カテゴリー「子どもの指導の方法」の記事

子どもの指導は、注意をするだけでなく、いろいろな指導のバリエーションがある

 会沢信彦文教大学教授が好きな家本芳郎(元中学教師。長年にわたり全国生活指導研究協議会等の活動に参加した。1930-2006年)先生という方がおられました。
 現役を引退されても生徒指導などの評論活動をしておられました。
 家本先生がよく「“注意”に注意」なんてことをおっしゃいました。
「“注意”に注意」とは、生徒指導といえば日本ではほとんどが注意だというのです。
 例えば生徒指導の先生が職員室の朝の打ち合わせのときに、
「○○という問題が発生しました。先生方、よろしくご指導ください」
 とこう言うわけですが、「よろしくご指導ください」の指導はほとんどが注意だというのですね。
 日本の学校教育は、注意以外の指導方法というものを開発してこなかったのだと、こんなふうにおっしゃるわけです。
 しかし、今は子どもたちが変わってきています。
 昔の子どもは、注意で指導になったのが、今の子どもたちは、注意だけでは動かなくなってきている。
 そこで、いろいろな指導のバリエーションを考える必要があるということを家本先生はおっしゃっているわけです。
 具体的に言いますと、家本先生は、指導にはこれだけのバリエーションがありますよとおっしゃっておられます。それは、
「説得する」
「共感する」
「教示する」
「指示する」
「助言する」
「模範を示す」
「励ます」
「ほめる」
「挑発する」
「ずらす(ユーモア)」
 挑発するなんていうのはおもしろいな、と思うのですが、指導というのはいろんなバリエーションがあるということです。
 家本先生のおっしゃる中でしばしば出てくるのが、ちょっと「ずらす」という発想です。
 あるいは、ユーモアの活用と言ってもいいと思うのですが、やはりユーモアというものはコミュニケーションにとって非常に大切なものかなと思います。
 1つだけご紹介しますと、家本先生が非常に印象に残っておられる出来事のようなのですが、少し読ませていただきます。
 小学校5年生の時、朝礼での校長の話である。
 当時、落書きをする子どもたちが出てきて、学校の便所や校舎の壁や、塀に男女の性器や性交図を描きまくっていた。
 その落書きをやめろという趣旨の注意だった。
 校長先生は何と言ったかというと、
「この頃、学校のあちらこちらで落書きが書かれている」
「特に大砲やら、お日様みたいな落書きが多いが、大砲やお日様の絵は画用紙に書きなさい」と言ったそうです。
 非常にうまいなと思ったのは、そのものずばりではなく、大砲やお日様という比喩を使っているわけです。
 そしてもう1つは「禁止をしていない」ということです。
 別なものに書きなさいと言っているわけです。
 家本先生によれば、これで一発で落書きは止んだそうです。
 生徒指導ではもちろん直球で勝負しなくてはいけない時もあるわけですが、この「ずらす」という技法は、なにもいつもいつもストレートでなくても、時には変化球を使ったっていいではないか、という発想ではないかと思います。
(会沢信彦:1965年茨城県生まれ、文教大学教授。専門は教育相談・生徒指導。特に、学校現場をはじめとするさまざまな対人援助場面における援助的コミュニケーションのあり方に関心を持っている)

 

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子どもたち誰もが行きたくなる学校を創るには、どうすればよいか

