カテゴリー「いじめの指導」の記事

いじめられた時、最後に頼れるのは自分自身である、どうすればいじめを克服することができるのでしょうか

 いじめはなくならない。いじめを克服できるのは、いじめを受けた本人である。
 子どもたちは、いじめを受けることを想定して、いかにしていじめを克服するかを具体的に考え、すぐに実行できるようにしなければならない。
 もちろん、周りの保護者や教師等が支援する体制は必要である。
 いじめはなくならないので、子どもたち一人ひとりがいじめ対処法を身につけておくべきである。
 いじめの進行段階に合わせた対処・防衛法は、
1 初期段階「いちいち相手にしない」
 からかいや冷やかし、仲間外れ、陰口といったものが多い。
 それらの言動に、嫌な顔をしたり、落ち込んだりするなどの反応をすれは、いじめっ子たちの思うつぼであり、面白がっていじめがエスカレートすることになる。
 ここは平静を装ってでも、全く動じないそぶりで受け流し、相手にしない。
「あいつらは自分とは全く別の低俗な人間だ。いじめをして喜ぶなんて本当にかわいそうな連中だ」と第三者のように客観的に考え、マイペースで学校生活を続けていく。
 するといじめっ子たちは、効果が見られないことで面白みがなくなり、しばらくするとあきらめる可能性は高くなる。
2 第二段階「相手に反撃する」
 しかし、いじめが終わらず、服従や金品要求を迫られることも考えられる。
 一度、いじめっ子に屈服してしまうと、ずるずると続いてしまうことになる。
 最初に、はっきりと拒否する勇気が必要だ。断って脅されたら、それはれっきとした「恐喝未遂」の犯罪である。暴力を振るわれたのなら、これも刑法に触れる犯罪である。
 対抗手段として
(1)
この時のやりとり(言動)を録音するか、すぐに詳しくノートに書き残しておき、いざという時に学校や警察へ届ける証拠資料とするのがよい。
(2)
さらに強い反撃方法として、信頼できる親友がいるならば、教室内など目撃者が多い場所を選んで、一緒にいじめる相手と対峙し「いじめをやめろ!」ときっぱり言い返すことも効果的である。
 いじめっ子に対して皆で圧力を与えるような冷やかな雰囲気が教室内に醸成され、いじめ防止につながる公算は高い。
3 第三段階「大人の助けを借りる」
 残念ながら勇気をふり絞って反撃しても、懲りない根っからのいじめっ子や問題児がいる。また、どうしても反撃ができない子どももいる。
 その時は、大人の助けを借りるしかない。
(1)
学校の教師
 大人に助けを求める場合、一番信頼でき、いじめを解決してくれそうな先生に相談すべきである。例えば、担任、部活動顧問、養護教諭、生徒指導担当教師などである。
(2)
保護者
 保護者はわが子を守ろうとするあまり、子どもが望まないような強硬手段に出ることも考えられ、加害者側との関係をこじらせ、親子とも修復が不可能になる事態も起こりうる。
 学校に適切な対処や指導ができず、解決のめどが立たず、いじめが再発する可能性が高い場合は、被害者本人がつぶれてしまう恐れがある。
 そういった状況の時は、保護者同意の上で、相手を訴えるか、警察に犯罪の被害届を出してほしい。
4 第4段階「警察等の外部機関に依頼する」
 生命が脅かされるような行為をともなういじめは重大犯罪であり、学校で扱いきれる案件ではない。
 身を守ることを最優先に考え、直ちに学校へ通告するだけでなく、警察等の外部機関に依頼し、加害者を逮捕してもらうべきである。
 いじめの被害者は、上記の克服法などを自分の置かれた状況にマッチするように柔軟にアレンジしてほしい。一番効果的な方法は一人ひとり異なっているからである。
 世の中は情報が洪水のように押し寄せ、何が正しいかわかりにくい不安定な社会だからこそ、最後に頼れるのは自分自身である。
 そのためにも、判断力がつき始める小学生くらいから、少しずつ心身を鍛え、教養を身につけるよう日々地道に努力し、自立して社会を生き抜くことができる人間になってもらいたい。
(
和田慎市:1954年静岡県生まれ、東北大学卒、元宮城県・静岡県公立高校教師、教頭。日本体育大学講師。講演会等で教師、保護者をサポートしている
)

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学級の子どもたちの「もつれた糸」を、どのようにすればときほぐすことができるでしょうか

