行き詰まりを感じるときは、体から心の型をつくり生活にメリハリをつけるとよい 齋藤 孝
人が行き詰まりを感じるときの解決法は、環境を変える努力をするか、精神面を整えてしまうかです。
あまり無理をせず、少しずつ問題に取り組むことで、意外と事態が好転するかもしれません。
スポーツでも何でも、実力が急についたわけでもないのに、方法や考え方をちょっとアレンジするだけで、結果が出るようになることがありますよね。それと同じです。
私自身、実際に肩の力を抜くという練習をずっとやっています。
首や肩を回したり、上体をゆらしたりしてほぐしてみたり。
ふっと息を吐くことで「それほど力む必要ないか」と気づくことがあります。
体と気分は連動していますし、気分と心もまた連動しています。
ひと息つくのは本当に大切なのです。
身体感覚とは心の基盤です。
その意味で心を体から整えようとするのは合理的と言えるでしょう。
昔の日本人が安定した情緒を持っていたのは、体の「型」ができていたことと無関係ではありません。
たとえば正しい姿勢で座ること。きちんと座ると心も落ち着きます。
学校で子どもたちに「ちゃんと座りなさい」と教えるのも、落ち着く心を育てることに通じます。
自分が何をしたときに気分が和らぐのか、いくつか知っておくのは重要でしょう。
悩みを抱いているときに、自分よりも経験のある人に相談するのも有効な手段です。
ただし、それは解決策を教えてもらおうというのではなく、自分の思考の整理を目的とするべきです。
また、何事もメリハリは大切なことです。
年中、頑張っているのでは疲れてしまいます。
割り切って力を抜く日を設定してもいいと思いますよ。
ジョギングにたとえるとわかりやすいのですが、意図的に力を抜いて走ってみても、意外とタイムは大きく落ちなかったなんてことは往々にしてありますからね。
あれもこれもと欲張らずに、自分の生活サイクルに上手に緩急をつけることで、やるべきことが何かしぼり込めるはずです。
(齋藤 孝:1960年生まれ、明治大学教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論)
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