カテゴリー「学級づくり」の記事

担任を持ったとき、子どもを育てる1年間の戦略や戦術をどのように持てばよいでしょうか

 担任として自分の学級を持つと、4月の段階で自分の学級の子どもたちが学校生活の中で、どのように成長し、1年後にどういう姿になっていてほしいかを考えます。
 子どもの成長を戦略的に考えます。
 土作先生は、子どもが「成長する」ということは、具体的には
 「何事も自分で考えて、自分で行動していく力を身につける」
 ことができるようになることであると考えています。
 しかし、はじめから主体的に行動できる子どもはそう多くありません。
 日々の学校生活の中で、徐々に培っていくことになります。
 そのためには、最初から子どもに物事の判断や行動のすべてを投げるのではなく、まずは教師が子どもたちの行動を引っ張る、指示するなど、ある程度子どもの行動への介入が求められます。
 教師は年間を通して、だんだんとその介入の比率を減らし、子どもたちが物事に対して、自発的に動く比率が高まることが子どもの成長の証になります。
 そのための「戦略」と「戦術」とは、
 まずは1年間(4月~3月)で、どのような子どもになってほしいかいうイメージを持ちます。
 4月は新しい学級の子どもたちに指導しますが、子どもたちはまだ共通の規律や強制の中におかれていない、いわば寄り集まっただけの状態です。
 ですから、子どもの言動や姿勢に関してかなりの部分を教師がテコ入れし、あれこれ言うことが多くなります。
 この時期は子どもの主体性は低く、教師主導で学級が動いていきます。
 教師がどんな工夫を凝らしても、いきなり自分で考えて行動できるように子どもを変えることは至難の業です。
 かといって、1年という漠然とした時間を目標に、毎日の指導を行うのは容易ではありません。
 日々の指導を考える上で、子どもの成長した姿を考える際、具体的・実際的な「戦術」に対して、より中長期的な段階のイメージや枠組みのことを「戦略」といいます。
 「戦略」を遂行するために行うのが「戦術」です。
 つまり、「戦略」に基づいたあらゆる「戦術」を通して、子どもたちを育てていくのです。国語の実践を通して、戦略の過程と具体的な戦術を見ていきます。
 たとえば、
戦術1「漢字練習帳を使って子どもの自主性を育てる」
 年度の最初に、その学年の漢字練習の教材が配られます。
 漢字ドリルや漢字練習帳のようなものです。
 漢字練習帳を使った宿題では、漢字練習帳の指示通りに漢字の練習を行なってくれば、本来やるべきことは達成されていると言えます。
 しかし、教師に指示されたことのみを忠実にこなしているだけでは、子どもの主体性は低いままです。
 子どもの自主性を育てる教材として漢字練習帳を用いる時に、最初は教師が余白の使い方を指導したり指示したりする必要があります。
 徐々に子どもの主体性が高まってくると、漢字練習帳の余白に隙間がないほど自分で漢字の練習をしたり、漢字の意味を書いたりするなどの変化が見られます。
 土作先生は子どもたちにこう伝えます。
 「昨日をひとつだけ超えなさい。」
 「昨日から1ミリだけ前進しなさい。 」
 子どもに対し、最初から自力で漢字練習帳の余白を全部埋めることを求めるのは無理があります。
 しかし毎日、漢字1つの意味や成り立ちを余白に書いてくるようにさせ、少しずつでも進めていけば、1学期終わる頃には余白をだいたい埋めてくるようになるのです。
 土作学級ではゴールデンウィーク前後には、漢字練習帳の余白に意味を書いてくる子どもが出てきていました。
戦術2「自ら進んで辞書を使う子どもを育てる」
