カテゴリー「いじめの指導」の記事

いじめを早期発見するための具体的な方法とは

 「わが子がいじめられているのではと相談したけれど、担任の先生は具体的に何もしてくれなかった」などいう親のコメントをいじめ報道で目にすることがあります。
 教師が親の相談に対して何も行動を起こさなかったとすれば論外ですが、大抵の場合、デリケートな問題であるため事実関係をつかむのに時間がかかり、その結果、親との温度差が生じてしまい、教師不信となるケースが少なくありません。
 学校は「あってはならないいじめを早期に発見する」という視点で緊迫感のある対応をすることが望まれます。
 ですから、相談を受けた段階では、いじめは深刻な状態に進展していると考えるべきです。決して対症療法的な後手、後手の対応をしてはならないということです。
 それには、意図的、計画的に早期発見するため、つぎのような具体的な手だてに取り組むとよいと思います。
(1)
「帰りの会」で、自由に発言できる雰囲気をつくろう
 帰りの会で学級の諸問題を自由に発言しあえる雰囲気を醸し出したいものです。担任の一つの眼でなく、学級に担任以外の眼が育てば、いじめを早期に発見することもできるでしょう。
(2)
学級に「心のポスト」を設置しよう
 子どもたちの悩みや心配事を自由に投函できる「心のポスト」を設置すると、人前では発言できない子どもたちが担任に知らせることができます。毎日確認し、どんな些細なことでも即座に対応することが大切です。
(3)
週に一度、簡単なアンケートをとろう
 週に一度、曜日を決めてアンケートをとり、チェックをすれば、子どもたちの変化をつかむことができます。
 例えば、表題 「心のかがみ」
 つぎの項目に、はい、いいえのどちらかに○をつけましょう
 このアンケートは心の中にある悩みや不安をうつしだすかがみです。_ _組 名前_
「体調は良いですか」(はい)(いいえ)
「よく眠れますか」(はい)(いいえ)
「食欲はありますか」(はい)(いいえ)
「友だちとの仲は良いですか」(はい)(いいえ)
「いじめられていますか」(はい)(いいえ)
「いじめられている子がいますか」(はい)(いいえ)
「悩んでいることがありますか」(はい)(いいえ)
 など。子どもに、○だけを記入させるだけなので、用紙の配布から回収まで二分程度でできます。
 実施する曜日は、子どもたちの悩みや不安が蓄積される週の後半が望ましいと思われます。木曜日の下校前などが適当でしょう。回収は二つ折にして直接担任に手渡すようにします。
 問題があれば、その日のうちに電話をかけて、詳しく話を聞いてみることです。状況によっては、翌日に個別に話を聞ける機会をつくり、何気なく面談をすることが必要です。深刻な場合は家庭訪問して親を交えて話し合う必要があるでしょう。  
(4)
月に一度、個人面談をしてみよう
 月末の三日間くらいは、子どもたちと個人面談してみましょう。休み時間に空き教室などを利用して、一人一分程度、直接話し合います。質問は
「最近悩んでいることや心配なことはありませんか」のただ一つ。「ある」と応えた子には、その場ではなく、その日のうちに自宅に電話をかけてじっくりと悩みを聞きましょう。
(
小谷川元一:1959年千葉県生まれ、千葉県松戸市公立小学校教師、松戸市指導主事等を経て東京福祉大学准教授。子育て・教育支援スペース「こたにがわ学園」理事長)

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いじめ問題が起きたとき、保護者にどう伝え、かかわればよいのでしょうか

 いじめであるかもしれないことがわかったとき、保護者にどう伝えればよいかは難しい問題です。
 対応が遅れるほど、取り返しのつかない結果になったり、不登校につながる可能性が高くなります。だから、いじめを学校だけの問題にせず、保護者とも連携をとっていく必要があるのです。
 いじめられている子どもの保護者に伝えるときは、電話ではなく、直接会って話し合うのがよい。このときに大切なのは、いじめの事実を伝えるだけでなく、学校がいじめられている子どもを、どれだけ守り、解決する姿勢でいるのかを強調することです。
 また、保護者に伝えるときには「わが子どもが悪い」と受け取られないようにすることも大切です。保護者が「もっとこうすれば、こんなこと言われないのよ」という言葉は、子どもの心を閉ざし、さらに傷を大きくしてしまいます。
 いじめられると、子どもは深刻な心的外傷後ストレス障害を引き起こします。いじめの残酷な行為は、受けた子どもにとって大きな心の傷になり、後々の発達にも影響を与えます。
 学校にスクール・カウンセラーなどの専門家がいる場合には、その子のトラウマ(外傷体験)をきちんと処理をしてもらうように依頼する必要があるかも知れません。いない場合は、地域の専門機関に依頼して心の傷を癒してもらう必要があるでしょう。
 いじめている子どもの援助も必要です。何らかの悩みや問題、そうせざるを得ない事情を抱かえている場合が多いからです。
 いじめはしてはならないことで、厳しく言う必要があります。しかし、その子の人格を否定してはいけません。そうせざるを得ない気持ちに寄り添い、とことん聴くようにします。
 その結果、家庭での寂しさや、家族の厳しさなど日常生活上の大変さが浮き彫りになるかもしれません。だれにも言えず、いじめのような行為に出ることも多いのです。
 難しいのは、いじめている子どもの保護者に事実を伝えても「うちの子に限って、そのようなことはない」と、わが子をかばう保護者もいます。
 また、事実を受けとめても、わが子に厳しい保護者はますます厳しく接するようになる可能性もあります。
 いじめている子どもの保護者に伝えるときも、子どもの場合と同様です。いじめをせざるを得なかった子どもの気持ちを、子どもの了解を得たうえで伝えます。保護者と一緒にどのような援助をしていくことが、その子どもに必要であるのかを話題の中心にすえるのです。
 その上で、保護者の気持ちも十分に聴きます。保護者自身も、辛く大変な状況であることが多いのです。その状況のままで「わが子がいじめをした」という話を受けとめるのは、困難な場合もあるのです。
 ですから、保護者自身の抱いている気持ちを丁寧に聴くことで、保護者が誰にも言えなかった気持ちを出せるようになります。そうすることで、ようやく、わが子の苦しみに向き合う姿勢が生まれてくるのです。
(
青山洋子:東京都港区立教育センター教育相談員、筑波大学学校教育部技官を経て、駿河台大学講師。専門は臨床心理学・学校心理学)

