カテゴリー「授業のさまざまな方法」の記事

国語科:授業の時間の配分は子どもに決めさせ、読解は子ども同士と言葉をつなげよう

 教師はなるべく言葉を発しないで、進行は子どもたち自身がする。それが岸田流「子どもを育てる国語」だ。
 6年生の子どもたちは、教科書にある「海の命」(立松平作)を読んだ。魚のクエを捕ろうとして海で死んだ父と同じように漁師になった太一は、村一番の漁師と呼ばれるまでになった。
 ある日、海で父の命を奪ったであろうクエに出会い、捕るかどうか葛藤する物語だ。
 始業のチャイムと同時に、この日の課題「村一番なのに、なぜ太一はクエをうたなかったの?」が、黒板にはられた。
 子どもたち各自の机には全文がコピーされた紙が置かれている。課題を探る手がかりを青色で線や書き込みを紙にするのだ。
 岸田「何ページにもわたる教科書では、線と線をつなぎ、キーワードを結ぶことができません。だから、全体がひと目でわかるコピーを使います」
 岸田「大切な課題だね。では、『一人学び』から始めます」とひと言いった。
 この日の書き込みは全員が「青色」です。だが、単元の最初の授業はオレンジ色だった。最後は赤色にする。読み込めるようになる後の授業ほど、目立つ色になる。これは、子どもたち自身が考え、色の順番を決めた。
 10分後、指示もないのに数人ずつが机を寄せて「グループ学び」を始めた。
 黒板には、10分「一人学び」、5分「グループ学び」、25分「全体学び」、5分「振り返り」と書いた紙がはってある。
 45分授業の時間配分も、単元ごとに子どもが決めるのだ。
 岸田「学期の後半ほど全体学びの時間が増えます。グループも前回は生活班、今日は縦割り班、違う人の意見も聞きたいと子どもが決めました」
 教師は教室を回り、戸惑っている子どもに声をかける。
 全員がいすを持って黒板の前に出た。「全体学び」だ。
 男の子が前に出て、黒板に貼られた全文拡大コピーに太い青色ペンで線を引き「『大魚は、この海の命だと思えた』とある。太一は瀬の主であるクエを殺したら、自分も海で生きられなくなると思ったんじゃないか」と、説明する。
 今度は女の子が二つの言葉をペンで囲み、つなぐ。「私もそう思う。この『自由な世界』と『海の命』はつながっている」
 「そうかな。私はクエをおとうだと思って殺さなかったと思う」
 教師「でもクエはお父さんを殺したんだよ」教師も座っているときは、子どもと同等。立っている時だけ「先生」になる約束だ。
 「えー!」「でも!」「違う!」「海の命が太一を試したんだ」
 白熱する議論に、子どもたちの心拍数も上がっていく。
 25分でタイムアウト。みんな自主的に席に戻り、ノートに課題の答えと感想を書く。
 言語活動を通して読解を進める方法は、新学習指導要領のめざす内容だ。
 教師「読解に正解はない。考えを交流させる素晴らしさを感じてほしい」
 授業で「つなぐ」のは、子ども同士の議論だけではありません。今回の単元なら「命」や「漁師」という言葉もつないで広げたい。そこから連想する言葉をどんどん放射状につなげて書いていきます。出た言葉のうち関連のあるものを線でつないだり、さらに浮かぶ言葉を周囲に書いて、どんどん網の目のように広げていきます。
 それを授業で読み深めた後、再び「命」と「漁師」でつなぐ。そうすると、出てくる言葉や広がりがまったく違う。言葉がつながり、生きてくる。量だけでなく、質が高まります。
(
岸田 薫:横浜市立小学校教師を経て横浜市教育委員会指導主事)

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子どもが楽しむ笑いのある授業にするには、どう演出すればよいか

