カテゴリー「子どもの指導の方法」の記事

魔法の言葉「AさせたいならBと言え」は、子どもたちの心を「自主的にさせる」指示である、どのようにつくればよいか

「おへそをこっちむけてください」
 子どもたち,特に低学年の子供たちを教師側に向けさせる,有名な指導言だ。
「熱いジャガイモをほおばるように口をあけて,声を出しましょう。」
 全校合唱を指導した時に,こう指導すると,子どもたちの歌い方がガラッと変わった。
 これもまた有名な指導言だ。力のある教師たちはこれまで経験の中で,このような指導言の効果を実感し,教室で使ってきたのである。
 そうした指導言を知らない教師が、こうした指導言によって子どもたちが動き出す光景を見ると,これらの指導言は「魔法の言葉」となるにちがいない。
 私たちは,こうした先達の素晴らしい実践を学び続ける必要がある。
「先生の方をむいてください」と指導するよりも「おへそをこっちにむけてください」と指導した方が効果的であること。
「大きな口をあけて歌いましょう」と指導するよりも「熱いジャガイモをほおばるように口をあけて…」と指導したほうが効果的であること。
「○班静かにしてください」と指導するよりも「△班の聞き方が素晴らしい。みんなにまねしてほしいな」と指導した方が効果的であること。
 これらの様々なパターンの「魔法の言葉」を明確に方向付け,価値付けをした第一人者が岩下修氏だ。
 岩下氏は,この「魔法の言葉」を「AさせたいならBと言え」と原則化し,多くの教室の教師の言葉指導を変えていった。
「魔法の言葉」の仕組みを岩下修氏は「AさせたいならBと言え」の中で次のように述べている。
 子どもたちの心を「自主的にさせる」指示の開発こそが必要なのである。
「AさせたいならBさせよ」は、まさに子どもたちを自主的にさせるために設けられた原則なのである。
 子どもへの指示は直接的なものより,間接的なものの方がよいということだ。
 これを意識するとしないでは,学級経営,授業運営も大きく変わってくるはずだ。そして,子どもの力も変わってくるはずだ。
 例えば、リコーダーの指導で「もっときれいな音でふきなさい」と指導しても、どうしていいかがわかりません。
 きれいな音とはどういう音なのか、イメージできていないからです。
 見本を見せればいいのです。イメージができます。
 聴かせればいいのです。まずは「きれいな音とはこういう音だ」ということを教えなければいけません。そうすれば、きれいな音というのがイメージできます。
 次は、具体的な方法です。
 きれいな音のイメージができても、それだけではダメです。
 どうやったらきれいな音が出せるかがわからないからです。
 たとえば、次のように指示します。
「シャボン玉を割らないように、そっとそっと少しずつふくらますようにふいてみよう」
 音がきれいになります。
 シャボン玉をふくとき、一氣に強くふく人はいませんね。そんなことをしたら、すぐに割れてしまいます。
「すーっ」というようにそっとふきます。このふき方が、リコーダーのふき方と似ているのです。
 子どもたちが経験したことがあるもの、つまり
「子どもたちにとって身近なものに例える」と、子どもは変化します。
 技術的なことも教えます。タンギング、運指(指使い)、息の入れ方。
「例え」を使うのもよいです。
(1)跳び箱運動、着地の指導をするとき、次のように指示します。
 ・「忍者のように降りなさい」
 ・「猫のようにふわーっと降りなさい」
 子どもたちの着地は、ドンからスッへ。音をたてない、柔らかい着地に変化します。
(2)「勉強しなさい」といいたいとき、
 ・「音読上手になったって、先生がいってたわ。お母さんに聴かせてね」
 ・「10マス計算、お母さんとどっちが速いかな。競争しましょう」
 ・「漢字カルタをやりましょう」
(3)「宿題をしなさい」といいたいとき、
 ・「終わったら、いっしょに『○○○○』(テレビ番組名)を見ましょうね」
 ・「終わったらおやつですよ」
 ・「今日は、何分でできるかしら」
 ・「わからないところは、聴いてね」
 ・「どんなお話しか、教えてね」
(4)「はやくしなさい」といいたいとき、
 ・「ビデオ、早送りー」
 ・「制限時間、あと5分です」
 ・「雷が落ちるまで、あと3分!」
 指示の仕方一つで、子どもはがらっと変わります。いろいろ考えてみてください。
(岩下 修:名古屋市生まれ、公立小学校教師、立命館小学校教師、立命館大学非常勤講師を経て、名進研小学校国語顧問教師、立命館小学校国語教育アドバイザー)