 栗原慎二先生は、広島大学の教員の中で、学生による授業評価No.1に選出され、学長賞を受賞、講演回数も多い人気教授です。
 埼玉県内の公立高校で荒れた学校や不登校生徒の多い学校での教師経験をもつ学校再生のスペシャリストで、広島市全体の不登校生徒数を1年間で激減させた実力派です。
 モグラ叩き的生徒指導はもう本当にやめ、予防的に、かつ組織的に動いていきましょう。
 高校教師としての経験が長い(18年間)栗原先生は、教師の気持ちをよく理解してくれます。
 伊勢市教育研究所の夏季研修の講演(2013年)で次のように語っています。
 栗原先生は「学級の状態と学力は大きな関わりがあり、生徒指導をきちんとすれば半年で学級は変わり、学力も向上する」と。
 具体的にどう行動すればよいか。栗原先生は、教師の視点を変え、現状を捉えた上で今の子どもをどう理解するかが大切だと。
 昔の子どもたちは、屋外で異学年の子どもも交えて、多人数で身体を使って遊んでいたのに対し、今の子どもたちは、屋内で同学年どうしが少人数で遊んでいる。
 これでは、対人関係スキルが身につかない。
 さらに、子ども集団の崩壊と遊びの変質に加えて、家庭機能の低下、いじめや学級崩壊、社会からの要求の高度化等により、良質の人間関係をつくる体験が不足していると指摘。
 他者や社会への否定的感情、自尊感情・自己有用感の低さ、スキルの不足が、過剰な気づかい、人格的もろさ、ボーダー感覚の喪失、非共感性、攻撃的行動につながり、それらが「不登校」「ひきこもり」「NEET」「青少年犯罪」等の現象となって表れていると栗原先生はいいます。
 それではコミュニケーション能力を高めるには、どうすればよいのか。
 栗原先生は、勉強ができるようになるには勉強をする、サッカーができるようになるにはサッカーをするのと同じように、コミュニケーション能力を高めるにはコミュニケーションを多く体験することが重要だと。
 とにかく大事なのは、質より量。やっていくうちにうまくなる。
 マイナスの体験についても、ある方がよい。マイナス体験が、それを上回る肯定的な人間関係の構築に繋がる。
 クラスで誰にでも「おはよう」と言える子どもは、一体何人いるでしょうか。
 中学生を対象に調査した結果では、向社会性のスキルの高い子どもは、勉強もできるし、友人もできるし、いじめられないし、楽しいと感じているという結果が出た。
 今の最大の問題点は、子どもたちが集団から集合に変わっていることだと栗原先生は強調する。
「集合」の中には絆がなく、支え合いがありません。このことが、教育が難しくなった最大の原因である。
 これまで「スクールカウンセラー」「特別支援」「スクールソーシャルワーカー」など、様々な取り組みにより現状を支えてきてはいるものの、なかなかうまくいかない。
 生徒指導の本質は「集合を集団に変えることで解決する」と栗原先生は指摘する。
 集合を集団に変えるためには、生徒指導、授業づくり、学級づくり、学校づくりなど全ての場面において意識して取り組むことで集合が集団に変わるというのです。
 具体的な例をあげると、授業では、子どもたち同士が交流するグループ活動の中で、互いの影響力が発揮できる授業、欲求の満たされる授業をしていくべきだと。
 一部の子どもだけがヒーローになり、一部の子どもだけが楽しめる授業では、子ども達の意欲はどんどん落ちていく。
 意欲・欲求というのは、「交流欲求」「承認欲求」「影響力欲求」の順に満たされていくという特徴がある。
 学級崩壊では、交流欲求のある子に振り回される状態が見られ、問題行動の目立つ子どもを叱ることで、問題行動を継続・拡大させることになる。
 子どもたちが普通の行動をとっている時に交流することが大事。交流により欲求が満たされると、問題行動を起こす必要性がなくなる。
 また荒れた状況にある子どもへの指導や支援のポイントは、
(1)発達的問題・養育上の問題・欲求を理解し、情緒的サポート(理解・傾聴・感情の交流・承認など)を提供する。
(2)観察で、きちんとしたレスポンスを返す。
(3)コミュニケーション能力を育む。
(4)個々の学習ニーズに応じた学習課題を設定する。
 ことが重要である。
(栗原慎二:1959年青森生まれ、埼玉育ち。広島大学教授、スーパーバイザー、ピア・サポート・コーディネーター。埼玉県公立高校教師(18年間)として生徒指導・教育相談に携わる。AISES(学校教育開発研究所) 代表理事、日本学校教育相談学会会長。専門は学校臨床心理学)

