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発見や思考を促すための発問づくりの技術とは   鶴田清司

 発見や思考を促すための発問づくりの技術について鶴田清司はつぎのように述べています。
 「○○とは、どういうことですか?」
 といった漠然とした発問では子どもは動かない。
 子どもの興味・関心や考える意欲を引き出すような具体的かつ明確な発問でなければならない。
 そのための発問づくりを次に紹介したい。
1 人物の「見え」を問う発問は有効になることが多い
 たとえば、社会科で、
「バスの運転手さんはどこを見て運転していますか」
 という有田和正の有名な発問がある。
「バスの運転手さんの仕事は?」
 という一般的な発問と比べると、その違いがわかるだろう。
 子どもは運転手になりきって具体的に考えることができる。
 そうすると、前に見える車や歩行者だけでなく、バス停や車内の乗客にも注意して運転していることがわかってくる。
 また、国語科の「ごんぎつね」で
「兵十がかけよってきたとき何を見たでしょうか」
 という発問も、
「そのとき兵十はどんな気持ちだったでしょうか」
 という発問よりも具体的で考えやすい。
 「うちの中を見ると」という表現に着目すると、ごんのことはもはや眼中になく、むしろ家の中が荒らされていないかを心配する兵十の心理がよくわかるからである。
 このほかに「数、色、音、場所」など具体的なものを問うことも有効である。
2 「AさせたいならBと言え」という発問・指示の間接性の原理
 国語科の「大造じいさんとガン」で、
「大造じいさんは、夏のうちから心がけて、タニシを五俵ばかり集めておきました」
 という文がある。
 ここでは、じいさんが時間と労力をかけてタニシを五俵も集めたということが子どもたちに実感できるようにしたい。
 たとえば、
「五俵の中にタニシは全部で何個入っていますか」
という発問(B)によって、大造じいさんの行為を具体的にイメージすることができる。
 子どもたちは猟師としての執念や意気込みの強さに気づいていく(A)だろう。
(鶴田清司:1955年生まれ、都留文科大学教授、全国大学国語教育学会理事長。専門分野は国語教育学)

 

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