 

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教師は子どもに「ベストな姿」のイメージ持たせ、気づかせることが非常に大事

 人間は、自分のベストの姿をイメージして、そこに向けてどのようにマネージしていくか、という能力が必要である。
 学習能力のない人は、絶対に一流にはなれない。同じ失敗を平気で繰り返すからね。ミスを知らない名選手はいないし、負けた悔しさを知らない勝利者はいない。
 でも、努力をしない天才もいないんだ。努力なしに素晴らしい勝利や感動は絶対に得られない。
 だから、そういうことに気づかせてやれるかどうかが指導者は非常に大事なんだ。
 言葉で言って、それがそのままその人の力になるんなら苦労しないよ。
 そこで大切なのがイメージなんだ。
「どうしてやったら、その本人にとってベストなのか、同時に周りの人間にも喜んでもらえる存在になれるのか」
 という青写真を指導者がきちっと自分のなかに焼き付けないと、現実からかけはなれた指導をしてしまうことになる。
 本当に「この子にこうなってほしい」というイメージがあれば、おのずとわかるはずなんだ。わからないというのは、愛情が足りないんだよ。
 何でもやってやるのが愛情なのではない。子どもを信じて、任せる。
 自分で気づくことができるまで、追い込んでやる。
 そういう気持ちが、本当の愛だと思うよ。
 やっぱり、「どんな自分がすてきなのか」ということは、子どもたちみんなは、わかっているんだよ。
 そういう「すてきな自分」に出会えるように誘ってやるのが、その子に関わる人間の責任であり、使命だろう。
 教育において強制される時期があって当然だし、それなくしてははじめから終わりまで自由にさせて、本当に社会に必要な人間になれるのかなっていう気はするね。
 何をしていいか、わからない子にはきちんと目的を与えてやらせる。目的がはっきりしていれば、「これさえやれば、こうなるんだ」とう意識につながっていくんだ。
 逆に、自分の目的に向かって自主的に取り組んでいけるような子は、そのまま見守ってやればいい。そういう子は、何かのときにちょっと手をさしのべてやるだけでグーンと伸びるからね、後からポンと押してやるだけで。
 その意味でも、イメージを与えてやることが大切なんだ。
「おまえ、こうなったらいいな」とか「がんばったら絶対日本代表になれるぞ」というように、夢を語ってやったり、目標を語ってやる。
 そういうイメージをその子のなかにぼやっとわかせてやるわけ。それも、個々に全然違うイメージをね。
 そう言いつづけていくと、本人もだんだんそう思っていくんだよ。
 そのなかで、徐々にイメージが鮮明になっていく。
 そうなれば、どんどん自分からそのイメージに近づこうとするようになるんだ。
 そのためには何が必要か自分で考えるようになるんだよ。
「やらされてる」のか、それとも「自分でやっている」のか、子どもにどう思わせるのかというのは非常に大事なことなんだ。
 教育に限らず、どんなことでもそうだけど、やっぱり「こういう人になってほしい」とか「こういうチームをつくりたい」というイメージやビジョンを描けない指導者やリーダーは、人を育てることができないんじゃないかなと思うけどね。
 そこでもうひとつ大切なのが、それぞれの段階、段階で「よし、いいぞ」って、きちんとほめてやること。評価してやることだ。そういう達成感の喜びがなかったら絶対ダメだね。
 もちろん、怒ったあとには、ちゃんとアフターケアーをしてやることは言うまでもない。
(山口良治:1943年福井県生まれ、ラグビー指導者で元日本代表。高校教師として京都の無名の公立高校をラグビーで全国制覇させた。ラグビー部生徒への体当たりの指導が多くの反響を呼び、TVドラマ『スクール☆ウォーズ』の主人公のモデルとなった)