 辞書を使う習慣を子どもたちにつけさせたい時には、自主的に学習を進めていくためにも、普段何気なく使っている言葉について、辞書を使って改めて意味を確認させます。
例:「『赤』は辞書にはどのような意味が書いてあると思いますか?」と子どもたちに尋ねます。
 学級づくり改革セミナーでは土作先生が、参加した先生方一人ひとりを指名し、答えていただいてもらっていました。
 先生方の回答は、「血の色」「共産主義」というものでした。子どもたちからはどんな答えが返ってくるでしょうか。
 ちなみに辞書には以下のように書かれています。
あか【赤】[名]
 1 三原色の一つで、新鮮な血のような色。また、その系統に属する緋(ひ)・紅・朱・茶・桃色などの総称。
 2 《赤ペンで直すところから》校正・添削の文字や記号。赤字。「—を入れる」
 3 《革命旗が赤色であるところから》共産主義・共産主義者の俗称。
 4 (「あかの」の形で)全くの、明らかな、の意を表す。「—の他人」「—の嘘」
 土作先生は言います、
 「普段当たり前だと思って使っている言葉でも、実は辞書をひいてみれば、君たちが思っている以上に広くて深い意味があります」
 「思わぬものを見つけたら、漢字練習帳の白い部分に書いて持ってきましょう」
 最終的に漢字という分野で、子どもたちが自分たちで率先して学習を進めていくように育てるためには、子どもの学習へ向かう姿勢に対して、教師の介入の比率が高い最初の段階で何をする必要があるでしょうか。
 授業の中で子どもが分からない言葉が出て来た時に、教師が子どもに「これはどういう意味?」と質問します。
 例えば「プレゼンテーション」 という言葉が出てきたときに、この語の意味が分からない子どもに対して、
 「『プレゼンテーション』を辞書で引きなさい。」
 というところまで指示していては、子どもの自主性が育つとは言えません。
 どんな教科であろうと、分からない言葉が出てきたら、子どもたちが自ら辞書を引くような状態こそが、学習へ向かう子どもの主体性が高い状態と言えます。
 子どもが辞書を日常的に使う状態にするには、まず辞書そのものを子どもの身近に置く必要あり、そのためには、教師が「国語辞典使い方ゲーム」など、辞書を使ったゲームをたくさん持っておくことが必要です。
 授業のネタは持たなくていいものではありません。自分の立てた戦略を実行に移す時に、子どもたちの変化に直接作用する大事な道具です。
 小ネタは「戦術」であり「戦略」ではない。
 小ネタをたくさん持っていることは重要です。小ネタは戦術にあたります。
 しかし、戦術は戦略に基づいて利用されるものです。
 そのネタをどうしてこのタイミング・この時期に使うのかということに対して、きちんと説得力のある根拠をもたせるためにも、
(1)子どもたちの現状はどのようなもので
(2)子どもたちには次にどんなステップに進んで欲しいのか
(3)そのためにはどんなネタ使った方がいいのか
 ということをきちんと確認しておくことが大切です。
 土作先生がミニネタをつくるさいのコツは「テレビを観ている時とかに、面白いと思ったことを、いかにして教育現場に持ち込むか」ということを考えているのだそうです。
 子どもたちにとっては「面白い」から「わかる」。「わかる」から「できる」ということです。
(土作 彰:1965年大阪府生まれ、奈良県公立小学校教師。授業のネタを収集、何かが足りないと気づき、深澤久氏の学級を参観し衝撃を受け教師に必要な哲学を研究。
 学級経営を成功させるには「教える」「繋げる」「育てる」によって、知的に楽しくビシッとしまる「学級づくりの3D理論」を提唱し実践している。日本教育ミニネタ研究会代表、学級づくり改革セミナー主催)

