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2022年1月に作成された記事

ふだん発している言葉が毎日の生活に影響を与えている   中井俊已

 ふだん発している言葉が私たちの毎日の生活に影響を与えていると思うようになったきっかけは、教育実習の授業での大失敗です。
 小学校2年生の社会科で、魚屋さんを見学した翌日の参観者による討議がある研究授業でした。
「お店に、どんなものがありましたか?」
と問いかけると、子どもたちは魚の名前など次々答え、授業内容を消化できず、子どもたちへの配慮も欠け、無断で次の時間も続けました。
 研究討議では参加者から容赦のない批判をあびました。未熟さを思い知った私は落ち込むだけでした。
 しかし、ある教師の言葉で救われました。
「時間がかかったのは、中井くんが子どもの発表を、最後まで聴いていたからです。教師になっても子どもの話をしっかり聴く先生であってください」
 言葉ひとつが失意の人を救い、生き方を導くこともあります。言葉は温かさと強さを持つものだと知ったのです。
 教師になってたった一言で、子どもや親が気持ちや行動を変える日常的なことになりました。
 日常使えて効果のある言葉を次にあげてみます。
1 「ありがとう」
 感謝の言葉は、人も自分も幸せにする最強の言葉です。
2 「すみません(ごめんなさい)」
 素直で謙虚な気持ちになれば、人間関係が良くなります。
3 「はい」
 明るい返事は、自分を素直な心にし、人を幸せにできます。
4 「いいですか」
 一言、許可を求めることが、人への配慮や思いやりとなります。
5 「よかった」
 出来事や人や自分を肯定すると元気になれます。
 私は失敗しても、そのおかげで学ぶことができてよかったなと考えるようにしています。
 このような小さいことでも、心をこめて行えば、毎日の生活は明るく楽しくなると思うのです。
(
中井俊已:1959年鳥取県生まれ、長崎市の小中学校教師を28年間勤め、作家・教育評論家となる)

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本当にいい教師とは 諸富祥彦

 諸富祥彦が出会ってきた「本当にいい教師」は、常に弱者の味方でした。
 スクールカウンセラーをしている諸富のもとには、子どもたちから真実の言葉が届けられます。
 一見、周囲の教師や管理職から「できると評価される教師」は職員室や教室の空気を読むのにたけ、クラスのリーダー格の子どもを優先視しがちです。
 諸富の出会った本当にいい教師は、みな少数派の子どもたちから絶大なる信頼をえていました。
「本当にいい教師」とは、
1 人間関係のプロ
 どの子どもとも、瞬時にして、ふれあいの関係を積極的につくることができる。
 常に子どもを信頼し、期待しているから、子どもも教師の期待と信頼に応えようとして、子どもは自分の力を伸ばしていくことができる。
2 「ルールとふれあい」のある学級づくり、対話のある授業づくりができる
 子どもたち一人ひとりが自分の個性や能力を発揮し、自分の個性を認められた上で、ルールを守り、秩序が保たれている学級づくりです。
 最低限守るべき基本のルールは「人を傷つけることをしない、言わない」「ほかの人が話している間は、その人の話を最後まで聞く」です。
3 小数者の子どもに寄り添い守ることができる
 不登校の子、いじめられている子、発達の問題を抱えた子などの少数派の子どもたちを守ることができる。
 決して見捨てない姿勢をとり続けることができる。
 そのためには、ほかの教師と対決することもいとわない。
4 教師としての強い使命感と情熱をもっている
 教師の仕事は子ども一人ひとりの人生に大きな影響を与える特別な仕事であるという自覚があり、人生を捧げるに値するに値する仕事だと思っている。
(諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、 明治大学文学部教授。「現場教師の作戦参謀」として、抽象的ではない実際に役立つアドバイスを先生方に与えている。「教師を支える会」代表
)

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