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2021年2月に作成された記事

京都の舞妓さんから学ぶ、「人に教えてもらえる能力を伸ばす」方法とは

 いつの時代も若者は、未経験で未熟で自信もない。でも、ひたむきさを持って取り組んでいることを認めてほしいと願っています。
 350年続く京都花街が10歳代半ばの少女たちを舞妓さんというプロに育成できる秘密は、伝統文化や人材育成の仕組みとともに、自分の経験や周囲の関係性を大切にしながら自律的なキャリア形成をうながす「言葉の力」にもあるのではないかと思います。
 若い人たちは、自主性を尊重され、個性を伸ばし、主体的に行動できることを良しとする教育を受けています。
 人にものごとを尋ねることが少なくなっています。
 京都には舞妓さんがいます。西尾久美子は舞妓さんたちの育成について、経営学の視点から調査研究を重ねてきました。
 彼女たちは、自らの意思で舞妓さんになろうと花街の扉をたたきます。
 そんな彼女たちが厳しい伝統文化の中でどのように育成されて「おもてなし」のプロとして成長するのでしょうか。
 何も知らない京都花街に入ってきて、若い彼女たちが未熟な自分を高めていくためには、人から教えを請わなければなりません。
 若い彼女らは、人に尋ねて、助力をいただくことの大切さはわかっていないし、身についていません。
 自分勝手な解釈で動くことがあるので置屋のお母さんが驚かされることがあるという。
 だから、教えてもらう大切さを彼女たちに置屋のお母さんたちが教えるのだという。
 彼女たちは出会った人に「おたのもうします」とあいさつしなさいと、置屋のお母さんから教えられる。
 私のことをどうぞよろしくお願いいたしますという意味である。
 きちんと頭を下げて挨拶する。愛想のいい子やなあと思ってもらう。
 自分の将来を作っていくための地固めでもある。
 教えてもらうには、教えられる者がそれを受け取る用意や感受性があってはじめて成り立つものです。
 周囲の人々からいろいろ教えてもらったことを素直に吸収できる「乾いた真っ白なスポンジ」のような気持ちを自分の中に育てなければならない。
 置屋のお母さんたちから、自分勝手なことをしたら厳しく叱られ、相手を気遣うことができればほめられる、という経験を重ねることで「教えてもらう用意」はつちかわれていく。
 必要なことは、仕事を通じて先輩や上司やお客さまから、いろいろなことを「教えてもらえる」能力、つまり受け取ることができる能力である「教えてもらう用意」を伸ばすことが大切でしょう。
 周囲の人々のアドバイスに耳を傾け、自分のできることを必死に努力する。
 身についた成果を発表し、人々から示唆されたことを反省し、落ち込みながも、明日を信じて、またやってみようと思う。
 折れることなく自分を勇気づけ、舞い上がることなく冷静に自分を見つめ、自分の周りの人々にも配慮し、良い関係性を作る。
 プロとなるには「自分を根本から変えていかないとあかんと思うことが、必要なんどす」と、ある芸妓さんが話してくれた。
 できないことを、恥ずかしくても、さらけ出して教えてもらわないと、自分が伸びない。
 それができないとプロとしては通じないという覚悟が、次へと伸びていくための大事なステップになります。
(西尾久美子:京都女子大学教授、経営学者。現代の京都花街研究の第一人者として知られている)

 

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秋田県が全国学力トップクラスである要因は「探求型授業」と「共同研究システム」にある、どのようなものか

 秋田県は2007年以来、全国学力調査で全国トップクラスの成績を残してきた。
 その要因として「子どもたちの授業姿勢のよさ」「家庭学習が充実」「学校・家庭・地域の連携」などがある。
 なかでも重要なのが「探求型授業」と「共同研究システム」である。
1 探求型授業
 探求型授業は、子どもたちの、話し合い、意見交換を重視した授業である。
 例えば、次のような授業スタイルである。
(
)導入(学習課題の設定)
 教師と子どもたちで学習課題を決める。
(
)展開
1.
自力思考
 子どもたち一人ひとりが思考を展開する。
 自力思考がむずかしい子どもには教師が援助を行う。
2.
グループで対話
 すべての子どもが考えを持てた段階で、4人程度のグループで、考えを出し合いながら対話をしていく。
3.
グループの発表
 ある程度グループでの対話が煮詰まったら、各グループの状況を学級全体に発表する。
4.
学級全体で学び合う
 各グループの発表を、教師と子どもで整理し、共通点、相違点、論争点を明確にする。
 そのうえで、学級全体で学び合う。再度グループの検討に戻す場合もある。
 グループの対話や学級全体の学び合いの過程で、教師は必要に応じて
 ・助言をし、発問をする。
 ・「ゆさぶり発問」をする。
 ・重要な点を取り出して、再度全体の課題として返す。 
(
)授業の終末
 授業の終末で、構造的な板書を振り返りつつ、それまでの探求を振り返る。
 そのうえで、子どもたちは自分の学びを振り返り、文章にし、発表し合う。
 そういった探求によって、より高次の試行錯誤、判断・批判、推理・検証、発見・創造が展開される。
2 共同研究システム
 探求型授業は、深く豊かな教材研究、具体的な目標・ねらい・切れ味のある学習課題や指導言、グルーピングなど、通常の授業以上に高度な指導を求められる。
 そのため、教師一人ひとりの準備が必要となる。
 しかし、一人の努力だけでは限界がある。教師同士が共同して探求型授業をつくり出していく必要がある。
 秋田県では優れた共同での授業研究システムがある。
 そのシステムのなかで、若手教師も質の高い探求型授業を展開する力をつけていく。
 共同研究システムは、校内研究会、小中連携研究会等で研究授業を行う場合、
「事前研究」→「研究授業」→「ワークショップ型検討会」→「事後研究」
が基本となる。
 はじめは学年、教科で研究チームをつくる場合が多い。少しずつ学年や教科を越えた合同研究チームをつくっていくと効果的である。
 教科の専門性は重要である。しかし、専門外だからこそコメントできるというよさもある。
(
)事前研究
 研究会前までの事前研究が重要である。これが授業研究の成否を決める。
 事前研究の弱い授業研究では限られた成果しか得られない。秋田県ではていねいに行う。
 そのために研究チームをつくり、次のような項目について、ていねいで厳しい検討を行う。
1.
教材選択
 単元の系統性を意識しながら、教科書等から選ぶ
2.
教材研究
 深く豊かな教材研究が探求型を実質化する。
3.
目標・ねらいの決定
 この具体性が授業設計を緻密にする。
4.
指導計画の作成
 単元全体の指導過程と到達点・各授業の到達点。
5.
本時案の作成
 はじめは本時の大きな流れから始め、次の細案に進む。
6.
本時案を具体化した細案の作成
 学習課題、指導言、板書を含む
7.
細案に基づくプレ研究授業
 研究チームで授業を行う。教師が子ども役になり実際の流れで授業をしてみて検討し合う。
(
)研究授業
 教師全員が参加する。授業を撮影し映像記録をとる。
(
)研究授業後のワークショップ型授業検討会
 もちろん教師全員が参加する。教科や学年が違う教師が授業検討にかかわることが鍵になる。そのために「ワークショップ型」検討会が有効である。
 まず、教師全員が付箋紙に授業についてのコメントを記入する。
 例えば、授業で評価できる点について水色の付箋紙、課題・改善すべき点はピンクの付箋紙を使う。その2種類の付箋を持ってグループごとに集まる。
 グループ編成は、学年や教科、研究メンバーは分散させる。
 各グループには司会役のリーダーを置く。授業の優れた点と課題・改善点を鋭く抽出する役割を担う。
 模造紙に付箋を内容別に分類しながら貼り付けていく。それらをマジックインキ等で囲み、グループで検討を深めていく。
 全体会で各グループが発表する。
 多くのグループから出された課題・改善点が見えてくる。とくに重要な点については、再度グループで検討する時間を取ることが効果的である。かなり多様な代案が出てくる。
(
)事後研究
 授業を撮影した映像記録を使って、授業研究会の少し後に事後研究をすると、授業の成果と課題・改善点が具体的により鮮やかに見えてくる。
 研究チームで映像を再生しながらリフレクションを行う。
 授業のポイントとなる部分で再生をストップし、検討会で指摘された点を再度確認しつつ、新たな優れた点と課題・改善点を発見していく。
 以上のような共同研究によって若手教師を含め多くの教師が高い授業力を獲得していく。
 主体的、対話的で深い学びを有効に授業に生かせるかどうかは、共同研究を実質化できるかどうかにかかっている。
(
阿部 昇:1954年生まれ。秋田大学教授、附属小学校校長も勤める。専門は国語科教育学。全国大学国語教育学会理事。日本NIE学会理事。秋田県内の小中学校を数多く訪れ、全国学力テストの好成績について分析。私学中高校での教師経験もある)