 

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新学期が始まったとき、学級担任や子どもが期待することは何か

1 学級担任が始業式の日に話すこと
 私の勤務している地域では、4月5日が始業式です。新しい出会いがあります。私達教師も新鮮な気持ちになります。
 子どもたちも、「新しい友達は?」「今度の担任の先生は?」と、ワクワクした気持ちで学校にやって来ます。
 そんな出会いの日に、私はいろいろな話をするのですが、
「先生は、みんなと楽しく生活したいと思っています。でも、こんなときは厳しく叱るよ」
 と、言って、次のような話をします。
「先生がみんなを叱る時は、3つあるよ」
「一つ目は、『いじめ』をした時」
「二つ目は、命にかかわるような危険なことをした時」
「そして、三つ目はね、同じことを3回注意しても、それを改めようという姿がみられなかった時」
 この3つの中で、3つ目を少し詳しく子どもたちに説明します。
「先生は、できないということを叱るんじゃない」
「やろうと思えばできるのに、できるようになろうと努力しないそんな態度を叱るんだよ」
 と、説明するのです。
 1年間の始まりの日。わんぱくな子どもたちも神妙な顔つきで聞いてくれます。
「できなくても頑張ることが大切なんだ」と、思ってくれます。かわいいですね。
 その後、一人ひとりと握手をして、さよならをします。
 小さな手を握りしめながら、
「一年間、楽しい学校生活にしようね」
 と言って教室から見送ります。
2 子どもが考えるよい先生とは
「もしも、あなたが先生になったら、どんな先生になりたいですか」と、いうアンケートの結果があります。各学年の上位3つをみてみると、
(1)小学2年生
「悪いことをきちっと注意し」「わかりやすく教え」「宿題をよく出す」先生。
(2)小学4年生
「おもしろくて」「わかりやすく教え」「悪いことはきちっと注意する」先生。
(3)小学6年生
「おもしろく教え」「だれにでも公平で」「わかりやすく教える」先生。
 これを読んで、どんな感想をもちましたか。
 発達段階から、このデータを見ると、学年が上がるほど高くなっているのは、
 1 「おもしろく教えること」(21%~46%)
 2 「一人ひとりのよさを認めること」(8%~34%)
 3 「子どもの言い分をよく聞いてくれる先生」(7%~23%)
 などです。
「子どもの一人ひとりのよさを認め」
「子どもの言い分をよく聞いて」
「子どもがおもしろい」
 というような授業や、学級経営が大切なんですね。
 子どものほうが、大人が書いた教師論よりも、はるかに的確に学年の発達に応じたタイプを射当てているようです。反省させられます。
 時には、子どもに聞いてみることも大切ですね。
3 子どもの言葉づかい
 新しいクラスを担任したり、新学期が始まったりした時に、子どもたちに次のようなアンケートをとり、教室内に結果を掲示します。
 内容は「学級にあふれさせたい言葉」「学級からなくしたい言葉」というものです。ある年のアンケート結果では、
(1) あふれさせたい言葉
1位「ありがとう」
2位「おはよう」
3位「一緒に○○しよう」
4位「○○くん、○○さん」
5位「はい」
(2) なくしたい言葉
1位「ばか」
2位「死ね」
3位「何しよるんか」
4位「あんたには関係ない」
5位「どっかいけ」
 毎日、一緒にいる教室。あたたかい絆で結びつく、そんな学級集団をつくりたいと思っています。
 掲示するとき「あふれさせたい言葉」はあたたかい色(ピンク)の紙に、「なくしたい言葉」は冷たい色(ブルー)の紙に書いています。
 学級の子どもたち、一人ひとりを育てていくときに「言葉」のちょっとした指導はとても大切だと思います。
4 家の人にしてほしいこと
 新学期が始まって2週間。学習のほうも本格的にスタートしています。
 多くの子どもたちは、新しい学年、学級、担任の先生のも慣れてきて、元気いっぱいに過ごしています。
 そんな子どもたちは、学習についてどんなことを思っているのでしょうか。
 つぎのようなアンケート結果があります。
「Aくんは、計算が苦手なので、毎日毎日、がんばっています。もし、あなたがAくんなら、このような時、家の人にしてほしいことは何ですか?」と、小学生に聞いたものです。結果は、
1位「困った時は相談にのって欲しい」(45%)
2位「がんばっていることを知って欲しい」(24%)
3位「黙って見ていて欲しい」(12%)
4位「励ましたり、ほめたりして欲しい」(11%)
5位「何もして欲しくない」(9%)
 です。
「困った時は相談にのって欲しい」は、学年が上がるにつれて下がっていきますが、
「がんばっていることを知って欲しい」は逆にどんどん上がっていきます。
 特に、女子が高いです。認めて欲しいのでしょうね。
「興味や関心」を起こさせて「がんばっていることを認めて」あげると「勉強が得意になる」と、子どもたちは言っているのですね。
(菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

