授業のヤマ場をつくるコツとは 宮本博規
授業のヤマ場をつくるコツについて宮本博規はつぎのように述べています。
ヤマ場がドラマやスポーツをよりおもしろくし、感動へと導きます。
授業もヤマ場がなければなりません。
たとえば算数の授業は、問題を自分の力で解く時間は大切にしなければなりません。
しかし、「授業のヤマ場は、共同解決の過程の中に来る」ことが多いので、
「早くみんなの考えを出し合い、よりよいものに高めたい」
という意識をもたせたまま自力解決を終わらせたいと私は思っています。
自力解決のときの「子どもの反応の把握」は、共同解決時に授業のヤマ場をつくり、より数理を確かなものにしていくためには必要不可欠な教師の活動なのです。
私は、「子どもの反応の把握」がしやすいように次のように分類してとらえるようにしています。
1 数理までは達していない考え
一応解決はできているが、その時間のねらいとなる考えまでは高まっていない。
2 つまずき
解決の過程のどこかで誤っているか、行きづまっている。
3 数理をとらえている考え
その時間のねらいとする数理をとらえている。もしくは数理に近い解決の仕方や考え方をしている。
私は、反応の把握は反応予想を基に目に焼き付けていきます。
どの反応から取り上げるのか考えます。
次に、つまずきをどこでどう生かすのか、数理へ追い込む課題は予定どおりでいいのか、どんな発問で子どもたちの考えを数理へとつないでいくのかなど。
子どもが課題に対して、本気で向かい合うためには、つぎのような教師のしかけがいるのです。
1 二つの選択肢が提示され「AかBか?」と子どもが葛藤する場面をつくる
私がよくあげる例は、ジュースの液量を素材にし、
「2リットルを3人で同じように分けると、1人分は何リットルになるか?」
という問題を提示し、解決を求めます。
そうすると、クラス全体が1/3リットルと2/3リットルに分かれ、2つの意見が対立します。
2 子どもの「こだわり」が見えてくればヤマ場はつくれる
こだわりは算数授業を展開する過程において、一人ひとりの子どもの中に自然に生まれるものです。
「どうしてこんな答えになるのだろう?」
「どこでやり方を間違ったんだろう?」
「この後どうすればいいのだろう?」
これらの言葉は、ヤマ場をつくるうえで極めて大切な言葉です。
授業の中でぜひとも生かし、数理に結びつける工夫をしなければならないのです。
(宮本博規:1958年生まれ、元熊本県公立小学校校長・熊本市教育センター所長・全国算数授業研究会理事・基幹学力研究会幹事等を務めた)
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