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教師が子どもから信頼されるには、どのように接すればよいか  関根正明

 子どもと教師の心の交流が大切なのはゆうまでもありません。
 心の交流とは情緒的なものです。
 気持ちが通じ合ったというのは「自分の感じ」であり、相手との関わりの深さにつながります。
 子どもと教師が共に語り合い、遊び、共通体験を通してそれが成り立つのです。
 ある教師の実践です。
 放課後のだれもいなくなった教室に行き、その日の子どもと自分のやりとりを思い出します。
 子どもの氏名印が押してある一冊のノートをひろげ「今日、子どもと自分はどんな交流があったか」を書きます。
 何も思い出せない子どもにはチェックだけをしておきます。
 ひと月もたつとそのノートが自分の子どもを見る見方、傾向をわからせてくれます。
 マイナスの記録しか書いていない子には「よさを発見してそのよさにかかわっていこう」とか、子ども一人ひとりにかかわる、かかわり方を考えるのです。
「人を見る目」とは人の行動、言動からその人の性格とかを感じる能力といってもよいと思います。
 それはその人の精神的な成長によって変わります。
 教師の指示のとおり動かない子どもを「言うことを聞かない子」と、教師は思っています。
 教師の陥りやすい落とし穴だと考えられます。
 子どもを見る見方は教師自身の心のあり方です。
 親は子どもを自慢したい気持ちがあります。
 教師も親と同じで学級の子どもを信頼しなければなりません。
 子どもの信頼を裏切ることは、その子どもの願い裏切ることになります。
 当然その子の心に深い傷あとを残し、歪ませます。
 教師の心のありようが、子どもたちに大きな影響を及ぼすことを考えると、身の引きしまる思いがします。
 教師と子どもとの心理的な距離感が学級の人間関係を微妙なものにします。
 教師は子どもと自分のかかわり方を見つめ、考えることが大切です。
 それは当然、その場その時の自分の心のあり方も見ていくことになります。
「この世で一番難しいのは自分を見つめること、一番容易なのは他人を批判すること」と言われます。
 自分を見つめるとは、自分のよさも悪さも、まるごと見ていくことだから難しいのです。
 教師は平素、気持ちの穏やかなときに、自分が相手の立場になって考えてみたらいいと思います。
 教師は子どもに次のような態度で子どもに接したいと思います。
(1)自分がどう言ったかではなく、どう受け取られたかが、人間関係の基本であること。
(2)話し方には、自分の感情が出てしまう。自分の気持ち次第だということ。
(3)子どもを責めれば、自分が責められること。
 子どもを否定すれば、否定し返されること。
(4)子どもとの好ましい関係は受容を基盤にしていること。
(5)自分は素直であること。
 子どもを誤解したり、感情的に怒ってしまったら、素直にあやまること。
(6)子どもの自尊心を大切にすること。
(7)おだやかな笑顔と思いやりのある話し方で子どもに接すること。
 おだやかな顔つきでいられる心の状態であるから、自分の気持ちが素直に子どもに伝わる。
(関根正明:1931年生まれ、小・中学校教師、指導主事、東京都公立中学校校長、大学助教授を経て、山形大学講師を歴任。執筆活動をしながら、親や教師への相談、講演などにあたっている。アドバイスには定評がある)

 

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