 担任Sのクラスの女生徒Aさんが9月中旬になっても学校を休み続けている。理由は「親しかった友だち3人とのトラブルで、クラスのみんなから無視され耐えられないから」ということだった。
 担任がAさんの家に電話すると、母親は「クラス中が無視するなんて、ひどすぎます。子どもと話し合った結果、転校した方がいいということになった」と話し、家庭訪問も断られた。
 若い担任Sは困って、学年会で知恵を借りたいと言ってきた。学年主任の私は次のことを提案し了承された。
(1)
すぐに転校と、あせって結論をださないように、少し待ってもらうこと。
(2)
「一方的ないじめ」ととらえずに、両者の誤解にもとづくものとしてとらえ、もつれた糸をときほぐすのが、私たち教師の仕事と考えること
(3)
事実関係を3人の女の子から慎重に聞くこと。
 担任はAさんとトラブルがあった3人の女の子たちから事情を聞いた。すると「ぜんぜんそんなことはしていない。直接本人と会って話がしたい」ということだった。
 誤解があるということがわかったので、誤解をとくという方法だと、明るい見通しが持てるようになる。
 でも、誤解を解くにはAさんに学校に来てもらわなければならない。担任に電話してもらったが「子どもの気持ちが整理できていないので」と断られてしまった。
 私は困ったときには、子どもたちに聞いてみるようにしています。私のクラスの女子グループに聞いてみた。
 すると、Aさんのことが心配でAさんの家に行って話をしてきたそうで、内容は
「イジメがあったみたいなんだけど、私も経験あるから、そんなことでくじけちゃだめよとはげましたら、転校って、だんだん言わなくなってきた」ということです。
 その後も説得を続けてくれた。おかげで数日後には、Aさんは校門のところまで来て担任と話ができるようになった。
 担任は最後のチャンスと思い、長時間Aさんと話し合い、翌日に対立関係のある3人の女の子たちと話し合いができるようになりました。
 私は両者とよい関係にあったので、話し合いに立ち会いました。私ははじめにつぎのように宣言しました。
(1)
この話し合いは、両者とも明日から気持ちよく学校に来てもらうために開いた。
(2)
私は両者の言いたいことと事実をひとつずつ整理し、誤解があるなら、それを解くためにいる。だからどちらの味方にもならない。
(3)
ここでは「自分の出会った事実」が優先し「人から伝え聞いた話」は信用度が低いと考える。
(4)
自分が誤解していたり「悪かったな」と素直に思えたときは「ごめめんなさい」を言ってほしい。
 こうして、事実の一つひとつについて確認し、そのときの自分の真意を言ってもらうと、3人の女の子たちは知らないうちにAさんをキズつけることを言っていた。
 一方、いじめられたというAさんも、自分の思い込みや、他人のうわさをそのまま信じていたことがわかってきた。
 一つずつ解決していったが、両者は「なかよくなれそうにもない」という答えが返ってきた。私は
「そういうのを相性が悪いって言うだよね。大人の世界でもよくあることだよ」
「じゃあ、これからは事務的なことはしかたがないけど、それ以外は関係ないでやってください」
「この学年には170人もいますから、明日からは、それぞれに『仲の良い友だち』をつくってください」
「ただ、関係ないとはいっても、またいつか仲良くなる可能性も残しておいてね」
 あれから1か月、Aさんには新しい友だちができ、元気に学校に来ている。一方、3人の女の子たちにも笑顔がもどった。
 Aさんのお母さんが参観日に私のところまで来て「何とお礼をいったらいいか」と涙を流していた。私は「よかったですね」と言った。
(
山路敏英:元東京都公立中学校教師、明星大学の講師
)

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保護者から、子どもがいじめられていると相談を受けたとき、どうすればよいか

