カテゴリー「さまざまな子どもの指導」の記事

小学校低学年の子どもたちの指導のポイントとは

 低学年の子どもは、かわいらしくて、人懐っこく愛嬌があります。
 ささいな失敗や荒っぽい行動も、少々のことは許すことができてしまいます。
 しかし、そのままにしておいては、いけません。
 子どもは無邪気な「天使」ではありません。
 特に、低学年のうちは「ならぬことは、ならぬ」と、ことあるごとに、しっかり指導しなければなりません。
「何が悪くて、何がよいのか」という善し悪しの区別がつかなくなった子どもは「悪魔」に豹変してしまいます。
 低学年の子どもの指導は、手をかけすぎないようにします。
 低学年の子どもは、何をするにも時間がかかり、まどろっこしく感じてしまうことも多く、口を出してしまいそうになります。
 しかし、大人が子どもに口や手をかけすぎることは、子どもの成長のチャンスを奪うことになります。
 非効率で時間がかかるのが低学年の子どもであると考えて、じっくりと構えて、見守ることが必要です。
 低学年の子どもを「押さえつけて指導する」のは危険です。
 子どもたちの、ささいなことにも、目くじらを立て、押さえつけて指導し続けることは危険です。
 やがて、子どもたちは「また、何か、おこごと言っているよ」「へっちゃらだ」と、必ず指導に従わなくなってしまいます。
 力で押さえようとすれば、どんどん強い力が必要になり、歯止めがきかなくなります。
 低学年の子どもが教師を軽んじ始めると、制御不能の騒乱状態になってしまいます。
 いざという時の厳しい指導が、クラスを安定させます。
 低学年の子どもほど、ささいな言動をどんどんほめることで、よい行いがクラス全体に広がっていきます。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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冬の寒い日、教室内で、外で着る服や手袋、帽子をつけたままの子どもがいます、どう指導すればよいのでしょうか

 明らかに誰が見ても外で着る服や手袋、帽子といった物を室内で着ている子どもの姿を見かけたら、すぐ脱ぐように指導します。
 そのつど「外で着る服だよ」と、やさしく脱ぐように促します。
 ほとんどの子は、それで気をつけるようになります。
 それでも、脱がなかったり、わざと着て反抗的な態度をとったりする子は、指導が必要となります。
 また、どのような衣服が屋外用の物なのかは、判断が分かれるところなので、学年や学校である程度、統一しておくことも必要です。
 寒い日は、下着を多めに着てくるとか、室内で羽織れる服を着ておく、などの工夫ができることを教えて、室内にふさわしい服装をするように指導しましょう。
 屋外では屋外で、室内では室内で過ごすのにふさわしい服装をするのが一般常識です。
 ましてや、教室という学ぶ場所であれば、なおさらのこと。
 このような常識を学ばせることも、教師の大切な仕事です。
 服装については、人によって考え方も様々なので、学級通信や保護者会などで、室内の服装についての担任の考え方を伝えながら、保護者の理解と協力を得ることも必要です。
(
中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方研究会」を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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保健室に頻繁に行く生徒がいるとき、担任はどのようにすればよいのでしょうか