 

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学級の生徒を指導するとき「おまえを愛してるから、俺は偉い!」が口癖になった

 教師として、子どもと人間関係を築くことはとても大切です。特に、思春期まっただ中の中学生と信頼関係を築くことは、難しい場合が多いです。
 まだ竹内和雄先生が新任教師の時の話です。
 Aくん(中学2年生)は、竹内先生のクラスの生徒で、いわゆる問題生徒で、竹内先生に反抗ばかりしていました。事件が起こったのは五月半ば。
 そんなAくんが社会の授業で、教科担当のB先生(五十代男性)と衝突しました。
 授業中、私語をやめないので、きつく叱られたそうです。
 非行を繰り返すグループでリーダー的な地位にいたAくんは、みんなの前で叱責されたこともあって素直に謝れません。
 学級委員が職員室に「先生、大変です! AくんとB先生が!」と駆け込んできました。
 たまたま竹内先生は空き時間で、職員室にいましたので、教室に急ぎました。
 教室では、正にAくんとB先生がにらみ合って、すごい表情で言い合いをしています。
 Aくんは、今にもB先生に殴りかかろうとしているのを、クラスの生徒たちが一生懸命止めているところでした。
 若かった竹内先生は、どうしていいのかわかりませんでしたが、背中から、はがいじめにして、廊下に無理やり引っ張り出しました。
Aくん「やめろや、離せや、ボケ!」
竹内先生「誰に向かって、物言ってんねん!」
Aくん「教師が何様じゃ!? えらいんか!」
 売り言葉に買い言葉。どんどんエスカレートしていきました。とっさに、
竹内先生「俺は、最高にえらい。俺にえらそうなことを言うな!」と言いました。
Aくん「は~、笑かすな! 教師のどこがえらいねん?」
竹内先生「お前を愛してるから、俺はえらい。だから俺のいうことを聞け」と怒鳴りました。
 Aくんの力がすっと抜けたのを感じた竹内先生はたたみかけました。
竹内先生「お前を愛してるから、俺はえらい。世界でたった一人のお前の担任やぞ」と一気に話しました。
竹内先生「俺はお前の担任やぞ。担任やから、お前のこと、愛してるに決まってるやろ」
竹内先生「だから俺はえらい。俺の言うことを聞け」
 竹内先生は自分で話しながら、涙が出てきました。どういう涙なのかわかりません。
 竹内先生は自分でも何をしゃべっているのか訳がわかりませんでした。
Aくん「わかった、離せ」と静かに話し、ゆっくり自分の席に戻りました。
 そして、山本先生に向かって「授業、はじめろや」と言いました。
 周りに集まっていた生徒たちを座らせ、竹内先生はこう宣言しました。
「Aくんはもう大丈夫です。残り二十分授業がある。みんなしっかり勉強しなさい」
 副主任の先生が「Aくんを別室で指導してから授業を受けさせるべきではないか」と心配してくださいました。
 しかし、山本先生は「大丈夫です。担任は僕です。任せてください」と言って聞きませんでした。今思うと傲慢な新任だと顔から火が出そうです。
 もちろんAくんは、最後までちゃんと授業を受けました。
 休み時間にクラスの女子たちが職員室に走ってきて「先生、かっこよかったぁ」と絶賛してくれましたが、なんであんな言葉がすらすら出てきたのか、自分でも不思議です。
 それ以来、山本先生は「愛してるから、俺はえらい」というフレーズをずっと使っています。
 考えてみたら、担任は、クラスの子を愛してるから、やっていけるものです。
 もっと言えば、愛することができるように、日々、努力しなければならないと思っています。
(竹内和雄:1964年生まれ、公立中学校で20年間、生徒指導を担当し、寝屋川市教委指導主事を経て兵庫県立大学准教授。課題を持つ子どもへの対応方法について研究)

 

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魔法の言葉「AさせたいならBと言え」は、子どもたちの心を「自主的にさせる」指示である、どのようにつくればよいか