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子どもを成長させるためには、絶えず追究し創造し、新しいものを子どもたちのなかにつくり出さなければならない

 教師の仕事は、追究者・創造者として絶えず追究し創造し、新しいものを子どもたちのなかに、つくり出していかなければならない仕事である。
 子どもたちに一つのものをつくり出したときには、つぎのより高いものを目ざして、追究をはじめ、新しい創造をしていかなければならないものである。
 それは、山にへばりつくようにして、大きな石を頂上まで石を押し上げていったときに、そこで新たに見える高い山に向かって、また石を押し上げていくようなものである。
 そこには創造する喜びがあり、追究者・創造者としてのかけがえのない体験をすることもできるからである。
 課題を突破した結果、生まれた子どもたちの新鮮な典型にふれる喜びがあり、それによって自分を新鮮にしたり、子どもから豊かに学びとることができるからである。
 教師の仕事にはそういう喜びがある。
 また、教師がそういう喜びを持ち、子どもから学ぶことができるようになったとき、教育の仕事は成立したと云えるのであり、子どもの成長を助けることができたとも云えるのである。
 教師はそういう仕事を休みなく続けていかなければならないものである。
 一時間の授業からつぎの一時間の授業へと、また一学期から二学期へと、さらに今年の一年間からつぎの一年間へと、新しい課題をつくり出してはそれを突破し、そこに生まれた新しい事実から、またつぎのより新しい事実へと追究し創造していかなければならないものである。
 教師は、授業とか行事とかのなかで、そういう創造をつづけないかぎり、子どもたちの成長を助け、子どもたちの可能性を引き出すことなどできない。
(斎藤喜博:1911年~1981年、1952年に島小学校校長となり11年間島小教育を実践し、全国から一万人近い人々が参観した。子どもの可能性を引き出す学校づくりを教師集団とともに実践した。昭和を代表する教育実践者)

 

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国語科:「大造じいさんとガン」

 「大造じいさんとガン」の授業について、阿部 昇は編者としてつぎのようにまとめています。
 子どもたちは、この作品を大造じいさんと残雪の戦いの物語だと考えがちです。
 しかし、この物語は大造じいさんが残雪をどう見ているかという大造じいさんの内面のドラマが核になっています。
 大造じいさんの残雪に対する見方の変化が主要な筋を作りだしています。
 大造じいさんのなかで残雪が鳥として見下ろす対象から、尊敬すべき対象へと変化します。
 その内面の変化が作品の魅力です。
 そういった物語の筋の展開のしかけ、そのおもしろさを子どもたちに気づかせたいと思います。
 また、クライマックスである「大造じいさんは、強く心を打たれて、ただの鳥に対しているような気がしませんでした」に向かってさまざまな設定や展開のしかけが用意されています。
 特に物語後半には、細やかで感動的な描写がちりばめられています。
 残雪は、ただ群れを守るために頭領として生きているのです。
 大造じいさんから見れば、残雪は大きな敵となりますが、残雪にとって大造じいさんは、ガンの群れの脅威の一つにすぎません。
 自然のなかで生きぬくことのたいへんさ、群れを守り続けることの難しさ、それを背負って生きている残雪の生きざまに大造じいさんは強く感動します。
 単なる勝ち負けの物語ではなく、自然に生きる生き物たちの厳しさを大造じいさんの目をとおして描いた物語であることに気づかせたいと思います。
 学習指導計画(8H)
(1)読みの準備段階(3H)
 範読を聞く。感想を書く。味調べ。漢字練習。音読練習。
(2)構成・構造の読み取り(1H)
 導入・展開・山場・終結を把握する。クライマックスを決め、筋の流れを把握する。
(3)人物設定の読み取り(1H)
 大造じいさん・残雪という名前から人物設定を読む。導入に書かれている二者の関係を明らかにする。
(4)大造じいさんと残雪の関係の読み取り(1H)
 「ううむ」と「ううん」のちがいから、関係を読む
(5)大造じいさんの残雪への見方の変化の読み取り(1H)
 銃をおろした大造じいさんの思いを読む。関係の変化を明らかにする。
(6)終結の読み取り(1H)
 大造じいさんが、傷ついた残雪をどう扱ったかを読む。
(阿部 昇:1954年東京都生まれ、茗溪学園中学校・高等学校教諭を経て秋田大学教授。専門は国語科教育学。秋田県内の小中学校を多数訪問し、教育現場とその地域の事情に精通し、全国学力テストの好成績について分析を行う)

 

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親はどのように子どもを育てればよいでしょうか

 子どもが2~3歳になると、友だちを意識し自己主張し出します。
 親は手がかかりますが、手抜きや無視はやめましょう。
 手をつくせばつくすほど子どもへの愛は深まるものです。
 手遊びをさせるようにして前頭葉の発達をうながし、友だちと遊び、社会体験をさせましょう。
 小学校に入学しても困らないように、身の回りのことは自分でできるようにします。
 また、集団の中で話ができ、生活できるようにします。
 子どもの前で先生や友だちの悪口は言わないようにしましょう。
 勉強は強制せず、とにかく、やる気にさせることです。
 子どもを家ではお客様扱いはしないこと。
 生活に必要なことは、手伝いをしっかりやってもらいます。
 一人で生活できる人間に育てることを目的としているためです。
 小学生のころから新聞を読ませましょう。
 ニュースは親といっしょに見て話し合いましょう。
 友だちとキャンプやボランティア、ホームスティ、旅などをできればさせましょう。
 中学1年くらいまでは、ギャング時代です。
 もう仕方がない、家をこわされてもがまんです。
 友だちと身体が疲れるほど遊ばせましょう。多少のケガも気にしないことです。
 自分の家の周り30軒くらいをよく見るようにします。
 それぞれの家に何かをかかえています。
 病気や失敗・成功、思わぬできごと、欲、人間関係などその気になれば何からでも学べます。
 思春期はすべてに活動的な時期です。
 親に反抗したりして、自分のイライラの処置に困っているのです。
 しかし、良い悪いはしっかり教えることは必要です。
 多少の悪さ、遊びは目をつむることが必要な時もあります。
 それまでの育て方の良し悪しがこの時期に表面化します。
 親はわが子をよく観察し、子どもが自分で乗り切る土台をつければよいと願うようにします。
 静かに争うことなく、ようすをみる度量をつけましょう。
 家庭の一体感がなくならないよう、食事は全員でする工夫をしましょう。
 親は世の中のさまざまな体験から学び、人生を生きる価値観を身につけるようになります。
 そして、自分なりの人生観が確かな子育て観や信念にもなって、ほめ方やしかり方にも反映します。
(渡部平吾:1945年生まれ 埼玉県公立小学校、群馬県内県立高校に20年間勤務。保育園・子供館の創立に関り、園長・館長)

 

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担任とクラスの子どもたちとの人間関係のつくり方

 子どもたちは、担任との相性で、成長や学力、性格まで変わってしまうことがあります。
 細心の注意を払いながら接する必要があります。
 担任にすり寄ってくる子どものなかには、友だちがいない場合があります。
 むげに「ほかの友だちのところに行きなさい」と言ってはいけません。
 ほかの子どもたちも巻き込んで会話の輪をつくり、その輪が自然なものとなったころ合いを見計らい、その輪から自然と抜けるようにしましょう。
 何かの理由で担任に気にいってもらおうとすり寄ってくる子どもには、生活場面などでしかる場合はきっちりしかるなどして、担任のとりまきになることにメリットがないことを理解させる場面を意図的につくることが重要です。
 いつも担任の周りにいる子どもは、クラス内に相対するグループが存在し、自分のグループの地位を確たるものとするために担任の周りを囲むことが多いようです。
 この場合は、意図的にほかのグループの子どもを輪のなかに入れたり、一人きりの子どもを輪のなかに加えたりするようにしましょう。
 いわば、グループ同士のつながり役に担任がなるのです。連帯感のあるクラスが少しずつできあがってきます。
 遠巻きで見ている子どもは、物事を斜めに見る状態にまでなってしまうことがあります。
 挨拶の声をかけてみたりして「先生の視野や心のなかに自分がいて、見てくれているんだ」という安心感を与えることから始めましょう。
 そのうち、担任ににじり寄ろうとする雰囲気が感じられたら、そのチャンスを見逃さないことです。
 もし気づかず見逃してしまうと、もう心を開いてくれないかもしれません。
 担任は、カリスマ性をもっていなければなりません。
 何か子どもたちが「さすが」と思えるものをもちましょう。
 スポーツや音楽、絵でも手品でもかまいません。
 子どもたちが家に帰って家族に話したり、ほかのクラスの子どもに自慢できるようなものをもちましょう。
(滝井 章:東京都公立小学校教師、全国算数授業研究会理事、日本数学教育学会常任幹事、NHK教育テレビ「教育フォーカス(わくわく授業)」出演。NHK教育テレビ「わかる算数4年生」出演を経て國學院大学教授、都留文科大学特任教授)

