カテゴリー「問題行動の指導」の記事

生徒が指導に従わず激しく反発することがある、トラブルを恐れ見逃すと学級は荒れる、どうすればよいか

 生徒が見逃すわけにはいかない悪さをしたら、教師は叱ります。しかし、生徒が指導に従わず激しく反発し、対教師暴力や大騒ぎになることがあります。
 そうなると、教師は指導をためらうようになり、生徒の暴力的な言動を背景に、やがて無法がまかり通ってしまいます。どうすればよいのでしょうか。
 ダメなことはダメだと教職員が一致して指導できるようにするためには、学校としての「考え方」を確立する必要があります。
「トラブルが起きても構わない」という考え方を、事前に学校全体で確認することが必要です。
 教師が「当然のこと」を注意したとき、生徒が指導に従わず激しく反発し、対教師暴力が起きたり、大騒動になってもやむを得ないということを学校全体で確認しておくのです。
「当然のこと」というのは、授業妨害や他の生徒への嫌がらせ行為や暴力などです。それを許したら学校として成り立たないという行為です。
 ほとんどの生徒や保護者が「先生が怒って注意するのは当然です」と納得できるものでなければなりません。
 それと、実際にトラブルが起きたときに、どのように援助体制をとるか、事前に綿密に打ち合わせをし、確立しておく必要があります。
 このような「考え方」や援助体制も、生徒指導主事が中心になって提案しなければなりません。
(吉田 順:1950年生まれ 37年間横浜市立小・中学校に勤務した。担任32年、生徒指導部長16年、学年主任13年などを兼任した。生徒指導ネットワークを主宰。生徒指導コンサルタントとして全国の学校と関わる)

 

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子どもが暴力行為を起こしたとき、子どもの指導や保護者に理解と協力を得るポイントとは

 暴力事件が発生した直後は、加害者の子どもの興奮を鎮めて落ち着かせることが大切です。
 そのためには、その場から離れた場所へと移動させ、クールダウンさせることが必要です。
 それと同時に、暴力を受けた子どもの安全を確保し、身体と心のケアを迅速に行うことが求められます。
 その後、加害者と被害者の子どもから事実関係を聴き取ります。
 聴き取るときに注意したいのは、子どもが語る内容には、客観的事実と心理的事実の二つの事実がふくまれているということです。
 例えば、心理的事実とは
「相手がにらんだと思ったから、胸ぐらをつかんだ」
「私を無視するのは、自分のことが嫌いだから」
など、あくまで本人が感じて受けとめた主観的な事実である。
 それゆえに、思い込みや誤解であることも少なくありませんが、本人は自分なりに事実と受けとめて信じています。
 客観的事実は、まさに事実そのものである。
 指導に当たっては、二つの事実を見極めて、整理しながら聴き取りを進めていく必要があります。
 さらに、暴力事件の直後の対応で気をつけたいことは、暴力は「伝染することがある」ということです。
 周囲にいた人たちが暴力の影響を受けて冷静さを欠き、興奮して暴言を吐いたり、物に当たり散らしたりするようなことは、絶対さけなければなりません。
 教師が事情を聴き取るときに、
(1)教師が自らの感情を爆発させないために、複数の教師で対応する。
(2)子どもと一定の物理的距離を置く。
ことがもとめられます。
 暴力行為が発生したときには、子どもの指導と並行して、保護者に連絡し理解と協力を求めることが不可欠です。
 保護者から家庭の様子や困りごとがないかを聞きながら、日頃の親子関係を確認していくとともに、解決に向けて保護者と一緒に取り組んでいく姿勢を伝えることが大切です。
 子どもの指導と保護者と面談を重ねていくと、暴力行為など問題行動のある子どもの中には、日ごろから親からの叱責が多かったりすることがある。
 その積み重ねで意欲や自信が失われたために反抗的になっている、などが問題行動の背景にあると感じることがあります。
 また、親の立場からすると
「何でこんなことをするのだろう?」
「いくら注意しても親のいうことをきかない」
「どうすれば親の気持ちが通じるか」
「どれくらい厳しくすれば親の言うことを聞いてくれるのか」
なと、対応に苦慮している様子を語られることがあります。
 子どもへの指導を通じて
「この人は、わが子のことを心配してくれている」
「子どものことを本気で考えている人だ」
という明確なメッセージを保護者に伝えることができるか否かが、解決に大きく影響します。
 このメッセージが伝わることが、保護者との信頼関係の形成につながる第一歩であり、根幹にかかわる重要なポイントといえます。
(石橋昭良:文教大学教授、元警視庁少年育成課副参事(心理職)、臨床心理士)