 授業をしている教師は脚本家であり舞台監督であり、演出家でもあると私は思っています。授業のシナリオを書き、必要な環境を準備し、子どもの動きや反応に向き合いながら、子どもが夢中になってくれるよう演出していく。
 遊び心を持ってつくる授業にはその思いの分だけ熱のようなものがこもります。その熱が子どもに伝わるからこそ、子どもたちが夢中になる授業が実現できるのではないか。そう思って様々な演出を夢中で試行錯誤しています。
 作文の授業で、私が次の一文を板書します。「悲しくて(    )歩いていました」
 さて、この(  )の中にはどんな言葉が入るかな、と聞くと(トボトボ)と書いた子どもがいました。その子どもを指名して前に出てきてもらい「どんな感じなのか歩いてみてくれる?」と実際にみんなの前でやってもらうと、その子は肩を落として、下を向いて、歩いてくれました。すかさず私が「確かに悲しそうやなあ」とコメント、子どもたちから笑い声がおき、教室がわきました。動作やジェスチャーなどを子どもたちにさせることは、授業を盛り上げる一つの演出になるのです。
 授業中に子どもを指名して発表させるとき、私は状況によって次の使い分けるようにしています。
(1)
賛成か反対か挙手させる
(2)
まず、意見をノートに書いて、それを読みながら発表させる
(3)
隣同士で話し合いを合をさせてから、どちらか一人に「ペアの意見」として発表させる
(4)
意見が分かれたら人数の少ないほうから発表させる
(5)
一つの列を選んで順番に発表させていく
(6)
言いたい子全員を立たせて発表させる
(7)
教師は指名せず、言いたい子どもに自分で起立して発表させる
 授業中、脱線気味の子どもを注意すれば教室の空気が壊れることがあります。同じ子どもに何度も注意していると、次第に空気が淀んできます。クラスの雰囲気を壊さないために、「さっぱりとしたユーモア」を交えて次のように注意するようにしたのです。
「○○ちゃん、もし次、後ろ振り向いたら、きみの真横に森川先生のパネルを立てるから」
「○○ちゃん、スイッチ押したら、穴があいて落ちていくよ」
 笑いの素材は「子どもの言葉」の中にあります。授業における「笑い」で大切なのは「子どもの言葉で笑わせる」ということです。笑いをつくるきっかけは教師のツッコミであっても、笑いの主役はあくまで「子ども」にしたいと思うのです。
 子どもがツッコミを入れるからおもしろいのです。例えば、赤ちゃんの話は私のクラスの子どもたちの大好物です。少しいたずらを仕掛けてみましょう。
「高い高~い。かわいいよね。赤ちゃんは。○○くん、きみもこうやって大事に育ってきたんやで~」「ほ~ら、高い、高~~~い」天高く赤ちゃんを放り投げるジェスチャー。子どもたちは、間髪入れずに「あかんやん」クラス中が大爆笑です。
 ここでこの子なら、「こう言ってくれるだろう」「こんなことをしてくれるはず」というようなことを想像できるのは担任だけです。そのために、授業中の空気をよみとり、その子がお笑い担当なのか、笑いの受け手側にいるのか。子どもの性格や生活の調子がいいときか、悪いときか、細かな観察が必要です。言葉に温かく対応できるクラスをつくろうとする教師の思いが、教師のツッコミを生み、笑いにつながる「子どものひと言」を生むのです。
 子どもたちが一番聞きたいのは自分のことやクラスの友だちが出てくる話です。話の中に個人名を入れて、鮮度が高いうちに具体的なエピソードを話してみましょう。子どもたちの食いつきは明らかに変わってくるはずです。
 教師の話し方を磨いてくれるのが、子どもたちの反応です。大きな笑いが起こった。反応が薄かった。子どもたちの様子を見て、ウケた話は記録しておくようにして、次に生かします。
 子どもたちが話を聞くとき、教師が一方的に話をすると途中で飽きてしまうことがあります。例えば、教師が子どもに「わかる? わかるよね? どうなったか!」といった「話の中に共感できる」ことが出てくれば、子どもたちを話に巻き込むことができます。話すときは「共感」の飛び石を置きましょう。
 話力をつけるために大切なことは、日ごろから「ストーリー思考」でいることです。遭遇したおもしろい話を「いかに子どもたちにリアルに話すか」を念頭に置きながら頭の中で話すことをくり返します。子どもたちはここで笑ってと、冒頭からオチまでをまず考えます。私は毎日のように、どう話したら子どもたちが笑ってくれるだろう、ということを考えています。
 授業で、うわあ、これはうまい伝え方だなあ、子どもがノッているなあ、という場面では必ず「話し方」に工夫があります。教師がそれまで蓄積してきた技が凝縮されてその空気をつくりだしているのです。話がうまくいったときはメモをします。常に意識していなければ話し上手になることはありません。
(
森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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私の生き方は仮説実験授業によって育てられた

