カテゴリー「授業づくり」の記事

教師も子どもも幸せになる授業づくりのポイントとは

1 教師も子どもも幸せになる授業力と自分力
 学級がうまくいくかのカギは授業です。授業力のある教師のクラスは崩れません。
 授業力は「授業展開」「発問」「板書構成」「ワークシート」「表情や立ち位置」「教師のルール」「ほめ方、叱り方」など多様です。
 授業力をつけるには学び続けなければなりません。
 その方法は、実際の授業、研究会、先輩からの話、教育書など学ぶ方法はいくらでもあります。
 このとき、忘れてはならないのは「子どもから学ぶ」ということです。授業が面白いときは笑顔に、面白くないときは手遊びをする、といった様々な反応をします。
2 自分力
 授業力、学級経営力などを育てるのに大切なのは、自分力です。
 自分力が弱まっていたり、未熟な状態では、よい授業はできません。子どもたちが笑顔になる学級経営もできません。
 自分力を回復し、力をつける方法は、本を読む、飲み会で話す、家族と過ごす、研究会に参加する、休日の過ごし方など、十人十色です。
3 教師になって3年目からが分かれめ
 自分のことで手一杯だった2年目、迎えた3年目が分かれめです。
(1)授業力
 教師主導の学び:どんな「発問」「説明」で子どもたちを理解させるか。
 子ども主体の学び:教師が学んできたことを、子どもたちが主体となって問題を理解し解決していくことに役立てる。 
(2)自分力
 本や研究会を通じて、人とつながり、人との出会いを広げ、力を蓄える。
 人とのつながりが増える分だけ、あなた自身の学びが深まり、子どもの授業での学びが深まります。
 あなたの教師人生を幸せにすることでしょう。
4 教師がステップアップするためのポイント
(1)ひろげる
 人との出会いをひろげる。学習内容をひろげる。研究や経験をひろげる。
 ひろげることは、新しい世界をみること、新たな価値観を得るチャンスになります。
 授業の幅をひろげることにもつながることでしょう。
(2)深める
 学習内容・過程を深める。研究を深める。
 1教科の学習方法を深めるのもいいでしょう。自らのこだわりを深く追求するのもいいでしょう。
 教師にとっても、子どもにとっても楽しさにつながることでしょう。
(3)高める
 乗り越えなくてはならないカベを高くしてみましょう。
 気づき・知識・思考の質を高める。教師仲間とのつながりの質を高める。
 それは、教師としての質を高めることになるでしょう。
(4)子どもたちにまかせる
 子どもたちの自主性を重んじる。
 根拠となるものをしっかり築いた上で、子どもたちにまかせてみましょう。
(5)つなげる
 つながることで、喜び、楽しさ、苦しさを分かち合うことができます。
 子ども、保護者、地域、同僚などとつながることを大切にすると、その姿勢が伝わるでしょう。
(授業力&学級づくり研究会)

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小さなルールを徹底させることが、学級の荒れを予防する

 授業中のルールを徹底しないと、いつか学級が荒れ、崩壊がやってくる。
 小さなルールを徹底させることが、学級の荒れや崩壊を予防する。
 ルールを厳守し、静かな授業をすることが目的ではありません。学ぶことに夢中になり、楽しく盛り上がる授業づくりをするためにこそ、ルールが必要なのです。
 日頃から「授業中に、ぼけっとして指示を聞いていない」というような「小さなルール違反」に厳しく目を配るようにしていくと、やさしいひと言での指導が可能です。
 その繰り返しが「立ち歩き」や「おしゃべり」などの授業妨害といった「危険なルール違反」を防ぐことにつながります。
 例えば、教師と子どもが互いを敬いながら授業に臨むために、授業の始まりと終わりの挨拶を大切にしたいものです。
 指名されたら返事をする。発表は起立して行う、話す人にお腹を向ける、話を聞くときは手を膝に置く。
 授業を進めながら、ルールを子どもに確認し、できていない場合は、その都度、必ずやり直しをさせるようにします。
 徹底して指導を繰り返すことで、ルールを守る姿勢を身体で覚えさせるのです。
 授業ルールの厳守が安定した授業づくりにつながり、きまりを守る意識を高め、さらには落ち着いたクラスの雰囲気を育てます。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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授業で教師力をアップするための習慣とは、どのようなものでしょうか