「おへそをこっちむけてください」
 子どもたち,特に低学年の子供たちを教師側に向けさせる,有名な指導言だ。
「熱いジャガイモをほおばるように口をあけて,声を出しましょう。」
 全校合唱を指導した時に,こう指導すると,子どもたちの歌い方がガラッと変わった。
 これもまた有名な指導言だ。力のある教師たちはこれまで経験の中で,このような指導言の効果を実感し,教室で使ってきたのである。
 そうした指導言を知らない教師が、こうした指導言によって子どもたちが動き出す光景を見ると,これらの指導言は「魔法の言葉」となるにちがいない。
 私たちは,こうした先達の素晴らしい実践を学び続ける必要がある。
「先生の方をむいてください」と指導するよりも「おへそをこっちにむけてください」と指導した方が効果的であること。
「大きな口をあけて歌いましょう」と指導するよりも「熱いジャガイモをほおばるように口をあけて…」と指導したほうが効果的であること。
「○班静かにしてください」と指導するよりも「△班の聞き方が素晴らしい。みんなにまねしてほしいな」と指導した方が効果的であること。
 これらの様々なパターンの「魔法の言葉」を明確に方向付け,価値付けをした第一人者が岩下修氏だ。
 岩下氏は,この「魔法の言葉」を「AさせたいならBと言え」と原則化し,多くの教室の教師の言葉指導を変えていった。
「魔法の言葉」の仕組みを岩下修氏は「AさせたいならBと言え」の中で次のように述べている。
 子どもたちの心を「自主的にさせる」指示の開発こそが必要なのである。
「AさせたいならBさせよ」は、まさに子どもたちを自主的にさせるために設けられた原則なのである。
 子どもへの指示は直接的なものより,間接的なものの方がよいということだ。
 これを意識するとしないでは,学級経営,授業運営も大きく変わってくるはずだ。そして,子どもの力も変わってくるはずだ。
 例えば、リコーダーの指導で「もっときれいな音でふきなさい」と指導しても、どうしていいかがわかりません。
 きれいな音とはどういう音なのか、イメージできていないからです。
 見本を見せればいいのです。イメージができます。
 聴かせればいいのです。まずは「きれいな音とはこういう音だ」ということを教えなければいけません。そうすれば、きれいな音というのがイメージできます。
 次は、具体的な方法です。
 きれいな音のイメージができても、それだけではダメです。
 どうやったらきれいな音が出せるかがわからないからです。
 たとえば、次のように指示します。
「シャボン玉を割らないように、そっとそっと少しずつふくらますようにふいてみよう」
 音がきれいになります。
 シャボン玉をふくとき、一氣に強くふく人はいませんね。そんなことをしたら、すぐに割れてしまいます。
「すーっ」というようにそっとふきます。このふき方が、リコーダーのふき方と似ているのです。
 子どもたちが経験したことがあるもの、つまり
「子どもたちにとって身近なものに例える」と、子どもは変化します。
 技術的なことも教えます。タンギング、運指(指使い)、息の入れ方。
「例え」を使うのもよいです。
(1)跳び箱運動、着地の指導をするとき、次のように指示します。
 ・「忍者のように降りなさい」
 ・「猫のようにふわーっと降りなさい」
 子どもたちの着地は、ドンからスッへ。音をたてない、柔らかい着地に変化します。
(2)「勉強しなさい」といいたいとき、
 ・「音読上手になったって、先生がいってたわ。お母さんに聴かせてね」
 ・「10マス計算、お母さんとどっちが速いかな。競争しましょう」
 ・「漢字カルタをやりましょう」
(3)「宿題をしなさい」といいたいとき、
 ・「終わったら、いっしょに『○○○○』(テレビ番組名)を見ましょうね」
 ・「終わったらおやつですよ」
 ・「今日は、何分でできるかしら」
 ・「わからないところは、聴いてね」
 ・「どんなお話しか、教えてね」
(4)「はやくしなさい」といいたいとき、
 ・「ビデオ、早送りー」
 ・「制限時間、あと5分です」
 ・「雷が落ちるまで、あと3分!」
 指示の仕方一つで、子どもはがらっと変わります。いろいろ考えてみてください。
(岩下 修:名古屋市生まれ、公立小学校教師、立命館小学校教師、立命館大学非常勤講師を経て、名進研小学校国語顧問教師、立命館小学校国語教育アドバイザー)