 

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いじめが起きてしまったとき、担任はどのように対処すればよいのでしょうか

 いじめが起きてしまったとき担任はどうすればよいか滝井 章はつぎのように述べています。
 いじめで多いのは、冷やかし、からかい、仲間はずれ(無視)、脅しです。
 いじめが起きたらつぎのような対応をしていきます。
1 情報収集は迅速に
(1)いじめられた子どもから話を聞きます。
 いじめられた子どもを絶対に守る姿勢で親身になって話を聞きます。
 そして、いっしょにいじめを解決していくことを伝え、安心させることが大切です。
(2)いじめにかかわった子どもから話を聞きます。
 いじめにかかわった子どもたちが情報交換をして話す内容を変えたりしてしまわないよう、他の教師にも協力してもらい、迅速に正確に聞き出せるよう場所や時間の設定をすることが大切です。
「○日のことを先生に話してくれない?」というかたちで一人ひとりに詳しく聞いていきます。
2 管理職に相談し、学校全体にオープンにする
 いじめは大きな問題になりやすいので、すぐに管理職に報告します。
 担任の目の届かないところでいじめが行われるので、学校全体の教職員で子どもたちを見守れるようにします。
 子どもや保護者への対応は、その都度、管理職に示唆を仰いで慎重に対応することが大切です。
 保護者との話し合いや子どもの指導についても管理職に協力してもらうとよいでしょう。
3 いじめの中心になった子どもに対する指導
 いじめの中心になった子どもに、いじめの原因や時期、相手についてどう思うか尋ねます。どうしてそうなったか考えさせます。
 やった行為とそこまでに至った原因をはっきり分け、善悪を判断していくことが大切です。
 自分が嫌だと思うことを人にやってはいけない人間として恥ずべき行為であること。
 いじめは保護者も巻き込む大問題に発展することを伝えること。
4 いじめを取り巻く子どもたちに対する指導
 いじめを見ていた子どもたちは、
「いじめはやってないよ。ただ見ていただけ」
 と、悪びれた様子もなく言います。
 取り巻く子どもたちの言葉や態度が、いじめをつくるということをわからせます。
 「なぜ、一人にしてしまったのか」
「だれにでも同じ態度や言動ができるのか」
 を尋ね、だれにでも平等な態度と言動をとるよう厳しく指導します。
5 事実を保護者に知らせる
 いじめられた子どもと、いじめた子どもの保護者には、誠意をもってきちんと事実を報告する必要があります。
 紙面にはのこさず、電話か直接会って話すとよいでしょう。
 注意が必要なのは、自分の子どもがいじめられたことを知った保護者が、直接いじめた子どもの保護者に連絡を取り、もめてしまうことです。
 担任がきちんといじめにかかわった子どもや保護者に対応していることを話し、解決を任せてもらうようにしましょう。
(滝井 章:東京都公立小学校教師を経て國學院大学教授、都留文科大学特任教授)

 

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実践家を育てる特徴は「なすことによって学び」、それを「コーチする」こと

 実践家を育てる特徴は、「なすことによって学ぶ」こと、そしてそれを「コーチする」ことを重視する。
 なぜなら、反省的実践家(注)としてもつわざは、
「創造的な技法」
「問題を設定する」
「即興的に対応する技能」
「状況と対話し」
「探究し、省察する」
 技法を含むからである。
 専門家教育においては、「実習」という形で日常の世界と実践の世界のはざまに、実践を学ぶために準備されている。
 「実践する-コーチする」という学び手の実践に応える関係性の中で教育が行われる。
 専門家教育において教えることは、「状況との反省的対話」として成立するのである。
 では、「状況との反省的対話」は実際にどのようになされるのだろうか。
 コーチが実践する学生の鏡になってあげることが、実践における行為の理論を学ぶための重要な方法として位置づけられる。
 学び手は、コーチという鏡や協働の会話を通して問題と自己自身への省察をおこない、実践を味わい鑑賞し、そのなかで発見を行う。
 専門家のコミュニティは、それぞれの実践を味わい評価する鑑賞システムを持っている。
 それは、実践状況の理解と行為のための目標や方向性を定式化し、専門的行為を構成する価値観および選好、規範のセットなどから構成されている。
 学び手は何に注意し、どのようにその事物を名づけ、意味を構成していくのか。
 また、境界を設定したり、行為を統制していくのか。
 こうした専門知識を実践状況の世界づくりに連続的に携わり、専門家と共に省察する中で学んでいくと考えられている。
 内的なコミットメントを学び手とコーチが共有し、協働で省察する実践コミュニティへと開かれた環をもった学習なのである。
(注:反省的実践とは、行為がおこなわれている最中にも意識はそれらの出来事をモニターするという反省的洞察をおこなっており、そのことが行為その ものの効果を支えている:ドナルド・ショーン)
(秋田喜代美:1957年大阪府生まれ、銀行員・専業主婦を経て東京大学教授。教師の成長や授業の学習を研究)

 

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いじめが起きないクラスづくりをするにはどうすればよいか

 いじめが起きないクラスづくりについて滝井 章はつぎのように述べています。
 子どもが送る小さなサインを見逃さないようにしましょう。
 子どもたちの水面下で何が起こっているのかをしっかりと把握することが重要です。
 新学期初めの指導方針を話すときや道徳、学級活動の時間に、「人とのつながり」や「人としてのルール」、「いじめに対する担任の考え」をきちんと子どもに伝えていくことが大切です。つまり、
1 一人ひとり違っているから素敵であること
 人は声や顔など一人ひとりが違うように、話し方も考え方も違うことに気づけるようにします。
 友だちのよいところを見つける活動を通して、友だちのすばらしさに気づかせていくことが大切です。
 担任が子どもたちを大切にする姿を見せること。
2 好き嫌いで行動することはよくないこと
 日ごろから、一人でしっかり行動できたことをほめ、友だちの目を気にせず行動できる自立した子どもを育てていくことが大切です。
3 言葉が人を大きく傷つけること
 心に負った傷は残るものです。
 言葉に気をつけて話すようにすること。
 人を幸せにできる言葉でありたい。
4 一人対多人数になったときいじめになること
 一対一のときはけんかで済んだものが、一人対多人数になったときは屈辱感を感じます。
 加勢したり、見て見ぬふりをすることがいじめである。
5 いじめは絶対に許せないことだという担任の姿勢を明確に
 いじめは人として断固として許せないことだということを真剣に話すことが大切です。
(滝井 章:東京都公立小学校教師を経て國學院大学教授、都留文科大学特任教授)

 

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笑顔になれば、たくさんの力を与えてくれます

「いつも笑ってばかりだね」と言われる三好礼子だが、人は苦手だった。
 18歳のときバイクで日本一周の旅であらゆる立場の人々と語り合っているうちに、
「人って捨てたもんじゃない。なんだかおもしろそう」
 と、素直に笑って受け入れられるようになりました。
 笑顔は筋肉がゆるみ、無駄な力が入らないので、スポーツ界では強さの源です。
 笑うと、相手の動きが見えてきて、冷静に対処できます。
 また、木がしなるように失望も失敗も、笑えば折れることなく、方策が見つかり解決できました。
 三好の家で行われた健康講座で、
「どうしても笑えないのであれば、カタチから入ればいいんですよ」
「親指と人差し指で口の端を引き上げてみてください」
 と、マッサージ師の講師の言葉は人々に衝撃を与えました。
 笑うと心がばっと広くなります。
 身体が柔軟になり、見方が広がり、道が見えてきます。
 笑う人は、
 焦らない。
 こだわらない。
 決めつけない。
 批判しない。
 ひげしない。
 見失わない。
 だから笑う人は、運も呼び込んでしまうのでしょう。
(三好礼子:1957年生まれ、エッセイスト、農民。元国際ラリースト。「ペレファ農場」代表)

 

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朝一番に遊ぶ時間を設けると朝ごはんを食べるようになり、学習の反応がよくなった