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落書きがあったとき、どうすればよいのでしょうか

 落書きが見つかったとき、一番大切なのは落ち着いて対処することだ。
 落書きというものは、犯人が分からないことが多い。
 子ども同士では分かっていても、教師に伝わるネットワークがない場合がほとんどだ。
 それゆえ、落書きに対処する教師は、どうしてもヒステリックになり、犯人捜しに走ってしまいがちだ。
 ヒステリックになれば、子どもたちの信頼を失ってしまう。子どもたちのほうが一枚上手だ。
 子どもたちは、教師の一挙手一投足をじっと見ている。どうすればよいか。
 まず、泣いている子どもがいれば、その子をフォローする。
 そして、決して怒鳴ることなく、子どもたちをまず座らせる。
 犯人捜しになってはいけない。
 だめなことは、だめだと、ビシッと厳しく話す。
 おろおろしていたのでは、書いた子どもにつけあがられる。ほかの子どもたちも不安にさせてします。毅然とした態度を取ることだ。例えば、
「先生は、この落書きを見て胸が痛んでいます。卑劣な方法です」
「先生は絶対に許しません」
「二度と、こんな落書きを見たくないです」
 落書きした子どものフォローも忘れないようにしたい。
 優しく、落書きした子どもに共感的な態度を示すことがポイントです。例えば、
「でも、先生にも悪かったところがあったのかも知れないです」
「先生が相談にのってあげられたら、よかったなと思います」
「もし、落書きして悪かったなって思っていたら、先生に、いつでも、こっそりでもいいから、話してほしいと思います」
 たとえ、名乗り出なくとも、確実に子どもの心の中には何かを残せているはずだ。
 人は失敗から多くを学びます。子どもが悪さをしたときは、子どもを立派に育てるチャンスでもある。
 学活や朝の会、道徳の時間でもいいが、クラス全体に、あまり押しつけがましくならないような内容で、子どもたちに話をしたい。
(西井孝利:大阪府私立小学校教師)

 

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子どもは教師の愛が本当かどうかを悪口・問題行動で何度も試します、どうすればよいのでしょうか