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子どもたちに抵抗を感じさせない指示の出し方とは

 子どもたちに抵抗を感じさせない指示の出し方には、どのようにすればよいのでしょうか。
 子どもは教師の指示を聞いて「やりたくない」と感じたら動きません。
 そこで、受容や支持、質問といったカウンセリングの考え方を生かし、子どもたちに抵抗を感じさせないような指示の出し方を身につけることが大切です。
(1)
質問形式で「こうしてみたらどうかな?」と問いかける
 「○○しなさい」と命令で指示するのではなく、「○○してはどうでしょうか?」と、質問形式で子どもたちの行動をうながします。
(2)
指示の理由を説明する
 子どもたちが納得して作業に取り組めるように、理由をていねいに説明しながら指示をします。
(3)
指示は短くして子どもに発問させる
 指示は極力短くして要点だけを述べ、子どもからの質問をうながします。
 質問させることで、子どもは教師の指示を深く理解し、自発的に取り組む姿勢が生まれます。
(
河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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子どもたちの心づくり指導はどのようにすればよいのでしょうか

子どもたちの、スポーツ等での心づくり指導は、
1 子どもたちの心づくりを成功させるためには「心を使う」(目標設定、イメージの原則)
 私は、オリンピックの金メダリストたちの分析で、心の大切さを知った。
「どれだけ強烈に自分は勝つと思っているか」
 最後は、その心の強さで決まる。勝つ秘訣は「心づくり」です。
 心を使うとは「書く」ということです。
 目標設定用紙に書いて、目標を立て、達成のための方策、予想される問題点、解決策などを考え書く。
 本当にハッキリするまで書くということです。
2 心を強くする(できることの継続と特例の禁止)
 登山家の講演会でヒントをもらった「継続」です。
 毎日、自分が決めた家のお手伝いを三年間つづけさせます。そして、教師に報告します。
3 心を整理する(過去の中の後悔、未来への不安の解消)
 自分ではどうすることもできない未来のことや過去の後悔などに、心が縛られて萎縮してしまうことがある。
 いまの楽しさだけを求めてしまうこともある。
 そういう心のマイナス要素を整理して、気持ちを未来に持っていくこと。
 そのために役立つのが日誌です。日誌に、その日の反省、明日やるべきこと、自分の決意などを書きます。
 私は子どもたちの日誌を読んで、必ずコメントを書いていきます。そうすることで、その子の持っているエネルギーを前に押し出すための後押しができるのです。
4 心をきれいにする(感謝の心。奉仕活動。清掃活動。エコ活動)
 感謝の気持ち、謙虚な心を養うことです。
 スポーツで優勝しても天狗になっては意味がありません。自分の力だけで勝ったという傲慢で利己的な発想を排除すべきものなのです。
 「ありがというございます」「おかげさまです」の心を育てるために、子どもたちに清掃活動(大会会場の清掃)や奉仕活動をさせています。
5 心を広くする(生き方ノウハウの提供、自利即利他の原則)
 強い選手、日本一になれる選手ほど、嫌がることなく真剣に仲間をサポートします。決して利己的な態度、言動はとりません。
 そういう精神を持っている子どもこそ、自立型人間と呼ぶにふさわしいと思います。謙虚であるということです。
 そして、次の四つの方法で実践しています。
 それぞれ「プラン、ドゥ、シー、ショウ」に落とし込んでいきます。
 プラン(目標を決め、計画を立てる)、ドゥ(実行する)、シー(検証する)、ショウ(公表、共有する)
(原田隆史:1960年生まれ 20年間大阪市公立中学校教師、教師塾主宰等を経て原田教育研究所社長。元埼玉県教育委員、高知市教育アドバイザー、三重県政策アドバイザー、奈良市教育スーパーバイザーも務める。ビジネス・ブレークスルー大学教授。大阪市立松虫中学校を態度教育・価値観教育・自立型人間育成教育により建て直し、陸上競技では7年間で13回の日本一を達成した)

 

 

