国語科:10分間パーツ教材で授業を組み立てる 古川光弘
10分間パーツ教材で授業を組み立てると古川光弘はつぎのように述べています。
以前、大変落ち着きのない学級を担任したとき、様々な個性の子どもたちがいて、45分間、とにかく席に着かせ、集中させることに苦労した。学級崩壊の危機を感じたほどである。
ただ、その心配は最初の数週間で消えた。10分間のパーツにこだわる授業を始めたからである。
1年生と6年生が同じ45分授業であるというのもおかしな話で、発達段階に応じて、パーツに分けてはどうかというのが、10分間パーツ教材の発想である。
効果的に配列し、確認しながら授業を進行することにより、子どもたちは驚くほど授業に集中するようになる。
10分間パーツ教材には次の4条件が必要である。
(1)10分前後で完結・区切りをつけることのできる教材
(2)シンプルかつ単純明快な教材
(3)必ず全員が取り組むことのできる教材
(4)授業のねらいに沿う教材
何も難しいことはない。誰にでもできる普通の授業である。
子どもたちを引きつけ、子どもたちの集中力を飛躍的に高めることができるのである。
例えば、国語「ふきのとう」(2年)の10分間パーツ教材の授業は7教材である。
(1)既習漢字の復習(約5分間)
全員起立させ、漢字を5つほど「イチ、ニイ、サン・・・・」と筆順を唱えながら空書きさせる。
(2)新出漢字の学習(約5分間)
毎時間2~3文字ずつ進めていく。指導書き、なぞり書き、うつし書きのステップで。
(3)教材文の視写(約10分間)
教科書の「ふきのとう」を丁寧に写し取る学習である。
(4)口の体操(約2分間)
「あいうえお」の口形指導、発声指導を簡単なリズムに乗せて行う。子どもたちは大喜びで取り組む。
(5)教材文の音読(約5分間)
「ふきのとう」を「声のメガホン」という声の大きさの指標を駆使しながら、抑揚を付けた音読。
(6)発展学習:詩文の暗唱(約10分間)
黒板に書いている短い詩を、一文ずつ消していきながら、何度も暗唱させる。
一文を消すごとに子どもたちの意欲が高まるので教室の雰囲気は最高潮に達する。
(7)国語クイズ(約8分間)
国語クイズで楽しんで学習を終える。
「もっとやりたい」と乗ってきたところでやめるのがコツである。
このように10分間パーツ教材をねらいに沿って配置する。リズムのよさが分かると思う。
(古川光弘:1962年生まれ、兵庫県公立小学校教頭、「教材・授業開発研究所」事務局長。「子どもの心をどうつかむか」を生涯のテーマとし、日々の実践にあたる)
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