カテゴリー「授業のさまざまな方法」の記事

一斉授業で、一人ひとりの子どもを生かしていく方法がわからない、どうすれば意欲を高め、生かせるのか

 一人ひとりの子どもをよく知って、その能力を授業で最大限に伸ばすことが教師の責務である。
 実際には、一斉授業で教師が子どもたちに課題を投げかけたとたん、一人ひとりが、個性的に、理解程度に応じて自らの考えを働かせる。
 教師が、子どもたち一人ひとりの思考を、教師が確実に把握して、授業でどう生かすか、その方法を見通しておくことが大切である。
 一人ひとりを生かすポイント(視点)は、一人ひとりの子どもが
1 個性を生かして授業に参加する
 算数や理科の学習は、答えを一つに導き出す過程で、子どもたち一人ひとりのさまざまな見方や考え方を大切にする。
 お互いの考えを交換し合う場を設定すると、それぞれの考えが生かされて多様な解決の方法が発見できる。
 一つの見方にとらわれることなく、どの子どもの考えも大切にして、いろいろな角度からの考え方を授業で取り上げることが個性を生かすことになる。
(1)
一人ひとりの子どもが、自分の考えを素直に出し合える学習活動の場をもうける
(2)
子どもの考えを出させる場合、教師の意見に流されないように、まず、子どもから考えを出させる
2 子どもの能力を生かす
 それぞれの能力にあった学習の成果を上げるようにする。
(1)
子どもの把握
 子どもたち一人ひとりの
「理解・解決するまでの時間」
「既習の知識・経験」
「興味・関心の度合い」
の違いを把握していると、一斉授業の中で適切な機会をとらえて援助できる。
(2)
コース別による学習形態の工夫
 理解を主とした学習では「早く分かる」「まだ分からない」など、理解状態に応じた学習コースを構成しておく方法もある。
(3)
小集団活動の利用、能力別編成
 技術的な面では、能力別のグループ学習が有効である。
 学習内容に応じて柔軟に編成し、固定化しないように配慮する。
 子どもの意欲を高める授業をするには、
1 興味・関心を呼び起こし行動してみたくなる好奇心をそそる課題を与える
(1)
自分の能力で解決できる能力にあった課題
(2)
好奇心をかき立てる新しい課題
(3)
学習する手順、過程が見通せると自分でやれる自信が生まれる
(4)
直ちに努力の結果が知らされる喜び、成功感・成就感が味わえる
2 学習意欲を高める学級経営
 学習意欲は、学級の雰囲気によって左右されやすい。学級意欲を高める学級経営のポイントは、
(1)
認め合う学級
 全ての子どもを教師が認め、子ども同士が一人ひとりの活躍を喜び合えるようにする。
(2)
分かる授業をする学級
「分かった!」という満足感や成就感を与えられる授業をする。
(3)
安心感のある学級
 学習上の不安、友だち関係の不安、先生との問答への不安などのない学習活動にする。
3 学習指導の工夫
 学習意欲とかかわる欲求には例えば「好奇心」「活動」「探索」「達成」「承認」「自己実現」などがある。
 子どもの活動の様子をとらえて、あの子は、どのような欲求を刺激すると学習意欲が高まるのか判断するとよい。
(1)
適切な目標を与える
(2)
疑問や矛盾を感じさせる
(3)
「やった!」「できた!」の経験をさせる
(4)
子ども自身に資料を集めさせる
(
関口 寛:1931年生まれ、宮城県教育研修センター指導主事を経て元仙台市立小学校長)

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自分らしさを発揮でき、一人では考えつかなかった答えにたどり着く、対話のある授業は、どうすればできるか