 保護者はわが子からいじめにあっていると打ち明けられると、とても動揺します。
 その根底には、わが子のダメージへの心配と不安、そして、教師の指導力に対する不信感があります。
 まず、保護者の心配や不安を軽減し、教師への信頼を回復させることが必要です。
 最初の段階で、きちんと時間をかけて、ていねいに対応しないと、保護者の不安感と不信感は、学校全体への強い非難につながってしまいます。
1 よくない対応
「保護者の切迫感にそった対応ができない」
 慎重になるあまり、状況の把握の必要性ばかりを強調し、保護者の切迫感への対応をおろそかにしがちです。たとえば
「承知しました。しかし、実態をきちんと確認しないことには、たしかなお答えできかねますので、当事者から話を聞いてみて、また報告させていただきます」
2 保護者の気持ちと反応
(1)
教師への不信感が高まる
 教師が十分に対応してくれないのは、教師が保護者の不安を理解していないからか、わが子へのいじめの事実を隠しているからだと感じ、教師に対する不信感が高まります。
(2)
教師や学校の説明や対応を疑い批判する
 教師の説明を疑うようになり、わが子はいじめの被害者に違いないと確信します。
 いじめの解決を教師や学校に任せておけないと感じ、どんな対応策にも批判的になります。
3 望ましい対応 
(1)
まずは、保護者の話を十分に聞いて、不安をやわらげる
 保護者の話を途中でさえぎらずに、最後までよく聞きます。
(2)
保護者の訴えを整理し、対応策を確認する
 保護者が動揺していて、話にまとまりがない場合があります。
 教師は話を聞きながら、事実と憶測を識別してメモし、保護者の訴えたいことを整理して確認します。
(3)
実態を調査し、確実に対応することを伝える
 確実に対応するためにも、まずは実態をしっかり調査します。
 その後、この問題にどのように取り組んでいくか、学校と保護者が一緒に考え、連携していく。
 今後の対応を共有した後は、具体的に連絡し合う時間や方法を確認します。
4 配慮すべきポイント
 いじめの問題の取り扱いには慎重さを要します。まずは保護者の不安や不信感を軽減させなければなりません。
 教師や学校が子どもを心配し、真剣に取り組もうとしていると保護者が感じられれば、保護者も冷静に話し合うことができ、問題解決の第一歩を踏み出すことができます。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭・教育相談員を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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荒れたクラスで起きた、深刻な「いじめ」を解決するのに、とった方法とは

 私は六年生の担任になりました。クラスの子どもたちは傷つきやすいがデリカシーがない。かまってほしいという感情が相手の怒りをかっています。冗談とイヤミの区別なく頭に浮かんだことが次々と言うことがあります。
 この子どもたちに、やさしさや思いやりはあるのか、と思ってしまう。そんなとき、一番心配していた「いじめ」が起こりました。
 Kくんは、体も大きく、勉強もできるほうでしたが、個性が強く、腕力があり、友だちを不快にさせることもある。
 Kくんは、自分の個性を指摘されたり、友だちからつらく当たられると、教室でよく暴れるようになりました。
 彼が暴れると一人では手に負えないので、数名で飛び掛っていくので、一人対多数の対立関係ができました。
 Jくんは、陰で仕掛けておいて、Kくんに暴れさせて楽しむたちの悪さでした。
 三人の男の子は、ちょっかいを出し続けていました。Kくんとケンカになっても、誰もKくんの側につかないと、わかっていたからでした。
 女の子たちは、Kくんが暴れて騒ぎになるのを気晴らし的に眺めていました。騒ぎをつくりだす男子たちは、まずいこととわかっていながら、やめられないようでした。
 Kくんに対する深刻な「いじめ」の構造ができあがっていました。
 五月になると、Kくんは掃除用の洗剤を持って「先生、これ飲んだら死ねるかなぁ」とつぶやきました。もう、予断の許されない所まで追い詰められていました。
 休み時間に、Kくんが暴れて教室中、大騒ぎになって、みんなで押さえているとの知らせを受けました。きっかけは、Kくんのランドセルをわざとロッカーから落としたということでした。
 教室に駆けつけた私は「今こそ、いじめ問題に切り込まなければ」と決心しました。
 女子に教室で自習を指示し、Kくんを放送室に入れ、教頭先生に見てもらいました。
 隣の教室が体育で空いていたので、男子全員をそこに入れて輪になって座りました。
 