 楽しそうに授業をすることは、とても大切です。
 教師が楽しそうに授業をしていると、子どもたちも楽しくなります。教師の雰囲気は伝染します。
 教師に笑顔がない授業は、子どもにも笑顔がありません。教師に熱がない授業で、子どもが熱を帯びることはありません。
 様々なことに「気づく」教師のほうが、授業が上手になります。例えば
「今、〇〇さんが何か言おうとしたな」「ん? 今の言葉は聞き捨てならないぞ」「彼は、さっきから鉛筆が進んでいないな」
 子どものサインに気づけるように、教師の意識を高めましょう。子どもに気づけるようになるためには授業記録を書くとよい。例えば
「〇〇さんは今日どうして発表しなかったのかなあ」
と、子どもの名前と行為がすいすい出てくるようになれば、かなり「気づいて」います。
 最初は、目立ったことは覚えているのですが、全員の様子は思い浮かびません。「え~っと、何だったけ?」の繰り返しです。
 毎日のように記録を書くことで「気づける目」が養われていきます。子どもたちの小さな動きが見える「特別なアンテナ」を手に入れることができるのです。 
 授業をつくる基準は「あの子」です。
 授業は「クラスの中のあの子ども」を見つめたものでなければなりません。
 授業は「あの子を追って」、「導入・展開・まとめ」と、つくっていくのです。
 ですから
「ここは、ついていけないだろうなあ」「ここをこう変えれば、あの子もできるぞ」
 と想像しながら本を読み、研修を受ける習慣を身に付けましょう。
 授業のネタは日頃から考えておきます。好奇心を持ち、面白いと思ったことを調べるようにすることをおススメします。
 ネタはメモするとよい。私は携帯電話、メモ帳、授業ノートにメモします。
 いきなり思いついたときは携帯電話の未送信メールに入力し、月末にパソコンに送信し、月ごとにためていきます。
 メモ帳はポケットやカバンに入れてあります。
 授業ノートは授業のアイデアや授業展開などを考えます。ここに書き込みます。
 いつも授業や子どものことを考えている教師は教育現場で起きる様々なことに対応しやすくなるのです。
 仕事を趣味のようにこなしている教師は、日常から「仕事の中の自分の好きな部分」に没頭しています。
 授業を向上させるには、授業を語り合う場を持つことは非常に有効です。
 先輩や授業論を交わせる同僚がいれば理想的です。相手が一人でもいいのです。
 資料を持ち寄り、授業で困っていることについてお互いの意見を聞き合います。
 そうすれば授業の意識も高まり、良い授業のイメージも具体的に豊かになっていきます。
 自信は人と比べて生まれるものではなく、自分ができなかったことができるようになった時に自信がついてくるものです。
(森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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授業を楽しくするための工夫と、授業の自分用の指導案づくりの工夫

1 授業を楽しくするための工夫
〇子どもたち一人ひとりに小さなホワイトボードを渡し、クイズ番組のように私が問題を出して、その答をホワイトボードに書かせて、みんなで「せーの」で出します。
 盛り上がって楽しく復習したりできます。
〇小学校の低学年の時は、人形を使って授業をします。子どもたちは、人形が登場するだけで大喜びです。
〇「こまったくんキャラクター」がいて、授業の導入で「困った問題」を子どもたちに相談します。
 授業の最後の確認の場面で、わざと間違った答をいったりします。
 子どもたちは「違うよ!」とむきになって説明します。うまく説明できると「わかったくん」になって帰っていきます。
〇授業のノートに感想を書いて提出してもらいます。私は子どもとキャッチボールできるような返答を書きます。
 私にとって、子どもの学習の理解度が把握でき、子どもにとって先生にノートが見られるので書く意識が高まります。
〇デジカメをテレビにつないで、挿絵や教科書など映します。お手本になる子どものノートも撮って映します。
〇算数は、子どものつまずきそうなところ、引っかかりそうなところを、ヒントになるカードを用意します。
 例えば、式や表を穴埋め式にしたり、具体的な図を書いておいたり、簡単な数字に置き換えた問題にします。
〇子どもは実際に見て感じると興味を示すので、できるときは具体物を用意したり、写真を見せたりします。
〇社会科ではクイズを出しながら、授業を進めることもあります。
〇国語の物語文などを手書きでつくり直します。
 子どもたちが行間や段落ごとに、感想を書き込めるようにします。
2 授業の自分用の指導案の工夫
〇ノートに大まかな流れを書いておきます。
 そして、授業の時に子どもが、輝いた発言、悩んでいる発言などを座席表にメモします。子ども理解に役立ち、つぎの授業の発問のもとになったりします。
〇板書案を書いて、展開を整理し、ポイントをはっきりさせます。
 視覚的な図が頭に入りやすい。実際の授業中に、子どもとのやり取りで、予期せぬ展開になっても脱線せずにできます。
〇ノートに授業の流れをメモします。なるべく細かい発問まで書くようにしています。
〇子どもと同じノートに、子どもに何をどのように書かせるか、実際書いて授業をねります。
(佐藤/隆:1957年生まれ、都留文科大学教授。教育科学研究会副委員長、『教育』編集長。教育学、教育実践学、教師教育論を主な研究領域としている)