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小学校高学年を初めて担任し、いじめなどの対応で体調を崩したが、通院で立て直すことができた

 今の公立小学校に赴任して二年目のとき、初めて五年生の担任になった。その男性教師は物腰が柔らかで性格も温厚、子どもや保護者から教育熱心で優しい教師との評価を受けていた。
 二学期になり学級の雰囲気が少し違うことに気づいた。九月の下旬におとなしく、めだたない男子から相談を受けた。ある女子グループが、やや発達遅れのある男子を「いじめ」ていると話してくれた。からかったり、持ち物を隠しているという。担任は「いじめ」られている男子に事実関係を確認した。本人は何とかしてほしいと言った。
 そこで、翌日、当事者と思われる子ども一人ひとりと面接し、事実を確かめ、言い分を聞いた。始めは否認していたが素直に話すようになり、全員がからからっていた事実を認めた。
 そこで、この事実を自分から親へ報告すること、担任が事実関係を親に伝えると説明して帰宅させた。当日、それぞれの子ども宅へ電話で保護者に説明した。
 翌日、クラス全員に一人の子に複数の子がいじめを行っていたことを説明し、指導を行った。その後は、勤務時間中できるだけ、子どもといっしょにいる時間をつくり、一人ひとりの様子を見守った。
 そのころから担任は、それまで意識もしなかった疲労感を感じるようになった。夜になっても意識が高ぶり睡眠不足が重なっていった。肩こり、頭痛、手足がしびれ、朝の出勤時間になると動機がひどくなっていった。
 不安になり校長に相談し、校長の紹介で私の病院を本人の意志で受診した。原因は心労である。薬物療法で眠る前に一錠を服用し睡眠を確保した。必ず回復するので仕事を続けるよう説明し、二週間に一度面談することにした。
 担任は今まで以上に一人ひとりの子の言動に注意を払い、保護者との連携を密にして二学期を乗り切った。
 二学期の最後の保護者会は、できるだけ父親の参加も呼びかけた。その際には、教師としての今までの体験を振り返り、今「苦悩していること」「目標としていること」「努力していること」などを具体的に話すよう努めた。
 途中からは、保護者から本音に近い悩みも語られ、予定をオーバーして二時間近い話し合いとなったが、充実した保護者会であった。
 クラス全体が安定していくにつれ、担任の体調も回復し、三学期に入ってからは薬を使用しなくても睡眠がとれるようになった。通院で治療は終了した。
 子どもにとって家庭と学校で体験する生活内容は異質のものである。家庭は身内の人間関係で成り立ち、学校は他人との人間関係を通して社会を知る場となる。
 子どもとっての教師は、社会への入り口であり、社会のお手本としての存在である。子どもの行動を一人の大人として教師が受け止め、子どもの行動を吟味し、その内容を子どもたちが理解するまで対応する。
 教師が工夫し、努力し続ける姿勢が子どもの意識を変え、子どもたちとのコミュニケーションが成り立つ。その不断の取り組みが教育の本質である。
 今回の担任はその都度、事実の確認を取り、自分の考え、方針を説明し、行動し、考察し、自分の教育観や限界などを正直に保護者に開示した姿勢がことをこじらせず、学級の状況を好転させた力になったと思われる。
(
岡田 謙:医師(精神保健医)。教師と児童の精神疾患治療で有名な関東中央病院の部長を務め、東京都医師会学校精神保健検討委員会委員。平成18年から「くじらホスピタル」の初代院長に就任)

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いじめの対応は父性型教師と母性型教師のタイプではちがうが、どう指導すればよいのか

