カテゴリー「叱る・ほめる・しつける」の記事

規律のある学級にするために、すぐできる方法とはなにか

 荒れた学級では、教師の指示が通らない。学級を荒らさないためには、規律を打ち立てる必要がある。
 規律を打ち立てるためには「しつけを一つずつ徹底して教えていく」と、効果的である。まずは、一つを徹底するのである。
 しつけで有名な三原則(哲学者森信三が示した)は、
(1)
あいさつをしっかりする
 あいさつがきちんとできるようになるだけで、学級の雰囲気がピリッと引き締まったものになる。
 そして、教師の指示があったら、さっと動ける子どもになっていくのである。
 例えば、朝のあいさつで、隣の子とおしゃべりをして、声を出していない子どもがいたら
「とってもいい声で、あいさつできている人がいました。が、残念。三人は声を出していませんでした。朝のあいさつを気持ちよくすることから、一日が始まります。もう一度しましょう」
 教師が、あいさつができているかどうかを鋭く見て、できていない子どもの数まで言うから、子どもたちはドキッとする。「この先生には、ごまかしがきかない」と思うようになる。
(2)
返事をする
(3)
後始末をする
である。
 あいさつ、返事、後始末にこだわってみる。これが学級経営の急所である。
 あいさつ、返事、後始末を一つずつ教え、だんだんとできるようになってくれば、学級の雰囲気がガラリと変わる。規律ある学級に変化してくる。
 この三つのしつけ以外にも、私がこだわっているしつけがある。それは、
(1)
目の前に落ちているゴミを拾う
 できていない事実をとらえ、全員に指導する機会をもちたい。
 例えば、図工の授業の後で、ゴミが落ちていたとする。誰もそれを拾わずにほうっておいたら、指導のチャンスである。
「大変残念なことがありました。教室にゴミが散らかっているのに、誰も拾おうとしないのです。そんなみんなの姿を見て、残念に思ったのです」
「そんな人に、何か大きな目標が達成できると思いますか」
「小さなことにすら気づけない。気づいてもめんどうだと思ってやらない。そんなことで、自分の夢をかなえるための努力ができると思いますか」
「今日は残念でしたが、次は、みんなならきっと拾えると思います。先生が拾って片づけるようではダメなのです」
 そして、拾っている子やゴミを落とさずに片づけている子をほめる。こうして、小さなことを大切にする子に育てていく。
(2)
提出物の向きをそろえて出す
 宿題やプリント、ノートなどの提出物を、教師の方に向けて出すことができるようにしたい。目上の人への最低限の礼儀だけは教えておきたい。
(3)
机をそろえる
 座席を離れるときや、授業が始まる前、帰る時などに、さっと机の向きを整えるようにする。
 すぐに机の位置と向きがそろえられるように、机の下にマーカーで印をつけておくとよい。
 これらは、たいへん小さなことである。だが、こういった小さなことができるようになると、大きな変化が子どもに訪れる。
 やることが、だんだんと丁寧になり、不思議と落ち着いてくる。
 教師が大切にしたいしつけを、一つずつ教えていくことで、規律あるクラスへと変わっていく。
(
大前暁政:1977年生まれ、岡山市立小学校教師を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞)


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叱り方に悩んでいる人は、どうすれば「よい叱り方」になるのでしょうか

 子どもを叱ったり、怒ったりするのは、子どもに伝えたいことがあるからです。ですが、感情的になったり怒鳴るだけだったりすると、子どもはなぜ叱られたのか、その理由がわからないままになることがあります。
 そこで、私はつぎのようにしています。
1 叱る前に「見る」
(1)
タイミングを見る
 声をかけるタイミングをみます。何かに夢中になっている途中では、話しかけられたくありません。
(2)
過程を見る
 結果だけを見ないで、その過程をみます。すると、かける言葉が変わってきます。
2 先にいいところを伝える
 言いたいことがあるときは、先にいいところを伝えてください。すると、その後の本当に言いたいことが伝わりやすくなります。
 人は聞きたくない話には耳を閉ざします。だから、先にうれしい話をして耳を開いてから伝える。すると、案外、聞き入れてくれるようです。
3 正論より共感
 人は共感してくれる人に心を許します。子どもの気持ちに寄り添うと「わかってくれているんだ」と思うでしょう。共感の気持ちが安心や信頼につながります。
4「あなたが悪い」でなく「ここが悪い」
 叱るときは、子どもが悪いのではなく、やったことが悪いのだと伝えてください。例えば「壁に落書きするのは悪いことよ」とやったことを否定するのです。
 子どもを叱るときには、子どもの自尊心を傷つけないようにしましょう。自尊心を傷つけない叱り方とは、本人を否定しないで、やったことを叱ることです。自分という人格を否定されたことにならないから、劣等感には結びつきません。
 大切なのは、子どもの気持ちを尊重する接し方です。とくに「叱る」ときには、子どもの失意、失望、自己否定などの負の感情をもたせないよう心がけてください。
5 原因の追究より次の行動
 私は以前、子どもの問題行動を「なんでこんなことをしたんだ?」と問いつめていました。子どもは「だって・・・・・」と言いわけするしかなく、会話は悪循環になるだけでした。
 そこで「なんでこんなことをしたんだ?」ではなく「どうしたらいいのかな?」と、聞いてみることにしました。「なんで」では、解決につながりません。
「どうしらいいのか」「何をすればよいのか」と、するべき行動が具体的にわかれば、子どもたちの体も気持ちも動きやすくなります。
 そのためには「どうする?」です。子どもはきっと、自分なりのアイデアで問題解決していくでしょう。
6 叱るときには深追いをしない
 叱るときは、ひきずらないように叱ることが大事です。叱るときには決して深追いをしない。人と比較しないで「さらっとひと言で」が秘訣です。
 叱られたところから、自主的に立ち直れるようにしてあげないと、子どもはいつまでも叱られた悲しみから抜け出すことができなくなってしまいます。
 子どもを「叱る」ことで悩んでいる人は、日々の暮らしのなかで、一回でも多く「ありがとう」と言いましょう。大人が子どもに言うのです。「ありがとう」は相手をほめることにつながります。
(
佐々木正美:1935年群馬県生まれ、児童精神科医。様々な大学や機関を経て、川崎医療福祉大学特任教授、横浜市リハビリテーション事業団参与。子どもの発達について幼稚園等と勉強会を重ねている)
(
若松亜紀:幼稚園教師を経て親子の集いの場「陽だまりサロン」オーナー)