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授業はわからせようとする気迫が大事、「下手でも教えられる」という自信を持つことも上手な授業をする条件

 授業は上手であることに越したことはありません。
 けれども、はじめから、そうそう上手にできるわけでもありませんし、いつもいつも上手にできるものでもありません。
「下手でも教えられる」という自信を持つことも、上手な授業をする一つの大事な条件ではないかと思います。
「なんとしてでも。わからせるぞ」という自信が授業には大切です。
 授業に必要な自信は「なんとしてでも、わからせる、わからせることができる」という自信です。
 上手そうに見えた授業なのに、案外、子どもに力をつけていないことがあります。
 逆に、下手としか言いようのない授業が、意外に子どもに力をつけていることがあります。
 それは「本気で子どもにわからせようとしたか」どうかの違いだと思います。
 授業はうやむやにしてはなりません。
 そのためには、下手でも自分の納得にいくまで教え込もうという構えが必要です。
「うん、わかったッ」と子どもが思わず目を輝かせるのを見届けるまでは、決して後ろに引き退がらないぞ、という構えが必要なのです。
 教え方というものは、いろいろあるにちがいありません。
 一つの文章を読み取らせるにも、さまざまな方法があるでしょう。ことばの意味一つわからせるのさえ、その方法は三通りや四通りではないでしょう。
 それも教材により、子どもにより、ということになれば、さらにさまざまになるでしょう。
 そういうものを、早く知り、自分の中に取り込んでいきたいと思います。
 そのために、本を読んだり、話を聞いたり、授業を見たり、研究会に出たりして勉強を続けるのです。
 そうして取り込んだものが、自分の中にうまく位置づくと、それは授業への糧になります。
 ところが、自分ではうまく取り込んだつもりでいても、なかなか位置づかないことがあります。
 私の長い教師生活でも、何回かそういう時期が何年目かするとめぐってきて、苦しんだり悩んだりすることがありました。
 それを乗り越えるのに「下手でも教えられる」ということが、いつも私の支えになっていてくれたように思います。
 とっさにいい方法が出てこないかもしれません。まずい方法しか出てこないかもしれません。
 いずれにしろ「なんとしてでもわからせたいと思う」と、きっと何かを見つけ出すことができるでしょう。
「下手でも教えられる」という自信は、それをやり通してみた時に、自分のものになってきます。
 そこは、誰の助けもない場です。今の自分の持っている力を、精いっぱいぶつけるより、しようのない場です。迷ったり、わからないなどと言っておれない場です。
 そこで出てきた方法は、まずかろうと、まずくなかろうと、ともかく自分でつかみ出すよりしようのなかった方法です。
 それは、自分の創案でないかもしれません。
 いつか読んだ本の中にあったことかもしれません。
 いつか、だれかに聞いた話の中に出ていたかもしれません。
 いつかどこかで見た授業の中で感じ取っていたことかもしれません。
 それらを組み合わせたり、こねたりしたところで浮かんできたことであったかもしれません。
 もし、そうであっても、そうして出てきた時には、それらの勉強が自分の中に生きてきているのです。
 自信のない授業を続けていては、そういうことにはなってきません。
 いろいろな勉強が生きてくるのも「わからせることができる」という自信のある授業が土台になっている時です。
 繰り返します。授業に必要な自信は、下手だから持てないという自信ではありません。「下手でも教えられる」という自信なのです。
(
戸田唯巳:1919- 2009年、元兵庫県西宮市立小学校校長、小砂丘忠義賞受賞)


