親と教師が子どもの鏡となる舞台を学校につくろう 滝澤雅彦
大人は子どもの鏡であると考えています。
子どもがモデルとすべき大人、これから生きていって「こうなるべきモデル」となる大人は、親と教師だと言ってよいと思います。
他の大人だっているだろうと思うでしょう。
でも、今の社会の関わり方を見ると、子どもにとって生きた人間として目の前に立っているのは、親と教師です。
しかし、子どもと親がどれだけ向き合っているかというと、必ずしもきちんと向き合っていないという実態があります。
そのことからも、学校は親の役割まで果たさなければいけない。
「親と教師が子どもの鏡となる舞台を学校に」というのが私の考えです。
学校を地域の大人が集うところにして、英語検定などの勉強会で教師も親も学び続ける人として子どもにみせるのです。
私の学校の多くの親は20種類の勉強会のサポータに登録しています。
そのうちの一つが「英検サポーター」で、英語が得意な親が英語検定のことを手伝ってくれている。
親も学校で自分の子と同世代の子を見ることになる。
そうやって地域の大人のコミュニティの学びの中心として公立中学校が存在するようにする。
それを見て、子どもたちが「親や教師たちって、楽しそうだな」と思ってくれる。
私は子どもたちに
「将来、肩書の人生とプライベートな人生の二つを持とうよ」
「肩書の人生を持つためには勉強という頑張りも必要だけど、プライベートな人生を生きるための趣味や仲間を大事にしようよ」
「そうやって生きていきなさい」
「私は君たちより年上でバンドをやってきたけれども、中学生のころより今の人生のほうがずっと楽しいよ」
と、言い切れる大人として、私は子どもの前に立っているつもりです。
子どもは大人を見て育つと言いますが、教師や親、地域の人が子どもにとってモデルにならなければいけないと思います。
「生きていることは楽しいよ」とか「大人になることは素晴らしいことなんだよ」とか、そういうことを子どもに自信を持って言いきれる生き方を、子どもに示すことが大切であると私は思っています。
(滝澤雅彦:ミュージシャンの道から31歳で教師になり、東京都公立中学校校長、文部科学省中央教育審議会専門委員、日本教育会事務局長を経て日本大学教授。「地域の子どもは地域で育てる」ことの大切さを掲げ、保護者・地域との協働を積極的に推進し、地域運営学校(コミュニティ・スクール)として学校経営した。おとなのバンド大賞グランブリ)
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