 私の授業の最大の特徴は「対話・話し合いのある授業」だということです。
 授業の初めに「今日は、話し合いをします」と言うと、子どもたちは「ヤッター」と一斉に歓声を上げます。
 ある子が話し合いについて、つぎのように作文に書いています。
「話し合いが好きになりました。自分らしさを発揮できるからです。教室の中で、そんなことができるとは思っていませんでした」
「クラスのみんなで考え、考え合う。そして、一人では考えつかなかった答えにたどり着く。その瞬間が特に好きです」
 それに、じっと座って先生の話を聞くのではなく、お互いが、自分らしさを発揮し合える学び、が楽しいのでしょう。
 話し合いでは、答えが分裂するようなテーマを用意します。大きくわけて、次の2種類があります。
(1)
正解のないテーマ
 例えば「奈良の大仏は、もっと小さくてもよかった」といった、正解のない、話し合ってお互いが納得しあうテーマです。
(2)
正解のあるテーマ
「筆者のいちばん言いたい段落はどこか」といった、正解のあるテーマです。
 白熱した話し合いを生み出すために、次のような流れで話し合いをさせます。
(1)
テーマを理解させる
(2)
立場を決めさせる
(3)
理由を箇条書きで書かせる
(4)
同じ立場の者同士で話し合いをさせる
(5)
違う立場の者同士で話し合いをさせる
(6)
振り返りを行う
 話し合いの授業のスタイルは、次の4つがあります。
(1)
ペア学習
「よりよい話し方」や「聞き方」という対話の基本を指導し、実際に対話を体験させます。
 繰り返すことで、友だちとの人間関係もより良いものになっていきます。
(2)
グループ学習
 グループで協力することの良さを体験します。
 協力することの良さを実感した子どもたちは、話し合いにきちんと参加し、すすんで自分の考えを表現しようとします。
(3)
ディベート学習
 言い始めた人が立証する責任をもち、質問と反論をして判定します。各持ち時間は1分程度である。
 不満だけを言っていればよかった子どもの日常の生活から、一線を画した話し合いの世界が展開される。
 競い合いのある話し合いの中で、教えてもらったり、気付かせてもらったりします。
(4)
自由対話
 考え続ける楽しさやすばらしさを実感できるようにします。友だちの様々な考えに触れることにより、より良いものを考え続ける力が育っていきます。
 話し合うためには技術的なことももちろん必要ですが、友だちとの関係性が良くなっていくことが何よりも大切です。
 様々な機会で「ほめ合っている」「心が通じている」「相手の気持ちが想像できるようになっている」という土台があってこそ、安心して自分の意見を人前で堂々と言うことができるのです。
 何のために話し合うのか、どのような話し合いが望ましいのかということを、体験をとおして日常的に学んでいくのです。
 ただ意見を言えば良いのではありません。学級全員が一人残らず参加者となり、お互いの良さを引き出し合い、新しい考えや納得した意見を導き出し合うような話し合いができることが目標です。
(
菊池省三:1959年生まれ、 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞
)

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子どものやる気を最大限に引き出し自立を促す、バラエティ番組を参考にしたMC型授業とは

 最近のテレビのバラエティ番組の多くは、仕切ることがうまい芸人が司会者(MC)になり、ひな壇の芸人に話を振って、面白い話を聞き出す形で進行していきます。
 その原型を作った一人が明石家さんまです。
 さんまさんの番組を見ていると、MCは、出演者を順番に指名しながら、面白い話を大笑いしながら聞いているだけのように見えます。
 しかし、さんまさんは、話を広げたり、上手に話を引き取って別の人に振ったり、突っ込みを入れたり、だれてくると話題を大きく変えたりと、出演者を自在にコントロールしている。
 さんまさんの立つ位置は、話が盛り上がってくると発言者のすぐそばまで行って大きくうなずいたり、突然振り返って別の人に話を振ったり、せわしなく動きます。
 すると、出演者もどんどん乗ってきて、さんまさんの手のひらの上で踊らされて、話すつもりのなかった話まで披露してしまうのです。
 このMCとひな壇芸人の関係を授業に応用できないかと考えたのが、MC型授業の始まりです。
 MC授業で大切なのは、教師が「なんでもあり」という姿勢を見せて、子どもたちが、どんな意見でも出してみようという雰囲気を作ることです。
 子どもが何かを話す。それを受けて、私が「それって、どういうこと? 詳しく説明して」と興味を示す。
 その子が説明できなくても、別の子が引き取って「こういうことだと思う」と話し始める。
 詰まったら私が助け船を出す。そうやって話の輪を広げていく。
 途中で話が途切れそうになったら、クラスの中のしゃべり好きな子に振る。
 正解だけを求めているわけではないのです。
 私が考える教育とは、子どもが自分の頭で考えたことを、クラスの仲間と話し合って、自分たちで判断して正解に近づいていくことです。
 それが自立につながります。世の中に出れば、いやおうなく自分で正解を探すことになるからです。学校は社会で生きる力を身に付ける場所なのです。
 それなのに教師が「答えは?」と子どもに聞いて、違ったら、別の子どもを指す。正解が出なければ正解を教える。
 そのような受け身の姿勢で教師から知識を授けてもらうという授業の形が、正しい教育につながるとは思えません。
(
沼田晶弘:1975年東京都生まれ、アメリカのポールステイト大学職員を経て東京学芸大学附属小学校教師。教育関係のイベント企画を多数実施し、企業向け講演も行う
)

