討論の授業を行うためにはどのようにすればよいか 戸村隆之
討論の授業を行うためにはどのようにすればよいか戸村隆之はつぎのように述べています。
討論の授業を行うには、本物の授業を見ることが必要だ。
それなくして、自分の教室で討論の授業を成立させることはできない。
討論の授業に欠かせないのは、子どもの発表である。
クラス全員が発表する、自由に発表できる雰囲気を教師が意図的に作っていかなければならない。
そのために、教師はすべての子どもの発表をほめる姿勢を持っていること。
ほめることがないときは、「教えてほめる」ようにする。多くの教師は指導だけ行ってほめない。
討論の授業では、子どもの書く力をつけることも不可欠である。
書く力をつけるために、私のクラスでは、毎日日記を書くことを宿題にしている。
毎日書いていることをほめ、励ますのである。
長く詳しく書く子どもたちは、学級通信で取り上げたりしてほめる。
その後、授業の感想や行事など一つの出来事について書くようにして、自分の意見を書く習慣をつける。
授業の感想はできれば10分確保して、できた子からノートを持ってこさせて、印を押し言葉をかけ、その場でチェックする。
時間に余裕があれば発表する場面を作ると、討論への布石になる。
討論の授業は反論や質問をできるようにしてこそ活発になり思考が深まる。
これも授業の中で行っていく。
ある発問に対して、自分の考えをノートに書く。
それを子どもに板書させ、発表する。
そこで、
「友だちの意見について、わからないことを質問します。ノートに質問を書きなさい」
と、指示して、全員が書いたら、それを発表して、質問された子は、答える。
反論も同様である。
反論の場合は、1つの意見に絞ったほうがよい。
討論の授業を作るには、子どもに討論の素地ができていること。
それに教師に討論の授業を組織する技術と能力が必要である。
子どもの意見やつぶやきを聞き取ることができ、意見を整理し、話し合いの方向を示せる能力を身につけるために修業することである。
(戸村隆之:東京都公立小学校教師)