 子どもは、教師の愛情を確認するために、悪口を言ったり、マイナスの行動をとったりします。
 子どもの心を愛で満たそう。
 子どもの心には、コップがあります。
 心に傷を負った子は、コップが逆さまになっています。注いでもらっても、こぼれてしまいます。
 まず、コップの向きを直します。
 そして、心のコップに愛を注ぎましょう。
「いくらやっても、子どもが変わらない」のは、心のコップが愛で満たされていないからです。
 子どもが変わらないのは、心が満たされないからです。
 愛された経験がないので、とまどい、拒否するのです。
 教師の愛が本当かどうかを試します。何度も何度も、試します。
 愛情を確認するために、悪口を言ったり、マイナスの行動をとったりする。
 子どもの否定的な反応は、すべて「お試し」なのです。
 それに教師が乗ってしまうと、振り出しに戻ってしまいます。
 教師は「これ以上、我慢ができない」「限度がある」と思います。
 あなたの努力は、よくわかります。
 しかし、子どもは、何度も何度も、確かめるのです。
 教師の愛情を確認するのです。その愛情が本物かどうか確かめたいからです。
「この人は違う」と、子どもが思うようになるまで、ひたすら愛を注いでください。
 子どもの心が愛で満たされると問題は消えてしまいます。
 子どもを、愛で満たしましょう。
 問題行動を起こす子のほとんどが、心が満たされていません。
 子どもの心のコップを愛で満たしてください。
 愛が満ちると、うそのように問題がなくなります。
 教師は心のプラスの変換機になろう。
 かつて、ある人は、私をいつも励ましてくれました。
 落ち込んで、マイナス思考になる私を、プラスに導いてくれました。
「そんなことないよ。絶対大丈夫だよ」「杉渕さんなら、できるよ」
 私は、あの人に会うと、元気が出ました。生きる力もわいてきました。救われました。とことん落ち込んでいるときも。
 あの人に出会って私は救われた。あの人に出会って、子どもに対する私の見方が変わったのです。
 子どものつらさをプラスに変えてあげよう。
 劣等感のかたまりのような子、落ち込んでいる子を見ます。
 以前の私を思い出します。
 今度は、私が「あの人」になる番です。
「先生、ぼくはできない」
「そんなことはないよ。今できないということは、これからできるようになるということなんだよ」
「ぼくなんて、いないほうがいいんだ」
「そんなことないよ。きみがいないと、このクラスは成り立たないんだ」
「一人ひとりが重要な役割を果たしているんだよ。そのことをきみが知らないだけなんだ」
 教師は、変換器だと思います。
 マイナスをプラスに変換して子どもに返すのです。
 やっているうちに、子どもは変わってきます。
 続けることがポイントです。
 教師は変換器。子どものぐち、マイナスの言葉を受け入れ、プラスの言葉に変えて返そう。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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掃除をさぼる子どもがクラスにたくさんいるとき、どうすればよいのでしょうか

 掃除をさぼる子ども、掃除をするフリをする子どもがたくさんいます。どうすばよいのでしょうか。
 だらだらと時間をつぶさせて、形だけやらせるような掃除指導をやめます。
 第一段階は、素早い動きで、無駄話をしないで掃除するように徹底的に指導します。
 だらだらした動きや無駄話を防ぐために、短時間に掃除を取り組ませます。
 掃除時間が20分間あるとすれば、半分の10分間で掃除を終わらせるように挑発します。
 残った時間は、教室に座って休憩です。
 短時間掃除で、子どもの動きが変わります。
 全力で掃除する充実感を味わいます。
 第二段階は、「丁寧さの指導」です。
「素早く、黙って、丁寧に」の3つができるようになれば、たとえ、掃除時間に教室で休んでいても、誰からの批判を受けることはありません。
 なぜ、掃除をしなくてはならないのか。掃除をする意味は何なのか。分かるように伝えておく必要があります。
 掃除は、子どもにとって最も嫌いな活動の1つです。さぼりたくなって当然です。
 しかし、だからこそ全力で取り組ませる価値があります。
 自分の怠け心とたたかい、打ち克つことの充実感を味わわせることのできる活動です。
 掃除に全力で取り組むことは、相当の価値があることを、子どもたちには機会あるごとに伝えるようにします。
 毎日、全力で取り組めたことをほめることを続けましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

 

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困った子どもに出会ったとき、教師はどう接すればよいのでしょうか