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生徒を指導するとき100通りの声掛けができますか

 生徒のキャラクターを理解することは重要です。
 生徒を指導するとき、必ず見かけるのが、その手法を1通りしか持っていないワンパターンな指導です。
「そんな生徒、ガツンと怒鳴ってやれば良いんですよ」
 どんな場合でも、その一言で片付けようとする教師が残念ながら多くはありませんか。
 その場合の多くが、生徒にとにかく謝らせるような解決方法で済ませることも多い。指導する教師側がスッキリするだけで終わる。
 生徒の側に立った場合、具体的な行動改善への解決にはなっていないことも少なくありません。
 たとえば、生徒が宿題を忘れたとき、なぜ宿題を忘れたかその原因を具体的に探り、そこを共に解決していかなければ本当の意味で指導をした、という事にはならないのです。
 だからこそ、生徒のキャラクターを理解する、ということを重視したいのです。
 私は研修でもよく「生徒に○○する言葉」というテーマで100通りの声掛けを挙げるトレーニングをしていただいたりします。
 試しに「生徒をほめる言葉」というテーマで100通りの声掛けに挑戦して見てください。
 全然増えないのであれば、それが現在のあなたの教師としての幅であり、それだけ限られた生徒に対する理解と適応力しか持ち合わせていない、ということです。
 これを100通り挙げるためには、様々な生徒の状況を想像して、それに合う言葉・声掛けを考えなければいけません。
 しかし、生徒のキャラクター理解がしっかりできていれば、それほど難しいものではありませんので、生徒を良く観察し、キャラクターの理解を深めていってください。
(諸葛正弥:東京生まれ 都内大手進学塾で長年指導、講師育成を経て、諸葛正弥教育総合研究所株式会社 代表取締役、「T’s skill教師塾」代表。教育委員会や各種学校などで講演や教員研修、学校改革のコンサルティング)

 

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ストレスに負けない子どもを育てるにはどうすればよいか

 子どもをストレスから守るために大切なことは、自己肯定感をもたせることと、コミュニケーション能力を獲得させることです。
 コミュニケーション能力が獲得できれば、自分自身を“対象化”することができ、子どもたちは人間関係のシラブルやストレスを、楽しめる“たくましさ”を“やわらかく”身につけることができます。
 人間関係のスキルを獲得するには、日常のなにげないやりとりや、双方向のコミュニケーションの中でしか培われないものです。
 ストレスに負けない子どもを育てる処方箋はつぎの通りです。
(1)子どもの話に耳を傾けて聴いてあげる
 “受容”と“共感”の態度で、子どもの話を十分に聴き入るようにしてあげてください。親の価値判断で判断したりせず、ありのままに子どもの思いや感情を聴くことです。
 人はどんなにみじめな状態になっても、そばにいてくれる人が一人でもいれば救われるものです。親が熱心に聴いてくれると、子どもは安心して話をするものです。
(2)親が見守っていることを子どもに伝える
 「いざとなったら親が助けてあげる」と、子どもへ親の気持ちを伝えることで、子どもは不安に対して前向きに対応できるようになります。
 親が子どもに関心を示すと、子どもは「いちいちうるさいな。そんなにかまうなよ」と反発することがあります。でも、それでいいのです。親としては「いつもアナタのことに関心をもっているよ」というメッセージを送り続けることが大切なのです。
 親が“肯定”と“支持”をベースにして、子どもに関心をもってください。肯定的な関心は、親と子どもの会話の糸口になります。
(3)子どもの長所をほめる
 ストレスに負けないようにするためには、親が前向きにプラス思考の姿勢でいることが大切です。子どもの長所をできるだけ多く見つけ、話題にしてあげるのです。
 そうすれば子どもは「こんなふうに、親は自分のことを見てくれているんだ」と、自信につながります。愛情があれば、日常のちょっとした行動でも、ほめる材料はあるはずです。
(4)成功体験を積み上げさせよう
 日々の生活の中で、成功体験を積み重ねることで、自信は育まれていきます。自信を持つことで逆境に強くなります。
 子どもが努力すれば達成できるものを目標とするようにします。ときには、親の目から見ても、とても実現できそうにない“夢”を抱くことがあります。
 そのようなときでも「すごい夢をもっているね。実現できるといいね」と、肯定し、「では、とりあえず、こうしてみたらどうかな」という具合に達成可能な小さな目標を一緒に設定してあげるようにしてください。
 実際にやってみて、失敗することがあっても、目標に向かって取り組んだことを、評価してあげてください。親の価値観で子どもをしばらないようにしてください。
(富田富士也:1954年生まれ 若者たちの悩みに取り組む教育心理カウンセラー 「子ども家庭教育フォーラム」代表)