 私の生き方は仮説実験授業によって育てられたといっても間違いなと思います。私のすべての活動は仮説実験授業の思想を腹の中にたたき込んでやっている、と自分では思っています。でもそれはべつに難しいことを言っているわけではなくて、簡単に言えば「押しつけを絶対にするな」というここと「楽しく生きよう」ということです。この2つをいつも頭に描きながら人生を楽しんでいます。
 仮説実験授業は1963年に板倉聖宣によって提唱されました。例えば「50gの粘土(ピンポン玉の大きさ)0.4gの粘土(小豆くらい)があります。これを2mの高さから落としたらどちらが先に落ちるでしょうか」という問題を、「50gのほうが速い、0.4gのほうが速い、どちらも同じ」の結果の予想(仮説)を立て、みんなで討論し、結果(答え)を実験で確かめていくことを繰り返して、科学(自然科学、社会の科学)の基本的な概念や法則を教える授業です。
 私が仮説実験授業に初めて出会ったのは、1964年に成城学園で研究会に参加したときだった。「子どもたちがびっくりするような、喜ぶ授業がしたい」とずーっと思っていたときに庄司和晃さんの「ふりこと振動」の授業を見た。「こんな授業が世の中にあったのか」と、そのひと言に尽きるぐらい感動した。私が一番感動したのは子どもたちの討論。しかもその内容でした。「へえー、子どもたちがこんなすごいことを考えるのか」とね。そして実験が始まると、その時の子どもたちの真剣な顔。実験結果が出たときの子どもたちの「ヤッター!」という喜びと歓声でした。
 実際に授業をしてみて、そのすごさが少しずつわかってきた。私は当時5年生を担任していて「ものとその重さ」と「ばねと力」をやった。私自身は授業が楽しくて仕方がなかったし、何よりも子どもたちの感想文を読んでもすごくよかった。観ている教師も「なるほど、これはたいしたもんや」と思った。
 「いったいオレは今まで何しとったんやろか」と考えさせられた。私は理科の教師やと思っていたから、子どもたちに実験をよくさせていたんです。ところが、仮説実験授業はほとんど教師実験でしょ。それなのに、子どもたちは「実験があるから楽しい」ということをこの授業の中で見つけたわけですよ。
 子どもたちに感想文を書かせたら「今までの先生の実験は面白くないけども、この実験はすばらしい」と、言いよったんです。仮説実験授業を受けた子どもたちによって私のものの見方考え方が大きく変わっていった。子どもたち自身がこれだけすばらしいことを考えたりできることを子どもたちに教えられた。
 私は子どもたちに、主体的に生きていける人間になって欲しいと思っています。仮説実験授業自身が民主主義のルールにもとづいていて、子どもたちが自然にハダでそのことを体得していけるようになっている。例えば、他人の意見を聞いて自分の意見を言えるとか、少数派であっても正しいことは正しいのだと認識するとか、相手を説得しようと頑張るとか、予想をたてて考えることの大切さ、楽しさ、そしてそのことが正しいかどうか実証してみない限り信用してはダメだとか、そういうことが仮説実験授業を通して身につき、将来社会に出てからも主体的な生き方ができると考えています。
(
渡辺慶二:1933年京都市生まれ、元私立四条畷学園小学校教師。研究会で板倉聖宣と出会い、生き方として仮説実験授業を実践した)

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授業でコミュニケーション力をつけるにはどのようにすればよいか