「いじめ」をつぶす指導ができるのか、不安でいっぱいでしたが、私の気持ちを全力で男子たちにぶつけることにしました。
 私は
「君たちのやっていることは、深刻な『いじめ』である。Kくんの心の中は、もはや全く余裕のないところまで追い詰められている」
「君たちのKくんに対する行動は、癖のようになっていて、すごいイヤミになっている」
「このままでは、お互い、みんなの心がズタズタになるぞ。自分で自分をコントロールしろ!」
と、必死の思いで語りました。
 幸い何人かが私に同調する発言をしてくれて、しだいに真剣に、深刻に受けとめる雰囲気になりました。
 一人ひとりの表情を見て「ここで切り込める!」と思いました。
 私は「一人ずつがKくんとどんなふうに話し合って解決したいか、自分で考え、整理のついた人から放送室で待機しているKくんのもとへ、たずねに行く」ように指示しました。
 しばらく、沈黙が続きました。最初に謝ると決意したのは「いじめ」のリーダー的存在だったMくんでした。
 私は、Mくんと共に放送室に入りました。Mくんは心からわび、今後の行動の決意を語りました。そして、次々と男子たちがやってきて、自分の気持ちを語りました。
 Kくんの表情は、すっかりなごみ、みんなに
「オレみたいなつらい思いをするヤツを二度とつくらんといてほしい」と言いました。
 Kくんへの「いじめ」はなくなりましたが、自分の心や行動をコントロールできず、友だち同士傷つけあうことは、しばしば起こりました。
 子どもたちは、自分の言葉と行動の何が相手を傷つけているのか、わからないことが多かった。
 そこで、私は「もめごと」の話し合いの指導をつぎのようにしました。
 全員に聞き、もめごとの最初から順に、黒板に色チョークを使い図式にしていきました。図式で一人ひとりの行動を示しました。
 だれの発言が不適切であったか、だれが愉快犯的な行動をとったのか、だれがやじうま的に、けしかける行動に出たのか明らかにして、それぞれに反省を求めていきます。
「こんなこと言われたら、○○くんは腹が立つわな。当然や」
「でも、そうだからと相手をすぐ叩いたらあかんわ。せめて、『何でそんなこと言うねん』ぐらい言わないと」
 何回もこういった指導をする中で、自分の行動を見つめ直すことのできる子どもたちが増えてきたように思いました。
 暴力ざたはずいぶん減りましたが、小さな「もめごと」は、しょっちゅう起こりました。
「自分の心をコントロールせよ!」は、卒業までの私の口癖になってしまいました。
(
藤田武久:1962年生まれ、大阪府公立小学校教師)

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いじめが疑われているとき、いじめが発覚したとき、どうすればよいのでしょうか