 学校は協働の意識をもつことが重要だ。学校全体の規律維持のキーマンとなるのは父性型教師である。集団生活のルールを守れと訴える教師はどうしても父性型教師である。父性型教師がいなければ母性型教師は機能しえない。
 しかし、母性型教師は、父性型教師が取りこぼしてしまう子どもたちを救っている。母性型教師がいなければ、父性型教師もまた機能しえないと言える。
 いじめ指導は
(1)
事実関係を細かく確認し、いじめの事実の全体像を明らかにする。
(2)
確認された事実に基づいて適切に指導する。
(3)
これで解決と考えずに時間をかけてフォローとケアを心がける。
という三段階なのだと意識しなければならない。若い教師は経験がないゆえに、いじめ指導で初動を誤り深刻化してしまうことがある。
 教師には父性型教師と、母性型教師がある。父性型教師は社会的な規範で善悪の判断をし指導する。母性型教師はいま目の前にいる子どもの精神的安定を考えより添う。
 父性型教師のいじめの指導は、まず「いじめの事実」を確認しようとする。関係した子ども一人ひとりから事情を細かく確認して、それがわからないうちは指導を入れない。
 いじめが明らかになった段階で、加害者にどんな行為がどのように悪かったとか、悪気のない行為でも相手が自分と同じようにとらえるとは限らないとか、細かく確認していく。
 被害者には、加害者とつき合いたいと言えば、仲直りの儀式をし、そうでなければ加害者に「もうかかわるな」と念をおすことになる。
 最後に指導の経緯を保護者に連絡して一応の解決を迎えることになる。
 母性型教師のいじめの指導は、まずは被害者に寄り添うことから始まる。どんな気持ちでいるのか、トラウマにならないか、保護者はどれほど心を痛めているか、など心情に寄り添う発想に立つ。
 加害者にも「ほんとうは悪い子ではない」というケアをしていく。その結果、線引きがなかなかできないので、両者ともズルズルとケアが続いてしまうのだ。優しさと励ましが少しずつ機能して解決することになる。
 どうしても、母性型教師は加害者の指導を苦手とし、父性型教師は被害者の心情をすくい取れないという傾向がある。
 すべての教師には父性、母性のどちらかの傾向をもっているが、教師には両方の態度がともに必要なのだ。社会規範をもとに毅然とした態度で解決する。指導した後もケアをおこたらず、見守り続ける。教師には、そのどちらもが求められている。
(
堀 裕嗣:1966年北海道生まれ、札幌市立中学の国語科教師。92年、国語教育研究サークル「研究集団ことのは」を設立、道内の民間教育団体でつくる「教師力ブラッシュアップセミナー」顧問)

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いじめ問題に学校や担任として、どう取り組めばよいか

 いじめ問題は一つの学級だけで解決できないような例が多くなっています。社会の矛盾が子どもたちの深層におよび、慢性的ないじめとしてひろがっているからです。
 したがって教師は自分の努力は当然としても、自分だけで何とかしようとせず、学年・全校で取り組む課題としてとらえていく必要があります。
 学級でまず重要なのは、早く気づくこと。学級全体の子どもの意識を「いじめは絶対にいけないのだ」という方向へ導いていくことです。
 子どもと遊んだり、班会議に入って対話したり、班長会議で話し合ったりしていれば、たいがい「いじめ」に気づくことができるのです。一言でいえば、子どもたちに「安心」を与え、信頼できる関係をつくっていれば、事前に気づくことができるということです。
 班長会議で「いじめがあるらしい。どうしたらよいか、みんなで考えたい」と教師が問題提起をするとよい。このとき「誰がやったのか」と加害者を探すような言い方はつつしまなければなりません。
 あくまで「どうしたらよいか、いっしょに考えたい」と、みんなで解決策を話し合うようにするのです。そうしないと、班長たちは尻ごみし、固く口を閉ざしてしまいます。
 また、教師はすぐ班長の意見を求めるのではなくて、自分の思いを話す。いじめ事件の深刻さ、いじめられる者の苦悩、そして「いじめる子どもには、必ず人に言えない淋しさ、心の不満があると思う。そのこともふくめて解決したい」と話すことです。
 班長会で、いじめた子、いじめられた子がわかれば対応策を話し合う。事実がつかめなかったら「学級の、みんなで話し合ってみよう」と、班長会の合意をつくりだす。これが、いじめ問題に取り組む土台づくりなのです。
 学級会で話し合うときは、班長会のようすを話す必要があります。そして「絶対に、いじめのない学級にしよう。今までに、いじめた子・いじめられた子もふくめて、今日からみんなでいじめのない学級にしよう」と話しかける。
 そのうえで、子どもたちの意見を聞く。また、いじめ調査用紙を用意し、子どもの意識が真剣になったら、「これは、いじめのない学級をつくる手がかりにするものです」と言って、この紙を一人ひとりに渡して書いてもらうようにします。
 この用紙でいじめがわかったら、個別に指導します。いじめた子には自主的にあやまるよううながす。いじめられた子には「黙ってないで、みんなに話します」と決意を話すよううながす。他の子たちには「よせよ」「やめろよ」と声をかけるよう訴える。
 また事実がはっきりしなかったら、みんなの意識を高めることに努めます。
 いじめた事実がはっきりしても、事実を否定してあやまろうとしない子がいます。そうした子は、心に深い傷を負っている場合があります。認めさせ、あやまらせることに固執すると、よけいかたくなになってしまう。
 時間をかけて癒してやることが大切なのです。家族、教師、子ども同士の支えがおよべば、必ず信頼が生まれます。そのとき、事実を認め、あやまるようになると思います。そのような見通しで、その子を見守ってやることが大事です。
 もし、いじめられた子どもに弱さ、動作のにぶさ、表情の暗さなどがあったとしたら、これからの支援や激励で克服するようにします。それが教師の課題になるということです。
いじめへの緊急の対応のしかたは
(1)
いじめのあることがわかったら、保護者とも協力して被害者の子どもを守る手だてをとる。これが先決。
(2)
校内対策委員や学年会で話し合って取り組み方を考える。
(3)
事実を確かめるために学級・学年・全校でアンケート調査をする。すぐに犯人さがしをすることはいけない。被害の子どもや申告者が「チクった」と攻撃される場合が多いためです。
(4)
調査で、いじめがわかったら
 1
調査事実にもとづいて個別指導をする。そして反省・謝罪させる。
 2
各学級で「いじめの残酷さ、人権侵害であることを」話し合いをする。
(5)
各学級の話し合いの結果を学年集会などで発表し、いじめ克服の決議をする。
(6)
被害の子どもを励ましつつ、自立の課題に取り組ませる。
(7)
加害の子どもも悪者扱いをせず、再生の努力をさせる。
(8)
状況をそのつど被害の子どもの保護者に報告し、共同でできることをすすめる。加害の子どもについても、同じように取り組む。
(9)
学級懇談会や、必要に応じPTA全体会も行う。事実と取り組みを報告し、全ての保護者にいじめ克服のための協力をお願いする。
(
坂本光男:19292010年、埼玉県生まれ、元小学校・中学校・高校の教師。教育評論家。日本生活指導研究所所長・全国生活指導研究協議会会員)

