ふだん発している言葉が毎日の生活に影響を与えている 中井俊已
ふだん発している言葉が私たちの毎日の生活に影響を与えていると思うようになったきっかけは、教育実習の授業での大失敗です。
小学校2年生の社会科で、魚屋さんを見学した翌日の参観者による討議がある研究授業でした。
「お店に、どんなものがありましたか?」
と問いかけると、子どもたちは魚の名前など次々答え、授業内容を消化できず、子どもたちへの配慮も欠け、無断で次の時間も続けました。
研究討議では参加者から容赦のない批判をあびました。未熟さを思い知った私は落ち込むだけでした。
しかし、ある教師の言葉で救われました。
「時間がかかったのは、中井くんが子どもの発表を、最後まで聴いていたからです。教師になっても子どもの話をしっかり聴く先生であってください」
言葉ひとつが失意の人を救い、生き方を導くこともあります。言葉は温かさと強さを持つものだと知ったのです。
教師になってたった一言で、子どもや親が気持ちや行動を変える日常的なことになりました。
日常使えて効果のある言葉を次にあげてみます。
1 「ありがとう」
感謝の言葉は、人も自分も幸せにする最強の言葉です。
2 「すみません(ごめんなさい)」
素直で謙虚な気持ちになれば、人間関係が良くなります。
3 「はい」
明るい返事は、自分を素直な心にし、人を幸せにできます。
4 「いいですか」
一言、許可を求めることが、人への配慮や思いやりとなります。
5 「よかった」
出来事や人や自分を肯定すると元気になれます。
私は失敗しても、そのおかげで学ぶことができてよかったなと考えるようにしています。
このような小さいことでも、心をこめて行えば、毎日の生活は明るく楽しくなると思うのです。
(中井俊已:1959年鳥取県生まれ、長崎市の小中学校教師を28年間勤め、作家・教育評論家となる)