発声の練習(あくび卵発声トレーニング)とは 平田オリザ・蓮行
発声の練習(あくび卵発声トレーニング)について平田オリザ・蓮行はつぎのように述べています。
「大きな声で、ハキハキと」という声をめざす練習ではありません。
いい俳優の持つ発声能力とは「場面に応じて、最適な声が出せる」ということです。
声の出し方ひとつで、いろんな場面で求められる効果に差が出てきます。
声を出すためには、
1 まっすぐに立ちましょう
できれば鏡を見ながら「まっすぐ立つ」ことにチャレンジしてみてください。
なぜなら、発声は下腹部の筋肉の力で空気を押し上げ、気管から声帯を通して口から出すという「運動」です。
だから、それらの器管に余計な力が入らないように、縦にまっすぐに並んでいる必要があるからです。
2 その場で軽くジャンプしてください
着地するときに、無意識にヒザが曲がるはずですから、ヒザを曲げたままキープしましょう。
3 そのヒザをゆっくり伸ばします
すると、足の力が適度に抜けて、骨盤の真上に頭蓋骨がくるようなイメージで立つことができます。
その手を下してきたら、背中の後ろで組んで、深呼吸をしながら引っ張ります。
座り過ぎの生活をして人が多い。そのため、胸が狭くなっているので、それを広げてやるわけです。
さあ、これで柔らかく、まっすぐに立てたはずです。
実際に声を出しましょう。
1 パントマイムで右手に殻をむいた、ゆでた卵を持ってください
2 あくびをします
奥歯と奥歯の間を広く開けてやると、のどは自然と奥まで広がります。
3 口にゆで卵を縦のまま入れ、低い声で「あ~」と出してください
ゆで卵は、声の塊だと思ってください。
4 あくびで開いた喉に、ゆで卵を落としていきます
食道を抜けて、胃をめざします。声は自然と低くなっていきます。
5 おへその下の丹田まで落とします
ここまでゆで卵が落ちれば、音程はその人がだせる最も低い水準まで下がります。
お風呂でシャワーを浴びながら、シャワーの音に紛れさせて、という方法をおすすめします。
体を温めながら、湯気で喉も保護されますから、発声練習には適しています。
毎日たった1分でも続ければ効果は絶大です。
低音を集中的に鍛えることで、発声に必要な腹筋が自然に鍛えられます。
さらに声帯も柔らかくしなやかになるので、高い声もでるようになります。
マスターし、自らの声のコントロール力が上がれば「大きな声で、ハッキリと、テンポよく」声を出すなど、ぞうさもないことです。
(平田オリザ:1962年生まれ、劇作家、演出家。劇団青年団主宰、こまばアゴラ劇場支配人。自然な会話とやりとりで進行していく「静かな演劇」の作劇術を定着させた。東京藝術大学アートイノベーションセンター特任教授。日本劇作家協会理事)
(蓮 行:1973年生まれ、劇団衛星代表、劇作家・演出家)
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