カテゴリー「いじめの指導」の記事

学級内でいじめが発覚したとき、担任はどう対処すればよいか

 いじめが発覚したら、担任はすぐに生徒指導と学年主任に報告します。
 学年主任・担任・教育相談担当・養護教諭・スクールカウンセラー等のチーム体制で対応を取ります。
 学級全体の指導は学年主任と相談しなから実施します。
 いじめが発覚すると、いじめられた親は怒りとわが子を不憫に思う気持ちで学校を責めます。
 いじめ被害者の安全をはかることを最優先にします。同時に実態の解明をすすめます。
 いじめ指導の鉄則は「被害者支援を最優先する」ことです。
「絶対に守る」との強い姿勢と「つらい気持ちを受け止める」温かい心が何よりも大切です。傷ついた心を癒すのは担任の真剣なかかわりです。
 いじめ被害者の安全確保は、直接の声かけ・メール・手紙・電話などを活用する。
 休み時間のパトロール・登下校の見守り・同級生による言葉かけ・メール等に書き込まれた誹謗や中傷の削除を行うようにします。
 このような学校の取り組みを、いじめられている子どもの保護者に適宜伝えていきます。
 また、保護者との連絡を緊密に行い、連携して守ることが大切です。
 いじめ被害者の生徒が帰宅したら、電話でその日の様子を尋ねたり、休み時間に教師がパトロールするなど「目に見える具体的な対応」を行う必要があります。
 保護者との緊密な連携や校内での組織的取り組みを通して、早期解決をめざす必要があります。
 いじめの実体解明は、
(1)いじめの型(遊びふざけ型・攻撃型・犯罪型)
(2)被害の状況(時・場所・頻度)
(3)いじめ加害者(メンバー・構造)
(4)学級内の様子(同調者・強要)
 等です。
 いじめの構造(被害者と加害グループとの関係、周囲の子どもの様子等)が把握できたら、その中のキーパーソン(問題解決に重要な役割を果たすと考えられる子ども)と面接します。
 いじめの非に気づかせようと、いきなり叱責したのでは元も子もありません。穏やかな口調で、いじめに苦しむ子のことを告げ、いじめの原因について聞き出します。
 キーパーソンとの関係が培われたら、いじめグループのグループ面接を行います。
 いじめ加害者が判明すれば、加害者にいじめられた子どものつらい気持ちを理解させ、逆の立場になればどう感じるかを問い、いま何ができるかを考えさせ、心より謝罪するよう指導を行います。
 その加害者の子どもの保護者との連携を同時にすすめます。責任のみを追及するのではなく、保護者の悩みを共有する姿勢で接すると解決の力になるでしょう。
 ロール・レタリング(加害者が被害者の立場になって、自分自身に手紙を書き出して、届けられてからその手紙を読むことによって、自分自身を客観的に眺めようという技法である)等の手法を取り入れたりすると効果的です。
 最終的には被害者を交えた話し合いをもつことになりますが、タイミングはベテランの教師に相談するとよいでしょう。
 いじめで学校が責任を問われるのは、子どもの心身の安全を守る「安全保持義務」の違反が大半を占めます。
 その他に「いじめの本質の解明義務」「結果の予見義務」「問題の防止義務」「保護者への報告義務」「保護者との連携義務」等の違反を問われることがあります。
(嶋﨑政男:東京都公立中学校教師、東京都立教育研究所指導主事、公立中学校長等を経て神田外語大学客員教授。日本教育相談学会事務局長、上級教育カウンセラー)

 

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「もしかしたら、いじめかもしれない」と、とらえ観察することがいじめの早期発見と解決につながる