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教師が子どもに友だち感覚で接すると、子どもに「ていねい語」などが身につかない、子どもにどう接すればよいか

 教師が子どもたちと友だちのような感覚で接すると、子どもたちとの距離が縮まり、子どもを把握しやすいという利点があります。
 また、子どもたちにとっても、教師を身近に感じ、相談しやすくなるというよさがあります。
 しかし、いつも友だちのように接したのでは、敬語をはじめとした言葉づかいや、礼儀正しい社会的習慣を身につけさせることはできません。
 やがて社会に出て行く子どもたちにきちんとした礼儀作法を教えることも、教師としての大切な役割なのです。
 そこで、教師が自ら進んで言葉づかいや礼儀作法を「時間」「場所」「場合」を踏まえて、「友だち感覚」と「礼儀作法」のスイッチの切り替えを次のように行い、子どもの手本となることが大切です。
(1)「時間」スイッチの切り替え
 休み時間には、子どもと「友だち感覚」で話をすることがあります。
 しかし、授業が始まったとたんに、スイッチを切り替え、きちんとした「ていねい語」で話をします。
 このように、教師自ら休み時間と授業時間を区別するという手本を示すことにより、一人ひとりの子どもに時間のスイッチを切り替える習慣をつけさせることが大切です。
 休み時間と授業時間の区別ができていないのであれば「今何の時間?」と問いかけます。
 同じことを繰り返すときには「ん? 今は?」だけで気がつくようになります。
 また、ていねいな言い方がわからないときは
「そうですか。わすれてしまいましたか」
と、教師がまずていねいな言葉で話し、見本を示します。
 子どものほうから、どのように話せばいいかを聞いてきたら、このときが絶好の指導のタイミングとなります。
(2)「場所」スイッチの切り替え
 休み時間であっても、職員室に来た子どもが「○○先生いるぅ?」ではいけません。
 教師と子どもにとって教室は「家庭」と同じですが、一歩教室を出れば「社会」と同じです。職員室は公共の場なのです。
 場所を考えた行動ができるように、どの場所ではどのような言葉づかいや礼儀作法が必要か教えることが必要なのです。
(3)「場合」スイチの切り替え
 担任に報告するときにも「友だち感覚」から「ていねい語」に切り替えさせます。
 担任に忘れ物をして報告するときに「○○忘れちゃった」ではなく「○○を持ってくるのを忘れてしまいました」ときちんと「ていねい語」で報告させます。
 その際、子どもに何ができていないのかをしっかり見極めて指導します。
 「ていねい語」がわからないときは「そうですか。忘れましたか」と、教師がまずていねいな言葉で話し、見本を示します。
 どのように話せばいいかを聞いてきたら、このときが指導の絶好のタイミングです。必要と感じ、すすんで学んだことは、その子どもの確かな力となります。
(有村久春:1948年生まれ 元東京都公立学校教員・小学校長 岐阜大学教授 専門は生徒指導論、カウンセリング、特別活動論)

 

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子どもたちを生活指導することや学級集団づくりが難しくなってきている