 授業を通してコミュニケーション力をつけさせたいと考えたとき、私は、まず一対一のペア学習から始めるのがよいのではないかと考えます。ペア学習のねらいは、進んで友だちとかかわり合おうという気持ちを育てる。話し合いをするための土台になるような、よりよい話し方・聞き方を身につけることです。
 最初のうちは「なぜペア学習を行うのか」目標を必ず教師から伝えるようにします。例えば「発表するための準備をする」という目標を事前に子どもたちに伝えておけば、ペア学習に取り組まなかったり、話が横道に脱線しすぎたりすることもなくなるはずです。
 ペア学習を続けることで、ふだんの子ども同士のかかわり方も少しずつ変わってきます。特定の友だちとしか話をしなかった子が、他の子とも楽しそうに話をするようになってきたりします。少しずつですが、子どもたちの人間関係が変わってきます。
 コミュニケーション力とは、意味を的確につかみ、感情を理解し合う力のことです。「意味を伝え合う」ためには、きちんと話を聞いたりすることができること。「感情を伝え合う」ためには、非言語でのコミュニケーションも大切になってくるでしょう。このようなことは、放っておいてできるようになるものではありません。だからこそ、はじめ段階ではペアでのコミュニケーションの機会をもち、学習中にきちんと教師が指導していくことを心がけるべきです。
 ペアという最小単位でのコミュニケーションだからこそ、教師も子どもも、指導したことができたか、できないかがわかりやすい。また、ペアの相手を変えたりして繰り返し指導することも可能です。
 ペア学習の最初のうちは、非言語のところを重視し、よりよい人間関係をつくるための関わり方を大切にしていった方がよいと感じます。例えば、最初と最後に「よろしくお願いします」「ありがとうございました」を言う。お互いに向き合う、うなづく、あいづちをうつ。笑顔で話す・聞く。身ぶり・手ぶりをつけて話す。これらのことをルール化して、全員が行うようにします。頑張っている子を教師が認め、他の子に少しずつ広げるようにしたい。
 次第に子どもたちが慣れてきたら、友だちの発言にひと言感想を返す、質問をする、発言をつなげる等も、徐々に教師から教え、子どもたちにさせてみましょう。
 ペア学習のコツは、はしめの段階では、きちんと教師から教えることが大切です。ペア学習の後に、がんばったところ、次にがんばりたいところなどを子ども自身がふり返ることも大切です。
 ペア学習でコミュニケーションに少しずつ慣れてきたら、次はグループで学習する機会を増やしていきます。グループ学習で多人数とのコミュニケーションを経験させるようにしましょう。
 ねらいは、多くの友だちと協力することのよさを、体験を通して実感させることです。まず4人程度のグループ学習を行ってみましょう。協力することのよさを実感した子どもは、クラス全員で学習するときでも積極的に協力できるようになるものです。
 グループ学習のコツは、積極的に発言することが難しい子どもがいるので、どの子どもも発言しやすい雰囲気をつくるため、初めのうちは、「『いいね、いいね』を合い言葉にしましょう」「よい話し合いのポイントは笑顔です」といった、出てきたすべての意見を認めるような態度や声かけを増やしていきましょう。
(
菊池省三:1959年生まれ 福岡県公立小学校教師 全国コミュニケーション教育研究会会長 全国教室ディベート連盟研究開発委員 NPO授業づくりネットワーク理事 実践教育研究21サークル代表 菊池道場主宰 北九州市すぐれた教育実践教員表彰 福岡県市民教育賞受賞)

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授業の荒れさせないようにするには、どのようにすればよいか

 学級のボスのAが私の頬にあるホクロのことをさして「ホクロ」と私が聞こえるように叫んだ。私が無視をすればするほど大きな声で叫んだ。「授業に関係のないことは言わないでください」と言うと、「俺じゃないよなー」と仲間に同意を求める。「また、俺のせいにした、むかつく」と大騒ぎをする。Aが文句を言い続けるので、私も頭に血が上がり、授業を中断して言い合いとなった。そのときは、「なんとかしたい」思いで必死だった。しかし、相手はケンカのプロ。同じ土俵に上がった私が負けてしまった。授業は崩れていった。一生懸命だけではどうにもならない日々を過ごしていた。
 サークルに参加するようになり、自分の失敗の原因を仲間の教師から教えてもらい始めた。少しずつ自分なりに努力の方向がつかめるようになってきた。もっともハッと気づいたことは「まじめに授業を受けようとしている生徒たちを見ていないこと」だった。
 今であれば、まず、やんちゃな生徒の挑発は取り合わないように心がける。そして、次の3つのことを意識して英語授業にのぞむ。
(1)
みんなができることから授業をスタートする
 以前は、まず授業の最初に起立し、あいさつをしていた。時間がかかり、生徒たちが指示に従わなくてもいいという雰囲気も出来あがっていた。そして英語で生徒に話しかけていた。ダラダラとした雰囲気に次第に私語も増える。
 今は、授業の最初からフラッシュカードで単語の復習を行う。授業に遅れた生徒も途中から参加する。生徒の視線は教師がめくるカードに集中する。がんばっている生徒を力強くほめる。ほめることで雰囲気をもりあげる。中には、適当にやればいいと考える生徒もいるので、全員がしっかり言えているか確認するために、一人ひとりが英語を言う場面も設定する。緊張場面を入れることで、最初から集中して始められるようになった。
(2)
教科書が読めるようにする
 教科書を自分の力で読めるようにするために、つぎのような様々な方法で最低10回は音読をさせる。
 