 高坂節三が東京都教育委員として品川区にある源氏前小学校を訪問したときのようすをつぎのように述べています。
 源氏前小学校は、朝ごはんを食べることの大事さを教える意味もかねて、朝の一時限の前に、先生が一緒になって校庭で遊ぶ時間を設けていました。
 「朝読」という朝の読書時間を設けている学校は多いのですが、「いきいきタイム」と呼ばれる「朝遊」の時間を設けている学校を初めて知りました。
 運動不足になりがちなビルの谷間の学校の子どもたちには、朝一番に思い切り身体を動かすのも一案である。
 こうすることによって、子どもと先生のふれ合いの時間ができる。
 それに、お腹がすくので朝ごはんを食べてくる子どもの数が増えているという効果も上がっているようです。
 この実践を推進されている吉田一郎(日本体育大学名誉教授)はつぎのような成果を得られたと示されています。
(1)1,2時間目の学習の反応がよくなった。あくびをする子どもが激減した。
(2)不定愁訴で保健室にくる子どもが減少した。
(3)運動量が増加したことによって給食を残す量が減った。
(4)朝食ぬきの子どもが徐々に減少し、七月にはゼロになった。
(高坂節三:1936年生まれ、伊藤忠商事役員を経て東京都教育委員、日本漢字能力検定協会理事長)

 

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どのような子どもでも取り組めるワーク作りとは

 だれでも取り組めるワーク作りについて松野孝雄はつぎのように述べている。
 基本は授業で子どもが行うような学習がワークの中で展開されればよい。
 ワークは授業以上に指示のことばが明確であること。
 ことばが不明確であれば学習ができなくなってしまう。
 ワーク作りの原則は
(1)見た目がシンプルで、何を学習するのかひとめでわかること。
(2)はじめは易しく、次第に難しい問題になるようにする。
(3)どの子どもにも満足感を与えることができること。
(4)必要のない説明やことばを削る。
(5)教えるべきことは授業できちっと教える。
(6)変化のある繰り返しをいれる。
(7)問題の配列は一年前の学習くらいから始める。
 これは、授業の進め方の原則と同じである。ワークを作る力は授業力と関係する。
 だから、ワーク作りによって授業力は鍛えられる。
 できない子どもができるようになるような教材を作ることにより教師の授業力が高められる。
 そのようなことができる教師は高い授業力をもっているといえる。
(松野孝雄:1960年生まれ、新潟県公立小学校教頭。子どもの考える力を伸ばす授業づくりに取り組む)

 

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新任教師時代は、その後の教師としての成長に大きな影響がある、子どもの心に火をつけるにはどうすればよいか

 これまで教師が子ども時代に学び手として経験している教室の風景と、教える側として経験する教室の風景は全く違っていることに新任教師は戸惑います。
 子どもたちのさまざまな学びの要求が渦巻く教室で、すべての学び手に配慮し、各々の学びを高めていくということは、決してたやすいことではありません。
 さらに、新任教師がこれまで育ってきた文化と子どもたちが今生きている文化の間には、世代的にも、ギャップがあります。
 それをすり合わせながら、学びの空間をつくっていくことが教師には求められます。
 教師は異文化の子どもたちからショックを受け、教師は自らの世界を広げることが必要なのです。
 このことは、ひとつの危機であるとともに、教師になるための必要な最初のイニシエーション(通過儀礼)であるともいえます。
 このショックを乗り越える方法は、2通りあるように思われます。
 1つの道は、新任特有の親しみやすさを大切にして、たとえ拙くても、目の前の子どもたちと格闘しながら、ともに歩む道です。
 そして、先達の教師たちの励ましの中で、これまでの子どもについての見方、教師の役割についてのとらえ方を見直しながら、自らを育てていくあり方です。
 そして、もう1つの道は、子どもたちにナメられないようにと、主観的に教師らしくふるまい、自分の子どもについての見方、教師の役割のとらえ方に固執するあり方です。
 自分に固執し、子どもたちや年輩の教師たちから学ぶ回路を閉ざしてしまうと、成長の機会を自ら失うことにもなりかねません。
 つまり、主観的に教師らしくふるまうことが、子どもたちからの信頼を得られる本当の教師らしさを育てることを妨げるというパラドックスが生まれるのです。
 教師が自分の授業を確立し、常識より一段深い子どもの見方を身につけるには、多くの場合、15年から20年の歳月が必要です。
 その間、量的な積み重ねだけでなく、質的なものの見方が変わることもまた求められます。
 自分の授業を確立して、教育実践記録を綴っている教師たちの多くは、新任期から数多くの試行錯誤と格闘の経験をもっています。
 新任期は、ショックという危機への対応をめぐって教職生活のひとつのターニング・ポイントを形成しています。
 新任期における、教師の仕事、教師の役割のとらえ方の深さが、この後の教師としての成長の可能性を大きく規定しているように思われます。
 教育心理学の視点でいえば、学びや教育に大切なのは、意欲や動機づけです。
 子どもたちが「学ぶ」とは、自分にとってこれまで見えなかった新しい世界が開けてくることであり、頭に知識を詰め込むことではありません。
 その意味で、意欲や動機づけは「心に火をつけること」とも言われます。
 火をつけるには、親や先生は「指導する」のではなく、子どもの声に耳を傾け、聞き合う関係をつくること。
 それにより、子どもは「自分は受け入れられている」と感じ、安心感を得て、もてる能力を発揮していきます。
 人は夢中になったときに伸びますから、安心感のある場をつくり、夢中になれる教材を用意して、新しい世界と出会える時間を長く保証してあげることが大事です。
 子どもに関わる人なら、子どもが夢中になっているのを見ると、理屈抜きにうれしくなるはずです。親でも先生でも、そういう時間をたくさんもてば、子どもといい関係が築けると思います。
 もうひとつ心がけたいのは、“子どもが大きく見える瞬間”をとらえることです。
 叱られているときは、子どもは小さく見えますが、生き生きしているときは有能で大きく見えます。
「子どものなかに可能性がある」と感じる瞬間を、親や先生が見つけることが、子どもの育ちにはものすごく大切です。
 それが子どもを元気にし、ひいては日本の未来も元気にしていくことにつながっていくのだと思います。
(秋田喜代美:1957年大阪府生まれ、銀行員・専業主婦を経て東京大学教授。教師の成長や授業の学習を研究)

 

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ほほえみや笑顔は、相手の心を癒し、不思議と問題が解決することがある

 渡辺和子はシスターといっても、いつも心が平穏であるはずがありません。心ない人の言葉や態度に傷つきます。
 思うようにいかない物事に心をさわがせ、身体の不調で笑顔がむつかしいことがあります。
 渡辺は管理職という立場にいることもあって、人前では明るくふるまい、笑顔でいるように心がけています。
 暗い顔をして、他の人まで暗くする権利はないと自分に言いきかせています。
 渡辺にとって、笑顔で生きることに意味を与えられたのは、「ほほえみ」という詩との出会いでした。

詩「ほほえみ」
「もしあなたが、誰かに期待したほほえみが得られなかったなら」
「不愉快になる代わりに」
「あなたの方から ほほえみかけてごらんなさい」
「ほほえみを忘れた人ほど」
「それを必要とする人は いないのだから」

 それは、ほほえむことのできない人への愛の笑顔である。
 と同時に、相手の出方に左右されることなく、渡辺の人生を笑顔で生きるという、主体性の表れとしての笑顔へと変わってゆきました。
 この転換は、渡辺に二つの発見をもたらしてくれました。
(1)物事がうまくいかないときに、笑顔でいると、不思議に問題が解決することがあるということです。
(2)自分自身との戦いの末に身についたほほえみには、他人の心を癒す力があるということです。
 とってつけたような笑顔でなく、職業的スマイルでもなく、苦しみという土壌に咲いたほほえみは、ほほえまれた相手にとっては、心が豊かになるのです。
(渡辺和子: 1927年-2016年、北海道生まれ、ノートルダム清心学園理事長、キリスト教カトリック修道女)

 

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子どもたちが友だちをサポートするピア・サポート活動とは何か