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子どもたちの「学びからの逃走」や「学級崩壊」をどう克服していけばよいか

 私は、子どもたちの「学びからの逃走」をどのように克服していくか、「学級崩壊」の場に直面したとき、どう対処したらよいかを研究しながら教育実践に取り組んでいる。
 現代の子どもは「はい勉強です、静かにして」と言ってもだめです。集中させるには、あらゆるところで、子どもたちに推理・想像をはたらかせるように仕向けることが必要です。
 子どもたちに「どうしてだろう、なぜだろう」という内的な緊張がなければだめだ。
 例えば、地理の勉強でも黒板に少しだけ線を書いて「はい、これは何県ですか」聞くと、初めは「分からない」というが、そのうち「海はどっちですか」とか本質的な質問が出てくる。
 また質問が幾度かあって当てる。そうすると、子どもたちは主体的に勉強しようという姿勢になる。
「問いつつ学ぶのが学問ですが、みんなは問いながら分かったのだから学問ができてる」といってあげると、子どもたちは心底から喜ぶ。
 それを「はい、今日は〇〇県の勉強です。初めに地形は・・・・」なんてやってはだめ。授業の初めの10分間が面白くなかったら、今の子どもはだめ。授業は初めが全てとも言える。
 私は、学問は現実の自然から生まれてきていることを、子どもたちに分からせたい。例えば、理科は毎日の暮らしのなかから工夫が生まれることに気づく。
 算数もいろんなものを数えることから起こる。例えば、水の量を数えるために容器に入れて数えることが考え出された。大きな箱と小さな箱とを考えると小数の計算につながるとか、いちばん初めに自分の身の回りをよくみなさいというところから始めた。
 私は、荒れた学級を担任したが、暴力を振るう子がいたり、立ち歩きはふつう、一切発言なんかしない子とか大変だった。しかし、その子たちを一度も叱らなかった。
 クラスで議論したかったが成り立たない。そこで、みんなに紙に書いてもらい、この意見についてどうなんだという形で進めた。それを繰り返していくうちに、問題を起こした子も態度が変わっていった。
 この子たちが変わっていった根本の理由は「先生は、楽しくさせてくれたから」だと言った。
 教育の仕事は、できる・分かるだけでなく、楽しいということが実感できるような内容にしていかないと、学びから逃走している子を、教育の中に入れることはなかなかできない。
 私は、基礎基本的なことを、豊かに学べるようにすることに、一貫して関心を持ってきた。もう一つは対話とか推理・想像が重要だと考えている。
 授業は、子どもたちがただ静かに座って聞き、考えるのではなく、わくわくしながら子どもが身体を使って参加できるところに値打ちがあると思う。
 私は「教えたいことを、教えるのではだめだ」という考え方を持っている。
 例えば、山に登るのにロープウェーで登るように、やり方だけ教える。これでは子どもたちの成長にプラスにならない。汗水流して登っていき、ときには道を間違え、やっとたどり着くと、筋力も判断力も育っていく。
 歴史の授業では徹底的に推理・想像を働かせることにしている。
 例えば、奈良時代では、唐へ行った人たちは、いったいなんのために行ったのだろうと考えさせる。答えの根拠も聞いていく。すると食べ物を知るため、町のようすなど答える。
 そして教師がヒントを示す「実は行った人の中には貴族、坊さん、学生がいた」と。子どもたちは政治、仏教、文化と答える。
 私は「海をどうやって渡ったのかな」と聞く。つぎにルートを考えさせる。さらに「船にはどんな人たちが必要か」「どんな困難があっただろうか」など考えさせる。
 答えなんか間違っていてもかまわない。推理・想像が大切である。
 授業は対話形式が良い。小学校から大学までずっとこういう授業をやっていくと、第一線の科学者レベルに達するのではないか。
 学校では時間が限られているので、最も大事なこと、本質的なことが分かれば、あとははしょる。時間をかけることと捨てることを仕分ける必要がある。
 私も初めのころは、問いと答えみたいな展開をやっていた時期がある。それては子どもの意見を本当に大事にするような授業はできなくなる。
 教師の発想を超えた子どもの意見こそが授業を深めていく。その発言から展開すれば本質的なものが見えてくる。 
 授業で育てたい力は
(1)
勉強、学問の世界はどんなに面白い世界かということを子どもに体験させ、成功すれば「学びからの逃走」とか、いろんなことは解決していく。
(2)
推理・想像する楽しさを獲得した子どもは、人の話を聞くことが身につくようになる。文化に接し面白い世界に入っていける。
(3)
学習は、実際の生活、人間が見えてくる学習でないとだめだ。
 自然の法則が世界の中で貫かれていることを発見することによって、学習する意味も出てくる。もっといっぱい勉強したいという気をおこさせることだ。
 文化の担い手になりたい、自分も何か発明・発見をして世の中の役に立ちたいというような思いを持つことも大切である。
(4)
リアルにものをとらえること。ものを見るには必ず視点、焦点がある。点が大事。
 漠然と見るのではなく、針の穴みたいな点から入っていくほうが、よく分かっていく。こだわって見ていくと実態に迫ることができる。 
 ある時期まで日本の教育は、教師が子どもを従わせてきた。ところがそれではにっちもさっちもいかない。
 したがって、子どもは教師から独立した存在であるというところから出発しなければ教育は創れないということだ。納得とか合意とかを大事にしなければならない。
 授業そのものを変えていかなければならない。日本の教育が本当に再生する時期に入ってきていると思う。
(今泉 博:1949年生まれ、東京都公立小学校教師を経て北海道教育大副学長(釧路校担当)、「学びをつくる会」などの活動を通して創造的な授業の研究・実践を広く行う) 