 その生徒がどのような状況なのかを把握するため、学級に足をよく運ぶことです。
 休み時間、昼食時間、清掃時間に生徒の動きを見届けたりすることによって、どの生徒がどのような動きをしているかを知ることができます。
 また、見逃さずに指導すると、生徒も担任が見てくれているという安心感が生まれます。
 家庭での問題や性に関する悩み等、担任に相談しにくいことは、養護教諭からの情報が生徒理解に大きく役立ちます。養護教諭の連絡でわかったという例があります。
 必要に応じて担任が保健室に足を運び、保健室がどんな様子なのか常に知ることが必要です。
 養護教諭は、保健室での課題を抱え込まず、ふだから、保健室と職員室を行き来したり、学年会で担任に連絡し、生徒指導部会と連携していくことが望ましいと思います。
 保健室に頻繁に行く生徒は
(1)
対人関係、いじめなどが原因で教室などに居場所がなかったりする生徒
(2)
学校生活や家庭に悩みや相談があって担任や教科の先生には相談しづらいことを養護の先生に相談する。
(3)
生徒同士のもめごとをさけるために、保健室が逃げ場になっている。
(4)
体調が悪いわけではないのに、怠惰な生活態度から、授業中も休み時間も問わず保健室に行く。
(5)
保健室を遊び場として、意図的にたまり場的にする。
 保健室は、生徒理解を進めるうえで、情報を得たり、教育相談やカウンセリングのきっかけとなる場でもあります。
 当然、その中心となる養護教諭の指導姿勢が大切になります。
 担任と養護教諭との連携や学校全体での養護教諭の支援が重要です。
(
緑川哲夫:1948年東京都生まれ、元東京都教育庁主任指導主事、東京都公立中学校長、東京農業大学教授
)

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教師の指示に従わない子どもがいるクラスを、指示が通るクラスにするにはどうすればよいか

 担任が大きな声で必死に言っているのに、指示に従わない子どもがたくさんいます。
 聞いているのは側にいる子だけで、少し離れている子には、全く指示が通りません。
 どう指導すればよいのでしょうか。
 例えば、集会で整列するように指示を出したとします。すると、指示を聞いていない子どもがいます。
 指示通りに行動できていない子がいた場合、重要なことは、
「クラス全員に向けて指導する」
ことです。
「先生は、何と指示しましたか?」
「ちゃんとできてませんね」
などと、あくまで、クラス全体として指示通りに出来ていないことに対して、指導することが重要です。
 教師がクラス全体を意識して指導することで、一人ひとりの子に指示が浸透するようになります。
 指示を聞いていない子に対しての個別指導は、基本的には、休み時間などにじっくりと行うようにします。
 指示を聞いていない子に、全体の場で個別指導に時間をかけると、指示通りにしていた子の集中力が切れてしまい、「自分には関係ないや」と、全体がざわつき始めます。
 そのようなことが続けば、徐々に教師の指示に従う意識が低くなり、最悪の場合、クラスが騒乱状態に陥る恐れがあります。
 教師1人で、クラス全員の指導を完璧に行うことは不可能に近いことです。
 教師の目が行き届かないところで、指示を守れていない子が必ずいると考えなければなりません。
 教師の指示をクラス全体に行き渡らせるためには、子どもの力を借りることが必要です。例えば、
「できていない友だちがいたら、注意してあげてね」
「ちゃんと、教えてあげて、すごいね。自分たちで注意し合えるんだね」
と、互いに注意し合うことのできる関係づくりを進めることが必要です。
 指示通りにできた後には、必ずほめることが必要です。
 このとき、気をつけたいのが、叱られた後に、行動を改めた子だけを、ほめるやり方にならないようにしましょう。
 クラス全体をしっかり認めてあげるような、ほめ方を心がけなくては、最初からちゃんとできていた子はやっていられません。例えば
「さすが、〇年△組のみんなは、すごいよ」
など、クラスとして向上したことをほめる言葉を準備しておきましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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クラスに反抗的な子どもがいるとき、クラス運営に悪影響を及ぼさないよう、どのように指導すればよいのでしょうか