 ピア・サポートとは,同年代の子どもたちが友だちをサポートするということです。
 子どもたちが困ったときに相談する相手の多くは同年代の仲間です。
 ピア・サポートはそういった子どもたちの特徴を生かして、友だちをサポートしようとする子どもたちを積極的に育成し,「クラスや学校に思いやりの風土を形成していく活動」です。
 吉田益美は教職員の共通理解をはかったうえで、小学校でピア・サポートをつぎのように実施しています。
1 活動を希望する子どもを募集する。
 まずピア・サポートを希望する子どもたちを募集します。
2 希望した子どもたちにトレーニングをする。
「自己理解、他者理解、コミュニケーションスキル、対決解消スキル、守秘義務」のトレーニングをします。
(1) 自己理解、他者理解
 ロールプレーなどの体験で、自分や他者の考えを感じたり理解したりしてスキルが身につくようにします。
(2) コミュニケーションスキル
 話し手が気持ちよくなるような聴き方などのコミュニケーションの練習をします。
(3) 問題解決のスキル
 相談されたときには、どんな問題で、相談者がどうなるといいと思っているのか、シナリオを見ながら演じ、スキルが身につくようにします。
(4) 対決解消スキル
 対立が起こることは悪いことばかりではないことや、両者の考えを聴くことの必要性について体験を通して理解するようにします。
(5) 守秘義務
 相談された内容の秘密を守ることは原則ですが、ひどいいじめなどの場合は大人に相談することを学びます。
3 支援活動を立案します
 個人やグループでどんな活動ができるか、ブレーン・ストーミングし、みんなで考えます。
4 支援活動をPRする
 児童集会でピア・サポートの活動目的や支援内容について説明します。
5 みんなへの支援活動を始める
 支援活動は、
(1)一人でいる子に声かけして遊ぶ
(2)けんかの仲裁をする
(3)相談ポストの相談にのる
(4)保健室に来た子をやさしく迎える
(4)あいさつをする
(5)新聞を作る
 などです。
6 活動時間
 毎朝、週1回休憩時間、保健当番や相談当番の日などです。
7 活動期間
 1ヵ月から1年間です。
8 ピア・サポート活動を実施した結果
(1)学校に思いやりの雰囲気が広まり、学年間のつながりができた。
(2)何かあったときに相談相手がいることへの子どもたちの安心感がえられた。
 数年の実践経験から、サポーターの子どもたちが「無理なく自分でできる範囲で何ができるか」をもとに活動を展開しています。
(吉田益美:群馬県公立小学教師を経て校長)

 

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荒れた学級に正義を取り戻し、クラスに誇りを持たせるためにはどうすればよいか

 教師に反抗してくる子どもを押さえられなければ、学級は正義を失います。
 正義が失われると、子ども同士注意しなくなり、自分勝手な振る舞いを続けていくことになります。
 教師の目は、どうしても荒れている子だけに向いてしまいがちです。
 荒れている子のために壊されていると思うと、イライラします。
 しかし、学級をよく見ると、荒れの外側にいる子どもたちはけっこう楽しんでいるということがあると思うんです。
 私はクラスの子どもたちの関係を見るためにクラス地図を描くんです。
 荒れたクラスには、
(1)Aグループ(荒れる子どもたち)
(2)Bグループ(荒れの外側にいて黙っている子どもたち)
(3)Cグループ(クラスを引っ張って行けるリーダー)
 のグループが考えられます。
 このうち、黙っているBグループが声をあげられないと学級に正義は取り戻せないと思います。
「嫌なことはいや」と言えたり、「つらいよ」って言えたり。
 そこを教師がどう援助していけるのかというのがカギかなと思います。
 私も何度か荒れたクラスを持って苦しんだことがあって、そのとき、つぎのようにした。
(1)「ケンカ止め隊」(Cグループ):ケンカになったら止める。
(2)「ピーポー隊」(Cグループ):ケンカになったら、ピーポーピーポーと走って、職員室から誰かをつれてくる。
 声をかけられた先生は、いやがらず、クラスに行く約束を取り付けておく。
(3)「いやし隊」(Bグループ):担任も入って秘密につくった。
 殴られたりした子をそっと気遣ってあげる。
(4)「並ばせ隊」(Aグループ):出来ると得することを用意する。
 みんなを四回並ばせることができると、校長先生の許可を得たうえで、好きな場所に行って五分間だけ遊べる。
 荒れたクラスが誇りを持つようにするには、誰からか評価されることが大切だと思う。
 何か誰かの役にたつ活動を組み、そのクラスのいいところを発信し、目に見える肯定感を意図的に組んでいくようにする。例えば、
(1)給食の時間に下級生のクラスにいって、教えてあげる
(2)学校の中の掲示板に、毎週子どもたちの絵を貼る。
 「上手だね」と、見て言ってくれる。
(3)保育園に行って、紙芝居をやる、ダンスクラブがダンスを披露する。
 自分を表現する場所をつくってあげる。
「荒れているけど、やさしいところがあるじゃん」という評価が、心を育てていくのではないか。
 私は、クラスで話し合いをするときには、できるだけ時間をとって班会議や班長会議を開きます。
 子どもたちは自由に言い合えるし、誰か一人くらい賛成してくれるかなという安心感があると、ものが言える。
 それにどんな考えがあるのか知ることができる。
 どんな結論に落ち着くのを望んでいるのかなとか、こんな言い方をするとわかってもらえそうという練習になったりもします。
(篠崎純子:神奈川県公立小学校教師 全国生活指導研究協議会常任委員)

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担任を受け持ったとき、学級が荒れ、崩壊しないようにするにはどうすればよいか

 新しいクラスを受け持った最初の一週間は、担任と子どもの見合いの時期なんです。
「どこまで許してくれるのか」
「何を大切にしているのか」
 子どもが担任を試すんです。
 子どもたちは、管理的な担任に対しては黙って従いながら、反抗の時期をうかがっているのです。
 荒れる要因のひとつは担任の言葉が多くなることです。
 子どもたちができないから、担任が繰り返し注意して、言葉で子どもを支配しようとするため言葉が多くなるのです。
 そうするのではなく、最初の一週間で「楽しい担任なんだよ」ということを子どもたちにメッセージしていく。
 担任の遊び心が試されていると思うんです。
 子どもたちが反抗したとき、担任が怖がり一歩引いてしまうと、子どもたちの甘えと反抗が担任にぶっつけられるようになります。
 子どもたちは、安心できる、優しい、受けとめてくれる担任に反抗する。
 つまりいじめと同じところがあります。
 トラブルには必ずわけがある。
 わかってもらいたいことがあるということです。
 わかってあげないとトラブルを繰り返す。
 そういう時に「なぜ」こだわること。
 管理的に押さえつける指導を続けるとエスカレートし、やがて爆発します。
 もちろん、例えば、きちんと並ばせる指導をしなければならないような管理的な指導もある。
 そこは腹をくくるしかない。子どものためには。
 そして、子どもの世界に入ってみる。
 そこで子どもたちとつながる何かが見つかるかもしれない。
 生意気な言い方や暴言をどう教師が切り返していくか。例えば、
「うるせえ」と言ったら、「あなたはいま反抗期ですか?」
「つまんねぇ」と言ったら、「ごめんね、つまんなくて」
「くそばば」と言ったら、「よかったあ、くそじじいじゃなくて」
 とか、そんなことでは傷つかないよというメッセージを送り、子どもの挑発にのらないように言葉を返してあげる。
 おもしろく、冗談で突っ込んだりしながら、子どもとの関係をつくっていけたらいいんですが。
 「おめえなんか、死んじまえ!」
 と、言われれば、私に「死ね」って言っているんではなくて、背景に何かがあって、それに向かって叫んでいる。
 そう思うと気が楽になるし、背景のわけがわかるまで、まあ何を言われてもいいっかと思うようになった。
 教師が子どもを抑えられなければ、学級は正義を失うわけです。
 教師の抑える力がないと、子どもたちは安心してクラスの中で過ごせなくなる。
 そうなれば子ども同志が注意しなくなるし、荒れる子どもは自分を客観視できないので勝手なふるまいを続けていくことになります。
 子どもとの関係がこわれてしまっているとき、関係を取り戻すのは決めてむつかしいが、ほめ続けることです。
 ほめることは、見捨てないよ、大事にするよというメッセージです。
 いろんなケースを想定して、多様なほめ言葉を用意しておく。
 例えば、ものを運んだりする仕事をいっぱい用意してほめる材料をつくる。
 子どもが活動すると、ほめることが出てくる。
 特にトラブルを起こす子どもに作業をさせて成功すると、保護者に電話してほめる。
 そうして、子どもや保護者とつながりをつくっていく。
 もうひとつは子どもと遊ぶことです。遊べば、ほめることがいっぱいできます。
 教師の遊び心が子どもとの距離を縮める。
 例えば、教師が一週間、教室に入る入り方を全部変えたりして、子どもたちの遊び心につき合ってあげます。
 掃除が早く終わったら「五分で読める怖い話」を読んであげる。
 そんなふうに、ありとあらゆる方法を打って打ちまくる。
 何かが出てくる。
 子どもたちも傷ついたりしている。
 楽しい遊びをすると、教師にも余裕が出てくるし、子どもとの距離を縮めてくれる。
(斎藤 修:1953年福島県生まれ、元千葉県公立小学校教師、全国生活指導研究協議会常任委員)
(篠崎純子:神奈川県公立小学校教師 全国生活指導研究協議会常任委員)