 

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教師は子どもに「ベストな姿」のイメージ持たせ、気づかせることが非常に大事

 人間は、自分のベストの姿をイメージして、そこに向けてどのようにマネージしていくか、という能力が必要である。
 学習能力のない人は、絶対に一流にはなれない。同じ失敗を平気で繰り返すからね。ミスを知らない名選手はいないし、負けた悔しさを知らない勝利者はいない。
 でも、努力をしない天才もいないんだ。努力なしに素晴らしい勝利や感動は絶対に得られない。
 だから、そういうことに気づかせてやれるかどうかが指導者は非常に大事なんだ。
 言葉で言って、それがそのままその人の力になるんなら苦労しないよ。
 そこで大切なのがイメージなんだ。
「どうしてやったら、その本人にとってベストなのか、同時に周りの人間にも喜んでもらえる存在になれるのか」
 という青写真を指導者がきちっと自分のなかに焼き付けないと、現実からかけはなれた指導をしてしまうことになる。
 本当に「この子にこうなってほしい」というイメージがあれば、おのずとわかるはずなんだ。わからないというのは、愛情が足りないんだよ。
 何でもやってやるのが愛情なのではない。子どもを信じて、任せる。
 自分で気づくことができるまで、追い込んでやる。
 そういう気持ちが、本当の愛だと思うよ。
 やっぱり、「どんな自分がすてきなのか」ということは、子どもたちみんなは、わかっているんだよ。
 そういう「すてきな自分」に出会えるように誘ってやるのが、その子に関わる人間の責任であり、使命だろう。
 教育において強制される時期があって当然だし、それなくしてははじめから終わりまで自由にさせて、本当に社会に必要な人間になれるのかなっていう気はするね。
 何をしていいか、わからない子にはきちんと目的を与えてやらせる。目的がはっきりしていれば、「これさえやれば、こうなるんだ」とう意識につながっていくんだ。
 逆に、自分の目的に向かって自主的に取り組んでいけるような子は、そのまま見守ってやればいい。そういう子は、何かのときにちょっと手をさしのべてやるだけでグーンと伸びるからね、後からポンと押してやるだけで。
 その意味でも、イメージを与えてやることが大切なんだ。
「おまえ、こうなったらいいな」とか「がんばったら絶対日本代表になれるぞ」というように、夢を語ってやったり、目標を語ってやる。
 そういうイメージをその子のなかにぼやっとわかせてやるわけ。それも、個々に全然違うイメージをね。
 そう言いつづけていくと、本人もだんだんそう思っていくんだよ。
 そのなかで、徐々にイメージが鮮明になっていく。
 そうなれば、どんどん自分からそのイメージに近づこうとするようになるんだ。
 そのためには何が必要か自分で考えるようになるんだよ。
「やらされてる」のか、それとも「自分でやっている」のか、子どもにどう思わせるのかというのは非常に大事なことなんだ。
 教育に限らず、どんなことでもそうだけど、やっぱり「こういう人になってほしい」とか「こういうチームをつくりたい」というイメージやビジョンを描けない指導者やリーダーは、人を育てることができないんじゃないかなと思うけどね。
 そこでもうひとつ大切なのが、それぞれの段階、段階で「よし、いいぞ」って、きちんとほめてやること。評価してやることだ。そういう達成感の喜びがなかったら絶対ダメだね。
 もちろん、怒ったあとには、ちゃんとアフターケアーをしてやることは言うまでもない。
(山口良治:1943年福井県生まれ、ラグビー指導者で元日本代表。高校教師として京都の無名の公立高校をラグビーで全国制覇させた。ラグビー部生徒への体当たりの指導が多くの反響を呼び、TVドラマ『スクール☆ウォーズ』の主人公のモデルとなった)