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「叱らない」と「叱れない」とは違う、「叱れない」教師が増えている、どうすればよいか

 「叱らない」と「叱れない」を一緒にしてはいけません。「叱れない」から「叱らない」では困ります。
 叱る必要のある時にさえ「叱れない」と、クラスの雰囲気が悪くなります。
 でも「叱れない」教師は確実に増えています。叱れないとき、どうすればよいのでしょうか。
(1)
教師になるまで他人を叱る経験をしてこなかったので、どうやって叱ったらいいのかわからない。
 
「叱る」をテーマにした本を手にとって学んだり、同僚の教師に教えてもらったりしたらいいのです。
(2)
「叱る」と子どもに嫌われそうだから、叱ることができない。
 実際、きちんと叱られた場合には、そのことが原因で教師を嫌いになるなんてことは、あまりないのです。
 遠慮はいりません。子どもに遠慮しているという空気が伝わることの方が問題です。叱ることを恐れてはいけません。
(3)
「叱る」ことは、よくないから我慢している。
 叱る必要がある時に「叱れない」と、逆にクラスの雰囲気が悪くなります。叱ることを恐れてはいけません。
(
俵原正仁:1963年生まれ、兵庫県公立小学校教師、笑顔の教師が笑顔の子どもを育てる実践はマスコミにもとりあげられた。教材・授業開発研究所「笑育部会」代表)

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どのように叱れば子どもは変わるのでしょうか、そのポイントとは

 僕の怒りは本物です。でもこの怒りは、僕にとっても子どもたちにとっても必要な感情だと思っています。
 子どもたちに成長してもらいたい。子どもたちに自分の可能性を信じてほしい。だからこそ、子ども自身があきらめようとする時に、僕は悔しさと共に怒りを感じる。それは愛情の裏返しなのです。
 でも僕は、その怒りをそのまま子どもにぶつけることはしません。本来の目的は、子どもたちの可能性を引き出すことだからです。怒りを冷静にコントロールして、子どもたちの成長のために使うこと。これが、僕にとって「叱る」ということです。
 叱った後には必ず、子どもたちにフォローを入れています。フォローとはつまり、なぜ叱ったのか、理由を明確にして、本人が納得できるまで話し合うということです。
 そして、叱られた子どもが大切なことに気づき、少しでも成長が見えたら、必ずその子をほめます。「叱る」は「ほめる」と、セットになって初めて意味を持つものだからです。
 子どもたちがルールを守らない、やるべきことをやっていない時に叱らなかったら、子どもは本当に大切なことに気づけない。成長するチャンスを失ってしまうと思うからです。
 子どもたちを叱ろうとする時、僕にはすでに、叱った後で子どもたちが自信にあふれ、笑顔で動き出すシーンのイメージができ上がっています。
 ポイントは、子ども自身に考えさせることです。「きみのやったことに対して、きみ自身はどう思うんだ」と、まずは問いかけてみる。
 叱る側の愛情に裏付けられた怒りが伝われば、子どもは必ず誤りに気づいてくれます。そして、間違いを正すにはどうするべきかを、自力で考え始めるのです。
 考え始めたら、自分で答えを出すまで根気強く待ってあげること。一緒に考えてあげるという姿勢が重要です。
 根底にあるのは、もちろん子どもへの愛情です。子どもの可能性を信じ、成長を願う心です。
 叱るのにはとても大きなエネルギーが必要ですが、子どもの成長はきっと、その何倍もの希望を僕たちに与えてくれます。それは、叱ることで得られる、僕たちにとっての最大のご褒美なのだと思います。
 子どもは一人ひとり個性を持っています。ですから、こういう叱り方がいいとはいちがいには言えません。
 まず、子どもをまっすぐに見て、その子にとって今一番必要な「叱り方」がどういう形かを見きわめることが大切です。
 では、どうやって子ども一人ひとりの性格を見きわめるかといえば、それは「感じる」ということです。見た瞬間パッとわかる子もいれば、コミュニケーションを重ねて、なるほど、そういう性格なのかとわかる子もいます。
 大切なのは、こちらが愛情と関心をもって見ること。そうすれば、その子の性格が自ずと見えてきます。
 また、叱り方は、その子の性格だけでなく、僕との信頼関係の深さによっても変えます。
 たとえば、その子が自分に自信を持っていて、かつ僕を信頼してくれているという関係であれば、あえて「テニスをやめろ!」というような叱り方をすることもあります。叱咤激励することで、発奮してくれるからです。 
 中には、叱るべきでない子もいます。たとえば、その子が何をすればよいか自分で判断できる場合です。叱ることで何かに気づかせる必要がない子です。
 もうひとつは、いじめなどがある場合です。精神的に想像以上のダメージを与えてしまうこともあります。
 こうした背景を含めて、まずは子どもをしっかりと見つめ、今、何を一番必要としているのかを見きわめてあげてください。
 子育ては、とかくストレスがたまるものです。一度はわからせたつもりでも、子どもはつい同じ間違いを繰り返してしまう。すると、つい感情的に叱ってしまいます。
 感情的に叱らないために、自分自身を「客観視」してみることです。第三者的に自分を見ると、気持ちは落ち着いてきます。
 実際に叱る前に、心の中で叱る言葉を言ってみる。すると、もう一人の自分が教えてくれます。「それは、自分が感情的に怒っているだけじゃないのか」と。
 冷静さが自然に戻ってくる。すると、子どもを成長させたいという本来の思いにも気づくことができます。
 ひと呼吸おくというクセをつけておくのもよいでしょう。自分を心理的に落ち着いかせてから、子どもと向き合うと、意外と冷静に叱ることができます。
 どんな状況であれ、絶対に使ってはいけない禁句があります。
(1)
子どもの可能性を否定する言葉
 「お前には無理だ」「あなたにはできない」こんな言葉を言ってしまったら、子どもの可能性を伸ばすために指導しているのに、可能性は消えてしまいます。
(2)
身体的なことを否定する言葉
 身体的なことは、自分の意志では変えられません。身長が高い低い、太っている痩せている、といったことは個性です。身体的なことを否定するべきではありません。コンプレックスとして心に植えつけられてしまいます。
(3)
兄弟や友だちと比べる言葉
 子どもに劣等感を抱かせる言葉です。子どもは自信とやる気を失ってしまいます。
(
松岡修造:1967年東京都生まれ、元男子プロテニス選手、スポーツキャスター、スポーツ解説者。日本テニス協会理事強化本部副部長)