 教師に叱られる子どもの気持ちになってみると、叱られたときは、だれだって「自分が悪い」とは思っています。子どもなりに反省もしています。
 しかし、教師に面と向って言われるだけだとカチンとくるのです。先生が叱られる子どもに対して何もしてくれないからです。冷たいからです。
 厳しく注意されたり、怒られたりすると、子どもは「自分は愛されていない」と思ってしまいます。ですから、教師の思いとは逆の方向に走ってしまうのです。
 まずは、あたたかく接しましょう。
 例えば、忘れ物をした子どものために、いろいろなグッズを用意しておきましょう。鉛筆、赤鉛筆、消しゴム、教科書、ノート、絵の具など。
 子どもたちは安心します。
「この先生は、忘れ物をしても怒らない」
「にこにこして、貸してくれる」
と、うれしくなります。
 おがて「ぼくが悪いのに、先生は、ぼくを責めない。それどころか、フォローしてくれている」と思うようになります。
 すると、子どもたちは、だんだん言うことを聞くようになります。
 人間は、自分を愛してくれていると思える人の言うことは、よく聞くものだからです。
 子どもにあたたかく接しましょう。恋人に接するように。
 思っているだけでもだめです。具体的な行動を起こしましょう。
 困った子どもに出会ったとき。
 困った問題行動を子どもがし始めたとき。
 そういうときこそ、その子どもの長所、ただ一点とのみ、つき合いましょう。
 これが大事だと思います。
 どんな子どもにも、いいところがあります。
 その一点とだけ、つき合いましょう。
 それだけで、子どもは変わります。
 困った子どもに出会ったときのポイントは
(1)まず、受け入れ、包み込もう。
(2)長所のみを見て、接しよう。
(3)受け入れられ、認められると、子どもは変わる。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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子どもの問題行動の支援を進めようとするときに、大切なこととは何か

 子どもの問題行動には、子ども特有の心理や事情があり、家族の抱かえる課題や友人関係などの影響が加わることで、問題の背景は複雑になり、対応に困難さを増していきます。
 子どもの問題行動の初期の支援に立ったとき、どのような視点からとらえたら良いのでしょうか?
 現れている子どもの問題行動は、子どもなりに解決しようとした手段であり「なぜこの行動が必要だったのか」という視点が大切です。
 善悪の物差しだけで判断することなく、視点の転換を柔軟に行うことによって、問題の意味するところや、誰に対する訴えなのか、がみえてくることがあり、それが解決につながることがあります。
 子どもの問題行動が起きたときには、
(1)事実関係を確認する
(2)子ども本人および周囲の関係者からの聴き取りにより問題の背景を把握する
(3)背景を踏まえた指導と支援の方針を決定する
 非行臨床では、この子はどんな子なのか、どうしてこんな行動を繰り返すのか、家庭の状況はどうか、友人関係はどうか、など複数の観点から問題を統合的に理解しようとするものです。
 そして、見立てによる理解に基づいて、具体的な指導や支援を行っていくことになります。
 このようなときこそ、子どもと関わる専門家として、腕の見せどころになります。
 しかし、残念なことに、これまでの自らの経験だけで判断したり、情報不足のまま先入観によって対応してしまうことがあります。
 このような対応には、大きなリスクが伴うことに注意が必要です。
 保護者の協力が得られないまま、子どもの指導を続ける状況では、解決の道はほど遠いと言えます。
 問題を改善するためには、保護者と力を合わせて連携することが必須となります。
 保護者と連携するときに大切なことは、保護者が子育てに対する不安、いら立ちや怒り、後悔や自責、被害者意識などを感じているときは、その内容を具体的に確認していくことです。
 そして、保護者のこれまでの苦労をねぎらい、子育てに対する不安や戸惑いの感情を受けとめることが、支援のはじまりとなります。
 保護者と一緒に悩みながら対応していくことが大切で、その積み重ねにより、相互の信頼関係が生まれて連携がスムーズに進んでいきます。
 このような連携のプロセスの中で、保護者のそれまでのしつけを修正していくことが問題の解決に結びついたりします。
 また、指導の難しい子どもに対して、保護者との話し合いを重ねることで教師とのつながりが強まったりします。
 保護者を通じて教師の意向が伝わったりすることで、子どもが変化する場合があります。
 子どもの問題行動の初期の支援では、保護者と連携した共同作業による問題への取り組みを、ぜひ心がけていただきたいと思います。
(石橋昭良:文教大学教授、元警視庁少年育成課副参事(心理職)、臨床心理士)

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学級内で物の紛失があったときや、紛失が頻繁に起こるとき、どうすればよいか

