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子どもたちの願いからできた「グー・チョキ・パー」の授業とは

 篠崎純子(神奈川県公立小学校教師)の実践を紹介します。
 篠原は目の前の子どもたちの現状を見すえながら、子どもたちの願いや要求にかなった授業のしくみを提案し、それを子どもたち自身のものにしていっている。
 そして、こうした取り組みを通して、子どもたちは意見を堂々と表明することができるようになる。
 さらには子どもたち自身が、参加と意見表明を保障するための授業のしくみについて考え、自ら提案するようにまでなっている。
 その篠原の実践はつぎのようなものである。
 篠原は前年度からすでに「授業不成立」状態の学級の6年生の担任になった。
 四月当初から、授業中に紙飛行機が飛び、手紙が大っぴらにやりとりされ、大声で私語が交わされ「やめなさい」と注意するとさらに声が大きくなる。
 「アンタの授業は、つまらねェ。ヤメロ」
 授業中に飛んできた紙飛行機にそう書いてあったという。
 そんな中に、玉田という男の子がいた。しばしば授業の準備を手伝ったりしていた。
 ある日、彼のつぶやきをきっかけに、授業参観での「発言運動」に取り組むことになる。
玉田「先生、俺、卒業前に一度だけお母さんの前で、正しい答えを言ってみたい」
 と玉田が言った。
私「ああ、いいよ。だっていつも2,3人しか手を挙げないんだから」
私「玉田、玉田って、いっぱい指してあげるよ」
 と、私はいつものお礼を兼ねて言った。
 それを聞いていた荒木が、
荒木「ずるいよ。玉田ばっかし。俺も指してよ」
 と言った。
 そこで女子も数人集まり、作戦を立てた。
 サインを決めよう。
 答えに自信のある人はパァーと明るい未来の「パー」。
 チョキっと自信のない人は「チョキ」。
 グーの音も出ない人は「グー」と決めた。
 私は「パー」を出した人だけ指していくという作戦だ。
 ふと、まわりを見ると、女子グループの6人がガンとばしのような目で見ていることに気づいた。
 私は「もし、よかったらいっしょにやんない」と誘ってみた。
 もちろん「ちえっ」という反応しかなかった。
 そして、この作戦は大成功を収める。
 問いが難しすぎて「パー」の手が挙がらないときは、発問を変えてみる。
 本読みや語句の意味調べなども入れたので、気がつくと全員が発言していたという。
 「グー・チョキ・パー」を選ぶという方法は、誰もが必ず何らかの意思表示をすることができるため、子どもたちも自然に入っていきやすい。
 また、授業内容についての理解度が教師に伝わるという点も、授業づくりのうえでプラスになると考えられる。
 この方法は、授業参観という要因に後押しされたものだ。
 しかし、子どもの声に耳を傾け、子どもと対話することで、子どもたちの「発言したい」「正しい答えを言いたい」という共通の要求が出たのである。
 教師がその機会を逃さず、要求を実現するための授業のしくみを子どもたちと一緒になってつくったのである。
(松田己統美:1965年生まれ 大阪教育大学准教授)

 

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