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学級でゲームを楽しむためのうまい展開の仕方とは

 学級活動の時間に学級でゲームをして楽しもうとするとき、子どもたちが喜びそうなゲームをただやみくもにおこなうだけでは、教室がさわがしくなったり、学級全員が楽しめなかったりして、うまくいかないことがよくある。
 授業と同じように、時間配分とゲームの展開構想を次のようにしっかりもっておこなうことが大切である。
1 導入
 始めは、子どもたちのからだをほぐし、学級全員を楽しいゲームの世界に引き込むようなものを持ってくる。
 パートナーを必要としない、一人で踊ったりするゲームや同じ動作をくり返して楽しむゲームが適している。
例:「落ちた落ちた」「アブラハムの子」「大工のきつつきさん」
2 展開
 子どもたちがゲームの世界に乗ってきたところで、体と体をぶつけ合い、競い合うようなゲームを行い、子どもたちを夢中にさせる。
(1)友だちといっしょに遊ぶ
「ジャンケン列車」「ジェンカジャンケン」、
(2)ペアを組んで遊ぶ
「おちゃらかホイ」「アルプス一万尺」、
(3)グループ対抗で遊ぶ
「子とり鬼」「人間知恵の輪」「集団ジャンケン」
3 山場
 学級全員で1つの輪をつくって遊び、学級全員が心を1つにして楽しめるようにする。
例:「震源地」「フルーツバスケット」「ゴロゴロドカン」
4 おわり
 最後は、拍手遊びやかけ声遊びをして学級全員の心を1つにしてまとめたり、燃えた気持ちを静めるようなゲームをおこなったりする。
(1)学級全員の心を1つにするような
「団結コール」「拍手遊び」「かけ声遊び」
(2)燃えた気持ちを静めるような
「知能テスト」(目を閉じて時間をあてるゲーム)
5 ゲームとゲームのつなぎ
 ゲームとゲームのつなぎもゲームでつないでいけると、集中がとぎれず、時間も有効に使うことができる。
 例えば、展開のゲームで「ジャンケン列車」「ジェンカジャンケン」で長い1つの列ができたら、先頭の子どもを誘導して学級全員で1つの輪をつくる。この大きな輪を使って、山場の「震源地」「ゴロゴロドカン」などを行う。
(加藤辰雄:1951年生まれ 名古屋市立小学校教師定年退職後、愛知県立大学非常勤講師、「読み」の授業研究会運営委員)

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私が学級づくりで大切にしてきたこととは

 私は退職するまでの36年間、理科の教師として中学校に勤務した。
 支えになったのは多くの仲間の皆さんの存在があると痛感している。
 また、教育研究会やサークルで学んだ全国のすぐれた実践が、私の活動の糧となった。
 私が学級づくりで大切にしてきたことは、次の三つです。
 この視点を見失うことがなければ、大きく道を外れてしまうことはないと考えている。
(1)
教育にとって何よりも大切なことは信頼
 子どもと教師、保護者と教師、教師と教師などの間に信頼があってこそ、教育は成り立つものであると。
(2)
怒らないで指導する
 「子どもたちを怒らないで指導してはどうですか」と、教師に話すと、「そんなの無理」とすぐに返事が返ってくる。
 確かに「怒らんとこ」と心にきめて授業に臨むが、「怒らなければならないこと」が必ず出てくる。
 むしろ、毎日の学校生活の中では、「怒らなあかんことばかり」なのが現実である。
 しかし、少し視点を変えてみたい。
 私の場合、「絶対に怒らないで指導をする」と自分の心の中で決心していると、「それでは、どうすればよいか」と間をあけて考えることができるようになってきたのである。
 冷静になって対処できる余裕が生まれてきた。
 「感情にまかせて怒らない」ことである。
 よくよく考えてみると「怒らなくてもよかったけどなあ」と後悔することがいっぱいある。
 怒って指導すると、子どもは必ず反発する。
 また、子どもは同じことをする。口で言っても聞かない、また怒る。
 このくり返しになると、子どもたちとの関係は、うまく行かなくなる。
 しかし、「いじめ」や「命にかかわること」については例外である。
 そのときは、子どもとつながりをつくるチャンスと考えることにすればどうだろうか。
(3)
子どもたちとあそぶ
 子どもたちとの信頼関係を築くためには「あそぶ」ことをすすめたい。
 帰りの会や学活において、簡単にできるゲームや集団あそびを取りいれたい。
 学級で行うゲームには「ジャンケンゲーム」をすぐに思いつくが、何といっても「鬼ごっこ」が一番のように思う。
 そのほか「たこ揚げ」「水ロケット」「熱気球」「空気砲」「模型飛行機」など、あげればきりがない。
 あそびのネタを自分の引き出しに用意しておくことをすすめたい。
 学校行事でも、ただ計画されているから実施するのではなく、常に自分なりの工夫を加えていきたい。
 それには教師が「あそび心」をもち続けることである。
(
金子光夫:1947年高知県生まれ、元大阪府公立中学校教師)

