理科:見えない磁力を意識する授業展開 白岩 等
磁石の極をとらえる学習を白岩 等はつぎのように展開した。
磁石で大切にしたいことは「目に見えない磁石の力」をイメージし実感することである。
(1)子どもがやってみたい状況をつくる
3年生くらいの子どもには、授業の導入で「あれっ」「どうしてかな」と思わせることも大切であるが「自分もやってみたい」と思わせることがもっとも大切である。
授業の導入で2本の磁力の強い長方形の磁石を使い、磁石倒しをおこなった。1本の磁石を机の上に立てる。残りの磁石を教師の指で隠して持つ。
教師「先生の指をこの磁石に近づけていきます」
と言って立てた磁石に近づけていく。
すると、次の瞬間、パタッと磁石が倒れる。子どもたちから歓声があがる。しばらくして、
子ども「先生の手の中、見せて」
という声があがれば、
教師「そうです。実は先生の手の中に磁石が隠れていたのです」
子どもたち「ぼくもやってみたい」「先生、はやく磁石ちょうだいよ」
この時点で、子どもたちは自分もやってみたいという気持ちが最高潮に達する。
子どもたちに磁石を二本ずつ配る。
そのとき、磁石の倒れ方について、気づいたことを記録するように助言する。
(2)対象とかかわる中でいろいろな不思議を見つける
子どもたちは、しばらくすると、磁石の近づけかたを工夫し始めた。
初めは同極を近づけていたのを、極を反対にして近づけたり、長方形の磁石の上の方、真ん中、下の方に近づけたりしながら磁石の倒れる様子を調べていた。
(3)磁石の倒れ方から、極の性質を考える(問題意識の高まり)
一通りの活動を終えたところで、磁石の倒れ方で気づいたことを発表させた。
話し合いの結果、子どもたちは極というものを強く意識していった。
(4)磁石の極の性質調べ(問題意識から問題解決へ)
そこで、今度は、二本の磁石を手に持ってまっすぐに近づけていった。
そうして、反発する感じや引きつけられる感じを体感としてとらえ「同極は反発し、異極は引き合う」ということをとらえていった。
3年生の子どもたちにとっては、自分がやってみたいという場を設定することが、問題意識を引き出し、高めていくことにつながっていくということを改めて感じた。
(白岩 等:1960年生まれ、1995年より筑波大学附属小学校教師)
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