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能力を身につけるには、どのようにすればよいのでしょうか

 教育とは、教えよう、やらせようと一生懸命にやってもどうもうまくいかない。
 みんな、教えることだけに夢中になって、育つという子どもの実体を忘れている。
 どうしたら能力が身についていくか、ということについて深く追求しなかった。
 つまり、教育の「教」ばかりを行って、目的である「育」のほうを忘れてしまっているということです。
 自分には生まれつき能力がないと嘆くのは身勝手なことです。
 わたしたちが自由に日本語をしゃべるのは、実は非凡なわざなのです。
 能力が育っていれば日本語をなにげなくしゃべるように、やさしく感じるものです。
 能力が身につくようになるには、身につくまでくり返し努力することです。
 鈴木は過去に間違った練習や努力で、自分の能力に絶望しました。
 楽器を練習するとき多くの場合、一つの曲がひけるようなると、どんどんつぎの曲へ移ってしまいます。
 しかし、そういう努力を続けていると平凡な演奏しかできなくなります。
 音楽ばかりでなく、なんでもそうです。
 りっぱになっていく原則は、身につけた力を、ぎりぎりの高さにまで築き上げていくことです。
 鈴木は過去の間違った経験から、練習方法を正しいほうに変えました。
 子どもたちの楽器の練習は、会得した一つの曲をうんと練習させます。
 毎日3回ずつ、約3か月間ひかせるのです。
 しかも一方では、その曲の世界最高の演奏を絶えず聴かせる。
 もっとりっぱに、もっとりっぱにと。
 そうすると、やがて高さというものが生まれてきます。
 また勘を育て、技術をこえた、曲をひき終わった後の精神的な態度の領域にまで達します。
 能力は自分でつくるものだと鈴木は信じています。
 くり返し、くり返しやることだ。
 そのために根気ということが問題になります。
 どんなことでも、ことの成否は、やり抜くかどうかにかかっているともいえるでしょう。
 根気も育てなければならないものです。
 そのためには、しばらくのあいだ忍耐することです。
 自分をたたき起こす。
 このしんぼうが運命を決めるのです。
 しばらく続けていると、必要な根気の能力が生まれてきます。
 その根気の能力が手伝いを始めるので、しだいにやりやすくなり、根気が続くのです。
(鈴木鎮一:1898~1998年 ヴァイオリニスト、音楽教育家。才能教育運動をおこし音楽教育システム(スズキメソッド)は世界的に評価されている)

 

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