保護者と直接つながりをもち、協力しあう、つきあい方とは
クラスの規律維持には保護者の支援が欠かせない。
保護者の支援と信頼を勝ちとることができれば、いざこざのない楽しい1年が約束されている。
しかし、いくら経験をつもうとも問題がまったくなくなるわけではないが。
では、保護者の支援と信頼を勝ちとるには、どんな問題を起こす子どもであれ、「保護者との最初の接触は前向きなものでなければならない」ということだ。
たとえば、ほとほと手を焼いていた子どもの家に電話し、保護者に
「じつは、きょう電話したのは、○○さんが私のクラスにいてくれてどれほど楽しいかをお知らせするためです」
「○○さんは、とても張り切って学習していて、クラスの討論のときなんかには、大変な活気をもたらしてくれます」
「だから、今日、○○さんにいったんです。『○○さん、きみはいつもとてもマナーがいいね。お母さんの育て方がものすごくよかったんだな』って」
「で、そのとき決めたんですよ、お母さんに電話して、すばらしい育て方をなさったとじかにいおう、と」
「今日はお話しできてよかったです」
と、私は真っ赤なうそをついた。
それなりの理論があった。
電話の翌朝、○○さんは
「あんた、いったいなにを考えてんの?」とでもいいたげな顔をわたしに向けてきた。
「へえ、学校じゃ徹底的にワルをやってもいいんだな。この先生、母ちゃんになんにもいわないんだ」と。
それから3日間、辛抱に辛抱を重ねた私は、ふたたび○○の家に電話をかけた。
「今日は、かなりアタマにきています」
「じつはですね、こんなことをいうとショックを受けられるでしょうが。私でさえほんとに驚いたのですから」
「このところ、○○さんの学校での様子が少し変だったんですよ。私には信じられなかったんですが」
「実は、このところまったく授業を聞かないし、ほかの子どもにもいやがらせばかりするんです」
「たまりかねて、○○さんを廊下に連れ出して、○○さん、今日のきみはどうしちゃったんだい? 信じられないよ」
「お母さんは○○さんのことで一生懸命だし、いままでの育て方だってみごとなものだ」
「お母さんを侮辱していることになるんだよ」
「それを聞いて、○○さんはどうしたと思いますか?」
「そんなこと知ったことか、みたいな態度に出たんです」
保護者:「ちょっとここにおいで、すぐ来いといってるんだよ、このバカが」
○○さんは私を出しぬいたつもりになっていた。
それでも最終的には、私が母親と直接つながりをもち、協力しあうことで、横道にそれないようにすることができた。
(ロン・クラーク:米国の小学校教師。各地を冒険旅行したのち、小学校の教師となる。ハーレムの底辺学校から優秀児を排出し、目覚ましい成果をあげる。2001年28歳のとき全米最優秀教師賞を受賞)
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