理科:理科授業の五本の柱 鷲見辰美
理科授業について鷲見辰美はつぎのように述べている。
いま、表面的ではない、知識の豊富さだけではない、意欲に基づいた自らを創造的に成長させる確かな学力が求められている。
理科の授業は、実に奥深い。
同じ教材を使い、同じ発問をしても、子どもたちによって大きく反応が変わる。
また、同じ自然に触れても、そこから生まれる問題意識は子どもによって多種多様であたりもする。
それゆえに、マニュアル的な考えで理科授業を構成することは限界があるのではないだろうか。
したがって、つぎの理科授業の柱を五本の軸にして確かな学力をめざした授業を創造していただきたい。
1 不思議さや感動に出会う授業
子どもたちは自然と友だちと対話しながら、自然特有の質感を感じ、新しい世界に出会い、考えが揺れ動き、新しい自分を創っていく。
子どものわかり方の様相を理解して、子どもの思いや願いを育てていきたい。
2 問題意識を高める導入
問題をそのままにしておけない、解決してみたいという、子どもたちの知的好奇心が高まることが重要になる。
そのとき、子どもたちが見通しをもてるようにすることが大切になってくる。
そのためには、子どもたちの疑問を意味づけ・関連づけし、常に事象に立ち返り、見直し、考え直しを繰り返しおこない、現象に対する認識を深めるようにしていくようにしたい。
3 実験・観察とまとめ活動
あいまいな言葉による表現ではなく、科学的な用語によって科学的な理論を事実に当てはめ、現象を説明しようとする活動がある授業にしたい。
そのためには、自分の考えの過程を大事にする。ノートに書いて、間違っても消しゴムで消さないようにする。
現象を読み解く力を高めるために、科学的思考に基づく科学的な表現を大切にしたい。
4 理解を深め科学的な読解力を深める説明活動
理科の学習では、実験結果をたんに記憶するのではなく、実験で生じた現象の意味を説明することが必要である。
説明活動をすることによって、科学的な読解ができているか吟味でき、読解力の育成にもつながる。
5 発展的な活動
それまでの学習を生かした発展的な活動を構成するようにする。
学習が理解できている子どもは、問題を解決できる楽しさや、自分の成長を実感することができる。
理解不十分な子どもは、これまでの学びを振り返ることになりメリットがある。
もうひとつは、子どもの自主性を伸ばす活動である。意欲を高め、授業後にも関心をもつようになる期待がふくらむ活動である。
(鷲見辰美:1964年生まれ、NTT、岡崎市立小学校などを経て、筑波大学附属小学校教師。日本初等理科教育研究会副理事長、文部科学省教育映像等の審査学識経験者委員)
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