国語科:読解力を高める読み方とは 中島克治
読解力を高める読み方について中島克治はつぎのように述べています。
国語で求められている読解力とは、筆者や登場人物の言っていることや伝えようとしていることに対して、「こういうことを言っている」とか「こういうことを伝えようとしているのだと思う」と、自分なりの言葉で表現できる力です。
そういう力をつけるには、文章を読みながら「要するに作者は・・・・・と、考えているんだな」と、心の中で言いかえてみるのが効果的です。
書き手の意図を意識して読むことで、しだいに行間にこめられたものまでも感じられるようになっていくのです。
この意識的な読書で一番大切なことは、書き手の思いや伝えたいことを「自分なりの言葉で言いかえる」ということ。
ただ書き連ねてある言葉を抜き出してつなげただけでは、書き手の意図を自分なりに理解したことにはなりません。
そのためには、文章の具体的な表現や展開にだけとらわれるのではなく、ときにはそこから離れて作品全体を見渡すような行為もまた必要になってきます。
国語ができるようになりたいのなら、本を読もう。
これはよく言われることですし、私もそう指導しています。
しかし、本をよく読んでいるのに国語の成績がよくない子どもがいるのはなぜなのでしょうか。
たとえば、シリーズものばかり読むなど、読書傾向が偏っていると、それ以外の文章はしっかり読みこめないことがあります。
また、精読できてない場合も読解力は高まりません。
受験の読解問題ともなると細かいところが問われます。
読解問題に出題される文章は、人情の機微や細かい場面設定などが描かれており、そういうところが問われます。
読解力を育てるためには、できれば名作を中心に、人の心の動きに向かわせてくれるような作品を読んでほしい。
音読は文章の内容を読み取る練習にもなります。
読解力を高める方法の一つとして、ぜひ音読も取り入れてみてください。
作品を精読できているかどうかを確認できるのが音読です。
発音やイントネーションによって、どこが理解できていないかが、すぐにわかります。
正しく読む習慣づけが精読できるカギだといえましょう。
大切なことは、書かれている文字の意味を一つ一つ理解し、正確に読めているかということです。
書き手の主張にのみこまれてしまうと、客観的な視点が持てず、正確な読解がしにくくなってしまいます。
適度な距離感(自分なりの考えや視点)を持てるかどうかが、読解力を高めるカギとなります。
(中島克治:1962年生まれ、麻布中学校・高等学校国語科教師。膨大な読書体験と本に対する深い造詣を持って、人間性を育て、深めるための読書の重要性を提唱し、読書への関心を高める指導を実践している)
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