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子どもが楽しむ笑いのある授業にするには、どう演出すればよいか

 授業をしている教師は脚本家であり舞台監督であり、演出家でもあると私は思っています。
 授業のシナリオを書き、必要な環境を準備し、子どもの動きや反応に向き合いながら、子どもが夢中になってくれるよう演出していく。
 遊び心を持ってつくる授業にはその思いの分だけ熱のようなものがこもります。
 その熱が子どもに伝わるからこそ、子どもたちが夢中になる授業が実現できるのではないか。そう思って様々な演出を夢中で試行錯誤しています。
 作文の授業で、私が次の一文を板書します。「悲しくて(    )歩いていました」
 さて、この(  )の中にはどんな言葉が入るかな、と聞くと(トボトボ)と書いた子どもがいました。
 その子どもを指名して前に出てきてもらい「どんな感じなのか歩いてみてくれる?」と実際にみんなの前でやってもらうと、その子は肩を落として、下を向いて、歩いてくれました。
 すかさず私が「確かに悲しそうやなあ」とコメント、子どもたちから笑い声がおき、教室がわきました。
 動作やジェスチャーなどを子どもたちにさせることは、授業を盛り上げる一つの演出になるのです。
 授業中に子どもを指名して発表させるとき、私は状況によって次のように使い分けるようにしています。
(1)
賛成か反対か挙手させる
(2)
まず、意見をノートに書いて、それを読みながら発表させる
(3)
隣同士で話し合いを合をさせてから、どちらか一人に「ペアの意見」として発表させる
(4)
意見が分かれたら人数の少ないほうから発表させる
(5)
一つの列を選んで順番に発表させていく
(6)
言いたい子全員を立たせて発表させる
(7)
教師は指名せず、言いたい子どもに自分で起立して発表させる
 授業中、脱線気味の子どもを注意すれば教室の空気が壊れることがあります。
 同じ子どもに何度も注意していると、次第に空気が淀んできます。クラスの雰囲気を壊さないために、「さっぱりとしたユーモア」を交えて次のように注意するようにしたのです。
「○○ちゃん、もし次、後ろ振り向いたら、きみの真横に森川先生のパネルを立てるから」
「○○ちゃん、スイッチ押したら、穴があいて落ちていくよ」
 笑いの素材は「子どもの言葉」の中にあります。授業における「笑い」で大切なのは「子どもの言葉で笑わせる」ということです。
 笑いをつくるきっかけは教師のツッコミであっても、笑いの主役はあくまで「子ども」にしたいと思うのです。
 子どもがツッコミを入れるからおもしろいのです。例えば、赤ちゃんの話は私のクラスの子どもたちの大好物です。少し、いたずらを仕掛けてみましょう。
「高い高~い。かわいいよね。赤ちゃんは。○○くん、きみもこうやって大事に育ってきたんやで~」「ほ~ら、高い、高~~~い」天高く赤ちゃんを放り投げるジェスチャー。
 子どもたちは、間髪入れずに「あかんやん」クラス中が大爆笑です。
 ここでこの子なら「こう言ってくれるだろう」「こんなことをしてくれるはず」というようなことを想像できるのは担任だけです。
 そのために、授業中の空気をよみとり、その子がお笑い担当なのか、笑いの受け手側にいるのか。子どもの性格や、生活の調子がいいときか、悪いときか、細かな観察が必要です。
 言葉に温かく対応できるクラスをつくろうとする教師の思いが、教師のツッコミを生み、笑いにつながる「子どものひと言」を生むのです。
 子どもたちが一番聞きたいのは自分のことやクラスの友だちが出てくる話です。
 話の中に個人名を入れて、鮮度が高いうちに具体的なエピソードを話してみましょう。子どもたちの食いつきは明らかに変わってくるはずです。
 教師の話し方を磨いてくれるのが、子どもたちの反応です。大きな笑いが起こった。反応が薄かった。子どもたちの様子を見て、ウケた話は記録しておくようにして、次に生かします。
 子どもたちが話を聞くとき、教師が一方的に話をすると、途中で飽きてしまうことがあります。そうならないようにするには、どうすればよいでしょうか。
 例えば、教師が子どもに「わかる? わかるよね? どうなったか!」といった「話の中に共感できる」ことが出てくれば、子どもたちを話に巻き込むことができます。話すときは「共感」の飛び石を置きましょう。
 話力をつけるために大切なことは、日ごろから「ストーリー思考」でいることです。
 遭遇したおもしろい話を「いかに子どもたちにリアルに話すか」を念頭に置きながら頭の中で話すことをくり返します。
 子どもたちはここで笑ってと、冒頭からオチまでをまず考えます。私は毎日のように、どう話したら子どもたちが笑ってくれるだろう、ということを考えています。
 授業で、うわあ、これはうまい伝え方だなあ、子どもがノッているなあ、という場面では必ず「話し方」に工夫があります。
 教師がそれまで蓄積してきた技が凝縮されてその空気をつくりだしているのです。話がうまくいったときはメモをします。常に意識していなければ話し上手になることはありません。
(
森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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授業でグループ学習を取り入れると子どもの学習意欲が増す、グループ学習の種類と留意点はなにか