 中学校1年生女子のいじめ対応が成功した事例を考えて見ます。
 状況はつぎのようでした。
 中学校入学直後の校外宿泊学習の際の様子がおかしいと思っていた担任が、何気なく読んだ掃除日誌に「私を汚いというし、一人で掃除をして悲しかった」と書いてあるのを見つけ、その女子生徒を呼び出して面談をしました。
 すると、同じ小学校からきた女子生徒二人からいじめられていることを語った。
 真面目でおとなしいこの女子生徒は、小学校3,4年で同じクラスだった加害女子生徒とは仲良しグループであった。
 ところが、この女子生徒のみ中学受験を志していて、成績も良く、学級委員やクラス代表になるなど、クラスの人気者だった。
 先生方からも一目置かれ、この頃から加害女子生徒2名からの嫌がらせが始まったらしい。
 笑い方がおかしいと真似されたり、ノートを破かれたり、靴の中に虫の死骸を入れられたりした。
 被害生徒は家族と担任に相談したところ「優秀だし、大丈夫でしょう」と言われ、具体的な対応はしてもらえなかった。
 そのうえ、チクったと、ますますいじめがひどくなり、大人に話したことを後悔した。
 中学受験に失敗して打ちのめされたうえ、加害者生徒のうち1名と公立中学の同じクラスになってしまった。
 その子のクラスにもう1名がしょっちゅう遊びに来ては、嫌がらせが繰り広げられた。絶望的な気持ちのなか、なんとなく掃除日誌に書いたらしい。
 いじめにどのように対処すればよいでしょうか。自分ならどのようにアプローチするかを考えてみましょう。自分の考えをまとめたら、次に読み進んでください。
 担任は被害生徒に、保護者から話を聞くこと、学年の教師とスクールカウンセラーが情報を共有すること、守秘義務を約束することを話し、了承を得た。
 被害生徒の保護者に来校してもらい、担任がいじめの経緯を聴いた。事実関係を学年の教師に伝えた。
 学年の教師が観察したところ、たしかに加害生徒2名が被害生徒のクラスにいるところを見かけ、悪口を言っている場面に遭遇したので、口頭で注意をした。
 その後、加害生徒2名を呼び出し、担任がいじめの話をした。
 加害生徒は、被害生徒は頭が良く、人気があるのでムカついて意地悪をしたなど、事実は認めたが、やめてとは言わないので、悩んでいないはずだと語った。
 担任とスクールカウンセラーが、加害生徒を呼んで、被害生徒の気持ちを代弁し、他者の気持ちを想像することや、コミュニケーションの持ち方など、加害生徒たちに考えさせる機会を数回持った。
 被害生徒には、今回話してくれたのが良かったことを伝え、継続的に面接を行った。
 そのうち、被害生徒はクラスの子どもたちとも話すようになり、また教師たちと話すうちに、この中学が好きになり始め、登校するのが楽しくなってきた。
 加害生徒たちも、教師と話す機会を持ち、自分たちの良い部分を認めてもらえていることも感じるうちに、被害生徒への嫌がらせは消失した。
(原田眞理:玉川大学教授。専門は臨床心理学、精神分析)

 

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いじめ防止のために、教師に求められる力とは

 いじめ防止のために、教師に具体的に求められる力とは
1 子どもたちと信頼関係
 教師と子どもたちとの信頼関係をつくるのは、
(1)しっかり授業をすること。
(2)だめなことは、だめと言えること。
(3)教師が大人として子どもたちの模範になる行動をふだんから心がけること。
2 子どもたちを観る
 教師が子どもたちを、日常からしっかり観察をすること。例えば、
(1)今日は少しおかしいな。
(2)あれ、あの子、今日どうしたんだろう。
(3)あれ、あの子は珍しく宿題を忘れてきた、何かあったのかな。
 その子どもの特性も観て指導していくことは、いじめの早期発見にはなくてはならない視点である。
3 子どもの話を聴く
 子どもの話をしっかりと聴く。
 教師に話を聴いてもらえたと、子どもたちが感じるのは、また、この先生に相談したいなと思える時である。
 何か困ったことや悩みがあった時、相談したいと思える教師がいることは、子どもたちにとっては大きな味方になる。
4 話す
「教師ですから、いつも話しているよ」と言われそうだが、話すということは、
「子どもの考えや思いを尊重して、教師が伝えたいことを話す」ということである。教師が一方的に話すことではない。
 さわやかな話し方を練習して、子どもたちと向き合ってほしい。
5 教職員と協働する
 教師が精神的に追い詰められて休職をすることが増えている。
 教師だから自分で何事でもできるのが当たり前だと頑張ってしまう、そういう真面目な教師が、発症する率が高い。
 人には誰でも、得意、不得意なものがある。
 学年や学校で相談したり、協力しながら子ども指導に向き合えば、個人でやった時の何倍もの成果があがる。
 もし自分に弱いと思えることがあれば、積極的に研修会に参加するなどして、子どもたちを支援できる力を身につけてほしい。
(川合 正:東洋大学初等中等教育課参与)