 文部科学省による教育政策として提起されてきた「毅然とした指導」が学校現場に広がりつつある。
「毅然とした指導」とは「ゼロトレランス」(無寛容)という言葉に象徴されるように、基本的に子どもの行動の背後にある事情について聞く耳をもたない指導である。
 例えば、ある子どもが家庭で大変なことがあって、学校で暴れたり、ふざけて荒れていようが、理由を問わず同じような問題行動には同じように対処するということだ。
「毅然とした指導」の広がりの背景には、最近の成果主義やPDCAサイクル(plan,do,check,action)の流行によって、すぐに成果が出なければならないという強迫観念が教師の間に広がっている。
 荒れている子どもの事情を聞きながら、その子の中にある前進しようという面を励ましていくには根気づよい指導が必要になる。
 しかし、短期の成果が求められると表面的に「きちんとしていること」を求めてしまいがちだ。
 子どもの成長を長い目で見て指導するには、指導の見通しや、一人ひとりの子どもの事情をつかむ努力も必要だ。
 ところが「毅然とした指導」はこのような努力をそれほど必要としない。
 ゆえに「毅然とした指導」は、長期的な実践の見とおしがもてない教師や多忙化した教師に受け入れやすいという事情もある。
 しかし「毅然とした指導」は、教師の管理のもとに表面的に従わせているだけである。
 子どもたちが必ずしも納得しているわけではないし、自分たちが判断して自立的に行動できるように育てるわけでもない。
 だから「毅然とした指導」を基本とする限り、教師は子どもたちを管理し続けなければならなくなる。
 子どもたちを指導することは、指導される子どもたちが最終的に自己指導できるようにすることであるならば「毅然とした指導」は、指導と呼ぶには値しないだろう。
 近年、「学級集団づくり」は従来の「学級集団づくり」の手法では実践がうまくいかない事例が多くなってきた。
 人々の集団観が大きく転換した。「学級集団づくり」は集団には一致した目的と要求があるという集団観に立っていた。
 第一次・第二次産業の人口が多数であった時代には、子どもたちの家庭生活も日常経験も将来像も共通したものが多かったので学級で統一した目標や活動に取り組んだも違和感を持たなかっただろう。
 しかし、世の中の労働形態が多様化するなかで、子どもたちの家庭も将来像も多様化した。ある問題では一致できるが、別の問題では一致できないという事態も広がってきた。
 必ずしも共通の利害関心を持つ者ではない学級のなかで、1つの目標を設定し1つの活動に取り組むことは難しく「学級集団づくり」は困難となってきた。
 こうした状況で実践が行き詰まる中で、当面の到達点として「学級集団づくり」から「子ども集団づくり」への転換が図られつつある。
 これまでは、学級を単位に実践してきたが、学級の内外の同じ要求をもつ者同士が、要求を実現する活動を行いながら、その過程で民主的な組織や運営のあり方を生み出していくという転換である。
 もちろん、学級単位の活動を排除するわけではない。
 それらと並行して、学級内クラブなど小集団の活動、学級や学校を超えた有志活動やボランティア・グループなどを組織する。
 そして、子どもたちが生活に働きかけることを通して生活を変革する多様な活動を組織していくという構想である。
 子どもたちが出ていく大人の社会は多層性をもっており、個人の要求にもとづく活動と、グループの要求にもとづく活動と、地域の自治会などの活動との間には、しばしばあつれきがあり調整が必要なことがある。
 そうだとすれば、子どもたちは、多層的な社会のなかで民主的に問題を解決していく能力を形成することが求められるだろう。
「子ども集団づくり」は、このような多様な要求(幸福追求権)を基にして多層的な関係のなかで民主的な統治能力の形成をめざすのである。
(藤井啓之:愛知教育大学教授)

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どうすれば子どもたちは教師の言うことをきいてくれるようになるのか

