどうすればよいか
「かさこじぞう」は、たいそう貧しいじいさまとばあさまが、よいお正月を向かえるまでの物語である。
子どもたちも大好きな話である。
読むにあたり、まず留意したいのは、じいさまとばあさまを話者がどのように語っているかということである。
話者は温かいまなざしでその貧しさや行動の意味づけをしている。
また、じいさまとばあさまの気持ちの中には、絶望感や悲しさは強く表現されてはいないことがわかる。
どんなに貧しくとも他者に対して善い行いをする気概が、じぞうさまに届くのである。
決して「哀れなじいさまとばあさま」ではないのである。
授業づくりのポイントは、クライマックスをはじめに押さえてから形象の読みとりに入る。
クライマックスが明確になると、物語全体の形象の仕掛けや意味が鮮やかに浮かび上がるからである。
また、重要な読みとりの箇所を教師が一方的に示すのではなく、子どもたち自身が発見できるように配慮したい。
「二人が貧乏だとわかるところは、どこかな?」
「じいさまとばあさまの気持ちがわかるところは、どこかな?」
などという発問・助言によって発見させていくのである。
さらには、二人の貧しさに負けない明るさや強さにも着目させていく。
話者の目と人物の心情を赤青二色で区別しながら、重要な読みとり箇所を発見させていく。
(臺野芳孝:千葉県公立小学校教師)
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