 授業中にさまざまな学習方法をとることで、授業にめりはりが生まれる。子どもの活動が増え、学習意欲が増す。
 子どもを生かすことを考えて、小グループ学習を取り入れた授業を工夫してみたい。
1 小グループ学習の種類
(1)
小グループ学習
 4人ぐらいのグループで、助け合って共同で学習を進めていく。教師はグループのリーダーに学習課題をしっかり把握させ、メンバーが協力するように働きかける。
(2)
ペア学習
 となりの子と協力しながら学習を進める。例えば、答えを考える、音読し合う、話し合う。演奏をし合う、といった学習が容易に展開できる。
(3)
バズ学習
 6~8人ぐらいのグループにして、課題を討議し、意見を言い合いながら学習を進める。
 意見交換が中心となるので、話し合いのかじとりをしたり、まとめたり、意見の対立を調整したりする司会の子どもの役割が大切になる。
(4)
解決方法の類型に別れてグループ学習をする
(5)
テーマや課題が同一の子どもが集まってグループ学習をする
2 グループ学習を進めるときの留意点
(1)
役割を明確にしておく
 リーダー、まとめを発表する子、記録を取る子など必要な役割はあらかじめ決めておく。
 それぞれの役割の子どもが、どのような仕事をするかについても、事前に指導しておく。
(2)
活動の様子を把握する
 活動の際、グループに埋没してしまったり、リーダーに追従しているだけといった子どもが出ては、逆効果である。
 グループのメンバーが、それぞれ考えを述べて活動できているか、教師は指導に努める必要がある。
(3)
役割は交替で
 まとめを発表する役割などは交替させて、一人でも多くの子どもがいろいろな体験をすることができるように配慮する。
(
石塚清司:元埼玉県公立小学校校長)

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百ます計算などの陰山式学習法は、どのようなものだったのか

 陰山英男が兵庫県朝来町立(現在は合併により朝来市立)山口小学校在職当時、同僚教師や保護者なども巻き込んで基礎学力向上のためのメソッドの開発を進め、岸本裕史先生が提唱した百ます計算やインターネットの活用、科学実験、そして日常の生活を見直すチェックシートの活用など、さまざまな工夫を重ねて、成果を上げる。
 陰山学級の国語と算数の偏差値が全国平均を大きく上回った。山口小学校を卒業した陰山学級で学んだ50人ほどの子どもたちが、1999年高校を卒業し、その2割が国公立大学に合格した。NHKのクローズアップ現代に取り上げられた。
 百ます計算は足し算、引き算、かけ算、割り算の四種類があり、低学年用には、25ます計算や64ます計算もある。
 任意に記された縦・横10個の数字を、ます目にそって左から右へ、全部で100個の計算を解く。そして同じ数字が配列された問題を二週間、学校と家庭で行い、計算速度を記録する。
 目標タイムの基本は二週間で初日の半分に縮めること。もしくは、2分(割り算の場合は5分)にすること。できた子どもの所要時間を告げる。
 