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いじめが起こりやすいクラス、起こりにくいクラスとは

1 いじめが起こりやすいクラス
 いじめが起こりやすいクラスには、次のような特徴が見られます。
1)子どもたちの学校生活
(1)教師から、しっかり「守られ・見守られ」ていると、子どもたちが感じていない。
(2)やっていいことと、悪いことの「基準」がしっかり示されていない。
(3)子どもたちを「ほめる・認める」言葉より、「小言・注意」が多い。
(4)子どもたちが「自己発揮」する機会が少ない。
(5)「授業に魅力」がなく、子どもたちは単純な毎日に飽き飽きしている。
(6)「言行不一致」や「えこひき」など、教師に子どもの不信をかうような行動が多い。
(7)班競争や勉強の競争が厳しい。
(8)子どもたちの「人間関係」が複雑で、教師は十分に把握しきれていない。
2)子どもたちの生活背景
(1)オーバーワーク気味の子どもが多い。例えば、塾や習い事が過度、スポーツクラブなどで疲労している。
(2)保護者が精神的なゆとりがなく、情緒不安定、孤立などで、子どもに十分な愛情が注がれていない。
(3)善悪の区別、思いやりの心などが家庭において十分育てられていない。
3)教師自身の状況
(1)私生活の問題や慢性的疲労などにより、精神的にゆとりのない状態である。
(2)同僚教師や管理職との関係がスムースでなく、孤立感、不満感、不全感がつねにある。
(3)保護者との関係がいまひとつうまくいっていない。
2 いじめが生じにくいクラスづくり
 いじめをなくすためには、1の特徴の克服をめざすことです。
 教師としてできることから始めることが大切です。
(1)一人ひとりの子どもをしっかり見守り、その子の良さを認めていく。
(2)子どもたちへ注ぐ心のエネルギー配分を偏らないように心がける。
(3)子どもたちに、まんべんなく活躍の場を与える。
(4)クラスのルールを明確にする。時には毅然として、たしなめる。
(5)授業がマンネリ化しないよう方法や教材をつねに工夫する。
(6)教師が「約束したことは守る」など、子どもが教師を信頼するような行動を心がける。
(7)子どもたちが助け合い、協力し合う場面を授業やクラス行事にもうける。
(8)教師が子ども理解を深め、表面的行動の背後にある個々の子どもの気持ち、集団の人間関係などを的確に把握する。
 子どもたちの行動をさりげない観察をする、子どもとの会話、子どもたちとの関わりの機会を多く持つように心がける。
(9)保護者との信頼関係づくりを積極的に行う。
(10)同僚教師や主任、管理職などから授業や学級経営についてのアドバイスをもらうなど、オープンな姿勢を持つ。
(菅野 純:1950年生まれ、東京都八王子市教育センターを経て早稲田大学名誉教授。専門は学校カウンセリング)

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学級でいじめを疑う状況があるとき、どう指導すればよいのでしょうか