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クラスの子どもたちを変えるにはどうすればよいでしょうか

 学級づくりと授業づくりを分けて考えたのでは効果はでません。授業の中でこそ、学級づくりをするという意識が大切です。
 クラスを育てるには、最初から全員を同時に育てようとするよりも、まずは一人に絞って取り組んでみます。
 その一人の変化を教師が拾って、それを周りに広げていくほうが効果は出やすい、と私は思っています。
 たとえば、子どもたちの「発表できる力や説明できる力」を育てたいというとき、
「ちょっと勉強はわかっているけれど、発表しない子」
「もうちょっとやれば、何とかなりそうなのだけれど、控えめな子」
に、的を絞って取り組んでみます。
 さらに、的を絞った子の隣に、よく発表する子がいたりすれば、
「隣の〇〇くんも発表ができるようになると、いいなと先生は思っているんだ」
「今日は、〇〇くんが説明したら、しっかり聞いてあげて、ほめてあげてね」
その子に協力を頼むこともあります。
 そうして、一人に変化が起き始めると、周りの子が
「あの子が発表できるんなら、私もできるかも」
と、どんどん広がっていくのです。
 発表できない子どもを、発表できるようにしたいなら、つぎのようにします。
(1)
教師が最初の発問をする。
(2)
まずは、誰か他の子どもに発表させる。
(3)
「今の〇〇くんの話、おもしろかったね」と、みんなに聞く。
(4)
「うん、おもしろかった」と返ってきたら
(5)
「どんなことが?」と問い返します。
 これなら、先に発表した子が話した内容があるので、自分で考えたことを発表するのが苦手な子どもも言いやすくなります。
 もし、深く考えていなくて「えーっと、えーっと」となったら「じゃあ、もう一回説明してもらおうね」と言って、発表者にもう一度説明してもらいます。
 算数の授業で発表を途中で止めさせ、ほかの子どもに続きを言わせる方法もあります。全部聞かせてしまうと、ほかの子どもが考える余地がなくなってしまうからです。
 そうさせないために、クラス全体のバランスを見ながら教師が意識して子どもたちを動かしていくのです。
 話す力を育てたいなら、まずは話している相手に正対しようとする態度を育てる必要があります。そうすれば、聞く力が育つのと同時に、話す力も鍛えられます。
 授業で話さない子どもというのは、自分の立場をもとうとしません。まず先に人の意見を聞いてしまいます。どうすればよいのでしょうか。
 たとえば、クイズ番組で答えが発表される前に、子どもに答えを考えさせるということは、自分の立場を決めるということです。
 立場を決めてから答えを見れば「ああ、悔しかった」「やっぱり当たった」などと、ドキドキする瞬間を味わえます。
 そんな楽しさを経験すると、次もまた参加しようと思うはずです。そうして、場に参加する気持ちを育てるということが大切です。
 考えることは練習が必要です。考える練習ができれば、きれいに話せるようになります。
 その練習の一つが「ペア活動」です。
 授業中、子どもが発表する前に「ペア活動」を仕組み「今、自分が当てられたら、どんなことを話そうと思う?」
と告げ「隣同士で練習してごらん」と、やるわけです。
 子どもたちがペアで話し合っている間に、私は発表が苦手な子のそばに行き、話し合いの内容をそれとなく聞いておきます。
 そして、上手だなと思ったら「その説明はいいね。発表してほしいな」とささやくことにしています。
 それから全体の前で「はい、誰か発表してみたい人?」と聞き、発表してもらいます。
 発表者にもう一度話してもらうのも「思考の練習」になります。
 たとえば、誰かの発表が終わったあと
「みんな、お話ちゃんと聞いた?」
と、周りの子に尋ねて、もし「うーん」とあいまいな返事が返ってきたら
「じゃあ、もう一回聞いてあげようね」
と、戻すのです。
 こうして、話すほうにも、もう一回チャンスを与えます。すると、子どもも
「よし、こんどはもう少し上手に言うぞ」
と思うので、二度目の発表は上手になっています。
 聞き手は、次に自分が指名されたら何を言おうか考えながら必死に聞きます。
 そういう聞き手の姿が見えてくれば、話し手が聞き手に合わせて話そうという意識も強くなり、ますます上手に話せるようになります。
 このように話す力は、さまざまな局面から育てていくことができるのです。
 聞く力を育てたいなら、相手に正対する態度を育てることが大切です。私たちが授業をする上でも意識しておきたいことです。
 授業でいえば、目のまえの子どもの反応を見ながら授業を進めていくということです。
 子どもの素直な反応から教材や授業を組み立てていくというのは、私がふだんからよく行っていることです。
(
田中博史:1958年山口県生まれ、山口県公立小学校教師を経て筑波大学附属小学校教師。専門は算数教育、授業研究、学級経営、教師教育。全国算数授業研究会会長・日本数学教育学会出版部幹事・学校図書教科書「小学校算数」監修委員
)