 いじめが疑われている場合、調査がいじめ把握に有効な手法の一つであることは間違いありません。
 よく話題になるのが記名か無記名か、どちらにするかです。
 私は新聞社の方に質問されたときは「記名か無記名かの問題ではありません。教室で答えさせるとしたら、その集団がありのままに答えられるか否かの雰囲気によります」と。
 いじめアンケートの項目例(小学校)をあげると
(1)
学校に行きたくないとおもうことがありますか( )
(2)
学校で、じぶんのものがなくなったことがありますか( ) 
(3)
友だちから、いやなことを言われたことがありますか( ) 
(4)
友だちに、じぶんのものをかくされたことがありますか( ) 
(5)
今、心配していることがありますか( ) 
(6)
学校に、いじめる人がいますか( ) 
(7)
先生にはなしたいことがあったら、なんでもいいから書いてください
 いじめの実態把握は
(1)
いじめの対象(1名だけか、別の被害者はいないか)
(2)
いじめの構造(加害者の中心、加害行為を行う者、集団の力の構造)
(3)
いじめの態様(いじめの方法、人数、頻度、程度等)
(4)
被害者及び加害者の保護者の認知(いじめの実態把握、感情等)
 聴き取り調査での配慮事項は
(1)
口裏あわせを防ぐため、複数の教師が一斉に実施する
(2)
加害者と決めつけることなく、和やかな雰囲気づくりに努める
(3)
知っていることを教えて欲しいという姿勢を貫く
(4)
虚偽の疑いがあっても、まずは聴く
(5)
矛盾点や疑問点は「もう少し詳しくきかせてくれる?」と再質問する
(6)
「そういう気持ちだったのか」などと、心理的事実に焦点をあてる
(7)
「つらい思いをしている子を助けてあげて欲しい」と伝える
(8)
聴き取りが不十分であっても、誠意を伝え次の面接を約束する
 いじめが発覚したときは、被害生徒に事情聴取し、保護します。保護には、被害者の生徒と信頼関係が確立している教職員が当たります。生徒が話したいときに耳を傾けることが最も効果的です。
 いじめ対応の大原則は被害者保護です。全校指導体制を構築して被害を受けることのないよう、全員で「守る」必要があります。
 被害生徒が支えられているという安心感を実感できるよう目に見える具体策を実行します。
(1)
校内巡視
(2)
授業引き継ぎし、いじめられている生徒から教師が目を離す時間帯をつくらない
(3)
必要に応じて、被害生徒または加害生徒を別室で指導する
(4)
保護者及び地域等との連携による登下校時の監視
(5)
被害生徒への担任等による個別面接の継続
(6)
被害生徒との信頼関係のある教職員との電話・メール等のやりとり
(7)
被害生徒と関係の深い生徒等による支持的かかわりの依頼
(8)
ピアサポート活動による被害生徒への支援
(9)
PTAと一体となった取り組み
(10)
いじめ相談カードの配布等、相談機関の周知
(11)
犯罪行為として取り扱ういじめの警察等へ通報
(12)
加害生徒への指導状況を被害生徒・保護者へ報告
 いじめが起こった場合、被害生徒の二次被害で最も憂慮されることは、絶望感からの自死問題と、攻撃に転じた復讐です。被害生徒との間に誰かが絆を切らないように繋がることが求められます。
 加害生徒からの事情聴取と指導を行います。生徒指導主事が加害の中心となっている生徒から事情を聴きます。いじめは絶対に許されないという毅然とした態度を持ちつつ、自らの非に気づけるようにすることが目標となります。
 被害生徒の保護者に報告をします。
 直接会って話します。来校の労をねぎらい、保護者の気持ちを受容します。判明している事実を系統的に説明します。保護者の心情を理解し、訴えに十分耳を傾けます。
 被害生徒を守り抜く具体的な実行策を説明し、決意を理解してもらう。教育相談による「心のケア」、家庭との定期連絡などの提案を行います。
 加害生徒への指導、加害生徒の保護者への協力要請、学級指導等について、保護者の意向を確かめながら、今後の指導を確認していきます。
 加害生徒の保護者への基本的な対応
 加害者の保護者に来校を求め「今できることを一緒に考えましょう」という姿勢で臨みます。判明した事実を伝えます。保護者の言い分には耳を傾けます。
 話し合いは「いじめの非」に対しては一歩も譲ることなく、保護者と共に加害生徒の立ち直りをめざした支援について知恵を出し合うようにします。
 被害者への謝罪は、事前に被害者の保護者の意向を聴いておきます。
 いじめたことを真に反省し、被害生徒の受けた不利益を取り戻すために何ができるかを話し合います。
 被害生徒とその保護者への謝罪方法、手順等を決めます。
 被害生徒が暴力で傷害を負った場合は、治療費等、恐喝では金品の弁済が問題になります。さらに刑法に触れる違法行為があった場合には、警察への告訴が予想されます。
 このような問題については、過去の事例を挙げるなどして保護者に心の準備をしてもらう必要があります。
(
嶋﨑政男:1951年生まれ、東京都立中学校教師・教育研究所指導主事・中学校長等を経て神田外語大学客員教授)

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いじめなどで学校が保護者から信頼されるようになるには、どのようにすればよいでしょうか

 いじめがあれば、教師の責任追及につながる恐れがあるという不安で、教師がいじめかもしれないと気づいても、すぐに相談しようとしないことがある。
 子ども社会では、いじめは何の原因もなく起こるものであり、教師一人の責任ではない。この認識を教職員全体に伝えておく必要がある。
 大切なことは、即座に解決に向けて動けるかどうかである。いじめかもしれないと気づいたら、報告しあう会をつくるとよい。予防にもつながる。
 いじめかもしれないという「気づき」を学校全体で共有したら、すぐに保護者全員に周知する。保護者には「家庭で見ていて気になることがあったら知らせてほしい」とお願いする。この学校はいじめを隠ぺいしないという信頼感につながる。
 保護者に周知した後は、保護者との定期的な話し合いが必要である。その場は保護者の問い合わせに答える場にもなる。気づいたことを知らせてもらい、どうしたらいじめをなくすことができるか意見を募る。
 子どもたちへは、保護者から伝えてもらう。自分の親がいじめをなくす取り組みをしているという事実は子どもにとっては重要だ。「やばい」と思う子もいるだろう。
 保護者会はできるだけ頻繁に行うこと。保護者には悪い情報をできるだけ早い段階で伝える。この学校は悪い情報も隠ぺいしない、とやはり信頼につながる。そのうえで、学校の取り組みを伝える。
 保護者に家庭で気をつけて欲しいことを伝える。そして、保護者がお互いの情報を照らし合わせる。その時どきの課題、何をすればよいかも見えてくる。そうすることで、子どもに対する大人の態度に一貫性が生まれ、子どもの不満も消える。
 この話し合いは、批判や非難の場とならないように、最後は必ずお互いの良い所を見つけあって、ほめあう場にもしてほしい。子どもにもよい影響を与える。
 もう一つ重要なのが、教師と保護者が一対一の関係を育むことだ。そうなれば、ちょっとしたことでも安心して話題にできる。保護者が教師を信頼するようになれば、子どもも教師を信頼する。
 アンケートをとってもよいが、いじめの事実がでてこなくても、いじめの取り組みはやめないことが大切である。
 学校公開し、日常の子どもが外から見えることは重要である。保護者にとって安心にもつながる。
 いじめが「恐喝」「脅迫」「傷害」などの犯罪におよんでいる場合、警察への相談はためらわないでほしい、と私は学校にお願いしている。学校のペナルティを与えただけでは、子どもたちに社会のルールを教えたことにはならない。
(
山脇由貴子:1969年東京生まれ。東京都児童相談所児童心理司。年間100家族以上の相談や治療を受け持つ臨床家。臨床現場の生の声を発信し続ける)