 集団生活にはトラブルはつきものです。
 教師が頭ごなしに指導をしても、表面的に見えなくなるだけで、かえって潜在化し、陰湿で深刻になってしまい、いじめの特定も難しくなることがあります。
 学級内のトラブルを深刻ないじめにならないようにし、成長の糧にすることが大切です。
 日頃から、学級や部活動での子どもたちの人間関係や力関係を把握しましょう。
 何かこそこそしていたり、教師が入って行くと、さっと雰囲気が変わったりするときは、あまり好ましい状態とは言えません。
 授業中、特定の子どもの答に妙な反応が返ってくるときも要注意です。
 いじめを疑う状態があれば、学級や部活動をしっかり観察することが必要です。
 アンケートや子どもたちを観察するなど、早期発見に努めなければなりません。
 担任だけでなく、養護教諭、専科や教科担任、部活動の指導者などから情報を集めるようにします。
 被害者の生命にかかわる場合もあるので、迅速かつ正確な情報収集が欠かせません。
 いじめ対応は早期発見が重要です。
 いじめを発見した場合、重要なことは、的確に把握し、学校が一丸となって組織として指導態勢をつくり情報を共有します。
 管理職や生徒指導主事への報告・連絡・相談体制を徹底し、いじめ解消のための具体的な方策を立てます。
 被害者の保護を第一とし、本人や保護者からも事情を聴きます。
 日頃からの信頼関係がないと、本当のことを話してもらえないことがあります。
 確実な情報を把握せずに、安易に加害者を指導することは、加害者の心からの謝罪を引き出すことはできません。
 大人の目に触れないところで、一層いじめがひどくなるなど、大きな失敗につながります。
 いじめの構造を把握して、指導に役立てなければなりません。
 いじめには、「加害者」「被害者」「はやしたてる観衆」「見て見ぬふりをする傍観者」の四重構造があります。
「被害者」から目を離さない指導体制を整備します。
 登校から下校まで守り抜くという姿勢は、加害者ばかりでなく、傍観者にもいじめがどんなに卑劣な行為であるかを知らせることになるとともに、学校は必ず守ってくれるという信頼感を与えます。
「はやしたてる観衆」への指導がいじめ鎮静化の糸口になることもあります。
「傍観者」への働きかけも重要です。
 いじめ「加害者」の心理は、ねたみ、以前の報復、支配したいという気持ち、遊び感覚、欲求不満のはけ口など様々です。
 いじめを引き起こした「加害者」の心の中には、おさえきれない攻撃性が蓄積していることが多くあります。心理の把握に努めなければなりません。
 親から暴力をふるわれていたり、家族間の葛藤があったり、その攻撃性や怒りを周囲のものにぶつけている場合が多い。
 その子の切ない状況に寄り添いながら、その子がよりよく生きていくことを親身になって支えることにより、初めていじめが解消したといえます。
「加害者」に登下校中やネットなどこれ以上いじめをさせないためには、家庭や地域と密接に連携し、指導していくことが重要です。
 警察の少年センター等との連携は加害者への抑止力になるとともに、家庭への指導も充実してくれます。
 子どもたち一人ひとりの正義感が大切にされる温かな学級づくりがいじめ問題解決の最善策です。
(小澤美代子:さくら教育研究所長)
(美谷島正義:東京都公立中学校長)

