協同的な学びをつくるためにはどのようにすればよいか 和井田節子
協同的な学びは、生徒たちを授業の中でつなぐことによって、生徒同志で補い合い高め合う学びを生み出そうとするものである。
すべての生徒が励まし合って学び、高いレベルの挑戦を行うことを可能にする。
協同的な学びの良さは、学びが主体的・能動的になる。
理解したことを他者に説明する場面が多いために、学んだことが定着しやすいし、応用がきく。
考える力、問題解決の力が育つ。
仲間から必要とされるため授業中に居場所ができる。
学び合う仲間ができる。
欠点は、協同的な学びは一斉授業よりも教師の準備が大変ということだろう。
「何を教え、どう考えさせるか」
「そのためには、どのような問いをつくるか」
「どのような資料を用意すれば学びが深まるか」
まで考えなければならない。
しかし、それがうまくいったときは生徒と教師が幸せな気分になる。
次のステップを参考にして考えると「協同的な学び」の授業を組み立てやすい。
(1)授業の目的、流れ、課題の説明(教師)
(2)生徒が課題に取り組む(4人のグループ)
(3)課題について全体で交流し、深め合う(互いの顔が見える、コの字型の座席で)
(4)ジャンプ(高いレベルの)課題の提示(教師)
(5)ジャンプ課題に取り組む(生徒)
(6)ジャンプ課題について全体で交流し、深め合う
(7)まとめ(教師による解説、生徒による振り返りなど)
効果をあげている学校は、月に一回程度校内で授業公開している。
全ての教師が年に一度は提案授業を行うと効果がうまれやすい。
授業公開で授業を見る際は、生徒がどのように学んでいたか注目し、その様子を観察し、検討会(学年単位)で授業者に伝えるようにする。
ビデオで授業を教室前方から記録すると、あとで振り返るときに役に立つ。
協同的な学びの授業検討会は、授業を見た教師全員から、生徒がどのように学んでいたかということを中心に意見や感想を話してもらう。
そのあと、授業者から話をしてもらい、さらによいものにしていくために協議をする。
教師がどう教えたかではなく「生徒が学びに集中したとき、どのような工夫がなされていたか」など、生徒がどう学んだかに着目して話し合うようにする。
全校で授業検討会ができるようになると生徒の変化は早く、よい方に変わってくる。
とはいえ、協同的な学びは、教師も生徒も、探求する中で深まっていくものである。
教師が授業内容の吟味や、やり方の工夫を怠ると、だんだん崩れてくる。
だから、教師は常に学び続ける必要がある。
協同的な学びの研究会が全国にできつつある。
「学びの共同体研究会」では、ホームページをつくっている。
研究会や公開授業検討会の情報が得られるし、助言者を派遣してもらいたいときは相談できる。
(和井田節子:1958年生まれ、25年間千葉県公立高校教師、スクールカウンセラー、名古屋女子大学准教授を経て共栄大学教授。若い教師をサポートする会代表、専門は学校臨床学)
| 固定リンク
「学び合う学び」カテゴリの記事
- 教室は、教え合う学習を通して、子どもたちは学習をより深く理解し、お互いを輝かせていくところ(2020.11.29)
- 子どもの「分からなさ」から出発して、子どもの学びをつくる「学び合う学習」とは(2020.06.09)
- 一斉授業から「学び合う学び」の授業に変えるには、どのような段階があるのでしょうか(2020.04.13)
- 子どもたちの目が輝き、子どもたちがつながり合って学ぶ「学び合う学び」を創造するにはどうすればよいか(2018.10.02)
- 一人も見捨てられない「学び合いの授業」をするには、どうすればよいか(2018.06.29)
コメント