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子どもを育てるときの「ほめ方」「叱り方」の鉄則とは何でしょうか

 私は長い警察官生活の中で、道を踏み外した子ども、そしてその子を育てた親と接し、たくさんの話を聞きました。
 話を聞くと、一緒に住んでいるのに気持ちはすれ違い、かみ合ってないことや、お母さんが子どものために良かれと思っていたことが、子どものためになっていないことなど、家庭でさまざまな問題を抱かえていたことが分かってきます。
 子どもたちに不幸を生まないためには、子どもの頃からしっかりと、しつけを行うことが必要なのです。
 子育てにおいて愛情が基本なのは当然のことです。しかし、愛情に溺れず、どこかで冷静に距離をおいて子どもに接するのが親の役目なのです。
 叱るときも、本気で叱りながらも、怒りをぶつけてはいけません。あくまで親という役割の必要性からそうしているのです。
 子育ては、時代が変わっても押さえるべき「子育ての鉄則」は変わりません。私の長年の経験から確信をもって言えることです。やろうと思えば誰にでもできることです。
 子どもを育てるとき、子どもの「ほめ方」「叱り方」の鉄則とは
(1)
かわいがることと溺愛は大違い
 かわいがられたことのない子は、よい子に育ちません。しかし、溺愛ほど有害なものはありません。溺愛だけで「しつけ」のない親があまりにも多い。
 今の親は甘やかす傾向が強く、必要以上に子どもに迎合する親や「友だち親子」になっていて、叱らなければならない時に、それができず、むやみにかわいがってばかりいる親が多いのが懸念されます。
 子どもに甘く、子どもの要求をやたらに受け入れる親は、理解のある親だと思われたいのでしょうが、とんでもないことです。
 子どもが転んだら手を貸して起こしてやるといった子育ては避けるべきです。親が先回りしてやってしまうと、何かに耐えたり、我慢したりする、生きていく上で大切な力が子どもの身につかないのです。
 自分で立つことを学ばせることはとても大事なことです。それが「しつけ」であり教育なのです。
 子どもがキレて、わめくと「ああ、分かった、やってあげるからね」と助けてしまう。すると、子どもは駄々をこねれば何でも通るということを覚えてしまうのです。
 そんな子に育っていくのが最も恐ろしい。やがて親にとっていちばん苦労する子になってしまうのです。
(2)
叱ることを恐れない
 まるで腫れ物にさわるかのように子どもに接している親がいます。これが一番よくないと私は言っています。必要以上に子どもの機嫌をとってはいけないのです。
 叱るということを、あまり恐れてはいけません。叱り方さえ間違えなければ、子どもは親から離れることはありません。
 親は子どもに「間違ったことをしたら叱られる」のだということを教えるべきです。子どもは世の中のことを知りません。間違ったことをやって当たり前です。
 叱るべき時は厳しく叱る。そのかわりよいことをしたら、とことんほめる。抱きしめてほめてあげてください。その時に、親と子の結びつきができるのです。「叱る」「ほめる」という行為は、そういう意味でも大事なことなのです。
 気をつけることは、叱るときに感情的になると「怒る」ことになります。その分だけ愛情が抜けてしまうのです。子育てにおいて、感情と愛情はなかなか同居しにくいものなのです。そのことを忘れないでください。
 叱る時には、絶対に人の前で叱ってはいけません。子どものプライドを軽視してはいけません。ほかの子と比較はしない。自尊心を傷つけます。
 叱るときは肌を接して叱ってほしい。特に厳しく叱る時は、必ず子どものどこか(手を握るとか、頭に手を乗せるとか、肩を組むなど)に触っていてください。親が考えている以上に、子どもは孤独感と恐怖感を覚えるのです。
 叱ったあと、後味の悪さを引きずったままでは、親子の関係が離れ、やがて結べない距離になってしまいます。「きつく叱ったな」と思ったら、必ず「なり直し」(フォロー)をやってあげる。
「ね、分かった? お母さんの言うこと」「うん」などと、気持ちを寄せ合って、子どもが不安を引きずらないようにしましょう。
 毎日の子どもとの触れ合いの中で「叱る」より「小言」が多すぎると、子どもも「またか」と、うんざりするだけで、言うことを聞こうという気持ちにはなりません。
 これは、子どもに近づきすぎていることが原因です。子どもとの距離を少しとって口を出したいと思っても、子どもを信じて黙って見守ってみてください。
 自分で問題を解決することにより、子どもはものごとの処理能力を身につけた大人へと成長していけるのです。
(3)
子育ての責任者は親である
 何のために子どもをしつけるのでしょう。子育ての目的は、社会生活をするために必要なルール、作法や物事の善悪を判断する力を身につけさせること。
 そして、この子育ての責任は親にあることをよく自覚していただきたいのです。このことが分からず、他人や学校に文句ばかり言う親がいますが、子育ての責任はあくまで親だということを忘れないでほしい。
(4)
まずは、さきに「ほめる」
 