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いじめ指導の心得とは何か

 一人の人間として、生徒が相談に来たとき「これはいじめなのか?」と考えるのではなく「生徒が困っている、それをどう指導するか」が、発生した問題を解決する出発点になると思います。
 そのとき、教師にとって大切なのは、どのように解決していくか、クラス全体に何を訴えるかを考えることです。教師として子どもに対する指導力をつけることなのです。
 結局、いじめ指導とは日常の生徒指導そのものにすぎません。世間でいう「いじめ問題」がうまくいかないなら、それは日常の生徒指導に熟達していないだけのことです。
 被害にあっている子どもを教師一人で救うには限界がある。教師一人では対応しないというのが、まず第一の指導の条件である。
 巧妙ないじめが多く、複雑で、簡単に解決できない問題が多い。何か問題が起きた時に、すぐに相談でき、一緒に動いてくれる体制が重要です。
 私は、問題が起きたときや、気になることがあったときは、必ず3人の教師に話をするようにしています。
 そうすることによって、いろいろな角度から状況を把握できるからです。
 教師の指導は言葉でしか指導できない。また、一度や二度の指導で、すべてが解決することはない現実を知らねばならない。
 私は、被害者に保護者の前で次のように確認します。
「また、加害生徒や周りの生徒が何かやってきたり、暴力を振るわれたりしたら、必ず保護者、先生、言いやすい大人に言うこと」
「次に、嫌なことや、暴力を振るわれたら警察に被害届を出すこと」
を提案し、約束をさせることです。
 被害生徒をサポートすることが大事です。
「いじめ」という言葉にとらわれず、傷害、恐喝、器物破損などの犯罪行為であるという認識をもち、いじめられている生徒を徹底して守り通すという観点をもつ。
 警察との迅速な連携が問題行動の予防や早期解決につながると思います。
(瀬田川 聡:横浜市立中学校教師、生徒指導専任教師(13年間)、横浜市立小学校副校長)

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いじめの前兆に目を光らしたり、いじめがわかったときなど、どう指導すればよいか

 いじめは、いじめられる子どもだけでなく、いじめた子も不幸にする恐ろしいものです。発見したら即対応です。
 いじめの前兆に目を光らします。いじめは「芽」のうちに摘み取ってしまいましょう。
「いじめは」いきなり起きるのではありません。些細なもめごとや、からかいが、徐々にエスカレートして「いじめ」になります。
 ですから「これがいじめ?」と思えるような、かすかな前兆を見逃さないように注意しなくてはいけません。
 いじめの前兆に気づかず見逃すと、子どもや保護者が不安になるだけでなく、深刻ないじめに発展する恐れがあります。
 いじめの前兆を見逃さず、的確に指導することで、いじめを防止することになり、子どもも保護者も安心する。
 子どもや保護者の相談には、真剣に耳を傾けなくてはなりません。「それは考えすぎ」「単なるいたずら」などとは思ってはいけません。
 その子とクラス全体を観察する目をさらに厳しく「いじめの前兆」はないか、どうかを見極めましょう。
 何かことがあるごとに、対応し、保護者に報告します。
 グループから外れる、からかわれやすい、非難をうけやすい、など、そのような子どもがいたら、気をつけて見ておきます。
 そして、機会あるたびに周囲の子どもを指導するようにします。保護者も何となく、わが子が友だちから避けられていると感じています。
 指導するたびに連絡を入れ、日頃から少しずつ安心してもらうよう努めましょう。
 もしも、深刻ないじめを発見したら、いじめと闘う決意を伝える。
 深刻ないじめを発見したら、クラスの子、全員に対してはもちろん、いじめられている子と、その保護者に対しても、教師が全面的に子どもを守ることを約束し、いじめと闘う姿勢を示します。
 いじめを憎み、闘う教師の姿勢で、子どもと保護者の信頼と安らぎを取り戻しましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

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いじめを克服するには、いじめる子を孤立させ、闘うことができる学級にするとよい