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いじめ防止のキーポイントと、いじめ防止の力を向上するにはどうすればよいか

 いじめ防止には、子どもたち一人ひとりが「いじめは絶対許されない」という強い意識をもち「いじめない、いじめを受けない」という力量を身につける必要があります。
 このためには、人権教育を充実させるとともに、「ダメなことはダメ」という規範意識の醸成に努め、学級世論を形成することに期待がかけられています。
 また、日常の子どもたちの人間関係の確立をめざし、所属感や連帯感を実感できる集団づくりは「いじめる-いじめられる」関係を生まない有効な方法の一つです。
 さらに、いじめられそうになったとき、他者の助けを求めて防げば、いじめに苦しむことはなくなります。トレーニングを積むことによってこの力を強くすることができます。
 このように、「いじめ否定の意識」「いじめを防止する集団」「いじめを防ぐ力」がいじめ防止のキーポイントになります。
 この中でも「いじめ否定の意識」を高めることは、さしせまって大切な課題です。いじめを否定する気持ちが、子どもたち個人にも学級にも強いほど、いじめの発生の可能性は低くなります。
 このような状況を創り出すことが「いじめ撲滅」につながっていくのです。
 子どもたち個人の「いじめ防止力」は
「いじめを否定する力」(人権感覚、規範意識、道徳的心情)
「いじめへの対処力」(コミュニケーション力、ストレス対応力、感情コントロール力)
の二つに大別できます。
 これらの意識や能力を高めることで、子どもたち一人ひとりの「いじめ防止力」が向上します。
 いじめ防止プログラムや生徒指導計画の中に意図的に位置付け、組織的・計画的に実施することにより、いじめ問題解決への展望は大きく開けます。
 このためには、校内研修等を通じて、全教職員が「いじめ防止力」を高める指導力を身に付けることが大切です。
(
嶋﨑政男:1951年生まれ、東京都立中学校教師・教育研究所指導主事・中学校長等を経て神田外語大学客員教授)

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どうすれば「いじめ」による自殺などの悲劇を防ぐことができるのか