「ほめて」よいところを伸ばしていけば、やがて黙っていても悪いところは立ち枯れるものです。「よくがんばったね」と、よくできたところをほめた方が効果的です。
 ほめて自信をつけさせて「やればできるのだ」と暗示をかけて育てる方が大事ではないかと思うのです。やがて、この暗示が本物になるのです。
 
「あなたのいけないところはこれ、早く直しなさい」と、先に悪い点を言う親が非常に多い。そうではなく「今日はよいこと一杯できたね。明日はここをがんばろうね」と、よいところを指摘しながら励ますようにします。
(
星 幸広:1944年生まれ、千葉県警察官、千葉県鉄道警察隊長、警察庁警備局、千葉県少年課長、 千葉県警察署長、地域部参事官等を歴任し、千葉大学ジェネラル・サポーター。「子育て、しつけ」や「学校危機管理」に関する講演を全国的に展開 している)

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子どもを叱っても言うこと聞いてくれないとき、どうすればよいのでしょうか、その発想のポイントとは

 子どもをどう「しつけ」たらいいか分からない。いくら叱っても、子どもが言うことを聞いてくれない。言いたくないのに、いつも子どもに小言を言ってしまう。子どもと楽しく過ごしたいのに、気がつくと子どもを叱っている。
 私は、23年間の教師生活の中で、このような親たちの相談を何回も受けてきました。多くの親たちがこのような悩みを抱かえながら、毎日を手さぐり状態で生活しています。
 これらは、教師である私自身の悩みでもありました。私も教師になったときから、ずっと同じようなことで悩んできたのです。
 叱りすぎて。子どもの心が離れてしまったこともありました。毎日子どもと顔を合わせるのが、嫌でたまらなかったこともありました。
 そのような悩みと苦しみの中で、だんだん分かってきたことがありました。分かってくるようになってからは、毎日の子どもとの生活が楽しくなってきました。
 そして、子どもたちもグングン伸びていくようになりました。
 以前、わからなかった「子育てやしつけ」のポイントが少しわかるようになったのです。ほんの少し発想を変えるだけでいいのです。この「発想を変える」ことがとても大切だと思います。発想を変えて、初めの一歩を正しい方向に向けることがとても大切なのです。
 「子育てやしつけ」の発想のポイントとはどのようなことなのでしょうか。
(1)
「しつけ」より愛情
 
「しつけ」は愛情の後に来るものです。まず、子どもの心を親の愛情でいっぱいに満たしてやることが一番大切です。
 自分が愛されているということを実感させてやってください。子どもが親の愛情を実感し、心が満たされているとき、初めて、しつけも可能になるのです。
 子どもが愛されているという実感がないと、いくら子どもをしつけようとしても、何一つ身につきません。私はそういった例をたくさん見てきました。
 親たちも、みなそれぞれに愛情を持っているのですが、子どもが実感として親の愛情を感じることができていない場合があります。
 実際にコミュニケーションやスキンシップなどの触れ合いを通して、心と体で愛情を実感することができないと満たされないのです。
 自分が本当に親から愛されているのだということを、子どもはいつも実感していたいのです。それは、一度にまとめて受け取り、蓄えておけるようなものではないのです。
 親に愛されていると日々実感している子は、心が満たされます。心が満たされている子は、素直になれます。ですから、親の言うことを受け入れることができるのです。
 生活のしつけや決まりも、素直に受け入れることができるのです。
(2)
叱ることで「しつけ」ようとしない
 親がコミュニケーションやスキンシップなどの触れ合いを心がけているにも関わらず、親の愛情を子どもが実感できないでいるという場合があります。
 多くの親は、叱ることで「しつけ」ようとしています。でも、子どもはその度に嫌な気持ちになっています。その度に、少しずつ親の愛情への疑いが育っていくのです。
 子どもが人間として許されないようなことをしてしまったとすれば、「叱る」ことも必要でしょう。例えば、誰かを傷つけたり、卑怯なことをしてしまったとか、弱い者をいじめてしまったなどという場合です。
 でも、大人が感情的になって、声をあらだててとがめる必要が毎日あるでしょうか。
 私は、以前は、声をあらだてて子どもを叱ることがよくありました。私も、その度にいやな気持ちになるのが常でした。
 叱られる子どもは、うなだれて、しょんぼりしています。私を見る目も微妙に違ってきます。つまり、子どもの中で教師としての私の価値が低くなっているのです。
 感情的に叱ったり怒ったりするたびに、子どもたちが言うことを聞かなくなっていきます。指示や指導は効き目がなくなっていきます。なぜなら、指示や指導には、その人自身の人間性の裏付けが必要だからです。
 生活の中に「叱ってしまう流れ」から「叱らなくてすむシステム」を作ることに力を注ぐようにします。 
 例えば、私は叱らなくてすむように、小黒板を利用していました。小黒板に朝の流れを書いて、毎日帰り際に、係の子どもが教室の前の黒板に張りつけます。
 