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「落ちこぼれや仲間はずれ」をつくらない学級運営が学級の子ども全体の成長につながる   

 「落ちこぼれや仲間はずれ」をつくらない学級運営が学級の子ども全体の成長につながる。
 私はいつも、クラスの中で一番勉強の遅れていると思われている子ども、クラスの仲間から、はずれそうになっている子どもに視点を置いて、学級運営を進めてきた。
 学級のすべての子どもにきちんとした学力をつける。これは教師の義務である。遅れた子どもをそのままにしておくことは、教師の「落ちこぼし」である。
 学級の中で、仲間からはずれそうになっている子どもがいることは、学級の中に民主主義が実現していないからである。そういう学級であれば必ず学級の中に亀裂があり、やがていじめが生まれる。
 民主的な学級をつくっていくこと。これは私が若いころ作文教育の秀れた実践家であった小西健二郎の「学級革命」の本や講演で感激して、自分もそういう素晴らしい学級をつくろうと努力をしてきた。
 そして、実践を続けていくなかでわかってきたことは、学級のなかで、勉強の一番できないと思われている子どもが意欲を持って頑張りだすと、学級全体の士気が上がりみんなも頑張りだします。また、その子が少しでもよい成績を取ると、学級全体の子どもたちの勉強に対する熱が高まっていくということ。
 また、学級の中に民主主義の考え方が育っていくと、学級の中でお互いのよさを認め合い、学級全体が民主的なあたたかい雰囲気になっていく。そういうことを幾度か経験してきた。
 まだ教師経験の浅いころ「特定の子にばかり力を入れていると、クラス全体の勉強は進まないのではないですか」と保護者に言われたことがあった。また、仲間はずれになりかけていた子の問題を学級の問題として解決をはかろうとしたが、学級懇談会で批判されたこともあった。
 そんな失敗のなかで学んできたことは「問題があるとされている子や、勉強の遅れている子をよくしていくことが結局、学級の子ども全体の成長につながる」ことを、学級の子どもたちや、保護者にもわかるような学級経営をしていかなければならないということであった。
(
服部仲範:1931年生まれ、元札幌市立小学校校長)




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学級に違和感を抱き、落ち着かないなと感じたとき、どのように学級づくりをすればよいか

