叱っても人がついてくる、叱り方の極意とは 福田 健
叱っても人がついてくる、叱り方の極意について福田 健はつぎのように述べている。
叱るべきとき、自信がないと人を叱るのは気が重い。
どう叱ったらよいか方法がわからないと叱る自信が持てない。
どう叱ったらよいか、叱り方のポイントを考えてみると、
怒るのではなく叱る。
それには相手を育てようという思いを、しっかりと持つことから始めなくてはならない。
何を叱るか事前にわからせておく。
一貫した叱る方針を立てて、事前にみんなにわからせておく必要がある。
何を叱り、何を叱らないかを日頃から自分の考えを伝えておく。
感情に左右されることなく、日ごろの方針にしたがって叱るようにする。
同じ目線で叱る。
上から目線でえらそうな態度や言い方で叱るのではなく、問題を自分の中に入れて、同じ立ち位置で叱る。
その上で、どうすればミスを繰り返さないですむかについて、一緒に話し合う。
考えが違えば基準が異なる。
相手にわからせ納得させるには、短気を起こさず、相手にも理解を示し、ねばり強さが求められる。
叱るタイミングを外さない。
叱るとき、言いにくいと思うと考えすぎて、つい先送りしてしまい、結局タイミングを逸して、叱れなくなってしまう。
叱り方が「強いことばで責めとがめる」だけでは、相手の反発をまねく。
「諭す」「注意する」「気づかせる」など、範囲を広げるべきだろう。
そうすれば、気負わないで叱れるし、タイミングを外さずに叱ることができる。
また、シッョクがさめやらぬ内に、厳しく叱責するのは考えものだ。
反感をかったり、余計に落ち込ませてしまう恐れがある。
気持ちが落ち着いて、話が聞ける状態になるのを待ったほうがよい。
一度にあれもこれも叱らない。
叱ろうと思いながら、我慢していると、その思いが蓄積されて抑えきれずに、あれもこれもといっぺんに叱ってしまう。
気になったら、その都度、口に出して注意し、ため込まないことだ。
原則は一対一で叱ること。
みんなが見ている前で叱られるのは辛いことである。
恥をかかされたと、恨みに思ったりする。
よく考えたうえで、ここは人前で叱ったほうがよいと判断したときに限るのがよい。
感情的になったら、一呼吸おく。
人間に感情はつきものである。カッとなると自分を見失う。
一呼吸おくとは、自分を取りもどす間合いのことだ。
怒りがこみ上げてきた瞬間、深呼吸するなり一呼吸おいて、気を静める。
間合いの取り方は、各自工夫してみるとよい。
相手の人格を否定しない。
「だからお前はダメなんだ」と言うのはタブーである。
強く叱ったあとはフォローを忘れない。
不機嫌なまま、お互い、わだかまりを持ち越すことのないようにしたい。
叱った後は、カラッとできるようでありたい。
翌朝「おはよう、昨日は言いすぎた。でも、わかってくれたと思う。よろしく」と、明るい口調で、さらっとひと言、言っておく。
(福田 健:ヤマト運輸入社、言論科学振興協会の話し方運動に参加し理事を経て、話し方研究所を設立し会長。話し方、聞き方の指導・研究・啓蒙にあたり、コミュニケーション・リーダーシップ、人間関係などをテーマに各企業・官公庁で講演・講座活動を行っている)
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