 生徒の物がなくなったと連絡を受けたら、教師はすぐに対応することが大切である。
 例えば、消しゴムがなくなったという訴えであっても、そのままにしておくと、紛失が当たり前になり、生徒は教師に何もしてくれないと期待しなくなる。
 こうなる前に、教師は誠実な対応を行うことだ。
 紛失物の訴えがあったときは、必ず帰りの会で全員に呼びかけ、みんなで探す。
 例えば、
「〇〇さんの筆箱が今日の3時間目からありません」
「誰かが、間違えて持っているのかもしれませんし、〇〇さんが置き忘れてしまったのかもしれません」
「理由はいずれにせよ、物がなくなったのは事実です」
「困っているので、みんなで探します」
「まずは、全員、カバンの中、自分のロッカーを探してみてください」
「その後は、教室の中、清掃用具入れ、などを見てください」
 例えば、誰かが物を隠したとき、みんなで放課後に探し、帰る時間が遅くなることを学ばせる。
 悪いことをすると、自分が困る状況を作り、つまらないことを二度とさせないようにしたい。
 物が頻繁になくなるときには記録をとっておいて、いつ、どのような状態でなくなっているのか、状況を正しく把握する必要がある。
 場合によっては、休み時間に教師が巡視を行う。
(
垣内秀明:1965年長野県生まれ、長野県公立中学校教師。教育サークルTOSS中学信州代表
)

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集団で便器を壊したり、黒板をスプレーして使用不能にするなど悪質な器物破損が頻発し、他の生徒も脅かされています、彼らは逮捕・補導はできるでしょうか

 明白に器物破損罪に当たります。
 刑法第261条では
「他人の物を破壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」
と器物破損罪について規定しています。
 生徒指導の原則
心情(心理的事実)の温かな受容・客観的事実への厳しい対応」
に立つと、器物破損を繰り返す生徒の心情(心理的事実)に焦点をあてた教育的指導が大切なことはゆうまでもありませんが、
「非なる言動には責任をとらせる」ことも生徒指導の原則の一つです。
「見捨てない・見逃さない」粘り強い個別指導を続ける一方、懲戒・出席停止の措置や損害賠償の
請求も考えなければなりません。
 器物破損罪は刑法第264条の規定により、親告罪とされている点には留意する必要があります。
 器物破損罪は、被害を受けた被害者(代理人も可)が捜査機関に告訴することにより、はじめて刑事訴追の対象になるのです。
 学校としては、生徒の立ち直りをめざして全力を尽くすことになりますが、残念ながら「指導の限界」を感じざるをえないことがあります。
 他の生徒の安心・安全を守れない状況においては、校長が告訴権者となることも仕方多ないでしょう。
 刑事訴訟法第239条には
「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」
とあります。
 そのような場合には、逮捕・補導もありえます。
  
(
嶋﨑政男:1951年生まれ、東京都立中学校教師、教育研究所指導主事、中学校長、日本学校教育相談学会会長等を経て神田外語大学教授
)

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生徒の問題行動が起きたとき、体験の中でつかみとった考え方や指導の方法とは