 いじめを克服するには、闘うことができる力のある学級にすることである。そのためには
(1)
教師が、いじめの中心の子どもと闘い、勝つことである。
(2)
クラスの子どもたちを味方にして、子どもたちに自信をつけ、いじめの中心の子どもを孤立させることである。
 このことは、特に小学校高学年で、女教師が担任になる場合は、鉄則である。
 闘う機会は、学級開きの初めのころに必ずあり、それを逃してはいけない。
 子どもたちとの初めての出会いから、全力でやりぬくことである。早ければ早いほど後が楽になる。
 私はある年、6年生の担任になった。
 4月の教室での出会いは、子どもたちの冷たい目と、暗い表情に迎えられた。
 そのクラスは前年度、一人の男の子が数人の女の子を脅し、いじめが存在するのではないかと専科の教師から聞いた。
 いじめの中心人物のA男は男子を仕切り、女子に脅しや乱暴、窃盗をしていた。男子には順番に仲間外しを行っていた。
 A男のことを聞こうとするが、みんな警戒して話さない。結局、目の前で起こった事件の時に対決するしかなかった。
 1週間後、チャンスが来た。一人の女の子が「掃除をして」とA男に注意したが「なまいきだ」と蹴飛ばされ、泣いて教室から抜け出したのである。
 私は全員の前で「掃除をしないことを注意されて、乱暴する子がいたそうです」
 A男に向かって「そうですね」と念を押す。A男はうなずいた。
「それでは、みんなに聞きます。注意して、仕返しに乱暴される。これを許しておけますか。許せない人は、手をあげなさい」
 全体の子がのそのそと手をあげた。ただ、A男のグループは手をあげない。私は、
「わかりました。『ルールを守らないことを注意されたら仕返しする』という考えの人が何人かいることがわかりました」
「これは、大変なことなので、これから保護者会を開いて、このことを家の人にも考えてもらいます」
と言うと、手をあげない子の顔つきが変わった。そこで、私は
「じゃ、もう一度、手をあげてもらいます。許せない人は、手をあげなさい」
 これで全員が手をあげた。
 初めて、全員がA男を批判した形になった。やっとA男対クラス全員となったのである。
 私と子どもとの距離が急速に縮まり、女子はいろいろ私に話してくるようになった。
 仕返しを恐れているクラスだから、情報を得て、すぐには指導せず記録に止めておくようにした。絶対に信用のある情報だけを指導するようにした。
 情報が少しの場合は、いろんな子どもに聞いて、情報を集める。確かになってきたら、A男のグループの子に確かめる。
 その時は、A男のグループの子を一人ずつ呼んで「こういうこと知ってる?」と聞いてまわった。そして、中心がA男だとわかると、最後にA男を呼ぶと、A男はうなずいた。
 このように確かなものから指導をしていった。
 授業でも闘った。
 事件が起こった時だけ指導してもまにあわない。クラスのみんなに自信をつけさせないといけない。
 授業は発言者が少なく、たった一つの正解を、A男がどなって答えるという場面をなくした。
 順番に発表させることを授業の中心においた。必ず一人一回は発表する。
 あるいは、できた人からノートに書かせて評価した。
 問題の出題に気をつけ、答えがいろいろわかると分かれる場面をつくった。
 変わった意見、独自の意見は大いにほめた。
 だんだんと教室が明るくなり、何を言っても大丈夫な雰囲気が生まれた。
 A男の発言力は、急速に低下して、他の子が圧倒するようになった。
 個人的に声をかけてA男をはげました。わからないところを聞きにくるようになった。
(
石川裕美:元東京都公立小学校教師・雑誌編集長・サークル代表
)

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教師はいじめを見つけたり、探ったりするのがへた、どうすればよいのでしょうか