 

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教師の話し方のわざを磨くにはどうすればよいか

 子どもたちに話をするときは、結論から述べることが原則です。例えば、
「今日はすばらしいことが三つありました。一つ目は・・・・・、二つ目は・・・・」
 と、数を明確にすることで、聞く側にとって話が集約され、聞きやすくなるのです。
 話の中に「○○○」の会話文や音、数を多く取り入れて話すことで、聞く人をぐっと引きつけることができます。
 子どもたちに指示を出したり、発問するときには語尾は弱めるように話したいものです。例えば、
「書きなさい」の「なさい」
 は、弱めます。
 語尾を強めると命令的になり、子どもへの支配性を強めていきます。
 特に主になる発問を言うときには、間を取って、子どもたちの顔を見渡しながら、ゆっくりと語尾を弱めながら話していきます。
 その他、「表情のつけ方」、「簡潔で明瞭な話し方」など教師であり続ける限り、そのわざを磨き続けていくことが必要です。
 日頃から気になっていることは、教師のしゃべりすぎです。
 学級が崩れてくると、教師の注意が増え、教師の話が長くなっていきます。
 言葉によって子どもたちを支配しようとすると、服従させるか、反抗を生み出していき、教師と子どもたちの関係を断ち切っていきます。
 授業でも教師と子どもの話す割合は、理想的には三対七にできるのが望ましい形と思います。
 目につくのは、例えば、
 教師が子どもの発言「2たす3は5」を、教師の発言「あ、2たす3は5」と復唱することです。
 教師が復唱するために、子どもが子どもの話を聞こうとしなくなります。
 私の場合、子どもが発言したら接続詞を入れて、
「なるほど、ほかには」
「他の言い方では」
 と言うと、子どもたちがどんどんつないでいってくれます。
 子どもたちが話をつないでいくため、友だちの話を聞く必要があります。
 子どもが子どもに説明することで、相互関係をつくっていくのです。
 そうすることで教師の言葉は削られていきます。
 また、子どもがおしゃべりしているとき、私は「ストップ」と書いたカードをサッと出す。
 子どもは耳で聞くより、目で見る方がずっと効果があります。
「やかましい」「静かに」
 と、口をすっぱくして言う言葉が削られます。
(斎藤 修:1953年福島県生まれ、元千葉県公立小学校教師、全国生活指導研究協議会常任委員)

 

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叱るとき、子どもを「怒らない」で指導する方法とは

 斎藤 修は、子どもは失敗から学んでいくものだと考えています。
 子どもは、友だちの失敗からどう学ぶかということがすごく大事だと思っています。
 ですから斎藤は、子どもが失敗したとき、子どもたちに問い返します。
「○○くんのやったことをどう思いますか?」
 そうすると「そういうやり方は間違っている」とか、いろんな意見が出てきます。
 教師が直接その子を注意するのではなく、子どもの話し合いに返していく。
 そうすることで、学級の他の子どもたちも学ぶことができます。
 問題を子どもたちに返していくというこのスタイルを身につけると、子どもたちを怒らなくてよくなります。
「どう思う?」
 と、子どもたちに返すことで、子どもたちが正しい答えを出してくれるのです。
 子どもを直接怒ると、どうしても反抗や対立を生み出すことになります。
 そこで、どうしても子どもを呼んで注意しなければならないときは、間に必ずもう一人子どもを入れます。
 そうするのは、子どもと教師の対立関係をつくらないためです。
 叱るときに念頭においてほしいのは「注意は、ほめて終わる」という原則です。
 例えば、
「○○くん、姿勢が悪いよ、ちゃんとしよう」
 と、注意したとします。
 そうしたら次は、
「直ったね、よくなったね」
 と、ほめることで、その指導が初めて終わる。
 そんなふうに、最後に子どもはほめられて終わる。
 それが叱るときの基本的なあり方であろうと思うのです。
(斎藤 修:1953年福島県生まれ、元千葉県公立小学校教師、全国生活指導研究協議会常任委員)

 

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担任と保護者が良好な関係をもつには、どのようにすればよいか

 教師は子どもから投げつけられる暴言や保護者からの苦情で非常にストレスのたまる仕事です。
 教師は自分の感情を上手にコントロールできる力をつけていかないと、子どもや保護者とつながることや、トラブルを乗り越えていくことはできません。
 斎藤 修は保護者と関わるとき、最初の懇談会で次のようなお願いをします。
1 この時期の子どもというのは自己中心的に物事を考えます。
 ケンカをしたときにも自分のしたことは忘れて、されたことだけを家で話すことが多い。
 わが子の話は信じてもいいと鵜呑みにしないでください。
2 トラブルを通して子どもは自分を理解し、相手を理解していきます。
 トラブルは子どもの成長にとって必要なことです。
 トラブルがあっても、見守るという姿勢が大切です。
3 教師と子どもは信頼関係で成り立っています。
 子どもはいい先生だと思うと指導を受け入れます。
 わが子の前では、子どもと教師の信頼関係を崩すような言動は避けてほしい。
 私も保護者の悪口は絶対に言いません。これはお互いの約束です。
4 子どもの不安なことや心配なことがあったら連絡帳を使って早めに連絡してください。
 家でがんばったことなども知らせてください。
 私も子どもを励ますことができます。
 家庭と学校が連絡し合い、事実を共有し合うことが子どもの成長に必ず役だつと思います。
5 連絡帳は、いきなり感情的な言葉を書かないで「いつもお世話になっています」といった枕ことばをつけてください。
「どうなんですか?」とかという書き方をしてもらえると、教師も冷静に対応できます。
6 保護者回覧ノート
 クラスを二つに分けて保護者の間に回覧ノートを回します。
 一人何ページ書いてもいい、手元に置いていいのは三日間、書けないときはパスができる。
 書かれた文章はコピーして全員が目を通すことができます。
 保護者たちはぎっしりと書いてくれます。
7 懇談会
 保護者同士が仲良くなるよう、最初によくゲームをします。雰囲気はすぐに明るくなります。
 お互いのことを理解し合うために、趣味や最近がんばっていること、うれしかったことなどについて交流し合います。
 グループ懇談で子育て交流をすると、保護者たちはよく話します。
 同じ悩みを持っていることを知って安心したり、子育てのヒントをもらったり、話し合いは盛り上がります。
 また、三月の最後の懇談会では、保護者一人ひとりに「子育てがんばり賞」のミニ賞状を渡すことにしています。
 保護者たちに好評です。保護者会でも遊び心をおおいに発揮したいものです。
(斎藤 修:1953年福島県生まれ、元千葉県公立小学校教師、全国生活指導研究協議会常任委員)

 

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新聞の「子どもの詩」をクイズ形式で読み聞かせると、朝の会が活気のあるものになった

 朝の会は子どもたちが一日を楽しくスタートさせるための大切な時間です。
 しかし、太田康彦はどんな話をしたらよいかわからなかったのです。
 子どもたちへの連絡しかしていませんでした。
「できるだけ、子どもたちに楽しいと思ってもらえる朝の会にしよう」と太田が考えているとき、読売新聞の「くらし・家庭」欄の「子どもの詩」コーナーが目に飛び込んできました。
 読んでみるとおもしろいのです。
 子どもが自分の視線で考えているせいか、すっと心に染みてくるのです。
 震災後の心情が綴られた詩、年中行事にまつわる詩などタイムリーな内容が掲載されています。
 朝の会では、作者・学校名・学年を紹介した後に詩を読み聞かせて、題名を当ててもらうクイズ形式にしました。
 気分が乗らない子どもたちまで目を輝かせて当てようとします。
 朝から活気のある朝の会になります。
 ただ、当日の朝刊の詩は子どもたちが家で見てきて題名を知っているので、当日の詩は読まないようにしています。
 切り抜いた詩がたまると、紙に貼り付けて日めくりカレンダーのようなもの作って教室に掲示しておきます。
 すると休み時間にその前に集まり今までの詩を読んでいる子どもたちの姿が見られるようになりました。
(太田康彦:埼玉県公立小学校教師)

 