 新しい学級を担任したとき、教師はまず何をおいても子どもたちとの間に縦糸を張らなくてはならない。
「先生ときみたちは立場が違うんだよ」「先生はきみたちを守る責任をもっているんだよ」「きみたちは先生に指導される立場なんだよ」
 こうした縦関係をしっかりと構築しなければならない。
 これを怠り、教師と子どもがフラットな関係を築くことこそが理想だなどと考える教師は、子どもたちの前に立つ資格がないと言えるだろう。
 しかし、現在、この縦糸を張るだけでは学級経営は成り立たない。
 生徒指導のベテラン教師や、子どもたちになめられないようにと怒鳴るタイプの教師が、学級崩壊を起こしたり、子どもたちに反発されたりすることが多くなっているのが何よりの証拠である。
 現在、教師は縦糸を張ると同じくらいの重きを置いて、子どもたちに横糸を張らせる手立てをとることが求められる時代になっている。
「子どもたちがわからなくなった」「学級担任をもつ自信がなくなった」と、嘆くベテラン教師は、この発想がないからうまくいかないのだ。
 教師は縦糸を張ると同時に、手を換え、品を換えて横糸を張らせる手立てをとらなければならない。
 子どもたちに他人とつながる経験を与え、つながる喜びを意図的に体験させなければならない。
 学校行事はもちろん、授業、特別活動においても、この発想を片時も忘れてはならない。繰り返し、繰り返し行うことによって、その効果が発揮される指導である。
 3か月、半年、1年と長いスパンで見たとき、その効果には計りしれないものがある。
 多くの教師はせっかちであるために、その効果を実感するまで続けられない現状がある。
 横糸が太くなっていくことによって、教師と子どもの間の縦糸が隠れていくが、決してなくならない。
 しかも、子どもたちの横糸は、教師には想像できないような様々な彩りを示し始め、学級全体の彩りを形成していく。
 その彩りは、あくまで教師と子どもたちとの間に張られた縦糸によって、一つに織られていくのである。
 教師は学級の実態に違和感を抱いたとき、落ち着かないと感じたとき、縦糸の強化に向い、説教に向かいがちである。
 しかし「子どもたちの関係性を深める活動が必要なのかもしれない」という視点を浮かべる必要がある。
(堀 裕嗣:1966年北海道生まれ、札幌市立中学の国語科教師。92年、国語教育研究サークル「研究集団ことのは」代表、「教師力BRUSH-UPセミナー」代表。文学教育と言語技術教育との融合を旗印に長く国語科授業の研究を続けている)

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よい教師は、気持ちをさっと切り替えるスイッチをもっている、教師が変わるとクラスも変わる

 クラスの空気は、教師の雰囲気で大きく変わります。
 教師が明るく元気でいれば、クラスは明るく元気になります。まずは、教師が積極的に元気を出すことです。
 教師が大きな声であいさつする。休み時間に元気に外に遊びに行く。楽しそうに子どもの前で笑う。
 そんな教師の様子を見て、子どもたちも元気になっていきます。
 何事も、教師が率先垂範、教師が見本になって、元気を子どもに与えていきましょう。
 逆に、教師が落ち込んでいたり、イライラしていると、悪い雰囲気が教室に充満していきます。
 教師が失敗をひきずって自信や元気を失っていては、元も子もありません。
 不安な思いがあっても、落ち込んでいても、子どもの前ではさっと元気に振る舞えるワザが必要です。
 よい教師は、気持ちをさっと切り替えるスイッチをもっています。
 そのための心構えを持ったり、疲れを癒すための趣味を持ったりすることは、教師にとって非常に重要なのです。
 子どもの前に立つのが楽しいという雰囲気がでるといいですね。
 いつでも、子どもの前にフレッシュな気持ちで立つことができる。
 そんな教師を子どもたちは好きになります。
 教師の元気が周りの子に広がり、自然と教室中が明るい雰囲気になってきます。
「元気を出して」という声かけよりも、教師の態度でクラスの「空気を変える」のが大切です。
(桔梗友行:1977年宮城県生まれ、兵庫県公立小学校教師。ユニット授業や学び合いに取り組む。「学び合うin神戸」主宰)

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学級経営で何より大切なのは「人を育てる」視点を教師がもつこと