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いじめの「予防や治療指導」の極意とは

1 いじめの予防
 いじめの最大の予防は、すべての生徒が明るく楽しく元気よくのびのびと過ごせる学級づくりをすることだと私は思っています。日常の学級づくりが即いじめ予防の方策だということです。
 生徒が尊重されており、学校生活が充実していれば、誰かを傷つけ、いじわるしてやろうとは思わないからです。いじめ予防の指導をするには
1)教師の人権意識を高める
 いじめは人権侵害である。予防には生徒の人権意識を高めることが大切です。そのためには、まず教師が人権意識を高めることです。そのために
(1)
言葉づかいをていねいにする
 生徒を一人の人間として尊重します。生徒を「さん」「くん」付で名前を呼ぶ、丁寧語で話します。生徒に呼ばれたら「はい」と返事をする。
(2)
大声で叱責したり、皮肉を言ったりせず、穏やかに丁寧に話す
 大声の叱責や皮肉はいじめにつながる心性を助長します。
(3)
毎日一度は生徒の名前を呼ぶ
 朝の健康観察などで、私は生徒と目を合わせて笑顔で名前を呼び、笑顔で反応します。短いコメントすることもあります。「あなたはこの教室の大切な一員だ。私はあなたが大好き」という思いを一人ひとりに伝えます。生徒の心を安定させることにつながるのです。
2)秩序ある教室をつくる
 秩序のない教室では、何が起こるかわからず生徒の心は安定しません。教師が教室で守るべきこと、やるべきことの基準をはっきり示します。
(1)
教室の環境を整える
 教室にゴミが落ちていたり、掲示物が破れたりしている、乱れているクラスほど、生徒の言動が荒く、いじめが起きやすかったりします。
 やることは簡単です。終学活後、日直の生徒と一緒に机を整頓し、教室の隅を箒で掃き、黒板を綺麗にし、黒板下にチョークの粉が残っていれば雑巾がけをし、掲示物の四隅がきちんと貼られているか点検するのです。朝、生徒の登校前にもう一度点検します。
(2)
学級を規律正しい集団にしつける
 規律正しい集団にすることで、教室に落ち着いた雰囲気が生まれます。生徒は安心感が得られ、学級に温かい雰囲気をもたらします。いじめ防止につながると考えています。
 私は規律ある授業になるように「発表者が話をしている時は、黙って聞きます」「発表はみんなに聞こえる声でします」「余計なものはしまいます」「ルールを守ることで、安心して暮らせる、温かい学級になるんだよ」などと指導しています。
 叱責や禁止ではなく、ほめることで規律をつくり上げます。生徒の望ましい言動に教師がすかさず評価することで、望ましい言動をするようになっていきます。「・・・・してくれてありがとう」と感謝の言葉を添えます。納得して規律正しさを身につけていきます。
(3)
小さな差別的な言動を見逃さない
 授業中に、ある生徒が発言すると悪意のある笑いが起こることがあります。こういうとき、「差別は絶対見逃さないぞ」という思いから説諭すると迫力が出ます。このような教師の態度が、学級の中に「いじめはダメだ」という正義が通る空気を醸成していくのです。
3)
教師の目が届かないことがあると心得る
 教師がいくら注意しても教師の目が届かないところにいじめがあるものです。そこで
(1)
毎朝、出勤したらすぐに、生徒の靴箱をチェックする
 靴箱は生徒の心の健康が出るものです。状態をチェックし、靴をきちんと収められない生徒に「何か気になることある?」と声をかけます。
 日常から生徒のちょっとした心の変化を敏感に感じ取る、きめ細やかな見取りが、いじめを芽のうちに発見されるために大切です。
(2)
定期的に「いじめ・悩み調査」を行う
 月に一回ほど「いやな思いをしていないか、周りでつらい思いをしている生徒がいないか」を調査します。「なぜ、うちのクラスだけ」とならないために、学年単位でもかまいません。
4)
授業の中で生徒同士のかかわりを増やす
 授業でできることは「生徒一人ひとりの自尊感情を高め、横のつながりを強くする」ことです。
(1)
全員が参加できる授業を行う
 私はまずは、全員を起立させて必ず音読します。教師が読んだ箇所を追い読みするのです。どの生徒でもできます。
(2)
授業の中で生徒同士が関わり合う場面を意図的につくる
