国語科:いきなり核心にせまる音読 花生典幸
いきなり核心にせまる音読について花生典幸はつぎのように述べています。
国語はできれば毎時間、授業の最初に音読を取り入れたいと思う。発声の練習になるし、授業も活性化する。
しかし時間がない。このジレンマを解消するためのひとつが「いきなり核心にせまる音読」である。
例えば、「大造じいさんとガン」で、
「ここまで、大造じいさんの気持ちや考え方を中心にして、物語を読んできました」
「いよいよ三の場面ですが、さて、大造じいさんの気持ちは変わっていますか?」(発問)
こう問いかけると、子どもたちのほとんど全員が「変わっている」と答える。それを受けて、
「みなさん、変わっていると考えるのですね」
「では、ここから変わっている、というところを見つけて、そこから先を音読してもらいます」
「確認する時間は1分。音読の時間は5分です」(指示)
1分後、子どもたちの読み声が、教室中に響きわたる。
三の場面はクライマックスにあたる場面である。
授業の導入で音読を始めたいが、少なくとも10分以上かかってしまう。
そこで、本時の解決すべき課題である、大造じいさんの気持ちが変わったポイントにいきなりせまって、そこから音読させるのである。
「いきなり核心にせまる音読」を行うと、子どもたちの集中力が変わってくる。
自分の読解(理解)を、そこに反映して読まねばならないので、真剣度がアップするようになる。
そして、この方法の一番のメリットは、音読という表現活動が、自然な形でその前後の読解とリンクするという点にある。
「考えた結果を音読に表してみる」
「自分の考えと友だちの考えを比較するために音読して比べてみる」等、
授業のねらいによって、その取りいれ方や方法は少しずつ変わってくるが、できるだけ本時の課題(核心)に近い場面で設定するのが、授業の効果を上げるポイントである。
短い時間で効果が上がる「いきなり核心にせまる音読」を一度試してみてはいかがでしょう。
(花生典幸:1963年生まれ、青森県八戸市公立小学校教師、八戸市教育委員会指導主事を経て八戸市公立小学校校長。全国国語授業研究会理事、国語授業ICT研究会理事)
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