「まだまだ君たちのタイムは伸びる」と子どもたちに言う。早くできた子どもは、プリントを裏返し、同じ数字を10回足したり、引いたりする「エレベータ計算」を始める。
 数字は百ます計算を始める前に黒板に書いておく。百ます計算で得られることは、計算力アップで子どもに自信をつけさせること。集中力をやしなうこと。
 特に勉強ができない、行動に問題のある子どもたちは元となる計算力が弱いぶん、成長するときは格段の伸び方を示す。百ます計算は、陰山は岸本裕史先生より学んだ。学年ごとに段階的に百ます計算を進展させる。
 新しいクラスを担任すると、陰山は子どもたちに
「これから、この百ます計算のプリント(同じ数字の並びを毎日やることが大事)を、時間を測ってやってもらいます。先生は予言します。2週間後にあなたたちのタイムは半分になっています」
と言うと、子どもたちは半信半疑で取り組みますが、陰山は経験的にそうなることを知っています。
 百ます計算の時間が短くなっていくと子どもたちをほめます。ほめると子どもたちはやる気になってまた伸びます。子どもたちは自信ができると、意欲的になり、飛躍的に成長します。百ます計算によって鍛えられた集中力によって思考力も伸び、文章題も解けるようになります。
 百ます計算を実践しても効果がでないのは、百ます計算の本質を知らないまま使っているからだと陰山は言います。
 学力をつけるには、まず子どもたちの生活習慣を健全(早寝・早起き・朝ごはんを食べる)にして、そのうえで基礎基本の学習と読み書き計算のトレーニングを行い、さらに多様な学習をするようにする。そのことをしっかり理解してほしいと述べています。
 百ます計算さえさせればよいと、早寝・早起き・朝ごはんの正しい生活習慣なしに、寝不足のまま、朝ごはんも食べないで百ます計算をさせたらキレる子どもがでてきても不思議ではありません。
 百ます計算を行うことで子どもが伸び始めると、それを見て保護者も変化し、学校の言うことを信じて子どもの生活習慣を正してみようと協力的になると陰山は言います。
(
陰山英男1958年生まれ、元兵庫県公立小学校教師、広島県公立小学校長を経て、立命館小学校副校長、立命館大学教育開発推進機構教授。元大阪府教育委員委員長)

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国語科:授業の時間の配分は子どもに決めさせ、読解は子ども同士と言葉をつなげよう