 親にとって、わが子が学校で「いじめにあっていないだろうか」という心配は尽きません。いじめを苦にした生徒の自殺が報じられると、その不安はますます強くなります。
 ある「いじめ自殺事件」を通して、その防止方法を考えてみたいと思います。
 Kくんは、中学一年に隣の県から引っ越してきました。同じクラスにヤンチャなMくんがいました。最初はMくんから、からかわれているだけでした。やがて、殴る蹴るの暴行や、背中をシャープペンで突かれるなどの悪質ないじめに発展していったのです。
 いったん「いじめられっ子」の烙印を押されると、別のクラスの生徒からもいじめの標的になりやすいものです。こうして泥沼に陥っていきました。
 やがて三年生になると、不良グループのSくんが絡んでくるようになりました。SとMくんは、口実を設けてKくんにお金の支払いを要求します。次第にエスカレートして数万円単位となりました。
 Kくんは、ただ手をこまねいていたわけではありません。一年生の春と秋、先生に苦境を訴え、相談していたのです。
 ところが先生は、親身になって相談に乗るだけの心の余裕も時間もなかったようでした。先生は、いじめの当事者を呼んで、双方に「仲良くしなさい」と言い聞かせるだけで終わってしまいました。
 このようなやり方は全く効果はなく、いじめが一層激しくなり、Kくんは先生への不信感を植えつける結果となりました。
 本来なら、双方から詳しく事情を聞き、真相を解明したうえで「Mくんが悪い」と、はっきり注意・指導ができればよかったのでしょう。
 三年生になって、カツ上げが繰り返される頃には、もはやKくんの頭から、先生に相談する思いは消えていました。
 Kくんは、自分がいじめられていることを、親にも言っていませんでした。「親に心配をかけて、つらい思いをさせるのはいやだ」「親に相談したからといって解決できるはずがない」という思いがあったのでしょう。
 こうしてKくんは、誰にも相談できないまま行き詰まって、遺書にいじめや恐喝を告発する言葉を記して死を選んだのです。中学三年の冬のことでした。
 Kくんの自殺は、周囲に衝撃を与えました。学校は教職員が一丸となって自殺の原因となったいじめの有無を調査するとともに、再発防止のため、対策チームを発足させました。
 また、遺書で名指しされたM、Sくんについては、警察の捜査がなされ、容疑を認めたため、恐喝罪で逮捕されました。その後、二人は少年院送りとなっています。
 一方、Kくんの親は自殺に追い込まれた真相を知りたいと、弁護士と相談のうえ、加害者の少年とその親、いじめを放置した学校の設置者の市をも相手として民事裁判を提起しました。
 その結果、いじめに加担したメンバーはもちろん、その親と市についても責任が認められ勝訴判決が下りたのです。
 このようないじめは、いじめるほうも、面白半分でやっていることが多く、いわば遊びの延長と思われます。そんな彼らには、刑法に触れる悪い行為をしている、という自覚がない場合がほとんどです。
 だからこそ、弁護士に依頼して、いじめは、恐喝罪、傷害罪などの犯罪行為であることを、きちんと教える警告書を出すべきだと思います。これによって、まず、カツ上げ行為は阻止できます。
 弁護士に依頼すると、かえって仕返しを招き、事態を悪化させるのではないか、と危惧する人もあるでしょう。
 しかし、弁護士が入って、これは犯罪であると諭すならば、その忠告を無視して、犯行をエスカレートさせるほどのタチの悪い生徒は、それほど多くはありません。親身になって言えば伝わるものです。
 しかし、実際には、悲劇的な結果が出てから、というケースがほとんどです。もっと弁護士が身近な存在になれたら、どれだけの悲劇を未然に防止できるかもしれない、と思わずにおれません。
 弁護士の利用価値を分かってもらえたら、これ以上の喜びはありません。
(
浮田美穂:1976年大阪府生まれ、弁護士。2児の母)

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いじめを早期発見するための具体的な方法とは

 「わが子がいじめられているのではと相談したけれど、担任の先生は具体的に何もしてくれなかった」などいう親のコメントをいじめ報道で目にすることがあります。
 教師が親の相談に対して何も行動を起こさなかったとすれば論外ですが、大抵の場合、デリケートな問題であるため事実関係をつかむのに時間がかかり、その結果、親との温度差が生じてしまい、教師不信となるケースが少なくありません。
 学校は「あってはならないいじめを早期に発見する」という視点で緊迫感のある対応をすることが望まれます。
 ですから、相談を受けた段階では、いじめは深刻な状態に進展していると考えるべきです。決して対症療法的な後手、後手の対応をしてはならないということです。
 それには、意図的、計画的に早期発見するため、つぎのような具体的な手だてに取り組むとよいと思います。
(1)
「帰りの会」で、自由に発言できる雰囲気をつくろう
 帰りの会で学級の諸問題を自由に発言しあえる雰囲気を醸し出したいものです。担任の一つの眼でなく、学級に担任以外の眼が育てば、いじめを早期に発見することもできるでしょう。
(2)
学級に「心のポスト」を設置しよう
 子どもたちの悩みや心配事を自由に投函できる「心のポスト」を設置すると、人前では発言できない子どもたちが担任に知らせることができます。毎日確認し、どんな些細なことでも即座に対応することが大切です。
(3)
週に一度、簡単なアンケートをとろう
 週に一度、曜日を決めてアンケートをとり、チェックをすれば、子どもたちの変化をつかむことができます。
 例えば、表題 「心のかがみ」
 つぎの項目に、はい、いいえのどちらかに○をつけましょう
 このアンケートは心の中にある悩みや不安をうつしだすかがみです。_ _組 名前_
「体調は良いですか」(はい)(いいえ)
「よく眠れますか」(はい)(いいえ)
「食欲はありますか」(はい)(いいえ)
「友だちとの仲は良いですか」(はい)(いいえ)
「いじめられていますか」(はい)(いいえ)
「いじめられている子がいますか」(はい)(いいえ)
「悩んでいることがありますか」(はい)(いいえ)
 など。子どもに、○だけを記入させるだけなので、用紙の配布から回収まで二分程度でできます。
 実施する曜日は、子どもたちの悩みや不安が蓄積される週の後半が望ましいと思われます。木曜日の下校前などが適当でしょう。回収は二つ折にして直接担任に手渡すようにします。
 問題があれば、その日のうちに電話をかけて、詳しく話を聞いてみることです。状況によっては、翌日に個別に話を聞ける機会をつくり、何気なく面談をすることが必要です。深刻な場合は家庭訪問して親を交えて話し合う必要があるでしょう。  
(4)
月に一度、個人面談をしてみよう
 月末の三日間くらいは、子どもたちと個人面談してみましょう。休み時間に空き教室などを利用して、一人一分程度、直接話し合います。質問は
「最近悩んでいることや心配なことはありませんか」のただ一つ。「ある」と応えた子には、その場ではなく、その日のうちに自宅に電話をかけてじっくりと悩みを聞きましょう。
(
小谷川元一:1959年千葉県生まれ、千葉県松戸市公立小学校教師、松戸市指導主事等を経て東京福祉大学准教授。子育て・教育支援スペース「こたにがわ学園」理事長)