 クラスに反抗的な子どもがいると、指導を素直に受け入れず、ささいなことでも注意するとソッポを向いたり、反抗的な言動で向かって来たりします。
 なかには、追従いる子も出てきて、クラス運営に悪影響を及ぼすようになります。
 子どもに反抗的な態度をとられると、つい感情的になって冷静さを失ってしまいがちです。しかし、教師が感情的になるのを、反抗的な子は待っているのです。
 教師を怒らせて、自分と対等に渡り合っているところを、友だちに誇示したいのです。
 では、どのようにすればよいのでしょうか。
1 反抗的な態度で挑発されても、冷静さを保つ
 反抗されて、教師の感情が爆発しそうになったら
「悪いことは悪いと、注意するのが当たり前です」
「先生は伝えたよ」
と、言って、その場をさればいいのです。
 反抗的な子を指導するときは、クラスの他の子に見られていることを忘れてはなりません。
2 担任の統率権を守る
 教師に反抗的な子の指導で、最も気を配らなければならないことは「統率権を教師がしっかり守る」ことに尽きます。
 反抗されると、指導する気持ちが揺らいでしまうことがありますが、気持ちを奮い立たせて「ダメなことはダメ」と、指導しなければなりません。
 少しでも、反抗的な子に譲る姿勢を見せれば、他の子からの信頼は地に落ち、統率権を奪われてしまいます。
 反抗的な子が教師よりもリーダーシップを持っていると感じた瞬間、他の子どもたちは、教師の指導を聞き入れなくなってしまいます。
3 正論をクラスで確認する
 反抗的な子どもは、自分に都合のよい理屈をこねて、さも教師が間違っているかのように言い逃れをする子がいます。
 このような子を相手に、一対一で言いあっても意味がありません。
 教師の指導が正しいと認めさせ、自分勝手な言い分を防ぐには「クラスの子どもを味方につける」ことです。
「先生の言うことが間違っていると思う人は、手を挙げてみて」
というように、クラス全体が正しいかどうかが、分かっている現実を、その子に見える形で伝えながら指導しましょう。
4 反抗的な子を指導した後、フォローする
 実は反抗的な子は、友だちを必要としている子が多いものです。
 クラスの子を見方につけての教師の指導は、反抗的な子に孤立感を与えてしまいます。
 そこで、クラス全体の前で教師が指導した後は、必ず個別指導を行うようにします。
「叱るのはあなたのため」「友だちも、あなたがよくなることを願っている」
と、担任がクラスの一員として心配し、応援していることを、根気よく伝えましょう。 
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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飴やガム、スマートフォンなどの不要物を学校に持ってくる生徒は、どう指導すればよいのでしょうか

 生徒指導の悩みの種の一つが飴やガム、スマートフォンなどの持ち込みの指導です。
 生徒に、毎日のように「学習に必要のないものは持ってきてはいけない」と指導しても、なかなか改善されません。
 生徒の側も不要な物の持ち込みを続けるうちに、罪の意識が薄れていき「これくらい、たいしたことではない」と考えてしまうようになります。
 不要物はほとんどが家庭からの持ち込みです。不要物をなくすには、どうしても保護者の協力が必要不可欠となります。
 そこで、不要物の持ち込みが発覚した場合は、保護者に来校してもらって返却するようにします。
 こうすることで、保護者にわが子の不要物の持ち込みを認識してもらうことができます。
 保護者との面談を通して生徒の内面を探るてがかりができます。
 学校全体が、罪の意識が薄れている状況であれば、最初に不要物が発覚した段階で学年集会を開き、教師全体で「大事件」として対応していくようにします。
 大事件にすることで、罪の意識を変えていくことができます。
 このように生徒集団の空気を変えていけば、不要物の持ち込みが続いても、他の生徒による密告が期待できるようになります。
「いつ誰に見られているかわからない」と生徒が感じると、抑止力が機能します。
 不要物は仲間に見せるために持ってくることがほとんどです。
 仲間の関心を引きたい、注目を浴びたいという心理状態にあると言えるでしょう。
 みんなの注目を集めたいと思っている子が多いものです。
 不要物の指導は、生徒の内面に迫る指導を続けることが重要です。
 そこで、こういった傾向のある生徒には、短期集中型で誰の目にもその活躍が見えるような仕事を積極的に任せてみましょう。
 生徒同士が互いの行動をほめあう実践をするのもよいでしょう。
 例えば、生徒同士のさりげない活躍を紙に書き、掲示物をまとめていく実践が効果的です。
 不要物を持ち込んでしまう生徒にこの掲示物を作る係を、任せてしまうこともできます。
 不要物を持ち込む生徒が無意識に求めているのは、自分のことを見ていてくれる人がいるという感覚です。
 このことが実感できれば、負の行動で注目を浴びる必要がなくなり、少しずつ正しい行動で活躍し注目される存在に成長するでしょう。
(
高橋和寛:北海道札幌市立中学校教師
)