「ゆっくり・少し早めに・CDで」リピート、「教室を半分に分け・ペア」で一文交代読み、ペアで制限時間読み、CD同時読み
 楽しく様々な方法で繰り返し音読の練習をすることを生徒は歓迎する。また、何より授業をしている自分が楽しくなる。
(3)
ペア活動を取り入れる
 以前は、人間関係のことを気にしすぎるあまり、ペア活動をあまりさせていなかった。今は、隣同士でペアを組ませている。
 英会話チェックシートで会話練習を始める。音読練習、ノートチェックなどもペアで行う。ペア活動を増やすことで、授業に活気がでて、生徒たちの笑顔も増えてきた。
 最初は渋々活動していた生徒も、毎回することで楽しそうに活動するようになってきた。何といっても、生徒の活動量がぐっと増えた。
 何から何まで自分がやらねばという思い込みを変えてくれたのは、ペア活動である。教室が落ち着かないときこそ、教師の説明は最小限にして、生徒同士の活動を増やしていくようにすると良い。
(
厚 美佐:大阪府枚方市立中学校教師)

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算数:子どもたちが「問題を理解できず、不安そうだな」と感じたとき、ペア学習の効果は絶大

 私は授業中に「お隣の人と相談してごらんなさい」と言って、ペア学習することがあります。
 このペア学習の効果は絶大です。算数科の特徴として、間違うのではないかと、子どもたちは常に緊張状態にあります。ペア学習は、この不安を取り除く効果があります。
 子どもたちが「問題を理解できていないな」「自信がなさそうだな」「不安そうだな」と感じたときはペア学習を取り入れるのです。「わからないのは私だけじゃない」ことを知り、子どもたちは安心することができるからです。
 また、理解した子どもの説明する声が、ヒントとなり、その周りの子どもの理解が広がるのです。私が「いいですか、大事な話をしますよ」と言うのとは比べものにならないほど、わからない子は理解しようと真剣に情報を集めようとしています。
 このように、私はわかっている子どもが少ない状況では、ペア学習を何度か繰り返しながら、理解を上げていくようにしています。
 ペア学習には、発表前の緊張を和らげる効果もあります。人の前で発表するのは、緊張するものです。「これから発表してもらいます」と教師が言うと「えーっ」という声が聞こえることがありませんか。子どもたちは発表に対して少なからず抵抗感を持っています。
 こんなときは「発表前に、お隣さんと発表の練習をしてごらん」と言うだけでよいのです。
 また、ペア学習には、わかったようなつもりになっていることを、お隣さんに向かって話すことで理解の程度を確認できるのです。
 つまり、きちんと理解していることは、お隣さんにもきちんと話せます。しかし、正しく理解していないで、わかったつもりになっていたことは、途中で言葉につまったり、堂々巡りして前に進めなかったりします。このペア学習で、子どもたちは自分の理解度を客観的に見ることができます。
 あるいは、話したくて我慢ができない子が「ハイ!ハイ!」と手を挙げているときに、お隣さんと話すことで満足するという効果もあります。
(
熊谷 純:1967年青森県生まれ、青森県公立小学校教師。基幹学力研究会・算数授業ICT研究会・全国算数授業研究会幹事)



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「話し合い活動」を高める授業を実践するためにはどうすればよいか