 いじめでも悪質ないじめがある。例えば、誰かをやっつけないと気がすまない、キレやすい子っている。やたらと友だちを殴るとか、鉛筆で刺すとか。
 そういう場合は、私は本格的ないじめになる前に、集中してその子に力を注ぐんです。教師対子どもの力関係でやることもあるし、親と一緒に取り組むこともあります。
 親に「このままいったら、まずくないですか?」って。やみくもに乱暴するわけですから、親だって、それはまずいと思っているわけですよ。
 その子が落ち着くまでクラスから離す時間を2週間設け、その子とつき合うことにしたんです。その子と一緒にいて、その子が言いたいこと、やりたいことをさせてみようと。
 もちろん本人だって、いじめが悪いなんてことわかっているから。私が話したのは「自分がやられて嫌なことは人にもやるな」って、それだけです。
 その間は、同僚教師に「今、クラスに大変な子どもを抱かえているから」と、かわりに授業をやってもらいました。そしたら、だんだん落ち着いてきました。
 たいていの教師は、親から「いじめじゃないですか」って言われたら、オロオロしちゃんだよね。
 親から言われるまで、わからない教師が多い。私は、絶対わかると思うんだけどね。
 だって、着替えのときに体にアザがないかとか、それとなく見るんだけど、わかりますよ。
 子どもの目つきを見て、オドオドしていたら、おかしいんじゃないかとか。わからないというのは、鈍感なんじゃないかな。
 でもね教師が、いじめはないかって目で、見ていたらダメ。平静な顔で、見ていないような目で見ないと。そのへん教師はへたなんだね。
 だって「いじめはありませんか?」なんて言ったら、子どもは絶対に見せないようにするもん。
 だから私は、月に一回くらい学級で「なにか言いたいこととか、苦情はない?」って、子どもたちに聞くんです。
 もちろん、そんなこと言ったって、まず誰も言わない。だけど、みんな本心ではウッと思うわけ。そこで今度は
「自分は、本当は親切のつもりでやったのに、相手に嫌なこと言われたりしたことない?」
「相手の名前を言わなくてもいいから、例えばの話でいいからさぁ」
とか、聞くわけ。そうするとみんなワーッと言い出すわけ。
 今度は給食を食べながらでもいいんだけど「昨日、誰と遊んだの?」とか聞くと、
「〇〇ちゃんとゲームして遊んだ」とか、「公園で遊んだ」とか、いろいろ返ってくるでしょ。
 それから「友だちに奢ってもらったことない?」ってだんだん絞り込んでいくんですよ。
 それで最後に「おごったことのある人?」って聞くと、ワーッと手が挙がって、おごっているのが特定の子だったり、おごられている子が特定の子だったら、これはもう、カツアゲの兆候ありってわかる。
 お金と物の時は、すぐに親に話しますね。それも断定てきに言わない。例えば
「今日、子どもと話をしていたら、こんな話していたんですよ。ちょっと家で聞いてもらえませかん?」
「相手の親は〇〇さんですから、ちょっと親同士で連絡とってみてください」
って、やるわけです。そうすればだいたいおさまる。
 親から、ちょっと言われれば、本人だってヤベエなと思うし、まだ2,3回のレベルのカツアゲだったら、それで解決しますね。
 親も「一緒に頑張ろうね」っていう形でやらないと。それを見過ごすといじめに発展すると思う。
 教師も、へたなんだね。見ていると、そのへんの探り方が。余裕がないっていうか。
 人間なんて、力の関係を避けたところでは生きられない。人間であるかぎり、トラブルは避けられない。トラブルのない人間関係なんてないんですよ。
 私は子どもたちに日頃から言っているんだけど、力の関係があるかぎり、やっぱり、やった、やられたってことはあるだろう。
 そのときの対処の方法は3つしかないと。
「戦うか、逃げるか、我慢するかの3つだよ」って言っているんです。
 私は親たちに、学校は「無菌状態にはできません」と言っているんです。
「お母さんたちだって、無菌状態で子どもを育てたいなんて、思わないでしょ」って。
 実際には、たいていの親は、自分の子どもには、強くなってほしいと思っているのだから。ちょっとのことでウジウジしてほしくないという思いがあるのです。
 もちろん、陰惨ないじめや暴力は許さないけど、トラブルに対しての身の処し方みたいなのを、子どもに教えてあげればいいんじゃないかって思っているんですけどね。
(
中部地方の公立小学校のベテラン教師
)

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いじめられた時、最後に頼れるのは自分自身である、どうすればいじめを克服することができるのでしょうか