「朝、八時までに、提出物を出しましょう」「係の仕事をがんばりましょう」「外で元気に遊びましょう」
 こうしておけば、朝、学校に来たときに、誰もが目にし、朝の八時までに提出することが出来るわけです。もうひと工夫して、教室にいる子どもたち全員で読むようにします。これはとても効き目があります。誰の耳にも聞こえるからです。
 たいていの場合、これで、どの子も朝の仕事がきちんとできるようになります。それぞれの問題に応じた方法を工夫すればいいのです。私は「改善」と言いながら工夫してきました。
(3)
子どもの短所に目をつぶり、長所を伸ばす決意をする
 
「しつけ」ようとしても、どうしてもできない子どもには、どうすればよいのでしょうか。目をつぶればいいのです。短所に目をつぶる代わりに、長所を伸ばす決意をするのです。実はこの短所に目をつぶるということが、大人にはなかなかできないのです。
 成長するためには人間は、どこを持って持ち上げてもいいんです。得意なこと、好きなこと、長所を持って上げてやればいいんです。
 人間全体が上がれば、苦手だったことや短所も、いつの間にか上に上がるんです。その子は幸せになるのです。
(4)
肯定的な言い方で、子どもをやる気にさせる
 ちょっと言い方を変えると、聴いている人は気持ちよくなります。
「脱いだ靴が揃えられていると気持ちがいいね」
という言い方は、肯定的な言葉を使っているので、聞いている人は気持ちがよくなるのです。それで、聞いている人は前向きにやってみようかなという気になるのです。
(5)
子どもをほめる
 人は誰でもほめられるとうれしいものです。心が温かくなって、やる気が出てきます。私は担任として、子どもを意識的にほめるようにしていました。
 子どもをほめられない人は、日頃の考え方がマイナス思考の人が多い。子どもをほめられるようになるためには、自分自身をプラス思考の性格に変えることです。生活や仕事を楽しんでいる人は、みんなプラス思考だということです。
 物事の肯定的な面を見つけ出して「いいね、いいね」「あなたのいいところはここね」と、それを話題にするようにします。
(
杉山桂一:1958年生まれ、公立小学校で23年間教師を務め2006年に退職。教育評論家として講演、執筆活動、無料メールマガジン(メルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位)の発行を続けている)

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コーチングの考えで子どもを叱ると、子どもは受けとめてくれます

 コーチングは「子どもを認める」ことから始まります。どんな状況でも子どもの良さを見つけて承認することが大切です。それこそが、子どものやる気を引き出すのです。
 叱ることの本来の目的は、考えさせ、反省させ、改善への努力をさせることです。
 叱るべき行為があったとき、教師は本当に事実なのか、叱る必要があるかを考える。教師が確認した事実を伝えて、子どもの認識と違っていないか確認する。違っていなければ問題点を伝える。
 わからない子には、問題点を理解できるように教える。「先生は・・・と考えている」と伝え、子どもの気づきを深める。
 反省させて「じゃあ、どうしたらいいと思う?」と今後どうすればいいかを考えさせる。
 叱るとき、言葉は慎重に選びたいものです。命令や禁止形で言われた子どもは反発を感じやすい。「○○しましょう」と奨励形を多く使うよう心がけたいものです。
 コーチ先生は子どもの人格を尊重する言い方をします。「あなたらしくないぞ」と叱ります。このひと言が子どもの心にしみこみ「自分は先生に認められている」と実感させます。
 朝、遅刻してきた子どもに対して、コーチ先生は「先生は、あなたを待っていたんだよ」と言います。いけなかったなあ、という反省を子どもにうながすことになります。
 子どもにとって、何を叱られるより、誰に叱られるかの方が重要なのです。この先生ならわかってくれているという信頼関係が何よりも必要なのです。
 教師は子どもの行動を変えたいとき、子どもの自尊感情を大切にし、きちんと教師の意思を伝えるようにします。すると、素直に聞き入れてもらえるようになってきます。そして、お互いに信頼関係が生まれ、学校がますます好きになっていきます。
 注意をうながすのであれば、気づいたらすぐ叱るようにしましょう。コーチ先生は、その場で、あっさりと叱ります。先ほどまで叱られていた子どもが、その直後にはもう一緒に笑い合っています。
 最近の子どもたちは、注意しても素直に受け止められず、教師との関係をこじらせてしまうケースも多くなっているようです。
 授業中、おしゃべりをやめない子がいたとき、YOUメッセージでは、例えば
「うるさい。○○くんの発言が聞こえないじゃないか。静かにしなさい」
と言うと、子どもにとって非難に聞こえやすく、反発を誘発する危険があります。
 コーチ先生は、Iメッセージを使います。
「先生は○○くんの意見が聞きたいんです。静かにしてください」
となります。Iメッセージのほうが素直に聞こうとする感じがしませんか。これは、自分に主体性を持たせることで、相手が受け止めやすくなるからです。
 学校生活で叱らなければいけないことがあります。そのときは理由を付け加えるようにします。
 例えば、清掃後の雑巾が濡れたままで散乱していたとします。
「何だこれは、どうなっているんだ」と叱ることがあります。問答無用の叱り方では理由がわからない。これに、ひとこと理由を示すと、叱り方の印象がまったく違ってきます。
 コーチ先生は「雑巾を濡れたまま散らかしっぱなしだとカビも生えるし、次の人は使いにくいよね」と叱ります。子どもの意識はまったく違ったものとなります。
 叱られた内容をきちんと説明し、何を反省したらよいかを明確にすると、子どもは反省して行動することができるようになります。
(
神谷和宏:1960年生まれ、愛知県公立中学校教師。 読売教育賞などを受賞。教育コーチング、心理カウンセラー)