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授業で優れた発問をするにはどのようにすればよいか、発問づくりの原則、王道とは

 発問は子どもたちの思考をうながす。教師の第一発問は重要である。
 私は最初の発問は「助走」のようなものだと思っている。子どもたち全員を、まずはゆっくりでいいから走らせて、次の段階に進ませるとよいと考えている。
 たとえば、社会科の絵や写真を示し「何が見えますか」と問う。これならば、子どもたちも見えるものを答えるだけだから、簡単である。
 
「大きな屋敷が見える」「武士がたくさんいる」「馬も多い」というようにどんどん言える。
 このような助走のための発問は、どの教科の授業でも用意しておくべきだ。どんどん子どもたちが発言した分、子どもたちに必要な情報が加わっていく。
 私は初任だった時代、教育雑誌に授業に直結した発問を多く特集していた。明日の授業にも困っていた私は、特集をむさぼり読んだ。
 その中で「なるほど、こうやって発問はつくるものなのか」というものに出会った。有田和正氏の「バスの運転手」(小学校二年生、社会科)にかかわる発問です。                        
 一般的には「バスの運転手さんはどんな仕事をしていますか」となるであろう。既有の知識を問う発問である。当然、運転手の仕事について知っている子しか反応できない。
 有田氏の発問は違っていた。「バスの運転手さんは、どこを見て運転していますか」というものである。
 
「見えるもの」という知覚語を使うことによって、子どもたちの豊かな反応が引き出される発問であった。
 私は、三年生の自分の学級で試してみた。
 最初は「前を見て運転している」という答えに続いて
「標識も見ている」「信号も見ている」「歩行者」「天気」「横の車」「バックミラー」「サイドミラーも見る」
と、いうように次々と反応があったのに驚いた。
 子どもたちの思考を活性化させる優れた発問のすばらしさを実感した。
 優れた発問のすばらしさを知ってからは、どのような優れた発問があるのか追究したくなる。
 教育雑誌や書籍、授業参観などを通して情報を収集していった。とくに自分の得意教科である社会科については熱心に行った。
 収集した発問の数も多くなると、それら発問の原則らしきものが見えてくる。たとえば、
1 わかりそうで正確にはわからないものを「いくつ」と理由をつけて予想させる
 例「学校にある水道の蛇口はいくつか」
2 その教材ならではの問い
例「消防署の人々は火事のときに、最初に何をするでしょうか」
 消防署に取材をしたとき、消化活動と同時に人命救助することを知った。教材研究のし過ぎはない。
2 社会科
(1)
人を問う
例「コメの値段は誰が決めるのか」
(2)
提案させる
例「交通安全のための施設を一つ増やします。あなただったら、どこに何を増やしますか」             
(3)
選ばせる
例「家庭から出すごみは有料がいいか、無料がいいか」
(4)
一見、矛盾に思われることを問う
例「交通事故を減らす工夫をしているのに、なぜ事故は減らないか」
3 算数
 算数の授業で、何人かの子が解き方を全員の前で発表する。そけぞれ解き方は異なっている。どのような発問が、子どもの思考をうながすか研究した。
(1)
共通性を問う
例「2つの考え方で似ているところはどこか」
(2)
よさを問う
例「Aさんの解き方のいい点は何か」
(3)
簡潔性を問う
例「これらの解き方のうち、簡単にできるのは何か
(4)
有効性を問う
例「いつでもこの考えは成り立つのか」
 発問の原則を見つけるにしろ、その教材独自の発問を見つけるにしろ、大事なのは自分なりの発問づくり研究の道を見つけ、歩くことである。
 今まで先達の教師たちが数多くの発問を残してきた。今はインターネット上でも多くの発問を検索できる。
 それらの先行実践を研究し、自分で発問を選んだり考えたりする。授業の反応から原則を見つけ実践を積み上げていく。それが王道なのである。
(
佐藤正寿:1962年秋田県生まれ。岩手県公立小学校副校長。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに教材開発に力を入れている)

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授業の指導方法を上達させるために、私が学び、試みた方法とは

