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子どもたちに印象に残るような話し方とは    大内善一

 知らず知らずのうちに話をしている人の人柄も聞いている子どもたちに伝わってしまっていると大内善一はつぎのように述べています。
 私は茨城大学附属中学校の教師だったとき、三人の校長に仕えました。
 毎週、月曜日の全校集会の校長先生のお話を興味深く聞いていました。
 そして、生徒たちはその話をどのように聞き取ったのか、教室に戻ってきた生徒たちに聞きただしてみることを、ひそかにやっておりました。
 私は生徒たちに、
「今日の校長先生のお話の中で、大事なお話が三つ話されていたよね、はい、三つ言える人」
 と生徒たちに発表させていたのです。
 生徒は意外と話を聞いていないのですね。
 それは、生徒の責任というよりは、やはり本当に印象に残るような話であったのか、ということもあると思います。
 この三人の校長先生のうち、ある校長先生の話に関しては、生徒は本当に熱心に聞き浸っていたように思います。
 私も校長になったので、この校長先生のような話をしてみたいなと思って、努めているのですけれども、こればかりはなかなか難しいものです。
 この校長先生は、決して理路整然とお話しするわけでもないし、情熱的な話ぶりで生徒たちを圧倒するといったわけでもなかったのです。
 むしろ、後ろの生徒たちには聞こえるかどうか心配になるぐらいの、ボソボソとした静かな語り口で話されていたのです。
 おそらく生徒たちには、そのような話しぶりまで心に刻み込まれていたのではないかなと思われます。
 私たちが子どもたちの前で話をする時、あまりに理路整然とした理詰めのお話しをするのは、子どもたちの思考のサイクルには合わないようです。
 また、情熱的な雄弁な話し方も、子どもたちにはどこか押しつけがましさが伝わってしまうのですね。
 ですから、子どもたちの心を素通りしているのですね。
 最近は、論理的思考ということが盛んに叫ばれています。
 確かに論理的な思考は大切なのですが、論理的思考一辺倒だけでもうまくいかないと思います。
 やはりパランスが大事なのではないでしょうか。
 ですから、話し言葉の教育の場合は
「情理を尽くして説く」
 という姿勢を、子どもたちにも教えていくべきだと思います。
 内容だけをうまく伝えようとしても、うまくいかない。
 聞き手も頭では分かっていても、心のどこかで
「そんなことを言ったって」
 と反発しているということがあると思うのです。
 知らず知らずのうちに話をしている人の人柄も聞いている人には伝わってしまっているのですね。
 そういうことも子どもたちには自覚させながら、話をしていくことができるような能力を身に付けさせてあげたいと常々思っております。
(大内善一:1947年生まれ、国公立小学校・中学校教師、秋田大学・茨城大学教授・附属校長を経て茨城大学名誉教授)

 

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