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子どもたちに抵抗を感じさせない指示の出し方とは

 子どもたちに抵抗を感じさせない指示の出し方には、どのようにすればよいのでしょうか。
 子どもは教師の指示を聞いて「やりたくない」と感じたら動きません。
 そこで、受容や支持、質問といったカウンセリングの考え方を生かし、子どもたちに抵抗を感じさせないような指示の出し方を身につけることが大切です。
(1)
質問形式で「こうしてみたらどうかな?」と問いかける
 「○○しなさい」と命令で指示するのではなく、「○○してはどうでしょうか?」と、質問形式で子どもたちの行動をうながします。
(2)
指示の理由を説明する
 子どもたちが納得して作業に取り組めるように、理由をていねいに説明しながら指示をします。
(3)
指示は短くして子どもに発問させる
 指示は極力短くして要点だけを述べ、子どもからの質問をうながします。
 質問させることで、子どもは教師の指示を深く理解し、自発的に取り組む姿勢が生まれます。
(
河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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子どもたちの心づくり指導はどのようにすればよいのでしょうか

子どもたちの、スポーツ等での心づくり指導は、
1 子どもたちの心づくりを成功させるためには「心を使う」(目標設定、イメージの原則)
 私は、オリンピックの金メダリストたちの分析で、心の大切さを知った。
「どれだけ強烈に自分は勝つと思っているか」
 最後は、その心の強さで決まる。勝つ秘訣は「心づくり」です。
 心を使うとは「書く」ということです。
 目標設定用紙に書いて、目標を立て、達成のための方策、予想される問題点、解決策などを考え書く。
 本当にハッキリするまで書くということです。
2 心を強くする(できることの継続と特例の禁止)
 登山家の講演会でヒントをもらった「継続」です。
 毎日、自分が決めた家のお手伝いを三年間つづけさせます。そして、教師に報告します。
3 心を整理する(過去の中の後悔、未来への不安の解消)
 自分ではどうすることもできない未来のことや過去の後悔などに、心が縛られて萎縮してしまうことがある。
 いまの楽しさだけを求めてしまうこともある。
 そういう心のマイナス要素を整理して、気持ちを未来に持っていくこと。
 そのために役立つのが日誌です。日誌に、その日の反省、明日やるべきこと、自分の決意などを書きます。
 私は子どもたちの日誌を読んで、必ずコメントを書いていきます。そうすることで、その子の持っているエネルギーを前に押し出すための後押しができるのです。
4 心をきれいにする(感謝の心。奉仕活動。清掃活動。エコ活動)
 感謝の気持ち、謙虚な心を養うことです。
 スポーツで優勝しても天狗になっては意味がありません。自分の力だけで勝ったという傲慢で利己的な発想を排除すべきものなのです。
 「ありがというございます」「おかげさまです」の心を育てるために、子どもたちに清掃活動(大会会場の清掃)や奉仕活動をさせています。
5 心を広くする(生き方ノウハウの提供、自利即利他の原則)
 強い選手、日本一になれる選手ほど、嫌がることなく真剣に仲間をサポートします。決して利己的な態度、言動はとりません。
 そういう精神を持っている子どもこそ、自立型人間と呼ぶにふさわしいと思います。謙虚であるということです。
 そして、次の四つの方法で実践しています。
 それぞれ「プラン、ドゥ、シー、ショウ」に落とし込んでいきます。
 プラン(目標を決め、計画を立てる)、ドゥ(実行する)、シー(検証する)、ショウ(公表、共有する)
(原田隆史:1960年生まれ 20年間大阪市公立中学校教師、教師塾主宰等を経て原田教育研究所社長。元埼玉県教育委員、高知市教育アドバイザー、三重県政策アドバイザー、奈良市教育スーパーバイザーも務める。ビジネス・ブレークスルー大学教授。大阪市立松虫中学校を態度教育・価値観教育・自立型人間育成教育により建て直し、陸上競技では7年間で13回の日本一を達成した)