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授業中、騒がしい子に注意をしたが無視された、どうすればよいか

 授業中、騒がしくなったので、教師が騒がしくしている子に注意をしたが、子どもは無視をした。
 無視という子どもの挑発的な態度に、教師が感情的になり「ちゃんと聞きなさい。悪いということがわからないの」といった感情的な言葉で叱るのは禁句である。
 教師が感情的になると、まわりで見ている子どもたちには、子どもと教師が対等に言い合っているように見える。
 そうなると、反発する子どもに加わる子どもたちが出てきて、収拾がつかなくなる。このままにしておくと、学級崩壊になりかねない。
 どうすればよいのでしょうか。
 教師自身が自分の何が問題かを考えるとよい。
 教師の言動に、子どもが反発していると考え、教師自身の何が問題なのかを、振り返ることが大切である。
 教師の言動や授業の進め方が引きがねになり、子どもたちが反発することがある。
 授業後に、その子と個別に話し
「〇〇ちゃん、先生に何か思っていることがあるんじゃないかな? 先生は思いつかないの。だから、教えてくれないかなあ」
と、無視している原因を探った。
 また、まわりにいる子どもたちにも個別に話をしたり、クラスの子どもたちから、先生に関するアンケートを取ったりして情報を得た。
 情報をつかんだので、無視した子どもともう一度話をした。
「この前、先生があなたのことを注意したことに腹を立てていたんだね」
「先生は、勘違いしていたようだね。それで、先生の言うことを聞けなかったんだね」
「本当に悪かったね。ごめんよ」
「今度から、ちゃんと、あなたや、みんなのことを見ていたいと思っているよ。これからも教えてね」
と伝えた。
 その他の解決の方法として、無視した子どもも参加したくなるようなゲームすることが考えられる。
 授業を中断しゲームをします。例えば
「今から楽しい『20の扉』のゲームをします」
「では始まり。それは動物です。さあ、20回、質問してください。それに『はい』『いいえ』で答えます。答えを当ててください」
子ども「大きいですか?」、教師「はい」
子ども「色は灰色ですか?」、教師「はい」
子ども「鼻が長いですか?」、教師「はい」
子ども「わかった。象ですか」、教師「そうです。象です」
当てた子どもは大喜びです。
教師「3問で当たったね。この調子で後2題します」
と進めて授業に戻った。
(
松本順子:高知市子ども科学図書館
)

