いじめを絶対にゆるさない生徒指導 堀川真理
いじめを絶対にゆるさない生徒指導について堀川真理はつぎのように述べています。
いじめがあった場合、どんな小さなことでもよいので、第三者から事実を確認します。
このとき「この先生なら本当のことを言っても安心。言ったことがわからないように対処してくれる。よい方向に進めてくれる」と感じたとき、生徒は重い口を開きます。
次にいじめられている生徒に事実確認をします。
これも教師を信頼しているかどうかにかかっています。
「いじめがひどくなることは絶対にない。いじめに立ち向かってくれる」という気持ちになったとき、屈辱的な事実を語ってくれます。
その次に、いじめの核になっている生徒に、まず事実をぶつけます。
そのときの殺し文句が「みんな見ている」です。
実際、みんなが見ている中で行われているわけですから、
「だれがチクッたんだ」という態度を見せたら、
「みんなです。みんな見ていました。みんなあんたのしていることを、イヤだと思っているのです」
とクギを刺します。
いじめをしていた生徒が事実を認めたら、指導に入る前に理由をたずねることも重要です。
いじめをした気持ちをていねいに聞き、なぞる必要があります。
自分に迷惑をかけられたといった理由があるのなら、そのイヤな気持ちを十分に聞き共感します。
しかし、解決の方法が間違っていることを伝えます。
もし、具体的な理由がない場合(例:好きなタイプじゃないから、オドオドしている等)など、加害者に迷惑になっていないときは、教師が本物の怒りの感情を表すことが大変重要です。
生徒指導に共通することですが、生徒に許されない行為をしたときの怒り、大切な生徒が間違った選択をした怒り。
その怒りは、裏を返せば愛情とも言えると思います。
愛情がなければ怒りもわいてこないということです。
いじめの核になった生徒に、何がいけなかったかをいじめられた生徒本人に伝えさせ、心から謝罪させます。
そして、今後どうしていくかを約束させます。
そのためにも事前の指導をしっかりとていねいに行い、その内容をしっかりといじめられた生徒に伝えさせ、本人たちが納得することが大切です。
このような経験を通して、謝ることや許すことも人として大事であることを当事者たちは学びます。
暴力や差別が長い期間続いたりする場合は、保護者を交えての指導会が必要です。
一番重要なのが傍観者への指導です。
まず、学級指導。内容は事実の確認。なぜそうなったのかの見とり、傍観者が止めなかった、笑って見ていたなら、同罪であることを話します。
本当はイヤな気持ちだったことに気づかせ、そんなときどうすればよかったか、これからどうするのかを考えさせます。
また、いじめられた本人に対して、全員で謝罪します。全員でというのが重要なのです。
とにかく、傍観者への指導は、いじめの事実はだれもが知っていることなので、いじめの事実を白日のもとにさらすことが不可欠です。
消毒を徹底しなければ、いじめの温床を残すことになります。
(堀川真理:1963年生まれ、新潟市公立中学校教師、学校心理士、カウンセラー)
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