 教師はなるべく言葉を発しないで、進行は子どもたち自身がする。それが岸田流「子どもを育てる国語」だ。
 6年生の子どもたちは、教科書にある「海の命」(立松平作)を読んだ。魚のクエを捕ろうとして海で死んだ父と同じように漁師になった太一は、村一番の漁師と呼ばれるまでになった。
 ある日、海で父の命を奪ったであろうクエに出会い、捕るかどうか葛藤する物語だ。
 始業のチャイムと同時に、この日の課題「村一番なのに、なぜ太一はクエをうたなかったの?」が、黒板にはられた。
 子どもたち各自の机には全文がコピーされた紙が置かれている。課題を探る手がかりを青色で線や書き込みを紙にするのだ。
 岸田「何ページにもわたる教科書では、線と線をつなぎ、キーワードを結ぶことができません。だから、全体がひと目でわかるコピーを使います」
 岸田「大切な課題だね。では、『一人学び』から始めます」とひと言いった。
 この日の書き込みは全員が「青色」です。だが、単元の最初の授業はオレンジ色だった。最後は赤色にする。読み込めるようになる後の授業ほど、目立つ色になる。これは、子どもたち自身が考え、色の順番を決めた。
 10分後、指示もないのに数人ずつが机を寄せて「グループ学び」を始めた。
 黒板には、10分「一人学び」、5分「グループ学び」、25分「全体学び」、5分「振り返り」と書いた紙がはってある。
 45分授業の時間配分も、単元ごとに子どもが決めるのだ。
 岸田「学期の後半ほど全体学びの時間が増えます。グループも前回は生活班、今日は縦割り班、違う人の意見も聞きたいと子どもが決めました」
 教師は教室を回り、戸惑っている子どもに声をかける。
 全員がいすを持って黒板の前に出た。「全体学び」だ。
 男の子が前に出て、黒板に貼られた全文拡大コピーに太い青色ペンで線を引き「『大魚は、この海の命だと思えた』とある。太一は瀬の主であるクエを殺したら、自分も海で生きられなくなると思ったんじゃないか」と、説明する。
 今度は女の子が二つの言葉をペンで囲み、つなぐ。「私もそう思う。この『自由な世界』と『海の命』はつながっている」
 「そうかな。私はクエをおとうだと思って殺さなかったと思う」
 教師「でもクエはお父さんを殺したんだよ」教師も座っているときは、子どもと同等。立っている時だけ「先生」になる約束だ。
 「えー!」「でも!」「違う!」「海の命が太一を試したんだ」
 白熱する議論に、子どもたちの心拍数も上がっていく。
 25分でタイムアウト。みんな自主的に席に戻り、ノートに課題の答えと感想を書く。
 言語活動を通して読解を進める方法は、新学習指導要領のめざす内容だ。
 教師「読解に正解はない。考えを交流させる素晴らしさを感じてほしい」
 授業で「つなぐ」のは、子ども同士の議論だけではありません。今回の単元なら「命」や「漁師」という言葉もつないで広げたい。そこから連想する言葉をどんどん放射状につなげて書いていきます。出た言葉のうち関連のあるものを線でつないだり、さらに浮かぶ言葉を周囲に書いて、どんどん網の目のように広げていきます。
 それを授業で読み深めた後、再び「命」と「漁師」でつなぐ。そうすると、出てくる言葉や広がりがまったく違う。言葉がつながり、生きてくる。量だけでなく、質が高まります。
(
岸田 薫:横浜市立小学校教師を経て横浜市教育委員会指導主事)

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私の生き方は仮説実験授業によって育てられた

 私の生き方は仮説実験授業によって育てられたといっても間違いなと思います。私のすべての活動は仮説実験授業の思想を腹の中にたたき込んでやっている、と自分では思っています。でもそれはべつに難しいことを言っているわけではなくて、簡単に言えば「押しつけを絶対にするな」というここと「楽しく生きよう」ということです。この2つをいつも頭に描きながら人生を楽しんでいます。
 仮説実験授業は1963年に板倉聖宣によって提唱されました。例えば「50gの粘土(ピンポン玉の大きさ)0.4gの粘土(小豆くらい)があります。これを2mの高さから落としたらどちらが先に落ちるでしょうか」という問題を、「50gのほうが速い、0.4gのほうが速い、どちらも同じ」の結果の予想(仮説)を立て、みんなで討論し、結果(答え)を実験で確かめていくことを繰り返して、科学(自然科学、社会の科学)の基本的な概念や法則を教える授業です。
 私が仮説実験授業に初めて出会ったのは、1964年に成城学園で研究会に参加したときだった。「子どもたちがびっくりするような、喜ぶ授業がしたい」とずーっと思っていたときに庄司和晃さんの「ふりこと振動」の授業を見た。「こんな授業が世の中にあったのか」と、そのひと言に尽きるぐらい感動した。私が一番感動したのは子どもたちの討論。しかもその内容でした。「へえー、子どもたちがこんなすごいことを考えるのか」とね。そして実験が始まると、その時の子どもたちの真剣な顔。実験結果が出たときの子どもたちの「ヤッター!」という喜びと歓声でした。
 実際に授業をしてみて、そのすごさが少しずつわかってきた。私は当時5年生を担任していて「ものとその重さ」と「ばねと力」をやった。私自身は授業が楽しくて仕方がなかったし、何よりも子どもたちの感想文を読んでもすごくよかった。観ている教師も「なるほど、これはたいしたもんや」と思った。
 「いったいオレは今まで何しとったんやろか」と考えさせられた。私は理科の教師やと思っていたから、子どもたちに実験をよくさせていたんです。ところが、仮説実験授業はほとんど教師実験でしょ。それなのに、子どもたちは「実験があるから楽しい」ということをこの授業の中で見つけたわけですよ。
 子どもたちに感想文を書かせたら「今までの先生の実験は面白くないけども、この実験はすばらしい」と、言いよったんです。仮説実験授業を受けた子どもたちによって私のものの見方考え方が大きく変わっていった。子どもたち自身がこれだけすばらしいことを考えたりできることを子どもたちに教えられた。
 私は子どもたちに、主体的に生きていける人間になって欲しいと思っています。仮説実験授業自身が民主主義のルールにもとづいていて、子どもたちが自然にハダでそのことを体得していけるようになっている。例えば、他人の意見を聞いて自分の意見を言えるとか、少数派であっても正しいことは正しいのだと認識するとか、相手を説得しようと頑張るとか、予想をたてて考えることの大切さ、楽しさ、そしてそのことが正しいかどうか実証してみない限り信用してはダメだとか、そういうことが仮説実験授業を通して身につき、将来社会に出てからも主体的な生き方ができると考えています。
(
渡辺慶二:1933年京都市生まれ、元私立四条畷学園小学校教師。研究会で板倉聖宣と出会い、生き方として仮説実験授業を実践した)

