授業で大切な表現力を教師はどのようにして身につければよいか 大矢 純
授業で大切な表現力を教師はどのようにして身につければよいか大矢 純はつぎのように述べています。
教師の表現力は非常に大切です。
なぜなら、授業で伝える内容が申し分なくても、表現力が乏しいと、伝わらないからです。
必要なことを効果的に印象付ける力が表現力です。
授業者である教師の見え方、聞こえ方すべてが表現力を構成する要素です。
教師が嫌いだから勉強したくないということもあるでしょう。
授業における教師の表現がへただからわからなくなってその教科が嫌いになるということもあります。
研修ではお辞儀と挨拶を徹底的にスマートに行います。
そして発声練習。
明るくはっきり、大きな声が基本です。
教師の熱意や頑張りを子どもたちに伝えるためのものです。
教師は、子どもたちの心を揺さぶり、動かしていかなければいけません。
そのためのエネルギーを常に発散させなければならないのです。
表情の練習も加えていきます。
教師が一生懸命頑張っているという表情です。
そして、教師自らが楽しんでいる表情です。
苦しそうではダメです。つまなさそうでもダメです。
教師が楽しんでいなければ、子どもたちも楽しめません。
頑張っていることが楽しいという姿勢です。
ただし、メリハリは大切ですから、真顔の練習もします。
そうした表情のメリハリだけでも、子どもたちが「あ、まずいな」と、コントロールすることができるようになります。
大事なのは目の動きです。
教室では、せかせかせず、いかもまんべんなく見ていくことが重要です。
しかも、目だけで追ってはいけません。
体ごと、一人ひとりの子どもと正対するようにします。肩から向かなければダメです。
かなりゆっくりとしたスピードでないと、伝わりません。
子ども役をやってみると、見ているつもりでも、見ていないことが多いということがわかります。
それがわかって初めて、自分の行動が改善できるようになるのです。
早口が悪いのは、聞き取れないほかに、間がないからなのです。
間が重要です。子どもが受け取って頭に定着させるための間です。
教師は「一生懸命に教えたのだから、伝わったはず」という錯覚を起こしやすい。
教えたことが伝わっていないとしたら「私の伝え方が悪い」と理解してほしい。
今の時代は、授業研究や教材研究だけでは準備は整わないのです。
その内容をどうやって効果的に子どもたちに伝えるかということのほうが大切なのです。
人から発せられる情報の伝達力は、話の内容よりも、声の表情、身振りや顔の表情など見え方にあると言われています。
自分に似合わないテクニックに走ってもうまくいきません。
苦手なことを底上げすることも大切ですが、むしろ、得意なことでどう勝負するかが大事だと私は思っています。
いいものがあるのであれば、それを売って商売にするのがプロです。
だから、自分の売りは何なのか、それに磨きをかける必要があるのです。
性格も含めて、自分をどう使って表現するかなのです。
もし、自分が子どもたちに好かれていないと感じたら、
「表現力を磨き」「自分をうまく印象付けられる」
ようにすれば、子どもたちとの関係はプラスになります。
やぼでも子どもたちが「自分たちのために考えて、やってくれている」と気づいてくれれば、子どもたちも変わるはずです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)
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