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教室のムードを教師がコントロールするにはどうすればよいか  大矢 純

 教室のムードを教師がコントロールするにはどうすればよいか、大矢 純はつぎのように述べています。
 教師が明るい顔で教室に入り、大きな声であいさつをします。
 演劇とある意味では同じなのです。
 その日の第一印象が勝負です。
 教室に入って、最初の五分間が勝負を決めると言っても過言ではありません。
 大事なのはその時点から、子どもたちの視線を自分に集めること。
 指示は短く単純であること。メリハリをつけることなどが重要になるのです。
 子どもを成長させている教師の授業は、子どもたちの興味を引く方法を多用しています。
 例えば、
「今日、こんなことがあってね。これってちょっとおもしろいよね」
「でね、実はこの話は、今日お話しするテーマと関係があるんだ」
 など、子どもたちが関心を抱いて、自然と全員のベクトルが合うような導入(まくら話)をしたりします。
 授業がおもしろくなり、子どもたちが「自分は成長している」という実感を持つことができれば、授業中の私語が減り、集中した授業ができます。
 塾や予備校では、授業に魅力がなければ生徒が辞めてしまうかもしれません。
 だから、少しでも早く子どもにやる気を出させる授業を行えるようにならなければいけ ないのです。
 いやおうなく、講師は自分の授業力を磨いていきます。
 そのためには形から入ることもいといません。
 だから、しゃべり方や挨拶の仕方、しっかりと前を向いてしゃべるといった型を昔から重視していたのです。
 講師はそれに慣れていくうちに、後から魂を入れていってもいいわけです。
 例えば、小学生であれば、
「では、鉛筆を置いてごらん。手は膝の上に置いて」
「はい、こっちを向いてごらん。うん、いい顔だ」
 というふうにしていくと、必然的にみんなが話を聞く姿勢になるわけです。
 段取りです。
 ここで重要なのが単指示の繰り返しです。
 単指示の基本は、一つの指示をして全員に徹底してから次の指示をする。
 指示は明確で簡単なものでなければいけません。
 それを丁寧に根気強く繰り返して、習慣化していくとことが目的です。
 子どもたちの集中力も増します。
 あるいは、子どもに話しかけるときに、話す文章の句読点で子どもを見ることで、対話ができるようになります。例えば、
「いよいよ、来週は、遠足ですね」
 と、文章の途中で溜めをつくりながら、子どもたちの顔を見回す。
 そうすれば、子どもたちは声に出さずとも、その間に子どもは心で返事ができるのです。
 コミュニケーションが取れるわけです。
 それを、
「いよいよ来週は遠足ですね」と切らずに早口でしゃべると、単なる独り言にすぎません。
 教室に一体感が醸成されることはありません。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

 

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