 私は新任のとき校長から「この分野ならあの先生にと言われるようになりなさい」と言われた。それで得意な分野の社会科に決めた。
 社会科の指導方法を学ぶための学習環境をつぎのように設定した。
 社会科の教育研究会(県・市・組合)に参加する。研究会で授業参観、報告書の提出、研究授業を行った。
 後に研究会の事務局を引き受けたので、ネットワークが広がり、会員や役員と話す機会が増え多様な情報を得ることができ、教材開発にもつながった。
 社会科の専門書と雑誌を毎月2冊購入する。また民間教育団体の授業報告も入手する。
 授業の上達のために優れた授業を見ることは欠かせない。社会科は授業を参観する機会が少ないのでいろんな研究会の案内を必死に探して参観した。
 授業参観するとき、特につぎのような視点にこだわった。
(1)
指導案の形式
(2)
教材とその資料
(3)
興味をもたせるための導入の準備
(4)
子どもたちが変化した発問や指示
(5)
思考を深める授業の組み立て
(6)
子どもたちは何をノートするか
(7)
社会科用語をどれくらい子どもたちは使っているか
(8)
授業づくりに役立った本
 このように、多くの視点をもって参観するとメモも多くなり、自分の授業に生かせる部分も多くなってくる。
 私は教室の前方の教卓のそばから参観した。教卓には教師の資料が置かれているのでどのような準備がされているのか参考にできるし、子どもの表情やノートも見える。
 それと参観するとき、今日は10個を学びとるといった目標を持つとメモの量や質が違ってくる。
 授業参観後の研究会での発言は教師の力量が現れるので勇気がいるが、力量を上げるためにも発言するようにした。
 授業力を高めるためには、授業の記録をとるのがよい。
 教師の発問と子どもたちの発言を記録すると、反応がよかった発問は何か、なぜよかったのかと授業の振り返りができるからだ。
 また、発問の原則、資料の読み取らせ方、話し合いのさせ方といった指導の改善が図られる。
 授業直後に板書をデジカメで撮影すれば授業記録も時間がかからない。授業の流れや資料の掲示がわかる。
 同時に子ども数名分のノートも撮影し、子どもの感想を確認する。
 教材研究はつぎのようにする。
(1)
基本的な教材研究は単元が始まる前に終えておく。
(2)
教科書と学習指導要領と照らし合わせて、指導のポイントをつかむ。
(3)
教科書は何度も読む。
(4)
教科書の掲載資料の意図を考える。
(5)
各社の教科書を比較するとヒントになる。
(6)
関連情報をネット調べて必要な本を購入するか図書館で借りる。
(7)
教育雑誌で先行実践調べる。
(8)
単元構成や主発問を考える。
(9)
社会科の教材のヒントは、日常生活でおもしろいと思ったものを「種」として記録しておくとよい。
(
佐藤正寿:1962年秋田県生まれ。岩手県公立小学校副校長。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに教材開発に力を入れている)

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初任者や若い教師が授業の腕をあげるには、どのようにすればよいか

