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保護者と教師が共に気持ちをよせて取り組むことができることは何か   佐藤友子

 保護者と教師が共に気持ちをよせて取り組むことができることは何か佐藤友子はつぎのように述べています。
 私の子どもがまだ五歳のころ、不登校の高校生の親からの相談で突然、
「先生に親の気持ちがわかりますか」
 と言われた。
 「偉そうな態度で、あんた、まだ親でもないのに」という思いがその親の態度にあらわれていた。
 どう返事をしたらよいのか、私も親だと伝えるべきか、親であることと子どもの不登校の相談と関係があるのか。
 ここで下手な返事をしたらもう話をされないだろうなあと思ったが覚悟を決めて、
「私の子どもはまだ保育園なで、高校生の親のお気持ちはわかってないんでしょうね」
「私の子どもが高校生の頃になったら少しはわかるようになるかもしれませんが・・・」
「今日はできるだけ子どもさんの側に立ってお話をしようと思います」
 と言った。
 すると、その親は、
「ありがとうございます。子どものことを大事に思っていただいているんですね」
 と言われた。
 私はその親の思いほどその生徒のことを大事に思っていたかといえば自信がない。
 でも、学校で教育活動に関わる大人が一番に気持ちをよせて「どうしたらよいか」を考えるのは「生徒」のことである。
 その基準さえぶれなかったら誰とでも共に取り組むことができるということを、理屈だけでなく実感させていただいた体験であった。
 親から不登校の相談があったときどのように対応しているか佐藤友子はつぎのように述べています。
 原因がどこにあろうが子どもが学校へ行かないということは、多くの親にとってはつらいことである。
 親として自信をなくし日常の会話さえも神経を張り巡らしておられ、それがまた子どもの神経を苛立たせるという悪循環もあります。
 不登校の親から相談があったときは、私は
「学校のことは、子どもさんから話されない限り話題にしないでください」
「それ以外のことは今まで通り、叱ることは叱って、ほめることはほめてください」
「学校のことを子どもさんから話され、返事のいるときは、お母さんはこう思うと、思っていることを伝えてください」
「わからないことはわからないと。返事のいらないことであれば、否定せずに聞いてください」
「あせらずに一緒にどうしたらよいか考えていきましょう」
 と話します。
 親は、親の気持ちに寄り添って、話を聞いてくれる人を求めておられるのではないか?
 話の中で一つでもいいから、よい対応がないか見つけようと耳をこらし、
「お母さん、その対応はよいと思います。すごい!」
 と共に喜べる感覚が大事だと思う。
 親には「あせらないで」と言いながら、教師が「よい結果」と思えるものを出そうということにばかり気持ちが傾いたとき、ときには親を「責めている」ように映ってしまうこともあるだろう。
 冷静な判断と共感する気持ちを併せ持つことの難しさをいつも感じている。
(佐藤友子:元京都府公立高校養護教諭)

 

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