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授業でコミュニケーション力をつけるにはどのようにすればよいか

 授業を通してコミュニケーション力をつけさせたいと考えたとき、私は、まず一対一のペア学習から始めるのがよいのではないかと考えます。ペア学習のねらいは、進んで友だちとかかわり合おうという気持ちを育てる。話し合いをするための土台になるような、よりよい話し方・聞き方を身につけることです。
 最初のうちは「なぜペア学習を行うのか」目標を必ず教師から伝えるようにします。例えば「発表するための準備をする」という目標を事前に子どもたちに伝えておけば、ペア学習に取り組まなかったり、話が横道に脱線しすぎたりすることもなくなるはずです。
 ペア学習を続けることで、ふだんの子ども同士のかかわり方も少しずつ変わってきます。特定の友だちとしか話をしなかった子が、他の子とも楽しそうに話をするようになってきたりします。少しずつですが、子どもたちの人間関係が変わってきます。
 コミュニケーション力とは、意味を的確につかみ、感情を理解し合う力のことです。「意味を伝え合う」ためには、きちんと話を聞いたりすることができること。「感情を伝え合う」ためには、非言語でのコミュニケーションも大切になってくるでしょう。このようなことは、放っておいてできるようになるものではありません。だからこそ、はじめ段階ではペアでのコミュニケーションの機会をもち、学習中にきちんと教師が指導していくことを心がけるべきです。
 ペアという最小単位でのコミュニケーションだからこそ、教師も子どもも、指導したことができたか、できないかがわかりやすい。また、ペアの相手を変えたりして繰り返し指導することも可能です。
 ペア学習の最初のうちは、非言語のところを重視し、よりよい人間関係をつくるための関わり方を大切にしていった方がよいと感じます。例えば、最初と最後に「よろしくお願いします」「ありがとうございました」を言う。お互いに向き合う、うなづく、あいづちをうつ。笑顔で話す・聞く。身ぶり・手ぶりをつけて話す。これらのことをルール化して、全員が行うようにします。頑張っている子を教師が認め、他の子に少しずつ広げるようにしたい。
 次第に子どもたちが慣れてきたら、友だちの発言にひと言感想を返す、質問をする、発言をつなげる等も、徐々に教師から教え、子どもたちにさせてみましょう。
 ペア学習のコツは、はしめの段階では、きちんと教師から教えることが大切です。ペア学習の後に、がんばったところ、次にがんばりたいところなどを子ども自身がふり返ることも大切です。
 ペア学習でコミュニケーションに少しずつ慣れてきたら、次はグループで学習する機会を増やしていきます。グループ学習で多人数とのコミュニケーションを経験させるようにしましょう。
 ねらいは、多くの友だちと協力することのよさを、体験を通して実感させることです。まず4人程度のグループ学習を行ってみましょう。協力することのよさを実感した子どもは、クラス全員で学習するときでも積極的に協力できるようになるものです。
 グループ学習のコツは、積極的に発言することが難しい子どもがいるので、どの子どもも発言しやすい雰囲気をつくるため、初めのうちは、「『いいね、いいね』を合い言葉にしましょう」「よい話し合いのポイントは笑顔です」といった、出てきたすべての意見を認めるような態度や声かけを増やしていきましょう。
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菊池省三:1959年生まれ 福岡県公立小学校教師 全国コミュニケーション教育研究会会長 全国教室ディベート連盟研究開発委員 NPO授業づくりネットワーク理事 実践教育研究21サークル代表 菊池道場主宰 北九州市すぐれた教育実践教員表彰 福岡県市民教育賞受賞)

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