 生徒同士がお互いのよさをわかり合えば、いじめは起きにくくなります。まずはグループ(4人)になって教科書を一文交代で読みます。教師の簡単な問いに対して、全員に意見をもたせた後、グループでお互いに説明しあったりしてもいいでしょう。
 このような簡単な活動であれば、授業中に5回も6回も組み込むことができます。生徒同士の心のつながりをつくる基礎になっていくのです。そのうえで、学活などで「いいところ探し、プチお悩み相談」のような活動をグループで行います。
2 いじめ治療
 いじめの治療は迅速かつ慎重に行わなければなりません。さらに継続的に行います。大切なのは「学級全員に当事者意識をもたせる」ことです。全員でいじめをなくしていこうという雰囲気をつくっていきます。
(1)
起きた事実を確認して指導に入る
 いじめや生徒指導では、事実を確認し、事実に基づいて指導していくことが大切です。
 「いじめ・悩み調査」を行った後、確認する順序は、被害生徒→周りで見ていた生徒→加害生徒、と聞いていきます。ここで大切なのは、加害生徒に先入観なしに「○○していたことを見た人が何人もいるが覚えがありますか?」と必ず事実を確認し、そのうえで指導に入るようにします。
(2)
いじめの事実を明るみに出し、学級全体の問題であると意識させる
 いじめは、たいていの場合、教師には隠し、生徒たちの多くは知っています。「卑怯な隠しごとを許さず、正義を貫く」という教師の姿勢を示すという意味で「クラス全員が知る」ことが大切だと思います。全員が当事者であることをはっきりさせます。
 そのうえで、まず道徳授業をして生徒が感想を書きます。後日、その感想文をグループで回し読みをして、ワークシートを配り授業を行う。
教師「人から、されたら嫌だなと思う人は立ちます。『悪口を言われる』、『死ねと言われる』・・・・・・・」(1項目ずつ区切って起立をさせる)
教師「今読み上げたクラスは明るいクラスですか。明るいと思う人は○、明るくないと思う人は×を書きなさい」「では、○の人起立。×の人起立」
教師「明るいクラスにしていくために、どんなことをしていけばいいと思いますか。頑張りたいこと、こうしてほしいことを書いてください」
 3分ほど書かせた後、グループに分けて書いたプリントを回し読みし、仲間のプリントに励まし文を書かせる。
教師「先生はいつも教室にいることはできません。明るく笑顔あふれる教室をつくるのは、先生でなく、あなたなのです。みんなの力で明るい教室をつくっていきましょう」 
この授業に、私のいじめ治療法が凝縮されています。
(
海見 純:富山県公立中学校教師)


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ちょっとしたことでも「いじめだ」と言いたてる保護者にどう対応すればよいでしょうか

 「いじめのサインを見逃すな」といわれていることは、情報を軽視するなということでもあります。耳に入った情報を聞き流さないことは、鉄則でもあります。
 いじめ防止のために 「子どもの人間関係をつくること」「状況をよく把握すること」「情報を軽視しないこと」の三つは、いじめ防止のためにだれでもが心がけたいことです。
 ところが保護者からの情報について、これを重視する教師ばかりでないのが教育界の実情かと思います。「保護者は、ちょっとしたことでも、すぐに『いじめ』だと言いたてる」「保護者は余計なことばかり言い出す」などと、教師が愚痴ることや、腹を立てることが無いとは言い切れないでしょう。
 保護者に誤解や思い過ごしのあることも事実でしょう。だからといって保護者からの情報を「ああ、そうですか」と、聞き流したり「心配することはないでしょう」と、放置していいでしょうか。
 聞き流したり、放置することは、対処の甘さです。誠実さに欠けるとも受けとられかねません。とにかく、事実を確かめ、状況を把握しなければなりません。確かめたり、把握した状況を保護者と連絡し合うのです。
 そして、保護者が誤解しているのなら、事情や状況を話して、誤解を解くように処置しなければならないと思います。
 こうした話になると「忙しいのに、仕事がまた増えた」「厄介だ」と、教師の口から不満も出るでしょう。一本の電話によって生じた突発的用件で、教師の仕事の手順は狂ってしまいます。
 しかし、情報を入れた保護者にすれば、大火にならないうちにと、知らせてくれたのでしょう。このことがわかる教師には、いつでも情報が入るし、わからない教師には情報をいれても無駄と、いつか情報を入れる人はいなくなります。
 