 「話し合い活動」を高める授業について小松信哉はつぎのように述べている。
「話し合い活動」は子どもたちだけで議論できるようにしたい。つぶやきをつなげる子どもたちに育ってほしいと私は思っている。それには、強い教師の主体性が必要である。
そのための手立ては、つぎの3つが考えられる。
1 イメージを共有する
「話し合い活動」を高める授業を実践するためには、子どもたちが共通のイメージを持つ必要がある。共通のイメージを持つためには、クラスの友だちの考えを自分の脳内スクリーンに映し出すようにしなければなりません。そのために有効な教師の手立てが、つぎのような発問である。
(1)
予想させる:「~さんの考えの続きがわかりますか?」
(2)
再生させる:「~さんの考えを隣同士で説明しましょう」
(3)
要約させる:「~さんは、つまり、何が言いたかったのかな?」
(4)
発見させる:「~さんの考えのすばらしいところはどこかな?」
2 やさしさの共感を持つ
やさしさの共感を持つには、互いの気持ちを察しながら学ぶことが大切である。そのための発問は
(1)
気持ちを考えさせる:「~さんの気持ちがわかりますか?」
(2)
考えの源を探らせる:「~さんは、なぜその考えが思いついたのかな?」
3 理由づける
「~だからそう考えたのでしょう」、「気持ちはわかるよ」と友だちの考えの根拠を明確にしていく活動である。それには次のようなものがある。
(1)
補う:「こうすればいいんじゃない?」「助けます」という子どもの言葉に代表される。友だちの説明を補足したり、条件を変えて正しい考えを創る活動である。
(2)
条件づける:「それは~のときにだけ言えることでしょう」と考えの限界を見極め、一般化の方向へ思考を進める活動である。
(3)
置き換える:「それは、~ということでしょう」と自分のわかり方で確認する活動である。
(4)
付け足す:「付け足します」という言葉そのものである。友だちの考えに自分の考えを加えていく活動である。もっと簡単にしたり、絵や図で表現したりする活動である。
(小松信哉:1967年生まれ、福島県公立・福島大学附属小学校教師、福島県公立小学校教頭を経て福島県教育庁指導主事。 平成20年度文部科学大臣優秀教員として表彰される)

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「教えずに考えさせる授業」では子どもたちに力はつかない

 教え込み、詰め込み教育の反動として、知識を教えることは、もはや古いし悪いことであるような風潮が広まり、きちんと教えない授業が目につくようになった。導入時にほとんど知識を与えないまま、考えたり討論したりする授業をときどき見かける。「教えずに考えさせる授業では、子どもに力がつかない」と感じていた教師は多い。
 知識があってこそ人間はものを考えることができる。学習は、与えられた情報を理解して取り入れ、それをもとに、推論したり発見したりしていくことである。
 教えずに考えさせても、自ら学び、自ら考える子どもは育ちません。
 「教えて考えさせる授業」は、基本事項は教師が教え、子どもどうしの説明や教え合い活動で理解を確認し、理解を深める課題によって問題解決や討論などをして、授業の最後に今日の授業でわかったこと、わからないことを自己評価して記述させる。これが「教えて考えさせる授業」の基本的な流れです。
 「教えて考えさせる授業は、あたりまえで、とっくにやっている」という教師の中にも、「教える場面」(教師が一方的な説明)と「考えさせる場面」(問題を与えて子どもに解かす)さえつくれば「教えて考えさせる授業」になっていると思ってしまっている教師もいるようです。
 「教えて考えさせる授業」のそれぞれの段階での注意点をまとめてみると、
1 教える
 教材、教具などを工夫して、わかりやすい教え方を心がける。また、教師主導で説明するときも、子どもたちと対話したり、ときおり発言や挙手を通じて理解状況をモニターしたりする姿勢をもつ。
2 考えさせる
(1)
教科書や教師の説明したことが理解できているかを確認する
 ・子どもどうしの説明、教え合い活動を入れる。
 ・「授業でわかったこと、まだよくわからないこと」を記述させたり、質問カードで疑問を提出する。
(2)
理解深化
 多くの子どもが誤解してそうな問題や、教えられたことを使って考えさせる発展的な課題を用意する。
(3)
参加意識を高める
 小グループで、協同して問題を解決させて参加意識を高める。
(
市川伸一:1953年東京都生まれ、東京大学教授。専門は認知心理学、学習過程の分析と教育方法を研究)

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国語:ユーモア詩の授業で人と人のつながりの楽しさを味わう

