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叱ることで、子どもに安心感を与えることができる

 教職二年目の学級づくりがスタートした。
 私は小学校三年生の担任になった。
 その始業式で私は面食らった。
 ほかのクラスはピシッと体育座りをしているのに、自分が受け持つクラスは寝そべっている子、ずっと隣としゃべっている子、なかには隣の子とケンカをして泣き出す子もいた。
 私は「こりゃ、すごいクラスだな」と思った。
 四月、五月は殴り合いのけんかは起きる、物はなくなる、授業を始めても数人が教室に帰ってきていない、毎日だれか一人は泣く、そうした状態であった。
 一つ問題が起きるたびに、子どもたちの話をよく聞き、そして、ときには大声でしかることもあった。
 学年主任からは「今年は、よく怒鳴り声が聞こえるね」と、言われた。
 だが、私は決してやたらと怒鳴っていたわけではない。
 私自身、去年より怒鳴ることが多いのは気になっていた。
 だから、子どもの表情や行動を見て、怒鳴るようにしていたのである。
 あまり怒鳴りすぎると、子どもたちは私の顔色ばかりをうかがうようになる。
 また、怒鳴られることに慣れてしまい、怒鳴っても言うことを聞かなくなる。
 そうなるのが一番怖かったので、怒鳴っても後には決して引きずらない、怒鳴る回数よりもほめることを増やすなど、クラスの雰囲気が悪くならないように努めていた。
 そうして学級経営をしている中で、子どもたちからは「先生は、悪いことしたとき怒鳴ってくれるから好き」という声も出てきた。
 そのことについて考えてみると、クラスでの集団生活の中で、何か悪いことをしたとき、それを毅然とした態度で指導してくれないと安心して生活できないのだと思う。
 怒鳴ることが必ずしもいいこととは思わないが、怒鳴ることが必要なときもあることを感じている。
 今では、ほとんど問題は起こらないようになったし、それでいて、元気に授業中に発言したり、外で走り回ったりしている。
 四月、五月の状態を思い返すと「この子たちも、すごく成長したなあ。私もがんばろう」という思いがこみ上げてきて、私もやる気が出てくる。
 こうしたとき、子どもからエネルギーをもらっていると感じる。
(山崎準二編:1953年山梨県生まれ、静岡大学教授、東京学芸大学教授、東洋大学教授を経て学習院大学教授。専門は教育方法論・教師教育論)

 

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