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「ほめ方、叱り方」で子どもをダメにする教師、伸ばす教師とは

 どうしても叱らなければならない場合があります。そんなとき、どうすれば子どもの心を傷つけずに叱れるかがポイントになります。
 子どもに教師が「あなたは、どうしてできないの」「こんなことばかりして、ダメな子ね」と、言っていると、子どもは自分に対してマイナスのイメージしか持てなくなる。
 人間としての人格を否定される言葉を聞き続けて育つと、健全な自己イメージは育ちません。
 そうではなくて 「あなたは本当は良い子なのに、何がこうさせたの? 先生は良くないと思うよ」というように注意します。
 行為が悪いのであって、その子が悪いのではない。「本当は良い子」と言われた子どもは素直に反省するようになるでしょう。
 子どもを承認することは大切なことです。承認とは、ほめることだけではありません。叱ることも承認することになります。
 この二つのことを自動車の運転に例えれば、ほめることは「アクセル」、叱ることは「ブレーキ」になります。ほめることは、子どもの推進力になります。ちょっとだけほめても、前には進みません。常にほめ続けることが必要です。
 叱ることも必要です。常にアクセルだけでは、自動車は事故を起こしてしまいます。正しい方向に向かわせるブレーキが必要です。
 必要な時にほめ、叱らなければなりません。山本五十六の有名な言葉「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」とは、育てることの真髄です。
 保護者や教師から「子どもたちはやる気がない」という相談をうけます。そのお話を分析してみると、ほとんどの場合、保護者や教師の対応に問題があります。細かいことにいちいち口うるさく指示を繰り返しているのです。
 
「遅刻しないように早くきなさい」「早く席に着きなさい」「ゴミを落とさないで」などなど、朝から夕方まで言われ続けます。
 子どもとしては、一日中言われ続けたら、もう聞く気になりません。注意されることに慣れてしまうのです。
 だから「叱られても、どうせこれくらいは大丈夫さ」と、教師の対応を見透かされているのです。だから、叱っても効果がなく、叱れば叱るほど効果は薄れていくのです。
 叱られてばかりいる子はやる気をなくすだけでなく「人の話をいい加減に聞く」態度まで身につけてしまいます。
 一日叱ってばかりでなく、何かひとつのことを改めてくれたらいいという気持ちで、ポイントを絞って叱るようにします。八割ほめて、二割叱るぐらいがよいのです。
 ほめることは、叱ることより難しいことです。人の短所は見なくても見えてしまいますが、長所は意識して観察する目が必要なのです。
 子どもを喜ばせることばかりを意識すると、わざとらしいほめ方、口先だけのほめ方になりがちです。これでは、子どもに不快感を与え、逆効果になってしまいます。
 子どもに信頼を得るためには順序があります。まず、子どもの存在を十分に認知し、その上に徐々に、関心、理解、承認、賞賛のほめ方を考えてあげましょう。この順序を間違えてしまうと効果的ではありません。
 子どもをほめることは、教師の能力を高め、新しい発想ができるようになります。優れた教師は日頃から「子どものほめるところは、どこにあるのだろうか」という目で観察します。また、的を射たほめ言葉にするために、子どもの言動を注意深く観察しています。
 すべての子どもは、すばらしいところを持っています。すべての子どもに対して興味・関心があれば、どんなことでもほめることができます。
 
「どうしても気が合わない」という子どもがいたら、子どもの長所だけを見る訓練をしていきます。さらに「○さん、友だちの靴、そろえていたよね。えらい」と、ほかの子どもを使ってほめます。回りまわって、本人の耳に入り、関係の修復に役立つことがあります。
 
「ほめたいのだが、ほめるところが見つからない」という教師は、子どもをほめることに対してハードルが高い。
 とりわけ高いハードルとして、さまざまなことを「できて当たり前」と考えて、評価基準が高すぎることはないでしょうか。特別なときにほめようと思っていませんか。
 
「欠席しない」「元気がよく、活発である」など、本気でほめたいと考えているならば、どんなことでもほめる要素は無尽蔵にあります。
(
神谷和宏:1960年生まれ、愛知県公立中学校教師。 読売教育賞などを受賞。教育コーチング、心理カウンセラー)