 

 

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生徒を指導するとき100通りの声掛けができますか

 生徒のキャラクターを理解することは重要です。
 生徒を指導するとき、必ず見かけるのが、その手法を1通りしか持っていないワンパターンな指導です。
「そんな生徒、ガツンと怒鳴ってやれば良いんですよ」
 どんな場合でも、その一言で片付けようとする教師が残念ながら多くはありませんか。
 その場合の多くが、生徒にとにかく謝らせるような解決方法で済ませることも多い。指導する教師側がスッキリするだけで終わる。
 生徒の側に立った場合、具体的な行動改善への解決にはなっていないことも少なくありません。
 たとえば、生徒が宿題を忘れたとき、なぜ宿題を忘れたかその原因を具体的に探り、そこを共に解決していかなければ本当の意味で指導をした、という事にはならないのです。
 だからこそ、生徒のキャラクターを理解する、ということを重視したいのです。
 私は研修でもよく「生徒に○○する言葉」というテーマで100通りの声掛けを挙げるトレーニングをしていただいたりします。
 試しに「生徒をほめる言葉」というテーマで100通りの声掛けに挑戦して見てください。
 全然増えないのであれば、それが現在のあなたの教師としての幅であり、それだけ限られた生徒に対する理解と適応力しか持ち合わせていない、ということです。
 これを100通り挙げるためには、様々な生徒の状況を想像して、それに合う言葉・声掛けを考えなければいけません。
 しかし、生徒のキャラクター理解がしっかりできていれば、それほど難しいものではありませんので、生徒を良く観察し、キャラクターの理解を深めていってください。
(諸葛正弥:東京生まれ 都内大手進学塾で長年指導、講師育成を経て、諸葛正弥教育総合研究所株式会社 代表取締役、「T’s skill教師塾」代表。教育委員会や各種学校などで講演や教員研修、学校改革のコンサルティング)

 

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ストレスに負けない子どもを育てるにはどうすればよいか

 子どもをストレスから守るために大切なことは、自己肯定感をもたせることと、コミュニケーション能力を獲得させることです。
 コミュニケーション能力が獲得できれば、自分自身を“対象化”することができ、子どもたちは人間関係のシラブルやストレスを、楽しめる“たくましさ”を“やわらかく”身につけることができます。
 人間関係のスキルを獲得するには、日常のなにげないやりとりや、双方向のコミュニケーションの中でしか培われないものです。
 ストレスに負けない子どもを育てる処方箋はつぎの通りです。
(1)子どもの話に耳を傾けて聴いてあげる
 “受容”と“共感”の態度で、子どもの話を十分に聴き入るようにしてあげてください。親の価値判断で判断したりせず、ありのままに子どもの思いや感情を聴くことです。
 人はどんなにみじめな状態になっても、そばにいてくれる人が一人でもいれば救われるものです。親が熱心に聴いてくれると、子どもは安心して話をするものです。
(2)親が見守っていることを子どもに伝える
 「いざとなったら親が助けてあげる」と、子どもへ親の気持ちを伝えることで、子どもは不安に対して前向きに対応できるようになります。
 親が子どもに関心を示すと、子どもは「いちいちうるさいな。そんなにかまうなよ」と反発することがあります。でも、それでいいのです。親としては「いつもアナタのことに関心をもっているよ」というメッセージを送り続けることが大切なのです。
 親が“肯定”と“支持”をベースにして、子どもに関心をもってください。肯定的な関心は、親と子どもの会話の糸口になります。
(3)子どもの長所をほめる
 ストレスに負けないようにするためには、親が前向きにプラス思考の姿勢でいることが大切です。子どもの長所をできるだけ多く見つけ、話題にしてあげるのです。
 そうすれば子どもは「こんなふうに、親は自分のことを見てくれているんだ」と、自信につながります。愛情があれば、日常のちょっとした行動でも、ほめる材料はあるはずです。
(4)成功体験を積み上げさせよう
 日々の生活の中で、成功体験を積み重ねることで、自信は育まれていきます。自信を持つことで逆境に強くなります。
 子どもが努力すれば達成できるものを目標とするようにします。ときには、親の目から見ても、とても実現できそうにない“夢”を抱くことがあります。
 そのようなときでも「すごい夢をもっているね。実現できるといいね」と、肯定し、「では、とりあえず、こうしてみたらどうかな」という具合に達成可能な小さな目標を一緒に設定してあげるようにしてください。
 実際にやってみて、失敗することがあっても、目標に向かって取り組んだことを、評価してあげてください。親の価値観で子どもをしばらないようにしてください。
(富田富士也:1954年生まれ 若者たちの悩みに取り組む教育心理カウンセラー 「子ども家庭教育フォーラム」代表)