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かならず成功する「本の読みきかせ」の方法とは

 子どもに読み聞かせをするときには、子どもの喜ぶ本を選んであげてほしいと思います。
 逆にいえば、読み手が「必要な本」「良い本」と感じる本は選ばないようにすることです。
 なぜなら、子どもに本を読んであげる一番大きな目的は、子どもを幸福にすること。
 そして、もうひとつの目的は、子どもに本を好きになってもらうこと。
 だから、楽しくないけど必要な本を読むのは、もっと子どもが大きくなって本を好きになってからでもじゅうぶん間に合います。
 子どもに本を選ぶときには、「この本を読んでもらいたい」ではなく「これを見せたらあの子がどんなに喜ぶか」を基準にしてください。
 子どもたちに本を読んであげるのは「子どもたちに幸福な気持ちになってもらいたい」からです。
 おもしろい本を読んでもらって、笑ったり、興奮したり、わくわくしたりすると、子どもたちは幸福な気持ちになります。
 子どもたちに幸福な時間をすごしてもらうために本を読むのです。
 また、子どもたちの光り輝いた顔を見ると自分も幸福になるから子どもに本を読むのです。
 小学校の教室で本を読む場合を考えます。
 魅力的なお話を選ぶことが絶対に必要な条件になります。
 どのような本を選べばよいかは、赤木かん子著作本を参考にしてください。
 大切なことは、自分が読んでやりたい本を選ばないこと。
 声に合わせて本を選びます。
「シンデレラ」を声の低い男性に朗読されると怖いホラーになってしまいます。
 声の質が合わないと別のお話になってしまいます。
 人の声には「ナレーター・タイプ」(淡々とした話に向く)と「キャラクター・タイプ」(跳んだりはねたりする話に向く)の2つのタイプがあります。
 その本が要求するように表現しなければなりません。
 たいてい人はどちらかが不得意です。得意でないことはやらないでください。
 教室で本を読むときは、教室の後ろまで声が届かないので、机をかたづけて子どもたちは前に座ってもらいます。
 そのとき可能ならば子どもたちはじゅうたんが大好きなので「お話のじゅうたんです」と言うと、子どもたちは大喜びで乗ってきます。
 最初に、指人形をさっと出して「はじまるよ!」と人形に叫んでもらうと子どもたちは静かになります。
 話す姿勢は、おなかを立てて、肩とあご、舌の力を抜きます。
 おなかがへこむまで息を吐き、力を抜くとたくさんの息が入ります。
 そうすると長く息が続いて長い文章を読むことができます。
 声は、一番後ろに座っている子どもの頭を越すように低めに、そおっと出します。
 声は放物線を描いて落ちていきます。
 そのためには、声の出し始めは小さく、だんだんと大きくしていくようにするとできるようになります。
 声は「よく透る声」を使います。
 大きく声を張りあげてはいけません。
 割れた声はなにを言っているのかわかりません。
 本を朗読するためには、先ずは内容を理解する。
 それが、子どもたちに伝わるように表現することです。
 どちらか欠けると伝わりません。
 どうやったら伝わるか、考えて演出をします。
 ただ、登場人物になりきって読む場合、子どもたちが夢中になって楽しんでいるのならよいのですが、楽しんでいるのは読み手だけになって、聴き手は迷惑している場合が多いので気をつけましょう。
 途中でみんなが飽きてしまったら、「ごめんね」といってやめて、別の本にしてください。
 もう今日はだめだと思ったときは「なが~い、おはなのぶたさん」は爆笑ものなので用意しておくのもよいでしょう。
(赤木かん子:長野県生まれ、児童文学評論家。1984年に「本の探偵」としてデビュー、児童文学の世界に入る。児童文学に関する評論、子供の文化の研究など幅広く活躍している。図書館を中心に日本各地での講演活動。本への深い愛情から図書館の改善運動にも積極的で、特に小中学校の図書館の活性化に努めている)

 

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トラブルメーカーの子どもとどう関係をむすべばよいか

 いまの子どもたちとつきあうのは、本当に疲れる。
 いいかげんにしてくれよと言いたくなる。
 とにかく子どもたちは我慢ができない。
 トラブルは日替わりメニューのように起きる。
 教室にはトラブルメーカーの子どももいる。
 こうした子どもたちを相手に教師はどうすればいいのだろうか。
 佐藤 博はつぎのように述べている。
 クラスに荒れが広がり始めると、佐藤は子どもの言動を許せず苛立った。
 教室にザラついた空気が流れ、不信は不信を呼び、子どもたちは佐藤の言うことを聞かなくなった。
 佐藤は教師に向かないと悩み、自己嫌悪に陥った。
 子どもの現実を変えることができないと佐藤が悟ったとき、子どもへのまなざしを変えなければと考えた。
 大人でも否定的な視線に包まれて自分を変えることは難しい。
 腹立たしい子どもらを嫌わないためには子どもの見方を変えるほかない。
 子どもは大人の満足のために存在しているわけではない。
 子どもだった自分を思い出してみればわかる。
 思春期はもともと多感で扱いにくい存在なのだ。
 しかし、子どもとうまくいかないとき教師は苦しい。
 佐藤は荒れる子どもを担任して苦しむ自分に焦点を当てていた。
 しかし、焦点を当てなければならないのは生きづらい社会のなかで悶えている子どものほうではないかと思い至った。
 純粋に生まれてきた子どもが、先に悪くなる社会などあるわけがない。
 そう思えば子どもたちも可愛く見えてきた。
 一人ひとりの子どもを丁寧に見れば、どんな子どもにも健気な気持ちや成長したいという願いや小さながんばりがある。
 肯定的な子どもの発見が教師と子どもとの関係を変える。
 教育は恋愛に似ていると佐藤は思い始めた。
 人は恋するとき、好意を寄せてくれて、善きものを見いだしてくれる相手に、自分を向上させようとするエネルギーが生まれる。
 教師が苦手な子どもに対して、関心や期待を寄せることはできる。
 どんな子どもにも誇りがあり、愛されたい、成長させたいと願っている。
 いつまでも悪い子はめったにいない。
 大人になる過程でいつか変わり成長する。
 目の前の悪いことをする子どもを嫌わず、
「悪いことをしても信頼してくれた先生がいた」
 という思いを子どもに残すことが教師の仕事だと考えるようになった。
(佐藤 博:1948年生まれ、元東京都公立中学校教師・教育科学研究会常任委員・学びをつくる会世話人)

 

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子どもたちの素直な心の声をしっかり受けとめる、これを教師修業の一番と考え、続けています

 私が教師になった年の五月に教師人生を大きく変える子どもの言葉にであいました。
「先生、勉強やめよー。面白くない。遊ぼー」
 と、授業の山場をむかえていたときに、いきなりその言葉が耳に飛び込んできました。
 その時、心底
「もっと授業がうまくなりたい」
「子どもたちが待ち遠しいと言う授業をしたい」
「もっと授業中に子どもたちの笑顔の花を咲かせたい」
 と思いました。
 その日から「エスカルゴ」という勉強会に入り、私の教師修業の一歩がスタートしたのです。
 子どもたちの素直な心の声に出会った、しっかり受けとめる。
 これを教師修業の一番と考え30数年続けています。
 子どもたちの心の声を聞くために、心がけていることは、
1 毎日、クラスの子どもたち全員へ声かけをすることです
 これを意識すると、日々出会う子どもたちに、どんな声かけをしようかと考えるようになります。
 例えば、テレビ好きな子にはテレビの話題を、ゲーム好きな子には流行のゲームの話題を声かけします。
 そうすると、テレビやゲームに目がいくようになりました。
 もちろん笑顔で、いつも見ているよという思いで、
「おはよう」「元気かい?」「やっ!」
 というような簡単な声かけのときもあります。
2 毎日、ノートを集めることです
 授業の終わりには、授業の感想を書いてもらうことがあります。それを集めます。
 毎日、最低一冊のノートは集めるようにしています。
 子どもたちの心の声を知るためです。
 時には、テーマを決めて日記を書かせて集めることもします。
「社会の授業で学んだこと」
「国語の授業でもっとやりたかったこと」
 などです。
 この二つは、子どもたちの素直な声を得る場を意識してつくる。
 これが教師修業なのだと思っています。
(福山憲市:1960年山口県生まれ、山口県下関市立小学校教師。特別支援学級担任、教務主任・算数専科・初任研指導教諭など多くの立場を経験。学力向上推進教員・教育力向上教員として、授業力・学級経営力の向上指導にあたる。サークル「ミスを活かす子ども達を育てる研究会」「教師の勉強の場・ふくの会」を組織し、全国の仲間と実践の交流をし続けている)

 

