学級が荒れないようにするポイントとは
学級が「荒れる」までには、必ず「小さな問題」が発生する。
この時、その日のうちに解決する、特別な場合を除きクラス全員で解決するようにする。
なぜ、その日のうちに解決するのかと言うと、時間がたつと忘れてしまう。また、感情のもつれがひどくなることがあるから。
クラス全員で解決するのは、子どもたちは事件からさまざまなことを学ぶからである。
小さな問題ひとつひとつにいて、教師は見逃さず、いい加減な対応をしないことが肝心である。
これをいい加減に行ったり、怠ったりすると、子どもと教師の「人間関係」、つまり「信頼関係」が崩れることになるからである。
そのためには、まず「事実確認を怠らない」ことである。
まず、当事者の子どもを呼ぶ。そして、ひとりずつ、何をしたのか、何を言ったのかを言わせるのである。
「どうしたの?」「何と言ったの? 言ってごらん」と優しく、そして静かにきけばよいのである。
高圧的に、詰問するように行う必要は全くない。
いたずらに感情的になって「事実確認」をすると、事実が確認できないということにもなりかねない。
ひとりの子が言い終わった後に、次の子というようにするのである。
これによって、子ども同士の「言い分」に矛盾が生じてくることがある。
それについて、どうなのかきいていけばよいのである。
「どんな状況だったのか」をクラスの子どもたちに理解させ、そのあと、「どのような言動をすべきだったのか」について考えさせる。
無理やり一つにまとめる必要はない。
最後に「先生はこう思う」と言って、終わる。
ざわついて教師や友だちの発言が聞けないときがある。
人の話に集中させるには、きっぱりと「全員、起立!」と言って立たせる。
「話を聞くときの約束を思い出した人は、音をたてないように座りなさい」これで、集中して聞くことができるようになる。
もちろん、「口を結んで、最後まで聞く」「話し手の目を見る」などの約束事は事前指導しておく。
この方法のよいところは、行動を責めたりしない。
「約束を思い出した人」と行動の主体性を残している点である。
学級が荒れる原因のひとつに、教師が子どもたちに対して、教師の尺度で要求し、一人ひとりの子どもたちの違いを考慮することがない場合が考えられる。
子どもたちに対する要求は、一概にまずいといえるものでもないが、時として、教師と子どもたちの人間関係・信頼関係を損ねることにもなりかねない。
つまり「ああしなさい」「こうしなさい」式の「指示と命令と禁止だけの要求」であっては、子どもたちは動かない。
学級の雰囲気をこわさないで忘れ物を少なくするには、忘れた子を起立させる。
忘れた理由を言わせる。
「明日から気をつけなさい」と毅然とした態度で注意する。
これだけである。あとは何もいわない。忘れ物をした子は「しまった」と思っているものである。
これで十分反省の指導になっている。
感情的な説教や文句は、必ずといっていいほど学級の雰囲気をこわし、忘れものの数は減らない。
そればかりか、学級の人間関係もこわしかねない。
教室の整理整頓を自覚させるのに録画を活用するとよい。
子どもたちが音楽室などに移動した後、教室の机や椅子が乱れ、ごみが落ちていたりすることがある。
注意するだけでは、その場限りの効果しか望めない。どうすればよいか。
乱れている机や椅子の様子を録画し、子どもたちに見せるとよい。
「きみたちが教室を出たあとの様子を見せます。気づいたことを頭の中にメモしましょう」と言って、録画をテレビで見せ終わった後、子どもたちに「机が曲がっている」「紙くずが落ちている」など発表させる。
「これから、教室を出る時に、しようと思ったことを言いましょう」と全員に言ってもらう。
効果を確かめるため、次に教室が移動した後も録画して、前の映像と比べるようにして見せる。
たったこれだけのことで、整理整頓を意識し始める。その効果には継続性がある。
集団で何らかの活動をやっている時、自分の思いどおりにならないことに腹を立てて「すねる」ことがある。
この時、なぐさめたり、叱ったり、つれもどそうとしたりすると一時的に気分がおさまるかもしれない。
しかし、まわりがなんとかしてくれるという甘えを助長させることになる。
「すねた」子どもには、こう対処するとよい。
「すねる」その子をほっておく。
すぐに楽しい活動をする。すねている子は気になって何度も見る。少し声をかけてやる。活動に参加したことを後でほめる。
(戸田正敏:1957年生まれ、千葉県公立小学校教頭。全国学級づくり研究会・学級づくり中央研究所代表。子どもたちの集団自治力を高め、生き生きと活動する「学級づくり」を目指して実践を重ねています)
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