 ある初任者指導研修会で、私は次のように初任者の先生に問いかけた。
「あなたがたは、これから授業をいっぱい積み重ねていけば、そのうち授業の腕が上がっていくと思っていませんか?」と。
 すると、ほとんどの初任者の先生はこっくりとうなずいている。
「ああっ、やっぱりそうだったんだ!」と私は思った。
 このことが幻想であることは、すぐわかってくる。いっぱい授業を積み重ねている中堅やベテランの先生たちが、たいして上手な授業をしていない現実に気づいていくはずである。
 授業の腕をあげるためには「意図的な授業づくり」を試みていかなくてはならない。  
 初任者の先生の一番の不安は、どのように授業をこなしていったらいいかということである。初任者の先生がどんなところで悩み、つまずくのでしょうか。
 授業の準備はどうすればよいか。どんなに忙しくても授業づくりで「はずしては、いけないこと」がある。それは「この1時間で、子どもにたちに何を学ばせていくか」。これが抜けてしまうと、焦点がぼけてしまうので、子どもたちは学んだことが身につかない。どうするか
1 まず、ノート一冊を準備しよう。 
2 1時間目からの授業メモを記入する。 
(1)
その授業の本時目標をメモする。
(2)
「始め-中-まとめ」での発問や活動などをメモする。
(3)
授業後の反省を簡単に書く。
例えば、国語(物語文「大造じいさんとガン」)の教材研究は
1 教科書を、最低2回は読み、場面分けすることが必要。
2 指導書で次のことを確認する
(1)
単元目標を確認する
  場面の移り変わりに気をつけて、中心人物の行動や心情の変化を読む。
(2)
指導したいこと(具体目標) 
 大造じいさんの残雪に対する気持ちの変化を読み取る。
(3)
時数を確認-6時間
 指導書を調べることや、ネット検索が教材研究だと誤解しないことである。大切なことは、自分なりの教材研究ができるように力量を高めていくことである。
 初任者の授業を見ていると、共通しているのが、授業の8~9割を教師がおしゃべりをする。せめて教師のおしゃべりは5割に収めていく必要がある。残り5割は、子どもに次のような活動をさせる。
(1)
ノートに書かせる(書く活動)
(2)
どんどん発言させる(話す活動)
(3)
話し合いをさせる(話し合い活動)
(4)
作業や体を使う活動
 初任者の授業は、ほとんどが、一部の子どもが「挙手発言」する授業になっている。授業は、子どもの「全員参加」をどのように組み込んでいけるかにかかっている。全員参加すれば授業は安定していく。
それには、授業の基本的なかたちとして
(1)
学習課題を確認し、説明し、発問して子どもに考えさせる。
(2)
子ども一人ひとりが、自分が正しいと思う解答をノートに書く。
(3)
発表する。(教師がペア、グループ、座席の列などで、子どもを指名し発表させる。複数の発問で全員が発表できるようにする)
 授業をしていて、初任者が心配なのは「子どもたちに学力が身についているか」ということである。
 初任者は最初、初任者なりの授業しかできない。これは仕方がないこと。しかし打つ手はある。「基礎・基本」を毎日繰り返し練習させることである。
 どうするのか。例えば、国語は「漢字・音読」、算数では「計算、公式」をさせる。国語は新出漢字を毎日2,3字扱っていく。本時の音読を必ず5分取っていくようにする。
 算数は、授業の最初と終わりに5分間復習する。毎回することによって基礎的な学力が確保できるようになる。
 初心者が次のような状態で授業ができるようになったら、まずは合格である。
(1)
子どもたちの顔を見ながら授業をしている。
(2)
きちんとはっきりした声で子どもたちに話している。
(3)
子どもの間を机間指導できている。
 授業がまずいと、ざわざわし、落ち着かない子、つまらなさそうにしている子も目立つ。どうしたら子どもたちをひき付ける授業になるのだろうか。
 はっきりしているのは、すぐには授業技量を上げることはできないということである。指摘をうけても克服することは、なかなかできない。
 意識して積み重ねないと授業技量は向上しない。授業技術は、繰り返し行い、意識しなくていい程度の状態になって、初めて身につく。
 確実に授業技量を上げて行くには「一人研究授業」を私は提案したい。どうするのか?
 簡単に言えば、自分の授業を録音して、それを聞くことである。録画という方法もあるが、まず、肝心なのは自分の指導言「発問・指示・説明」である。そのことに集中したほうがいい。
 授業では、教材研究の成果は「指導言」に集約されるからである。それを向上させていくことが、授業技量を上げて行く大きなポイントになる。では「一人研究授業」は具体的にどのように行うのか。
1 自分の授業を録音する
(1)
研究授業ではなく、普通の授業がいい。
(2)
子どもたちには「先生が勉強するために録音するだけだから」と断ればいい。
2 がまんして聞く
(1)
はじめは最後まで聞き通すことは難しい。
(2)
自分の声、あいまいな発問や指示、説明に嫌気がさすためである。でも、その授業を、子どもたちは毎日聞いているのである。そう考えて、がまんして聞く。
3 自分の指導言「発問・指示・説明」の問題点(口癖、無駄な言葉など)をチェックし、きちんとメモをする。
 これを「月に一回」行う。でも、時間に余裕があれば、もう少し短時間に回数を繰り返しできればもっといい。
 例えば、1回目で次のような反省がメモされたとしよう。
(1)
話が一本調子で、暗い感じで話している。
(2)
だらだら話していて、指導言がめちゃくちゃだ。
(3)
フォローがほとんどない。
 2回目は、次のような視点を設けて、授業に取り組んでみよう。
(1)
指導言「発問・指示・説明」をきちんと区別できるようにしよう。
(2)
フォロー(いいね。すばらしい、その調子、ステキ)を入れるようにしてみよう。
 この研究法で技量が向上するのは「自分の授業を客観視することができる」からである。
 最初に録音した授業を聞くと、自分の声や話し方に嫌気がさす。あまりにも自分でイメージしているものと違っているからである。
「私は、こんな声や話し方をしているのか?」と、がく然としてしまう。
 でも、ここからである。この感想から、どのように立ち上がれるかが、これからの教師生活を決めてしまう。それくらい大きなできごとである。
(
野中信行:1947年生まれ、元横浜市立公立小学校教師、学級組織論を研究、実践を私家版で発行した。全国各地で教師向けの講座やセミナーを行っている)