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切れたりする子どもの特徴とその指導について教師の声とは

 切れたりする子どもについて、どのように起こるのか、またその子どもの特徴や指導について、小学校・中学校の教師に自由に書いてもらった結果がつぎの通りです。
 自分の思い通りにならないとき、がまんできない子どもが切れる。自己中心的に物事をとらえがちな子どもに多いと思う。
 友だちに自分の欠点を言われたり、みんなの前で注意されると切れる。
 子どもの気持ちを読めない教師が多い。つきあう子どもは日々変化している。合わせてあげてほしい。
 家庭での愛情不足があるように思う。親がわが子のことをわかっていない。小さな信号を見すごして、大きくなってから気づいているのだと思う。
 本当に病的で、精神的な鑑定が必要と思う子どももいる。
 ある程度、障害が原因となって切れる子もいます。話をゆっくり聞いてやり、ダメな点は叱り、程度の軽い怒りのときは、気分をそらします。けんかの後は必要ならばクラス全体の中でその子の話をします。
 自分の気持ちをうまく相手に伝える術が順序よく身についていないからだ。小さい頃から自己表現力をつけていく学級運営や家庭のあり方が大事なのではないか。
 切れる子どもに、教師が落ち着いて聞く余裕があると、子どもも和らいでくることがある。
 日頃のうっ積された気分のときに、注意されることが引き金になって爆発するのではないかと思う。自分の悩みを相談できる人がいないので、ゆっくりと話を聞いてやることが大切だと思う。
 何度も話しあったり、みんなで一緒に遊ぶと楽しいということを体験させたりした。
 帰りの会で、その日「すまないな、悪いな」と思った言動を友だちにした場合、友だちに謝り「すっきりして帰る」言葉がけをしています。
 追い込まれた状況で、切れているわけだから,教師が逃げ道をふさぐような叱り方をするのは適切ではない。
 教師が腹をたてずに、ゆっくりと話を聞き、不満を吐き出させるように心がけている。
 話を聞いてばかりいると、甘やかしになることがあるので、その辺のかねあいが難しい。
 子どもを追いつめる状態にしないように注意したいと思っている。
(
授業研究所: 主に阪神間の学校の先生を対象に、授業や学級づくり、そしてもっと大きな視点で、子育て・子ども論・教育論も含めて、教育講座を開催)


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「ムカつく」子どもを「ムカつかない」子どもにするには、どうすればよいか

 小学校五年生の担任です。遅刻や忘れ物が多く、学習に集中するのも苦手な子どもがいます。最近「ムカつく」という言葉を頻繁に口にするようになりました。
 「どうして、そんなことしなきゃいけないの」と言い「ムカつく」を連発します。どのように対応していったらよいのでしょうか。
 怒りの処理のしかたで大切なのは「怒るな」と怒りを抑制することではないのです。
 怒り終わるまでの時間を短くすること。怒りを周囲の人が了解できるかたちにして表現することなのです。
「ムカつく」子は、周囲の状況に不満を感じやすいことと、周囲の人が了解できるかたちで表現できないことが問題であるようです。
 教師として「子どもが怒りをコントロールする」ことを、子どもにどう教えればよいかを心得ておくとよい。どうすればよいのでしょうか。大切なことは、
(1)
怒りをおさめた瞬間を大切にする
 ムカついて、怒ることに注目せず、怒りをおさめた瞬間に注目するのです。
「素敵な顔に戻ったね」と、いう気持ちで、その瞬間に合った言葉をかけます。
「ムカつく」と言うのをおさめて、指示されたことに取り組もうとする瞬間に注目するのです。
 にっこりほほ笑むだけでもかまいません。
 このときに、時間に余裕があれば
教師:「自分でどう思ったから、やる気になれたのかなあ」「よかったら教えて」
と、声をかけます。
 ムカついていた子が、例えば
子ども:「いつまで怒っていてもしょうがないもの」「いやなことだけど、いやなことは早くすませなきゃと思った」
などの言葉が出てきたら
教師:「そうか、そう思えばできるんだよね」
と、認め応じます。
 その言葉が子どもから出てこないときは
教師:「今度、こんな感じになったときに、どう自分に言ったらムカつかなくなったのか、その秘密を教えて」
と、お願いをします。
 気持ちを切りかえるために、自分が「自分自身に向けている言葉」が重要な役割を果たしていることを意識化させるのです。
(2)
気持ちを切りかえるまでの時間に注目する
 気持ちが切り替わり、指示された作業に取り組むまでの時間に注目をします。
 その時間が短くなったことに注目し、評価します。
教師:「取りかかりが早くなったね」「気持ちの切り替えがうまくなったね」と評価するのです。
 教師は子どもに「あなたは、それができる子なのだ」という気持ちで声をかけます。
 これが、子どもに「自分で自分の感情をコントロールできる」という自信を培うのです。
 子どもが「自分は自分の感情をコントロールできる」という感覚が、ささいなことに怒り出さない、ということにまで、影響を及ぼします。
(3)
「子どもが、背伸びをせずに、自分らしくしている」瞬間に注目をする
 子どもは「注目してほしい」「目をかけてほしい」という欲求が強く持っています。
「ムカつく」という場面だけでなく、子どもが「背伸びをせずに、自分らしくしている」瞬間に注目をすることも一つの方法です。
 無理をせず「普通の姿でよいのだ」というメッセージを送ることが大事なように思います。
(
小林正幸:1957年群馬県生まれ、東京都港区教育センター教育相談員、東京都立教育研究所相談部研究主事等を経て東京学芸大学教授。不登校を始め学校不適応、ソーシャルスキル教育、教育相談、教育技術を研究)