「面倒だな」と表情に出してはならないし、「忙しいので」と口にはしないことです。もし、誤解であるなら、事情を説明した方がよさそうです。それをしないで「あれは間違ってます」とだけ言ったのでは納得しないでしょう。
 古くから「火の無い所に煙は立たない」と言うし、いじめの事実はなかなか発見しにくいものなのです。ですから、念には念を入れて、状況把握、事実の確かめは続ける必要必要もあるでしょう。
 教師として大事なことは何でしょうか。いじめられている子はさぞ辛いだろうと思える心や構え。悪いことは許せないとする気構え。保護者と手を結ばなければ子どもは育たないと確信することです。
 もちろん、手を結ぼうとしても、学校に足を向けず、教師と手を結ぼうとしない保護者もいるでしょう。そうなれば、根気強いこと、忍耐強いこともまた、教師に大切なことではありませんか。
(飯田 稔:1933年生まれ。千葉大学附属小学校に28年勤務、同校副校長を経て、千葉県浦安市立浦安小学校校長。千葉経済大学短期大学部名誉教授。学校現場の実践に根ざしたアドバイスには説得力がある)

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いじめが起きたとき、担任は子どもたちや保護者にどう対応すればよいか

 つぎのようないじめがあったとき、担任は子どもたちや保護者にどう対応すればよいでしょうか。
 
「中学一年生の男子生徒が数人の生徒からからかわれたり、シューズで頭をたたかれたりされるなどのいじめを受けていました。気づいたときには、かなりの時間が経過していて、わが子からの訴えをしばしば聞いていた保護者は、学校やいじめた生徒の保護者に対して不信感を強くしていました」
 このような数人でひとりの生徒をいじめた場合、罪の意識が弱く、反省を求められても「自分だけではない」と言い逃れをすることがあります。
 いじめた子どもを強く叱責し、いじめられた子どもを単にかばうやり方だけでは、一時的な抑止にはなっても本当の解決にはなりません。いじめが陰湿さを増す結果さえまねきません。
 緊急にとるべき措置と、長期的な取り組みが考えられます。
1 緊急の対応
 まず、子どもたちへの指導を通して、保護者への働きかけを考えなければなりません。
(1)
学級の子どもたち全員に対する指導
 
「いじめは人間として許されない行為であり、絶対にあってはならないこと」ということを理解させます。これはじっくりと理解させる以外にありません。
 そのなかで、自分はどうだったのか、を十分に考えさせます。いじめていた子ども、見ていた子ども、それぞれに本音が出せるように、教師がしっかりと共感的に受けとめていくことが大切です。
(2)
いじめていた子どもたちへの指導
 
「先生はいじめは絶対に許さない」という毅然とした態度が必要です。いじめの行為は厳しく指導しても、人間性まで否定してはなりません。いじめられた子どもの苦しい気持ちを伝えながら、教師の素直な気持ちを示します。
(3)
いじめられた子どもへの対応
 いじめられた子どもは身も心も傷ついています。その心身の保護に努めます。「全校の教師で必ず守る」と約束し実行します。注意深く見守り、話を聞くなどして、かかわりを持ち続けることが大切です。
(4)
保護者への対応
 いじめられた子と保護者は、いじめた子と傍観者、気づいてくれなかった教師に不信感をつのらせています。教師はいじめを早く発見できなかったことを素直にわび、学校の指導体制と学級の子どもと保護者への働きかけの様子をしっかりと伝えます。
 傍観者もふくめ、いじめていた子どもの保護者に、いじめの全容と、どこがいけなかったのかをよく話し、いじめの本質をよく理解してもらいます。
 
「保護者の方々も教師の気持ちも、子どもたちみんなが健全に育ってほしいということで一致しています。いじめは悪いことです。間違ったことをしたとき力になってやるのが大人の責任ではないでしょうか」と、いじめられた子どもの苦しみ、痛みを教師の気持ちを交えて説きます。
2 長期的な取り組み
(1)
いじめられた子どもに対して
 家庭との連絡を密にしながら、本人にいろいろな活動の場をあたえ、そのなかの努力を認めることによって、自立への援助を行います。支え続けることによって、本人の意欲を引き出し、周囲の子どもたちが認める場へと導いていきます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          
(2)
いじめをとりまく子どもたちに対して
 教師は子どもたちの人間関係をよくしていく努力を一層重ねていく必要があります。教師が子どもたちに思いやりのある接し方をすることによって、子どもたちの心のなかにも自然と思いやりの気持ちが生まれてきます。
 多くの活動の場を与えることによって、ストレスを発散させ、明るい雰囲気をつくり出すことに教師は努めます。
(3)
保護者に対して
 保護者とよく連携しながら、子どもたちの家庭での存在感や家族への貢献度を認めていく努力を続けてもらいます。学級懇談会など様々な機会に、教師から実例話を聞いたり、他の保護者と意見交換をしたりするなかで、子どもの成長段階に適した子どもたちへの接し方や、認める、ほめる、叱るなどを理解してもらうようにします。
(
松田素行:千葉県公立中学校校長,千葉県教育庁主幹,昭和学院短期大学教授を経て,文教大学教授)