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いじめ問題が起きたとき、保護者にどう伝え、かかわればよいのでしょうか

 いじめであるかもしれないことがわかったとき、保護者にどう伝えればよいかは難しい問題です。
 対応が遅れるほど、取り返しのつかない結果になったり、不登校につながる可能性が高くなります。だから、いじめを学校だけの問題にせず、保護者とも連携をとっていく必要があるのです。
 いじめられている子どもの保護者に伝えるときは、電話ではなく、直接会って話し合うのがよい。このときに大切なのは、いじめの事実を伝えるだけでなく、学校がいじめられている子どもを、どれだけ守り、解決する姿勢でいるのかを強調することです。
 また、保護者に伝えるときには「わが子どもが悪い」と受け取られないようにすることも大切です。保護者が「もっとこうすれば、こんなこと言われないのよ」という言葉は、子どもの心を閉ざし、さらに傷を大きくしてしまいます。
 いじめられると、子どもは深刻な心的外傷後ストレス障害を引き起こします。いじめの残酷な行為は、受けた子どもにとって大きな心の傷になり、後々の発達にも影響を与えます。
 学校にスクール・カウンセラーなどの専門家がいる場合には、その子のトラウマ(外傷体験)をきちんと処理をしてもらうように依頼する必要があるかも知れません。いない場合は、地域の専門機関に依頼して心の傷を癒してもらう必要があるでしょう。
 いじめている子どもの援助も必要です。何らかの悩みや問題、そうせざるを得ない事情を抱かえている場合が多いからです。
 いじめはしてはならないことで、厳しく言う必要があります。しかし、その子の人格を否定してはいけません。そうせざるを得ない気持ちに寄り添い、とことん聴くようにします。
 その結果、家庭での寂しさや、家族の厳しさなど日常生活上の大変さが浮き彫りになるかもしれません。だれにも言えず、いじめのような行為に出ることも多いのです。
 難しいのは、いじめている子どもの保護者に事実を伝えても「うちの子に限って、そのようなことはない」と、わが子をかばう保護者もいます。
 また、事実を受けとめても、わが子に厳しい保護者はますます厳しく接するようになる可能性もあります。
 いじめている子どもの保護者に伝えるときも、子どもの場合と同様です。いじめをせざるを得なかった子どもの気持ちを、子どもの了解を得たうえで伝えます。保護者と一緒にどのような援助をしていくことが、その子どもに必要であるのかを話題の中心にすえるのです。
 その上で、保護者の気持ちも十分に聴きます。保護者自身も、辛く大変な状況であることが多いのです。その状況のままで「わが子がいじめをした」という話を受けとめるのは、困難な場合もあるのです。
 ですから、保護者自身の抱いている気持ちを丁寧に聴くことで、保護者が誰にも言えなかった気持ちを出せるようになります。そうすることで、ようやく、わが子の苦しみに向き合う姿勢が生まれてくるのです。
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青山洋子:東京都港区立教育センター教育相談員、筑波大学学校教育部技官を経て、駿河台大学講師。専門は臨床心理学・学校心理学)

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