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子どもの「死ね」といった教師に対する言葉の暴力に、どう対応すればよいか

 子どもたちは悪気もなく、容姿や体のことに関して、気にしていることをズバッと言うことがあります。私もずいぶん傷ついたことがあります。
 若いころ「先生は足が太いね」と言われた時に、すごく気にしていた私はスカートがはけなくなりました。
 私はプライドが高いというか、自分に自信がなかったからだと思います。
 子どもはそういうことを何気なく言うものだ、ということを認識していれば、ぎこちなく対応することもありません。たとえば、
「そうね、きみのようにすっきりした足だったらいいね」
「そうだよ。でも、失礼だね。あなたに関係ないでしょ」
と、高学年の生意気な子には言ったりして、おおらかに対応すればよかったのではないかと思っています。
 ある女性の新採用の先生は、すごく太っていました。三年生を受け持ったのですが
「先生はデブだ」「かっこ悪い」「体育なんかできないだろ」
とか、ありとあらゆる失礼なことを言われました。
 それで、その先生は家に引きこもり、学年主任の先生が話を聞きに行っても、もう学校には行けないと泣いたそうです。五月になって辞めてしまいました。
 子どもは、心ない言葉を口に出します。それも、弱点だと思っていることや、嫌だろうと思っていることなどを平気で言ってきます。
 そういうことを言うのが、子どもだと思ったほうがいいのです。子どもは天使ではありません。相手を思いやって、話してくれるなんてことはありません。
 大人が見て見ぬふりをしてきたことを、遠慮せず言うのです。そういう意味で、弱みを見せると、また、かさにかかって攻めてきます。
 負けてはいけません。心は動揺しても、口だけは
「そんなこと、あなたに言われる筋合いはない」
「あなたも私くらい太ってみなさい。いっぱいおいしいものを食べてきたから、こんなに大きくなったんだから」
「でぶはやさしいんだよ」
とか、勝手な理屈をこねて、子どもを煙に巻くことも必要です。
 ある校長先生は、低学年の男の子に「死ね」と言われたそうです。
 この子は誰にでも気に食わないことがあると、ひどい言葉を投げつける癖があったそうです。
「死ね」と言われた子や先生は、その子を怒鳴るか、怒ってたしなめるかしていました。「あいつは、何度言ってもわからないんだよ」と、もてあましていました。
 ところが、その校長先生は違いました。
「そうか。死んじゃえばいいんだね。死んでもいいけど、明日から君と話すこともできなくなっちゃうんだね」
「悲しいな。ごはんも食べられなくなっちゃうな」
と、悲しそうに言いました。それを聞いた子はびっくりして思わず
「校長先生、死んじゃだめだよ」
と言ったそうです。
 言葉の暴力に対するには、そういうことを言ってはいけないのだ、ということを教えることも大事ですが、それよりも感じ取らせることが、大切だと思います。
 対応の仕方によっては、こんなに穏やかにその子に気がつくようにさせることができるのです。
(
卯月啓子:1949年東京都生まれ、元公立小学校教師。NHK教育テレビ「わくわく授業 卯月啓子さんの国語」(2002)で好評を得る。「卯月啓子の楽しい国語の会」代表。現職教員のための国語教育研究会の常任講師を務め、後進の指導にあたっている)

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