 マイナスからスタートすることもある学級に対して、教師はどのように1年間の見通しをもって臨めばよいのでしょうか。
 私は、担任が自分の得意分野を生かした学級経営をしていくことが大切だと考えています。専門性をより発揮できる強みがあるからです。
 そして、学級経営で何より大切なのは「子どもを育てる」のではなく、「人を育てる」視点を教師がもつことだと思っています。
 担当した学年で学ぶべき知識や身につけるべき技能を教えることは、担任にとってもちろん大切なことです。 でも、それだけでは「子ども」を育てることに留まってしまいます。
 本当に大切なのは、知識や技能の先にある「社会に必要な人」を育てる意識をもつことではないでしょうか。
 公けの場ではよりよい社会を実現するため、さまざまな人と協力し合うことが求められます。
 自分らしさを発揮し、望ましい社会を築き上げてこと。「大人になる」とは、それができる人になるということです。
 私たち教師は、子どもの未来を見すえた意識をもつことが大切なのです。
「人を育てる」源になるのは、コミュニケーション力です。
 そして、コミュニケーション力を支えるのが「言葉」の力です。
 一人ひとりが豊かな言葉を獲得し、自分を表現する。
 友だちとの学び合いを通してさまざまな意見や考えを知り、相手を理解する。
 この積み重ねが自信をもたらし、自分と同じように相手の存在も大切に思う信頼感を育み、温かい学級を生み出していくことを、私は実践を通して確信しています。
 具体的には、私は何よりも、子どもたちが自己肯定感をもてるようにすることから始めます。
 子どもたちの「どうせ自分なんて」というマイナスの気持ちを「自分だからこそ」というプラスに転化していくのです。
 大切なのは、子どもの行為を価値づけ(意味づけ)してほめることです。
 例えば、話し手のほうに体を向けて、笑顔で聴いていた子どもに対して、聴く姿勢という行為に加え
「話し手が話しやすいように聴いていた〇〇さんは、思いやりがあふれ出ていますね」
と、行為の価値づけ(意味づけ)をしてほめるのです。
 ほめられた本人も「思いやりをもって聴いていた」という意識がないので「えっ?」という表情になります。
 この、小さな驚きは「自分がこんなことでほめられるなんて思わなかった」という喜びにつながっていきます。
 価値づけ(意味づけ)をすることで、ほめられた本人はもちろん、他の子どもたちも「よいこと」の本質を学ぶことができます。
 そうは言っても、問題を起こす子や目立たない子のよいところを探すのは難しいと思われる教師も多いでしょう。
 そんなときは、子どもの非言語の部分も見てください。
 例えば、目に見えやすい「話す」だけではなく、非言語の「聴く」ことにも注意を向ければ、子どもたちをほめる視点が増えてくるはずです。
 もっと広く、話す、聴く行為だけでなく、話したり聴いたりする意欲や工夫、相手に対する思いやりも大切です。
 このような視点を教師が持てば、学習や活動のほとんどの場面で、具体的に子どもをほめることができると思います。
 まずは、教師が子ども一人ひとりとつながること。ていねいに張りめぐらされた糸は、後に織りなされる子どもたちの横糸の土台となるのです。
(菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