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いじめにはどのような特徴があるか、気をつけるべきこととは

 いじめを受けている子どもは、友だちにいじわるをされたり、嫌われたりしないようにするのに一生懸命で、ときに自分が悪いという思いもあり、振り回されて、苦しくなったりします。そして、その苦しさに、自分はダメなんだという気持ちになって、人に打ち明ける自信もなくなってしまうことがあります。
 テレビや新聞で報じられるいじめの中には「犯罪行為」にあたるといってよいものもあります。犯罪行為とは、暴行・傷害・脅迫・強要・恐喝・侮辱罪などで、その行為はひどいし、受けた傷も大きい。日常起こっているいじめでは、いじめた側がつぎのような、言い分けをすることがあります。
(1)
たいしたことでないから、いじめではない
 いじめをした側からよく聞かれる言葉です。たいしたことがない行為は、相手を傷つけることはないと思っています。しかし、相手が深く傷つくことがあることはよく知られています。
(2)
いじめではなく、ふざけていただけだ
 これもよく聞かれます。遊びとしてやっていただけだというのがこれにあたります。悪気はなかったのだといっているのだと思いますが、相手を深く傷つけることがある。
(3)
相手が悪いのだから、いじめではない
 これもまたよく聞かれます。特に自分は正しいと思っている場合、対応が難しくなります。例えば「約束を破ったお前が悪い」などという非難はこれにあたります。ときに、いじめる側に「正義」があるかのようにみえることがあります。
 いじめを受けている方の辛さがみえにくく、やっている方は悪いと認めない傾向があります。
いじめの特徴にはどのようなものがあるでしょうか。
(1)
いじめを「する側」と「される側」に意識のズレがある
 
「えっ? そんなことでいじめになるの」、そんな思いが、いじめをした側に起こります。
  
「たいしたことがないこと、軽い気持ちでやったこと、正しいと思ってやっていることでも、いじめになることがあるんだ」ということを、子どもたち自身が思えるようになることが大切です。教師がそうした働きかけがとても大切です。
 教師が「いじめだからやめなさい」と言っても、子どもたちの心には届かず、こじらせてしまうことがあるのです。
 そんなとき、いじめをする側と、される側のズレを理解し「傷ついているよね」という問いかけが大切だと思います。これが「いじめを受けている子どもの気持ちに立って」考えることでもあるのです。
 いじめをした子どもを「謝らせる」という対応にも注意が必要です。こうしたズレをそのままにして、謝った場合、「自分はそんなに悪くないのに」などという気持ちを持っていると、屈辱感が残ります。その屈辱的な気持ちが表れ、謝罪の態度が問題にされたりすることがあります。
 いじめを受けた子どもがどのように解決してほしいのかというイメージが一番大切です。いじめた子どもが謝る場合には、自分の何が相手を傷つけたのかを、子ども自身が言えるようにしてあげなければいけません。いじめを受けている子どもの立場から、ズレを埋める働きかけがとても大切になります。
(2)
いじめはエスカレートする
 いじめは「する側」と「される側」にギャップがあります。特に「ふざけていたたけだ=楽しい」といういじめは、楽しいという気持ちが、相手の気持ちをおもんぱかったり、善悪を判断する態度を鈍らせてしまいます。
 「相手が悪く、自分は悪くない」といういじめの場合、いじめる側に正義があるかのように思い、そこに、いじめを抑制する力が働きません。
 また、「たいしたことがない」と考えるいじめの場合でも、それが繰り返される中で、その程度への意識がマヒしてしまうことがあります。
 そうした中で、いじめは、ときとして気づかれないまま、エスカレートしていくことになります。
(3)
いじめられていることを、人に話してくれない
 いじられていることや、その苦しさをなかなか人に話してくれません。「話したことによる報復を恐れる」「かっこ悪い(恥ずかしい)」「親に心配かけたくない、心配されたくない」と思っているかもしれません。
 そうした中で、誰もいじめに気づかず、どんどんエスカレートしていき、一人で抱え込み、追いつめられていきます。 
(4)
いじめを受けている子どもを死へと追いつめる
 悪口やからかいも、それを言われた子どもは深く傷つきます。たいしたことがないようにみえるいじめであってもまた、どのような形のいじめであったとしても、いじめを受けている子どもを死へと追いつめる、これもいじめの特徴の一つです。  
(
野村武司:獨協大学法科大学院教授。獨協地域と子ども法律事務所開所。弁護士)

