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国語科:論理的に読む「考える」授業づくりとは    香月正登

 論理的に読む「考える」授業づくりについて香月正登はつぎのように述べています。
「中心人物は誰か」の問いに対して「○○です」の答えだけでは考える国語ではない。
 考えることによって、見えなかった登場人物同士のかかわりが見えてきたり、筆者の意図や思考が読めたり出来る。
 国語の授業づくりでこだわっているのは、文脈(文章の流れの中にある意味内容の続きぐあい)という見方を用いて、高学年の「思考の場」づくりである。
 文脈の中に、書き手の見方・考え方(論理)が埋め込まれている。
 論理を見つけ出すことが、読むということである。
 子どもたちがことばについて、問いやひらめきを感じ、思わず文脈を考えたくなる、話し合いたくなる、そういう場の形成こそ、授業づくりの要である。
 子どもたちが「なにか変」と子どもたちが感じ、論理に目が向くよう「文脈をズラす」ことで、ことばの関係が見えてくる。
 これは、すべての学年に共通している。
 どういう視点で「ズラす」かによって、しかけ方も変わってくる。
 高学年の物語文の指導では「登場人物の相互関係」がポイントになる。
 中心人物と他の登場人物との相互のつながりと変容を読んでいくのである。
 登場人物の相互関係の中に、象徴性や暗示性の高い表現も多く見られる。
 ここから、物語のテーマを読み解き、自分との関わりで感想を深めたりする。
「海のいのち」(東書6年下)は、海を舞台にした物語である。
 太一の海への思い、父の死を乗り越え、父をしのぐ漁師を目指した成長が描かれている。
 太一の成長に影響を与えた登場人物を円グラフで表してみる。
 中でもクローズアップされてくるのが魚の「クエ」である。
「クエは登場人物だったんだね」という教師の問いで、子どもたちは「えっ?」となる。
「クエは人間と同じような感情を表していない」
「太一はクエの中におとうを見たのだから欠かせない存在だ」
 と、さまざまな見方が表れ、話し合いが盛り上がる。
 こうした登場人物の相互関係を読んでいくと、太一の成長の背景や太一がどのように成長していったのかもはっきりと意味づけられてくる。
 文脈を「ズラす」目的は、本当に考えなければいけない問題に子どもたちの目を向けることである。
 しかも、もとの文脈とズレた文脈を比較することで、論理がとらえやすくなる。
 読むということは、文脈をつなぐことである。いかに、文章の背景にあるものを読むか。ここに、読むことの、考えることの楽しさがある。
 文脈を「ズラす」ことは「思考の場」の形成の一つの具体である。
(香月正登:1967年福岡県生まれ、山口県公立小学校教師を経て、梅光学院大学准教授。中国・国語教育探究の会事務局長、「ことばの学び」をひらく会代表を務める。実践学の構築を目指し、精力的に現場での授業を続けている)

 

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