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学級づくりに役立つ「終わりの会」とは

 私が敬愛してやまない小西健次郎の「終わりの会」を次に紹介する。
「終わりの会」は3つのコーナーで構成されています。
1 みんなからみんなへ
 遊びのことなど、子どもの間の問題が話し合われます。
2 みんなから先生へ
「今日の算数がわかりにくかった」「大声で叱りすぎた」「先生が、みんなバラバラにしていた便所のスリッパをそろえてくださった」
といった内容が出て、担任がハラハラ・ドキドキするコーナーだ。
3 先生からみんなへ
 担任が子どもの話し合いの感想を述べたり、1日を振り返りながら感心した子どもの姿などを語る。
 これら3つのコーナーは学級づくりをするうえで、どれも欠かせないものである。
「時間がかかるからムリ」と、あきらめないでほしい。
 初期の段階では多少時間がかかるかもしれない。どうしても時間がかかりそうなときは
「この問題は少しややこしい。大切な問題があるように思うから、一度、くわしく文章にして来てくれないか」
 子どもたちは家に帰ってから、よく思い出してじっくり考え、表現する。
「終わりの会」は回を重ねるごとに進化していく。
 個別に訴えたい事柄については「終わりの会」で発言するより、まず気づいたその時その場で、相手にていねいに伝えることが大事だと指導すれば、子どもはそのように努める。
 さらに、子どもが人権感覚を磨き合っていくにつれて
「ああ、こんなことは言ってはダメだ。やってはダメだ。相手を傷つけてしまう」
と、行為のなかで考え、抑止力を働かせる。
 学校の中で日々生じる大小のトラブル。それが放置されたままであれば、優れた学級形成が望めない。
 あきらめと不満が増殖する学級は、いじめの温床だ。
「その日のことは、その日のうちに」
 これが大原則だ。そのために発信する場として「終わりの会」の大切さを、いま一度見直すべきだ。
 子どもが伝えたいことや、訴えたいことが発言できる機会があること。これが正義が通る「学級世論づくり」への第一歩である。
 当然ながら、良質な学級世論は一朝一夕にでき上がるものではない。時間はかかる。
「時間をかける」と思い直せばよいこと。地道に取り組みを進めていくうちに、必ずや取り組みは「実践」へと結実していく。
 そのプロセスこそが貴重な教育実践でもある。
 もちろん、他愛もない雑談も、休み時間の遊びも、子どもの内面発信の大切な機会だ。
 とくに、遊び時間は肉体的発散の絶好の場でもあり、教師も子どもといっしょになって汗を流す機会なのだが。
 子どもが内面を発信できる場と機会。これは、教師にとっては子ども理解のために貴重である。
 しかし、子どもの発信機会は、やはり授業だろう。
 教師ばかりが発信や発問をつづけて、子どもはつねに受信や即答を強いられる伝統的授業パターン。これの克服も急務といわねばならない。
(園田雅春:1948年京都市生まれ、大阪府高槻市立小学校教師、大阪教育大学教授を経て大阪成蹊大学教授。専門は教育方法学)

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クラス経営がうまくいかないとき、どう聞けば適切なアドバイスがもらえるのでしょうか

 クラスが落ち着かなくなってきたので、ベテランの教師に、その原因をアドバイスしてもらうと「先生は優しすぎるんだよ」と言われました。
 そこで、次の日から、子どもたちに厳しく対応しました。ところが、かえって子どもたちは落ち着かなくなりました。
 どう聞けば、適切なアドバイスがもらえるのでしょうか。
 まず、このベテラン教師が「優しすぎるんだよ」と言ったアドバイスには、どのような前提があるのでしょうか。
 あなたの指導を見て言っているのでしょうか。それとも、ふだんのあなたの雰囲気から、そう判断したのでしょうか。
「優しすぎる」とは、どういうことなのでしょうか。
 厳しくしなければいけない場面で、そうしてないという意味なのでしょうか。
 それとも「なめられている」と指摘しているのでしょうか。
 アドバイスを聞いたとき、あなたの解釈は、どのようなものであったのでしょうか。
 例えば、どの場面で、どの程度、どんなふうに「厳しく」しようと考えたのでしょうか。
 このような前提について、無自覚であったり、状況に対して方法が合致していないと、せっかくのアドバイスも無意味になってしまいます。
 アドバイスをもらう際には、できるだけ具体的に状況を語りましょう。大事なことは
(1)5W1Hをはっきりさせて話すこと
 具体的場面に応じて語らないと、印象でアドバイスをもらい、誤った指導改善をしてしまうことになります。
(2)ふだんの指導の様子をしっかり伝える
 指導において重要なことは関係性です。子どもと教師との関係性によって、当然、指導方法は変わってきます。
(3)「私にできることには、何がありますか」と尋ねる
 ベテラン教師が使いこなせる教育技術と、あなたの教育技術は違うのです。
 アドバイスは状況に合致していることが大事です。適切なアドバイスを引き出し、それを生かすには、尋ね方が大切です。
((山田洋一:1969年北海道札幌生まれ、私立幼稚園に勤務後、北海道公立小学校教師。「北の教育文化フェスティバル」代表、「お笑い教師同盟」副代表、「実感道徳研究会」副代表)

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