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掃除がきちんとできていないとき、子どもたちをどのように指導すればよいか

 掃除を、きちんとやっている子どもがいるが、さぼっている子どももいる。掃除が終わった後を見ると、ゴミがあちこちに落ちていることがある。
 子どもたちに対する掃除の指導はどうすればよいのでしょうか。
1 厳しいタイプの教師-やり直す
 掃除がきちんとできていなかったら、やり直しをさせる。その際の指導のポイントは
(1)
事実を指摘する
 具体的な事実に基づいて、やり直しの理由を明確にします。「ゴミが捨てられない」など、現場で事実を見せながら理由を明らかにします。
(2)
責めない
 できてないことを責めると、子どもは誰かのせいにしたくなります。だから「一人では気づかないことあるから、掃除が早く終わった人は、終わってない人を手伝いましょう」といって、全員で協力して掃除をすることにしておきます。
(3)
掃除後のイメージを持たせる
 
「きれいにする」ことに、教師と子どもにイメージギャップがあると「きれいにしたのに、先生にやり直しをさせられた」と思う子どもが出ないとは限りません。
 ですから、一度、子どもと一緒に掃除をし、こうなっていればよいという状態を明らかにしておきます。
(4)
ほめる
 やり直しをさせた後は、きっちり、ほめたり、感謝の気持ちを示します。「さっきよりぐんときれいになったね。これでみんなが気持ちよく使えるね。ありがとう」と教師が喜びを示すことが最も大事です。
2 優しいタイプの教師-よかったところを注目して反省会をする
 掃除が終わったら、掃除中の「自分のよかったところ」「がんばったこと」をカードに書くようにします。
 掃除をちゃんとやっていないと書けません。だから、子どもは掃除をがんばるようになります。
 書き終わったら、数名のカードを発表します。
「○掃除の△さんは、机を10個も運んだそうです」     
「棚の上を2回も水ぶきをした人がいます。誰でしょう」とクイズ形式にすると盛り上がります。
 悪いところに目がいきがちな掃除の反省会を、よさに注目させることで、楽しいものに変えることがポイントです。
3 じっくりタイプの教師-個別反省会
 全体に働きかけだけでは、不十分な子どももいます。そういう子どもには、個人的に声をかけて反省会をします。
 例えば、掃除時の態度がよくないと□さんに苦情が多く寄せられるようになったとします。□さんに事情を聞きます。「自分の掃除の仕方についてどう思う?」などと聞きます。
 次に「そういう態度を続けていたらどうなるか」を考えさせます。それから「どうしたらいいか」聞きます。
 □さんが考えついた方法を「いい考えだね」と認めるようにします。□さんが、考えつかなかったら、教師と一緒に解決策を考えます。
 次の日からときどき「どう、うまくいっている?」と声をかけて聞きます。うまくできたときは、ほめ喜びます。だめな日が続くようなら、改善策をまた一緒に考えます。見守っているというメッセージを示すことが大切です。
(
赤坂真二:1965年新潟県生まれ、小学校教師(19年間)を経て、上越教育大学教授。アドラー心理学アプローチの学級経営を研究。現場の教師を勇気づけたいと願い、研究会の助言や講演を実施して全国行脚している)


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学級が荒れたり崩壊しないように、注意や叱責するにはどうすればよいか