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授業を妨害する子どもにどう対応すればよいか

 テンポの良い授業は子どもの妨害が入り込む余地がきわめて少ない。
 リズムとテンポの良い授業にするというのも一つのポイントである。
 福山憲市は授業を妨害する子どもに、つぎのように対応している。
1 おしゃべりで授業妨害する子ども
(1)直接的に注意する
 はっきり「今はしゃべるときではありません」などと、言うことだ。
 はっきり言うことを恐れてはいけない。
 うるさく騒いで授業ができない状態になる前であれば、優しく言うことができる。
 もちろん、誉めることを忘れてはいけない。「さすがですね。一度言われて、すっと止める人は、すごい人です。ありがとう」
(2)話をはぐらかし、かわす
 しゃべっている子は、しゃべりたいのだ。
 そこで、授業に生かすように子どもにしゃべらせるのである。
 こちらの路線に乗せればいいのだ。そして、うんと誉める。
「○○くん、いいおしゃべりしているなあ。それじゃ、もっとつっこんで聞くよ」と子どもに質問する。
 子どもが答えると「やっぱり、いいこと言うなあ。またいい考えが浮かんだら頼むよ」
 しゃべることで誉めてもられる。これが続くことで態度が少しずつ変わっていくのである。
2 妨害行動する子ども
 勝手に席を離れたり、机にある物を触って遊ぶような子どもにどう対応するか。
(1)他の子どもを巻き込みながら、はっきり注意する
教師「みんな、いま立っていい時かなあ?」
子ども「いけませーん」
教師「いまは、何をする時ですか?」
子ども「メモする時です」
教師「いま、立っていなかった人? えらいなあ。それじゃあ、立っていた人?」
 子どもが数名立つ。ここで、はっきり言う。
教師「つぎ、絶対に気をつけるという人だけ、座りなさい」子どもが座る。
 それを教師が気合いをいれて誉めるのである。
 その後、子どもが立たずに頑張っている姿を見たら、うんと誉める。ほとんどの子どもはこれで変わる。
(2)妨害行動を記録しておき、他の教職員に相談する
 あまりにも乱暴な子どもがいたら、様子を細かく記録しておく。
 ADHDの可能性もあるので技術があっても対応できないことがある。
 他の教職員の目を通して、対応策を考えることも大切だ。
(福山憲市:1960年山口県生まれ、山口県下関市立小学校教師。特別支援学級担任、教務主任・算数専科・初任研指導教諭など多くの立場を経験。学力向上推進教員・教育力向上教員として、授業力・学級経営力の向上指導にあたる。サークル「ミスを活かす子ども達を育てる研究会」「教師の勉強の場・ふくの会」を組織し、全国の仲間と実践の交流をし続けている)

 

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学校に適応している教師・困った教師とは、どのような教師なのでしょうか

1 学校現場に適応している教師
 共通して元気で、個性的で、よく食べ、体力もあって、子どもと一緒によく笑い、子どもに交じってよく遊びます。
 教師が元気で笑顔でいること、教師自身が声を出して笑うこと、これは資質能力としてとても大事なことのようです。
2 困った教師
 教師本人は意識していないのですが、子どもや周りの教師・管理職・保護者からみると困った教師がいます。例えば、
(1) 教師としてのスキルを向上させることに抵抗を示す教師
「私はそんなことしたことがないから教えられない」と、つぶやく教師もいます。
 昔の指導スキルだけで何年も安穏としている教師です。
 常に向上心を持ち、新しいことにチャレンジすることが必要ではないでしょうか。
(2) 子どもたちの変化を受けとめられない教師
 自分の過去の経験から見通せる子どもには対応できるが、その枠からはずれる子どもに対しては、排除したり、レッテルをはったりする教師を見かけます。
「成績がよくて、教師の言うことをよく聞く子どもがよい子ども」と、子どもの評価する教師があいかわらず多い。
 子どもの変化を受けとめ、目の前にいる子どもに愛情を注ぐ教師であってほしい。
(3) 教師として常識を欠く
 携帯電話しか使ったことがない教師が増え、学校の電話の使い方や受け答えに戸惑いを感じている。
 教師自身が親から叱られたことがないので、子どもの叱り方がわかりません。
 小学生の頃に挨拶したことがないので、「とくに困らなかったので挨拶する必要がないのではないか」と考える教師もいます。
 さらに「なんで、ありがとうという必要があるのですか」と真顔で答える教師もいます。
 管理職が「教室に入るときは、ニコッとしたほうがよいよ」とアドバイスをされると「そんなにいつも笑顔でいられません」と言った教師がいたそうです。
(4) 失敗や困っていることを誰にも話せない教師
 自分の評価を気にしすぎる教師がいます。
 誰かに相談すれば失敗したことが知られてしまい評価が下がるのではないかと気にして何も話せないようです。
 問題にぶつかったときに、すぐにくじけて折れやすい傾向もあります。
 思いきりやって失敗してみて、それによって成長しようといった前向きの意識が低いようです。
(5) 他の教師が急に休んだため、自分のその日の予定を急に変えさせられると過度に負担やストレスになると感じてしまう教師
(6) 教師の世代間の乖離が深刻になっている
 世代間の教育技術の伝達が難しくなってきている。
「先輩の教師は、何も教えてくれない」
「後輩の教師は何を考えているのかわからず、教える気持ちにもならない。ことばも通じないし、礼儀もない」
(富永直也:京都府公立小学校教頭、指導主事、京都教育大学准教授を経て立命館大学教職教育推進機構 嘱託講師)

 

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子どもたちのトラブルを予防するために、子どもたちにどのように学習させればよいか

 学校教育では、これまで子どもたちに「トラブル」に対応する力をどのようにつけていくか、といった学習領域はなかった。
 子どもたちがトラブルを解決する力は、自然に身につくものとされてきた。
 教師の目に触れるトラブルが発生したときだけに対応してきた。
 日本より早くから深刻な状況に陥っていた米国では、対症療法ではない、予防教育(情動・社会性学習)が推進されてきています。
 笹口浩子は不快なことが偶然起きたとき、どのようにすればよいかを小学校低学年の子どもたちに、つぎのように学習させている。
1 子どもたちに、偶然の出来事の具体的な例を見せる
(1) 偶然の出来事を実際に行って見せる
(2) DVDで観察する
 相手の様子、顔の表情、事前事後の行動、周りの様子などさまざまな観点からくり返し観察する。
(3) 判断基準を養う視点を育てる
 さまざまな事例を知ることにより、「わざと」か「たまたま」かの判断基準を高める。
2 対応について練習をする
(1) 偶然の出来事を起こす
 ロール・プレイングで偶然、相手に不快な思いをさせるようなことをする。
(ロール・プレイングとは、実際の場面を想定し、複数の人がそれぞれ役を演じ、適切に対応できるようにする学習方法)
(2) 気持ちを発表させる
 双方の子どもたちの気持ちを話させる。
 双方の子どもたちの気持ちが高まってトラブルが起こりうることも理解させる。
3 対応のやり方を練習する
(1)どのような言葉や態度がよいのか具体的に行って見せる。
(2)感情が高ぶっているときは、気持ちを落ち着かせる方法を学習する。
(3)双方の役を入れ替わって練習を重ねる。
 いろいろな立場の気持ちを理解することができる。
(笹口浩子:福岡県公立小学校教師)

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教師はチームとしての取り組みのなかでこそ育つ

 チームのなかで教師は育つと宮田雅己はつぎのように述べている。
 教師になって二校目は指導困難校だった。
 自分の生活常識を越えた子どもたちの行動に出会った。
 次々に起きる問題行動に加え、学校の対応に理解のない保護者に驚いた。
 問題行動が起きると、指導のための会議を開く。
 特別指導で管理職、生活指導や学年の教師たちが相談しながら、かわるがわる生徒とかかわり、家庭訪問もする。
 問題行動を機会に教師集団が生徒に徹底的にかかわると、知らずと生徒は教師集団を信用し大人を信用するようになる。
 教師も生徒と向き合うたびに、さまざまな生徒の感じ方・悩み方・かわり方などを教師自身の心の回路を通すことで追体験し、その教師の複眼をつくりだすのだ。
 このなかで、教師たちは社会の問題に気づかされ、心理学、医学的な知見にも触れる。
 生徒の問題行動を一件、一件、解決していくなかで、教師が集団的に達成感を味わい、ポジション取りや連携プレーもスムーズになり、教師のチーム性が高まり同僚性が高まった。
 この学校で私は、人間の強さと弱さ、教師の連帯・支え合い、一人では生きられないさがを学んだ。自分がやっと真人間になれた気がした。
 このような経験から、教師集団のチームとしての取り組みのなかでこそ教師は育つということを学んだ。
(宮田雅己:神奈川県公立高校教師)

 

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