 いじめはなくならない。いじめを克服できるのは、いじめを受けた本人である。
 子どもたちは、いじめを受けることを想定して、いかにしていじめを克服するかを具体的に考え、すぐに実行できるようにしなければならない。
 もちろん、周りの保護者や教師等が支援する体制は必要である。
 いじめはなくならないので、子どもたち一人ひとりがいじめ対処法を身につけておくべきである。
 いじめの進行段階に合わせた対処・防衛法は、
1 初期段階「いちいち相手にしない」
 からかいや冷やかし、仲間外れ、陰口といったものが多い。
 それらの言動に、嫌な顔をしたり、落ち込んだりするなどの反応をすれは、いじめっ子たちの思うつぼであり、面白がっていじめがエスカレートすることになる。
 ここは平静を装ってでも、全く動じないそぶりで受け流し、相手にしない。
「あいつらは自分とは全く別の低俗な人間だ。いじめをして喜ぶなんて本当にかわいそうな連中だ」と第三者のように客観的に考え、マイペースで学校生活を続けていく。
 するといじめっ子たちは、効果が見られないことで面白みがなくなり、しばらくするとあきらめる可能性は高くなる。
2 第二段階「相手に反撃する」
 しかし、いじめが終わらず、服従や金品要求を迫られることも考えられる。
 一度、いじめっ子に屈服してしまうと、ずるずると続いてしまうことになる。
 最初に、はっきりと拒否する勇気が必要だ。断って脅されたら、それはれっきとした「恐喝未遂」の犯罪である。暴力を振るわれたのなら、これも刑法に触れる犯罪である。
 対抗手段として
(1)
この時のやりとり(言動)を録音するか、すぐに詳しくノートに書き残しておき、いざという時に学校や警察へ届ける証拠資料とするのがよい。
(2)
さらに強い反撃方法として、信頼できる親友がいるならば、教室内など目撃者が多い場所を選んで、一緒にいじめる相手と対峙し「いじめをやめろ!」ときっぱり言い返すことも効果的である。
 いじめっ子に対して皆で圧力を与えるような冷やかな雰囲気が教室内に醸成され、いじめ防止につながる公算は高い。
3 第三段階「大人の助けを借りる」
 残念ながら勇気をふり絞って反撃しても、懲りない根っからのいじめっ子や問題児がいる。また、どうしても反撃ができない子どももいる。
 その時は、大人の助けを借りるしかない。
(1)
学校の教師
 大人に助けを求める場合、一番信頼でき、いじめを解決してくれそうな先生に相談すべきである。例えば、担任、部活動顧問、養護教諭、生徒指導担当教師などである。
(2)
保護者
 保護者はわが子を守ろうとするあまり、子どもが望まないような強硬手段に出ることも考えられ、加害者側との関係をこじらせ、親子とも修復が不可能になる事態も起こりうる。
 学校に適切な対処や指導ができず、解決のめどが立たず、いじめが再発する可能性が高い場合は、被害者本人がつぶれてしまう恐れがある。
 そういった状況の時は、保護者同意の上で、相手を訴えるか、警察に犯罪の被害届を出してほしい。
4 第4段階「警察等の外部機関に依頼する」
 生命が脅かされるような行為をともなういじめは重大犯罪であり、学校で扱いきれる案件ではない。
 身を守ることを最優先に考え、直ちに学校へ通告するだけでなく、警察等の外部機関に依頼し、加害者を逮捕してもらうべきである。
 いじめの被害者は、上記の克服法などを自分の置かれた状況にマッチするように柔軟にアレンジしてほしい。一番効果的な方法は一人ひとり異なっているからである。
 世の中は情報が洪水のように押し寄せ、何が正しいかわかりにくい不安定な社会だからこそ、最後に頼れるのは自分自身である。
 そのためにも、判断力がつき始める小学生くらいから、少しずつ心身を鍛え、教養を身につけるよう日々地道に努力し、自立して社会を生き抜くことができる人間になってもらいたい。
(
和田慎市:1954年静岡県生まれ、東北大学卒、元宮城県・静岡県公立高校教師、教頭。日本体育大学講師。講演会等で教師、保護者をサポートしている
)

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