 教師は子どもの行動が著しく集団の規範を逸脱したとき、他の子どもを傷つけているときは、毅然と注意や叱責をすることが必要不可欠です。
 注意や叱責をした結果、子どもが自分の考え方や行動の問題に気づき、自らそれを改めようとしたかということが大事なのです。
 したがって、注意や叱るときの前提は、
(1)
子どもや学級集団のプライドを傷つけない
(2)
注意する場面や時期、時間を工夫する
(3)
問題となる点を十分に説明し理解させる
(4)
結果ではなく、その問題がおこった過程に注目させる
(5)
自ら変えることができる行動や態度を具体的に確認する
(6)
この失敗を次にどう生かすのかという問題解決型にする
 そして、教師の注意や叱責が大きな効果をあげるためには、教師と子どもとの信頼関係が必要です。信頼関係があれば、自分たちのために先生は注意してくれているんだと感じ、教師の注意から新たな行動や考え方を学んでいくのです。
1 学級集団全体に対して注意する・叱る
 子どもたち一人ひとりが自分の問題ととらえられるようにすることが大事です。 
(1)
注意や叱責で子どもを動かそうとしない
 注意や叱責で子どもを動かそうとしている教師は意外と多くいます。
 最初は教師の注意が怖くて、注意されたことに従うことが多いでしょう。しかし、それは新たな行動や考え方を獲得したのではなくて、教師の怒りを収める対応にすぎないので、子どもは同じような行動を繰り返します。
 そして、子どもは教師の注意や叱責にだんだんとなれてきます。したがって、注意で子どもを動かしている教師は、だんだんと自分の指示が通らなくなってくるのです。これは学級崩壊で苦しむ8割近くの教師が陥る盲点です。
(2)
子どもの不安の強さに応じた注意をする
 注意はすべての子どもに同じように受け取られるわけではありません。平気に子どももいれば、委縮する子どももいるわけです。したがって、不安な子どもがその内容を理解できるレベルがいいのです。
(3)
あらたまった態度や場合を設定して注意する
 子どもは教師の注意や叱責には徐々になれてきます。子どもたちは教師の注意を聞かなくなります。あらたまった場面設定や注意の仕方が必要です。
(4)
注意や叱責は短く簡潔にする
 注意されるのは嫌なものです。したがって、教師は注意する目的をしっかり定め、その方法を吟味し、簡潔に伝えることが効果的です。
(5)
気の緩みのミスは注意し、自主的な試行錯誤の失敗はその原因を分析させる
 怠慢やさぼりから起こったミスは、なあなあで済ませると、学級のルールが崩れてきますから、小さなことでもキチンと指摘し、注意することが大切です。
(6)
子どもたちが気づかない問題は、質問や例え話をして考えさせる
 学級内で、子どもたちが意識せずに行っていることがあります。例えば、特定の子を見下したような対応をほとんどの子がとっている雰囲気が学級のなかにできてしまっていることがあります。
 これをみんなの前で注意すると、その子が惨めになります。したがって、例え話や一般論としてみんなに考えさせるようにすることが大切です。
(7)
叱責の内容に教師の感情をつけ加える
 教師が冷静に叱責したあと「先生はとてもかなしかったな」と、自分の感情をサッとつけ加えることで、その内容が子どもたちの心に強く刻みつけられるのです。
(8)
いじめは、厳しく、長々と説教し、最後にポイントをまとめ復唱させる 
 弱い子をいじめているような現場を見たときは、教師はその場で強く注意し、一人の人間としての怒りを前面にだすことも時として必要です。厳しく長々と説教します。
 子どもたちは、最初は教師の剣幕に驚きますが、そのうちあきてしまう子もでてきます。このような場合は、教師が言いたかったこと、次の指導につながることを三つくらいにまとめ、子どもたちに復唱させて終わります。
 例えば「A組をいじめのないクラスにする」「いじめの場面をみたら必ず注意する」という具合です。これをしないと「先生がキレた」だけで終わってしまいます。
(9)
注意したあとは、単純作業をはさみ、作業後は気持ちを切り替えて対応する
 注意や叱責をしたあとは、教師も子どもも気まずいものです。このような場合は、お互いの気持ちを変に伺おうとすると、余計ぎくしゃくします。
 そこで、子どもが一人で作業ができるドリルなどを30分くらいやらせるのです。作業しながら、子どもは先ほどの教師の注意について考え、心に定着させていくのです。教師も落ち着きを取り戻すことができます。
 その後は、その問題に言及しないで、授業に取り組むようにするわけです。
2 個人の子どもに注意する
 教師の感情を逆なでするような発言をしたり、教師をバカにしたような態度とるような子どもが学級に何人かいます。このようなときは、事前に対応する言葉がけを身につけておけば、感情的になることを防ぎ、子どもに教師がまきこまれるのを防ぐことができます。
 こういった子どもには、少しずつ時間をかけ、関係の修復につとめることが必要です。その子が落ち着いているときに、日頃の不満を聞いてあげるなどの対応が求められるのです。
(1)
注意するタイミングと場所、時間を考える
 自分の行為を棚に上げ、教師に反発してしまうかもしれません。注意するときは、タイミングと場所、長さをその子どもに合わせることが必要なのです。
(2)
注意するときの子どもの抵抗を軽減する
 子どもが教師の言葉を素直に聞くよう、最初に子どもの反発を少なくする関わりが大切です。例えば「きみも気づいていると思うが・・・・」という具合に前置きし、いきなり叱責しない配慮が必要なのです。
(3)
注意する内容のは現在の行動や態度だけにする
 掃除をサボっているのを見つけて注意したとき、以前の問題をひっぱだして、追い打ちをかけるように叱ってしまう。これでは子どもは逃げ場のない状態に追い込み、人間性を否定された感情を子どもに持たせてしまう。
(4)
フォローの仕方も計画に入れて注意する
 注意のあとのフォローは、子どもたちの感情の高まりを静め、どう行動すべきか考え行動に移す意欲を喚起します。その子のプライドを高めるような言葉も効果があります。
(5)
注意するのは、あやまらせるためではなく、今後どうすればよいかを確認する
 注意して、あやまらせても、子どもは同じことを繰り返してしまいます。どのように取り組めばよいのかを考えさせ、確認することが必要なのです。
(6)
教師に反発する子どもへの対応方法を持つ
 教師に反発し感情をぶつけてくる子どもに対して、事前に対応する言葉がけを身につけておけば、教師が感情的になることを防ぎ、子どもに教師がまきこまれるのを防ぐことができます。
 まきこまれそうになったら、それを一旦切る言葉がけや対策を事前に決めておくことです。例えば「これ以上話していたら、先生も本気でキレちゃうから、あとは昼休みに相談室でじっくり話しましょう」という具合に、その場を一旦収めてしまうのです。
 間をおくことによって、お互いの感情の高まりを静めるわけです。時間をおいて、じっくり話すのです。こうすれば、教師も子どもも感情的になるのをおさえられます。
 相談室では、子どもに最初にどんどんしゃべらせます。その後、具体的な事実を提示し、そのことについて認めさせます。そして、対応策を教師がいくつか示して、そのなかから選ぶようにさせます。最後にその内容を復唱させて、終わりにします。
(7)
聞く耳を持たない子
 聞く耳を持たない子は、教師がそばに寄り、感情面を中心にトーンを落として淡々と語ってあげます。最後に「きみはどう思う」と質問します。返事がなかったら「先生の言ったことを考えてね」と伝えます。
 反応がないからといって、注意を怠ってしまうと「Aくんは、何も言われないじゃないか」と、問題を起こした子どもに注意しずらくなります。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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