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校長からみた授業崩壊の原因と対応策

 授業崩壊の主な原因は教師の授業力の不足にあると思います。つぎのようなことが考えられます。
(1)
一方的な教え込みで、子どもの学習意欲や興味・関心を無視している。
 教え込み授業は子どもを飽きさせ、私語を誘発する。
(2)
子どもをまとめる力、授業規律、学び合わせる指導技術が不足している。
 いけないことはいけないと毅然とした指導ができていない。遊びと学習のけじめがつかなくなっている。
(3)
授業展開・きめ細かい指導・指導と評価と支援の一体化が不十分である。
 あいまいな授業で、わからない・学習意欲のない子どもがいる。
 話し方があいまいで、長く、繰り返しがあり、子どもにそっぽを向かれている。
(4)
教材の研究や準備・発問や板書・ノートの点検などが不十分である。
(5)
校長や先輩教師の指導助言に耳を貸さず、向上心に乏しい。
(6)
学校としての授業改善の取り組みが不十分で学習形態や指導体制が整備されていない。
 授業崩壊が起きないように予防するには
(1)
研修をする。教師一人ひとりの理解を整理する意味で研修内容を報告させる。
(2)
授業観察を通して管理職やベテラン教師が指導助言する。
 授業力を向上させるため「よいところや進歩したところ」見つけ、ほめて自尊心をくすぐり、意欲づけをして「もっと授業がうまくなるための注文」をつけて自ら研鑽するようにする。
(3)
課題のある教師に示範授業を参観させる。
(4)
課題のある教師に対しては手厚く、ぬくもりのある対応が必要である。
 疑問や悩み事、わからないことの相談に応じる雰囲気づくりが大切である。
 授業崩壊が起きた場合の対応は
(1)
指導によって回復する見込みがあるときは、校長や教頭、ベテラン教師が課題を指摘し、指導する。
 授業の計画と展開、学習評価など基本的なことを必要に応じて指導する。
 授業そのものを点検して具体的に改善し、授業規律について指導する。
 体験的活動、問題解決学習、発問や板書、学び合い、学習のまとめを工夫させるようにする。
(2)
一部支援をすれば回復する段階では、教頭や空き時間の教師が、TT体制でかかわり、授業規律や学習活動の進め方などの回復を図る。
(3)
軽減や補助をつければなんとかなる場合は、校務や授業の一部を軽減し、他の教師に肩代わりさせ、授業の立て直しをする。並行して研修させる。
(4)
交代させる段階では、一時的に交代させ、授業規律や学び方について子どもに再指導するとともに、遅れを取り戻す。
(5)
校長・教頭・学年のすること
 管理職として、授業崩壊がどの段階にあるか見極め、必要な対策を迅速にとる。
 シナリオをつくり、学校を挙げて回復に取り組むようにする。
 当該の教師は成果がでない毎日に疲労困憊している。
 孤立させないよう、学年として可能なかぎり支援することが重要である。
(
小島 宏:1942年東京生まれ、東京の国公立小学校教師、指導主事、小学校長を経て多摩教育調査研究所長)

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