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いじめをやめさせる、現実的な対処法とは何か

 教師の立場から見ていると、いじめられる子は、いじめられやすい要素をもっています。最もいじめられやすいのが、ボーとしている子です。みんなで話しているのに輪に入らない、何をするにもみんなより遅い子はいじめの対象になります。
 さほど力がないのに生意気でエラそうにしている子も、まちがいなくいじめの対象になります。成績を自慢しない、エラそうにしない。これは鉄則です。いじめられている子を助けたら、自分がいじめのターゲットになるのは、多人数の和を乱したしたという意味で反感を買うのです。
 グループの中でカチンとくるようなことをすれば、仲間はずれにされることもあります。担任のお気に入りが明白な場合もいじめが生じます。
 組織の中では多人数の意見、暗黙の了解が最優先されてしまいます。そこをうまく立ちまわれるかどうかで生き残れるかどうかがきまるのです。対策としては「あまり目立つな」というほかないでしょう。
 いじめられる子どもに共通する特徴があります。おとなしく、まじめで、自分の世界に閉じこもってしまい、自己表現ができず、親思いで、先のことまで予想してしまいます。親も教師も、何でも聞きだせるような関係をもつことが肝要です。
 教室内でいじめが起きていると教師なら何となく気づきます。しかし、いじめをやめるように言っても「じゃれているだけ」「おれたち、仲いいんだよ」と言われるとそれ以上は何も言えないのです。そして、いじめは教師にわからないようにさらに巧妙になっていきます。
 いじめっ子の心をしっかりとつかみ、親との連携もうまくこなす教師も、わずかですがいます。そのような教師のクラスでは、いじめは起きにくいのです。いじめが担任に発覚したらまずい、と子どもたちが感じるからです。
 いじめの典型的な兆候は、言葉が少なくなり態度が投げやりになる。体にアザがてきたり、びっこを引いたり、傷があったりする。衣服やカバンが汚れていたり、傷つけられたりする。朝、学校へ行きたがらない。親の財布からお金がよくなくなり、何度も小遣いをせがむようになる。メールや電話がひんぱんにかかってくる。交友関係が変化する。
 子どもに自分でいじめを解決させる方法は、「やめろ」と大声で叫ぶ。最初が肝心でノーと言えないと「こいつは反撃しない」と思い、いじめのターゲットに確定するのです。だから、最初に何かされたときが肝心なのです。大声で叫ぶ練習をするとよい。
 いじめを受けたら、教室から全力で逃げて職員室にかけこみ「いま、いじめを受けた」と大声で叫び、大騒ぎするのです。担任だけだと解決にいたらないことが多いのです。教師にチクッたことになるので、もっとひどいいじめになったら、また職員室に逃げ込んでください。何回もくり返せば、いじめっ子もあきらめます。
 それでもいじめが続くようでしたら、大ゲンカしましょう。手をださず相手の言いなりになっているからいじめが継続するのです。いじめが続いて自殺を考えるくらいなら、思い切り相手を殴ってもいいと思います。立派な正当防衛です。有効な手段として空手や柔道の技を少し覚えておくといいでしょう。
 明らかにわが子がいじめられていると親が感じたら、まずは子どもから話を聞きだすことです。どうしても話さないようでしたら児童相談所に相談しましょう。親以外の聞き上手な人のほうが、子どもはよく話します。
 いじめられていることを子どもが告白したら、いじめの経過を、いつ、どこで、だれに、何をされたか、メモします。細かいほど、多いほど有効です。
 子どもだけでは解決しないときは、親が学校を動かします。いじめの記録を書いた用紙をもって、学校に怒鳴りこみます。学校が動かざるをえない状況をつくるのです。次のことを学校に約束させてください。そして、ひそかに録音してください。
 事実関係をいつまでに調べるか。その際、子どもが言っていることをすべてはっきりさせる。いじめた子どもの名前を言う。報復されないよう、休み時間、放課後、下校時に教師の巡回を強化する。子どもを守れなかった場合は教育委員会に訴える。担任に毎日電話してもらい、その日いじめがなかったか報告する。
 いじめた子の親に直接抗議するのは効果的ではない。感情的になれば相手も同様で、素直に聞く耳をもてず、自分の子どもをかばってしまう親が急増しています。第三者の学校の教師をはさんで、いじめられた子どもの痛みをわかってもらうことが肝心です。そのようにして、はじめていじめた側の親が協力をしてくれることもあるのです。
 口頭注意をしても、いじめっ子がいじめをやめない場合、法的手段に訴えるしかないのです。いまどきのいじめは暴力、恐喝、誹謗中傷など犯罪です。いじめの調査をする探偵事務所まで出てきました。
 いじめの詳細を子どもに聞いて、毎日記録に残す。子どもにICレコーダーをもたせ、いじめられている現場を録音させる。レコーダーを持参し、弁護士、警察、市会議員等に訴えに行きましょう。ただし、警察は暴力、恐喝クラスにならないと動いてくれません。弁護士が最もよく動いてくれ、告訴するかどうかを一緒に考えてくれます。
(
佐山 透:1960年東京都生まれ、公立高校教師。学生時代にいじめっ子、いじめられっ子の双方を経験し、教師になってからも数々のいじめに直面した)

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