理科ならではの強みを使って楽しい授業を 八嶋真理子
理科ならではの強みを使って楽しい授業をと八嶋真理子はつぎのように述べています。
学校では、子どもは教師の話を聞くのは当たり前だと思っていては、授業はできないと思ったほうがよい。
子どもの日常は、面白いものが溢れているし、我慢することは、大人も含めてできない時代になってきている。
では、面白い人にしか教師はできないのだろうか。
子どもにとっての面白いことは、一つではない。
しゃべりがじょうずな教師もいれば、パフォーマンスがじょうずな教師もいる。
教師が人間として面白ければ、それだけでも強力なアイテムだが、それについて自信のある教師はそうないだろう。
その点については、徐々に力をつけることとして、理科の場合は、強い味方がある。
本物の事象があり、見るだけでなく観察・実験を通して実物に触れるといった体験ができるという理科ならではの強みがある。
授業のつかみの部分で、理科ならではの勝負ネタを使う。
どのように魅力的に事象を提示できるかは、教師の工夫しだいである。
自分には、面白いことを言って人を笑わす才能がないから教師には向かないと悩む必要はない。
理科で扱う内容は、実際どれも面白いのだから、その内容の面白さを前面に出して子どもに見せていくのである。
そのためには、教師自身が教材の面白さを理解していなければならない。
教材研究によって子どもと教材の魅力的な出会いの演出を工夫することが、理解にとって、最高のつかみとなるだろう。
教師が「これは、すごい」「面白い」と思うもので授業を行うと、教師の表情や声に現れて、子どもに伝わるものも大きい。
指導内容だけをおさえて、それだけを伝えようとする授業は魅力に欠けることが多い。
しかし、教師の一人よがりになり空回りしないよう、子どもの興味の距離感を把握して、それをつなぐ出会いを用意することが必要である。
教師が子どもに見てもらいたいと思うものがあるとき、教師はその物や現象のもつ、不思議さや美しい規則性を感じている。
子どもにもこの感動を共有してもらいたいと思う。
「すごいね」「不思議だね「」どうして?」と問題解決への筋道をどのように編んでいくのか。
これこそ教師の力の見せ所であり、醍醐味といえるだろう。
(八嶋真理子:元神奈川県横浜市立小学校校長・理科教育学会・理科の教育編集委員)
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