 ユーモア詩を取りあげた、きっかけは、荒れた学級を私が担任し「詩は子どもには響かない」と感じたからです。そこで、日常の出来事を題材に、人と人とのつながりの楽しさを味わう「ユーモア詩」に切り替えた。
 「ユーモア詩」の例をあげると、「おおかみさん」という詩を作った男の子がいます。
「お父さんが電話で友だちに『うちのかみさんが・・・・・』とお母さんのことを言っていた。ぼくは『ぎゃあぎゃあうるさいから、おおかみさんだろ』と思った」
 子どもたちに「詩を作って」と言っても、なかなか書けません。私は新しいクラスを受け持つとまず「呼び水」の言葉を使って詩を書かせます。
 例えば、題材に「はずかしいけど、言っちまおう・・・」という書き出しの言葉を使います。「今のことが書きにくいのなら、幼い頃の失敗談を書いてもよい」と私が言うと、「おもらし」のことなど、わりと素直に表現する。
 そのほかにも「覚えているよ 忘れない・・・」と心の記憶を引き出したり、「ぼくは怒ってる・・・」と感情の言葉から始めさせたりした。そのうち、だんだんに、いまの生活を見つめ、胸のうちも表現していけるようになっていきます。
 詩の題材になることが多い親が、心のからを破ることも大切です。失敗しても、はずかしくても、人と人とがありのままつながっていることがすばらしいと、詩を通して、親子で感じてもらえたらと思っています。
 詩を書いたり読んだりするうち、親子関係も変わってきます。人間ってすてき、と思ってほしい。
 ユーモア詩を作る宿題を週2~3回出し、その中の何編かを学級通信に載せて、授業で読み合います。そこで、子どもたちの挙手で「花まる」「二重まる」などの評価を決めます。毎学期、詩集にして親にも感想を書いてもらいます。
(
増田修治:1958年埼玉県生まれ、埼玉県公立小学校教師(28年間)を経て白梅学園大学教授。児童詩教育賞(日本作文の会)を受賞。 若手小学校教師に「教育実践研究会」を実施、小学校教師を対象とした研修の講師)

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教材を徹底的に追究する「組織学習」で、子どもたちの論理・追究力・創造力が強くなる

 島小学校では、授業を四つの学習形態、「個人学習」「組織学習」「一斉学習」「整理学習」にわけていた。
 子ども育て、可能性を高めるためには、どの教科でもよいから、教材を徹底的に子どもと追究する必要がある。そのために、一年のうちに二回~三回は、子どもたちの学習訓練ができる質の持った教材をもちいて、時間をかけ、四つの学習形態を追って授業をしていくのである。
 四つの学習形態を使って授業していく場合、もっとも時間をかけるのは「組織学習」である。
 「組織学習」で子どもたちは、自分の疑問とか課題とかをつくり、それに対する自分の考えをノートに書く。それをもとにして、さらに教師や友だちのところへ持っていって確かめ、自分の考えを変えたり拡大したりする。
 教師はその間につぎのような仕事をする。
(1)
一人ひとりや何人かの子どもが学習しているところへ行って、指示したりヒントを与えたりする。
(2)
教師のところへ質問や意見を持ってくる子どもといっしょに考える。
(3)
課題や問題をつくれない子どもには、ヒントを与えたり、課題をつくってやったりする。
(4)
子どもの考えを発展させるために、同じ考えのものとか、反対の考えのものとかを紹介してやり、その子ども同士がいっしょに考えるようにしてやる。
(5)
意味のない問題をやっているときとか、その段階で明らかにしてしまったほうがよい問題とかは、その子どもにはっきり伝え、もしくは全体の前に出して解決してしまう。
(6)
全体の子どもの学習の状況をみて、ここではっきりさせたほうがよいと思うことは、教師が全員にはっきりと説明する。
 これらの作業をしながら教師は、一人ひとりの子どもが、どのような課題にとりくみ、どのような考えを出しているかを頭に入れる。そしてそれらを一つ一つつぶしたり発展させたりしながら、だんだんと学級全体の子どもの学習を整理し、学級全体で一斉に学習する、「一斉学習」での二つか三つの追究課題をつくり出していくわけである。
 子どもたちは、ある教材を徹底的に子どもと追究する学習の訓練を受けることにより、論理が強じんになり、追究力とか創造力とかも強いものとなってくる。教師もまた授業者としての強じんな力を持つようになる。
 したがって他の軽い教材にぶつかったときは、その教材を短い時間でやすやすと突破してしまうことになる。
 そういう体験をしている教師や子どもは、一斉授業とか一問一答式の教師中心の授業の場合でも、一方的・形式的なものになることがない。十分に子どもたちは授業のなかにはいり、主体的に思考を働かせていくようになる。
 授業においては、「組織学習」はそのように重要な意味をもっているもので、教師としてもっとも力をつくさなければならないし、時間も十分にとらなければならない。かりに、十時間予定の授業だとすると、「個人学習」に一時間、「組織学習」に六時間、「一斉学習」に二時間、「整理学習」に一時間とるというような形である。
(斎藤喜博:1911年-1981年、1952年に島小学校校長となり11年間島小教育を実践し、全国から一万人近い人々が参観した。子どもの可能性を引き出す学校づくりを教師集団とともに実践した。昭和を代表する教育実践者)

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