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保護者との対応で教師が燃え尽きないためには、どのようにすればよいか

 教師が燃え尽きないためには、日ごろから教師と保護者との信頼関係の形成を図ることが重要なポイントになります。信頼関係とは「この人なら自分の思いや悩みを話しても大丈夫」という関係である。そのためには保護者の関心に寄り添って誠実に傾聴することが何より大切となる。さらに
1 保護者への連絡はていねいに、こまめにする。
2 問題があったとき
 (1)
初期対応が肝心である。迅速かつ誠意ある対応をする。
 (2)
すばやく事実確認をして、説明責任を果たす。
 (3)
問題が広がりを見せる場合には複数の教師で対応する。
 (4)
問題が深刻な場合は、電話や連絡帳は避け、直接会う。
 (5)
具体的な対応策を示さず「様子をみましょう」と言うことはやめる。
3 子どもを育てるために、教師と保護者が「協力し合うパートナーとしての関係」を築く。
4 教師と保護者との「目標を一致させる」ように努める
  
子どもの問題をめぐって、教師と保護者との目標が一致しないと混乱をまねくことがよくある。保護者の訴えを「何が問題なのか」を明確にする。訴えの根底にあるものが、子どもの課題なのか、それとも保護者自身の課題なのかを見きわめる。保護者に病理性の疑いがある場合には、教師が「保護者と関わる距離を定める」ことが、教師の燃え尽きを防ぐうえで重要となる。
5 保護者の訴えの「背後にある思いや願い」に気づく
 常識を超えた要求や攻撃的な訴えの根底に、保護者自身の不安や悲しみが潜んでいることも少なくない。表面的な言葉だけでなく、言葉の背後にあるものに思いを向ける必要がある。保護者の訴えが理解できず消耗感や無意味感が教師に増幅されると燃え尽きることがよくあるので、理解をどう深めるかが重要である。
 教師としての役割から離れ、一人の人間として自己開示して語ることで保護者の気持ちを引き出すことができることもある。
6 教師自身の自己理解を深める
 燃え尽きやすい性格として、
(1)
手を抜けない、責任感が強い、一人でがんばる
(2)
理想に燃え「こうでなくては」という「べき思考」に駆り立てられる
(3)
他者の期待に応えようとするあまり、必要な自己主張を我慢してしまう
(4)
妥協することが苦手
 
ということがあげられる。
 自分が縛られている固定的な見方を点検し、視点を少しずらすことで気持ちが楽になったり周りが見えるようになると、燃え尽き防止につながる。
7 組織的に対応する
 解決できないように見える問題を解決するには、教師集団の知恵を集めることが必要になる。学校で対応できる範囲を超えた問題は、関係機関との連携を検討する。
 カウンセリング的な受容・共感の対応と現実原則に基づく指導的・法律的による対応のバランスをとることが求められる。
 難しい問題には、キーパーソンを明確にし、一人で抱かえ込まずに役割分担して組織として対応していくことが燃え尽き防止の観点からも重要である。 
(
古川 治:1948年生まれ、大阪府公立小学校教師・指導主事・校長、東大阪大学教授を経て、甲南大学特任教授
)



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