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トラブルメーカーの子どもとどう関係をむすべばよいか

 いまの子どもたちとつきあうのは、本当に疲れる。
 いいかげんにしてくれよと言いたくなる。
 とにかく子どもたちは我慢ができない。
 トラブルは日替わりメニューのように起きる。
 教室にはトラブルメーカーの子どももいる。
 こうした子どもたちを相手に教師はどうすればいいのだろうか。
 佐藤 博はつぎのように述べている。
 クラスに荒れが広がり始めると、佐藤は子どもの言動を許せず苛立った。
 教室にザラついた空気が流れ、不信は不信を呼び、子どもたちは佐藤の言うことを聞かなくなった。
 佐藤は教師に向かないと悩み、自己嫌悪に陥った。
 子どもの現実を変えることができないと佐藤が悟ったとき、子どもへのまなざしを変えなければと考えた。
 大人でも否定的な視線に包まれて自分を変えることは難しい。
 腹立たしい子どもらを嫌わないためには子どもの見方を変えるほかない。
 子どもは大人の満足のために存在しているわけではない。
 子どもだった自分を思い出してみればわかる。
 思春期はもともと多感で扱いにくい存在なのだ。
 しかし、子どもとうまくいかないとき教師は苦しい。
 佐藤は荒れる子どもを担任して苦しむ自分に焦点を当てていた。
 しかし、焦点を当てなければならないのは生きづらい社会のなかで悶えている子どものほうではないかと思い至った。
 純粋に生まれてきた子どもが、先に悪くなる社会などあるわけがない。
 そう思えば子どもたちも可愛く見えてきた。
 一人ひとりの子どもを丁寧に見れば、どんな子どもにも健気な気持ちや成長したいという願いや小さながんばりがある。
 肯定的な子どもの発見が教師と子どもとの関係を変える。
 教育は恋愛に似ていると佐藤は思い始めた。
 人は恋するとき、好意を寄せてくれて、善きものを見いだしてくれる相手に、自分を向上させようとするエネルギーが生まれる。
 教師が苦手な子どもに対して、関心や期待を寄せることはできる。
 どんな子どもにも誇りがあり、愛されたい、成長させたいと願っている。
 いつまでも悪い子はめったにいない。
 大人になる過程でいつか変わり成長する。
 目の前の悪いことをする子どもを嫌わず、
「悪いことをしても信頼してくれた先生がいた」
 という思いを子どもに残すことが教師の仕事だと考えるようになった。
(佐藤 博:1948年生まれ、元東京都公立中学校教師・教育科学研究会常任委員・学びをつくる会世話人)

 

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