大変な学級を受け持つときは、目に見える形で、短期間で子どもたちを変えていかなければ認められない 中野やす子
前任校の経験から、大変な学級を受け持つときは、目に見える形で、短期間で子どもたちを変えていかなければ認められないのだということを自分の胸にしっかりと刻みつけていた。
転勤した学校で担任した二年生の学級は、一人ひとりがばらばらな状態だった。
まず問題を起こしている一部の子どもたちを変えなければ、他の子どもの成長もありえないと私は思った。
そのために、次のことを考えた。
(1)全ての子どもが安心して過ごせる学級をつくること
(2)担任が一人ひとりとしっかりつながること
(3)勉強やその他の活動で「やればできる」という自信をつけてやること
(4)学級全体で楽しくすごす時間を毎日少しでもつくり、子どもたちがお互いを認め合える関係にしていくこと
そのために、毎日いろいろな取り組みをした。
いいと思うことは何でもやってみようという気持ちだった。たとえば、
「きのう遊んだこと」などを題材に一言スピーチ。
月末にお誕生日会。
遊びは、班遊び(4人)での遊びが楽しめるようになると全員遊びもできるようになった。
学習の中では、短期間でも自分で成果がわかり、自信につながる国語の音読、視写、漢字、算数の計算などを継続していった。
列や班で発表する発表リレーや音読リレー、鍵盤リレー、歌リレー、子どもどうしをつないでいく学習も多く取り入れた。
また、落ち着かない月曜日の朝には必ず絵本の読み聞かせをした。みんなで笑って楽しめるような昔話を選んだ。
子どもたちが動き始めたと感じたのは、生活科で全員がザリガニを飼い、廊下にケースを並べて世話をするようになってからです。
一人で責任をもって生き物を飼う経験にとまどいなからも一生懸命だった。
ザリガニ観察に向けクイズをつくり、七月の授業参観日に発表を行った。
私も親と一緒に喜び合うことができた。
授業はもちろん、授業以外の取り組みも含めた日常的な土台づくりの重要さを軽視してはならない。
それにもまして大事なことは、
(1)授業の中で、一人ひとりの思考や表現を尊重し、交流し合う
(2)課題に向かって子どもたちが共に追求し学び合う満足感
こそが、一人ひとりを、そして学級全体を高めていくのだということを私は実感として、子どもたちからあらためて教えられたのだった。
(中野やす子:小学校教師)
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