 私は前に勤務した学校で、生徒の問題行動によって多くのことを学んだ。
 生徒の問題行動に対する指導の原則は、生徒を人間として扱うことにつきる。
 生徒が教師である自分と同じ人間であることを、どのくらい深く考えて行動するか、ということで決まるのである。
 私が体験の中でつかみとったことをまとめてみる。
 生徒はさまざまな問題をひき起こす。
 タバコ、酒、カツアゲ、集団暴行、万引き、不純異性交遊、授業中に騒ぐ、器物破損、ツッパリグループの結成、など出るべきものはほとんど出た。
 では、このような問題を起こした生徒に、どのように対応すべきなのだろうか。
1 生徒を道徳的に断罪するな
 大切なことは、生徒を傷つけないこと。道徳的に断罪しないことである。
 生徒が問題を起こすと、教師は「悪いことをやった」と考え、ほとんどの場合、生徒に「すみません。もう二度とやりません」と、反省させることを目標とする。
 しかし、教師は神様ではない。道徳的に断罪できる位置にない。
 だから、こういう方向で生徒を追及したとしても、生徒を傷つけ問題をこじらせるだけである。
2 生徒を呼ぶときの教師の顔つき・態度
 まず、生徒を呼ぶときの教師の顔つき・態度が大切である。
 なれなれしく、優しく対応するのは論外で、ピリピリした厳しい顔で臨むのもまずい。
 生徒に対して、教師である自分を無化するような、落ち着いた、冷静な態度がとれるといい。
生徒にやったことをしゃべらせる
 生徒を緊張させつつ、リラックスしてしゃべらせる、といい。次のように始める。
(1)
「何をやったか順を追って言ってごらん」と切り出し、生徒がしゃべり始めるのをゆっくりと待つ。
(2)
話し出したら「いつ」「どこで」「誰と」「何をした」と、教師が口をはさんでやり、生徒が具体的に、自分がやったことを整理できるようにする。 
 これがきちんとできれば、教師の仕事はほとんど終わったも同然である。
 言いにくいことを無理にしゃべらせる必要はまったくない。
 生徒自身が、しゃべっていく中で、自分が何をやったのかを対象化できればいいのである。
 もっとも大切なことは、具体的に何をやったのかということを、生徒自身にハッキリさせることなのである。
 生徒は、ほとんどの場合、自分がやったことがどういうことなのか、何もつかんでいない。
4 生徒にやった理由は聞かない
 生徒はその時の気分で行動するのだから「べつに理由なんかない」のである。
「どうしてそんなことをしたんだ!」と詰問調に迫ることは、絶対に避けなくてはいけない。
「別に」という返事がはね返ってきて、教師がカーッとして「別に、とは何だ!」とケンカ腰になっていくのがオチである。
 たとえ理由があったとしても、それは生徒の心の領域に属することだから、聞いたってどうにかなるわけではない。
5 生徒を説得しようと思うな
 問題を起こした生徒を呼んだとき、ほとんどの教師は、やったことがどうして悪いのかを説明し、納得させようとする。
 くどくどと理由をつけて「だから、やっちゃいけないのよ」と言うわけである。
 ほとんどの生徒は、自分のやったことの整理がつけば、まずいことをしてしまった、ということが分かる。
 生徒にしゃべらせたあとで説得を始めるから、ウヤムヤになってしまうのである。
 仮に教師がつけ加えるとしても「まずかったな」の一言でいい。
6 生徒にやったことをしゃべらせた後
 生徒がしゃべり終わったら、教師が順を追って確認し「まずかったな。で、どうするの?」と、次に進む。
 やったことの責任のとり方を次のように教えることになる。
(1)
他人に迷惑をかけた場合は、謝罪し、具体的に償えるものは償う。
(2)
自分に何かを強制することによって、今後頑張っていくことを示す。
 処置の実行には、教師は最後まで立ち合い、手助けをし、やりとげさせねばならない。
 そのことによって、生徒が一区切りをつけ、次の生活に入っていけるようにしなくてはならないのである。
7 校内で事件を処置できなければ警察へつき出せ
 前述のような処置は、教師の指導力が確立していなければ不可能である。
 校内で処置できず、問題を放置することがもっとも悪い。
 処置できなければ警察にまかせ、きちんとした法的な処置を受けさせる方がずっといい。
 法律に違反すればこういうことになると、身をもって体験させることである。
「教師が生徒を警察につき出すのはよくない」などというおしゃべりにつき合う必要はない。
 教師が校内でケリをつけられるかどうかが問われているのであり、できないなら警察にまかせるしかないのではないか。
 それをいい加減にするから、問題が大きくなるのである。
 社会で生きていくための、公の人間として生きていくためのルールを、しっかり教えていくことが大切なのである。
(
河上亮一:1943年東京都生まれ、埼玉県公立中学校教諭、教育改革国民会議委員、日本教育大学院教授を経て、埼玉県鶴ケ島市教育委員会教育長、プロ教師の会主宰)


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