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教師が子どもに友だち感覚で接すると、子どもに「ていねい語」などが身につかない、子どもにどう接すればよいか

 教師が子どもたちと友だちのような感覚で接すると、子どもたちとの距離が縮まり、子どもを把握しやすいという利点があります。
 また、子どもたちにとっても、教師を身近に感じ、相談しやすくなるというよさがあります。
 しかし、いつも友だちのように接したのでは、敬語をはじめとした言葉づかいや、礼儀正しい社会的習慣を身につけさせることはできません。
 やがて社会に出て行く子どもたちにきちんとした礼儀作法を教えることも、教師としての大切な役割なのです。
 そこで、教師が自ら進んで言葉づかいや礼儀作法を「時間」「場所」「場合」を踏まえて、「友だち感覚」と「礼儀作法」のスイッチの切り替えを次のように行い、子どもの手本となることが大切です。
(1)「時間」スイッチの切り替え
 休み時間には、子どもと「友だち感覚」で話をすることがあります。
 しかし、授業が始まったとたんに、スイッチを切り替え、きちんとした「ていねい語」で話をします。
 このように、教師自ら休み時間と授業時間を区別するという手本を示すことにより、一人ひとりの子どもに時間のスイッチを切り替える習慣をつけさせることが大切です。
 休み時間と授業時間の区別ができていないのであれば「今何の時間?」と問いかけます。
 同じことを繰り返すときには「ん? 今は?」だけで気がつくようになります。
 また、ていねいな言い方がわからないときは
「そうですか。わすれてしまいましたか」
と、教師がまずていねいな言葉で話し、見本を示します。
 子どものほうから、どのように話せばいいかを聞いてきたら、このときが絶好の指導のタイミングとなります。
(2)「場所」スイッチの切り替え
 休み時間であっても、職員室に来た子どもが「○○先生いるぅ?」ではいけません。
 教師と子どもにとって教室は「家庭」と同じですが、一歩教室を出れば「社会」と同じです。職員室は公共の場なのです。
 場所を考えた行動ができるように、どの場所ではどのような言葉づかいや礼儀作法が必要か教えることが必要なのです。
(3)「場合」スイチの切り替え
 担任に報告するときにも「友だち感覚」から「ていねい語」に切り替えさせます。
 担任に忘れ物をして報告するときに「○○忘れちゃった」ではなく「○○を持ってくるのを忘れてしまいました」ときちんと「ていねい語」で報告させます。
 その際、子どもに何ができていないのかをしっかり見極めて指導します。
 「ていねい語」がわからないときは「そうですか。忘れましたか」と、教師がまずていねいな言葉で話し、見本を示します。
 どのように話せばいいかを聞いてきたら、このときが指導の絶好のタイミングです。必要と感じ、すすんで学んだことは、その子どもの確かな力となります。
(有村久春:1948年生まれ 元東京都公立学校教員・小学校長 岐阜大学教授 専門は生徒指導論、カウンセリング、特別活動論)

 

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