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授業はテレビを見るように面白くないとチャンネルを替えられる、エンターテイメントとしての授業をものすごく要求されている

 全国有数の名門といわれる私立中学校の家庭科の女性教師。赴任して五年目。担任は受け持ったことはないが、女の子たちの話し相手になっている。「親しみやすい、上品なお姉さん」という印象だ。その教師にインタビューした。
 うちの学校は教師一人ひとりに専門性を強く求めていますから、授業も自由にできるんですよ。「わたしはこれについては誰にも負けません、だからこういう授業をやります」とアピールして、教務主任か校長がOK出せばできます。
 その一方で、教師どうし、お互いにアドバイスも何も言わない。「はい、今日からお願いね」という感じでしたから。「自由にやってみて」と、聞いても教えてくれない。 
 もうパニックでしたよ。他校の先生を訪ねて、資料を借りたり、テスト問題の作り方も指導してもらってました。
 今の学校に赴任するとき「他の学校の子よりも、礼儀正しくて、聞き分けがいいんじゃないか、大人みたいな感じなのかなあって」。だけど、そんなことなかったですね。
 いま、1,2年生のクラスの女子20人ぐらいを相手に授業をやってますけど、年々幼児化っていうんですか、進んできていますね。
 教室に行ったら、クラス全員がベランダの陰に隠れてたこともありましたよ。反抗しているわけじゃなくて、遊んでほしいんですね。無邪気ないたずらなんですよ。授業やりたくないから、五分でも10分でも、そうやって時間を短くしたいという気持ちがあるんでしょうけど。
 まあ、いちがいには言えませんけど、甘えてくる子の多くは、家が厳しいですね。「この学校に入れるには、受験準備をして、厳しくしつけておかないと」という親の思惑があるのか、家でのしつけが厳しい分、その反動が学校で出てきてる気がします。
 でも、中学校に入ってから、いわゆる落ちこぼれる子もいるんですよ。算数が数学に変わって、むずかしくなって、できなくなる場合もあるし、中学に入ったとたん、努力しなくなる子もいます。
 テストはできても、授業中に教師の話を聞かない子が年々増えているみたいです。そういう子は、塾に行ったり、家庭教師をつけてるんですよ。授業は聞かなくても、あとで教えてもらえばいいやという感じですね。
 いちばんしゃべりたい年頃ですから、授業中にしゃべるのは、しょうがないんでしょうけどね。でも、それを
「いつもあんたたち、騒いでる!」なんて言おうものなら、もう、大変。ふてくされちゃって、シラーッとしちゃいますからね。
 何で騒いでいるのか、把握してから注意しないといけない。
「前の授業が大変だったかもしれないけど、そろそろ気分を切り換えたら?」
45分、じっと話を聞いているのは、大変だと思うけど」
とか言ってあげると、「○○先生の授業は聞こう」となる。
 授業自体だって、テレビを見ているような感覚で聞いていますからね。おもしろくなければ「チャンネル替えちゃえ」みたいな、エンターテイメントとしての授業をものすごく要求されるわけですよ。
 たとえば、授業でビデオを見るとき「今日のは、ちょっとホラービデオになってるよ」と言うと「なんだろう、なんだろう」って、子どもは興味を示したけど、実際見たのは、食品添加物の安全性を考えるビデオ。
 教科書や参考書に書いてあることだけでなく、子どもたちが好きそうな言葉を使ってあげたり、最近話題のテレビの話を織りまぜないと、ついてこない。
 教材研究はもっぱらテレビでやっています。ドラマでも、クイズでも、お笑い番組でも、よく見るようになりました。
 いま、テレビではどういう情報が流れているのか。家庭ではどんなことが話題になっているのか。それを全部想像して、授業でしか教えられないことはいったい何だろうって考えるんです。
 たしかに時間も手間もかかるけど、わたし自身、そのほうがおもしろい。
(
森口秀志:1966年東京都生まれ、フリーライター、エディター。大学在学中から教育・音楽・若者文化等をテーマにルポを発表)

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