 どうすれば子どもたちは教師の言うことをきいてくれるようになるのでしょうか。
 ふだんから、子どもたちをうまく叱ることができず、子どもたちとの接し方に悩んでいませんか。
 教師が子どもたちを指導するとき、
「何で毎日遅刻ばかりするの?」
「どうして先生の言うことを聞けないのだ」
というように、「何で・・・・・」「どうして・・・・・」という言い方には
「・・・・・してはだめじゃないか」という「とがめ」のメッセージだけが子どもに伝わってしまうことがあるのです。
 また、
「先生の言うことが間違っている?」とか
「約束を守らないのは誰が悪いの?」など、
「先生は善、悪いのはあなた」といった形の表現が続くと、だんだん子どもが追いつめられて逃げ場をなくしてしまいます。
 正論だけで迫られると、子どもは「自分は認められている」という思いになれないために、自己肯定感が高まらないのです。
 善悪の判断を伝えるのは大切な仕事の一つですが、できなかった理由をあれこれ詮索するよりも、内心「しょうがないなぁ」と思いながら、その反面、どこか「次に期待する余地」を残しておいて、子どもを見守れるといいですね。
 子どもが出来るまで、毎日同じことを言い続けるのも教師の給料の一部に入っていますから。
 子どもから信頼されている教師に子どもたちにどのように叱り、接しているか話を聞きました。
 すると、子どもが出来るまで、毎日同じことを言い続けながらも、一方では「できるまで、いつまでも待っているからね」という思いで子どもを見守り続けることが大切だと話してくれました。
 それと「子どもは、なぜ教師の言うことをきくかわかるか? 子どもたちはな、ふだんから自分のことを信頼してくれる、認めてくれる、応援してくれる先生のいうことだから、きこうかなという気になるものだ」と。
 荒れる子どもは心のなかに何か満たされない欲求があり、自分の話を聞いてほしいと思っています。
 不思議なもので、子どもは自分の話を最後まで聞いてくれる教師の話はよく聞いてくれます。
 ふだんから、自分の良いところを認めてくれる教師の注意はよく聞きます。
 先生方にお願いしたいことは、子どもたちに教師から「受け入れられた」「認められた」「話を最後まで聞いてくれた」という体験をさせてあげてください。
(
土井一博:公立中学校教師を経て退職後、筑波大学大学院で健康教育学を学び、茨城県等でスクールカウンセラー歴任し、埼玉県川口市学校教職員メンタルヘルスチーフカウンセラー。日本教職員メンタルヘルスカウンセラー協会理事長。専門は教職員のメンタルヘルス、学校健康心理学、教師教育)

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教師の一番の仕事は「子どもをほめる」こと、教師の1日は子どもをほめるためにある

 私は、昔、明石家さんまさんのTV番組「踊る さんま御殿」を字起こししたことがあります。1時間の番組を全て字起こしするのは、大変な作業でした。
 しかし、大きな発見がありました。
 明石家さんまさんの一番の仕事は「笑うこと」でした。
 他のゲストが笑っていない時でも、さんまさんは笑っています。
 あなたが、さんまさんの番組に出たと想像してみてください。
 大スターのさんまさんが、あなたの話を聞いて、必ず笑ってくれるのです。
 あなたは、きっとうれしく、すごく話やすいはずです。
 さんまさんに、笑ってもらうとは、認めてもらい「ほめられる」ことと同じです。
 だから、さんまさんの番組では、ゲストが生き生きと話せるのでしょう。
 教師の一番の仕事は「子どもをほめる」ことです。
 子どもが「自分が何をしても、先生が必ずほめてくれる」。そんな状況を作れば、子どもたちは自信を持って活動ができますね。
 それなのに、若手教師は、ほめることが少なすぎます。つぎの私の名言を胸に、子どもたちをどんどんほめてほしいですね。
「リスクがゼロ、しかも、コストもゼロ、『ほめる』という武器はどんどん使うに限る。使わないのは、もったいない」
「教師の1日は、ほめるためにある」
のだと、心得ましょう。
 そして、子どもたちをどんどんほめましょう。
 子どもたちをどんどんほめると、子どもが教師を信頼します。クラスがうまく回り始めること間違いなしです。
 例えば、授業態度が悪い子どもがいたとき、隣の子どもをほめます。
 手悪さをしている子どもがいた時です。その子どもを叱るのは素人のすること。
 隣の子どもをほめると、手悪さはおさまります。どうしたら、よいのでしょうか。
 教師は、その子どもを叱りたい気持ちをグッと我慢する。
 手悪さをしている隣の子どもを「手を膝に置いて話が聞けていて、エライ!」とほめる。
 すると、その子もほめられたくて、手悪さをやめ、膝に手を置く。
 それでも、手悪さをやめなければ、逆隣の子どもをほめる。
 それでも、やめなければ
「〇年〇組、膝に手を置いて話を聞けるクラスだね」
「いや、一人だけいた。後1人が膝に手を置けば、完璧なクラスだ」と言う。
 それでもやめなければ、当然、厳しく叱る。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

 

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