教師の力はどのようにして高めればよいか
求められている教師像は教え方がうまいという教育技術者としての教師だけでない。
子ども一人ひとりとのつながりをきずき、子どもを育み、自分の授業を内省しながら創りだし、学びあえる教師である。
多くの教師の授業を数多くみることを勧めたい。
教室の出来事の生の姿にふれ、そこで自分が感じた驚きや感動、ナイーブな感覚を大事にする。
同じ教材でも、教師によって子どもの教材へのかかわり方や理解がまったく異なってくる。
同じ教師でも担当する教室によって授業が変わってくることをぜひ自分の目で確かめてもらいたい。
その際、教師の教え方の上手、下手といった見方で授業を見るのではなく、教室で起きているさまざまな出来事に目を向け、その意味を読みとってもらいたい。
発言する子どもと教師のみでなく、聴いている子どもたちのからだの動きやつぶやきに耳を傾けると、授業のおもしろさ複雑さ、奥深さがみえてくる。
そして時には、授業を録画して文字記録化するのもよい。
あるいは、授業をみせてもらった教師や他の参観者と話してみる。
すると、その場では自分で気づかなかったものが見えてくる。
それから、最新の教育関係の本を読み、新たな教育研究の流れの息吹を感じること。
また、古典と呼ばれる本を読むこと。そこでは、古くて新しい問題が提起されているはずである。
教えるといういとなみに多くの教師や研究者がどのように格闘してきたかをみることによって、そのおもしろさが伝わるはずである。
安易な技術のノウハウものに走らず、じっくり向き合って教育の本質を考えてもらいたい。
(秋田喜代美:1957年大阪府生まれ、東京大学教授。教育学者、心理学者。世界授業研究学会副会長。内閣府子ども子育て会議会長。専門は、発達心理学、教育心理学、保育学、学校教育学)
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