カテゴリー「さまざまな子どもの指導」の記事

「ムカつく」子どもを「ムカつかない」子どもにするには、どうすればよいか

 小学校五年生の担任です。遅刻や忘れ物が多く、学習に集中するのも苦手な子どもがいます。最近「ムカつく」という言葉を頻繁に口にするようになりました。
 「どうして、そんなことしなきゃいけないの」と言い「ムカつく」を連発します。どのように対応していったらよいのでしょうか。
 怒りの処理のしかたで大切なのは「怒るな」と怒りを抑制することではないのです。
 怒り終わるまでの時間を短くすること。怒りを周囲の人が了解できるかたちにして表現することなのです。
「ムカつく」子は、周囲の状況に不満を感じやすいことと、周囲の人が了解できるかたちで表現できないことが問題であるようです。
 教師として「子どもが怒りをコントロールする」ことを、子どもにどう教えればよいかを心得ておくとよい。どうすればよいのでしょうか。大切なことは、
(1)
怒りをおさめた瞬間を大切にする
 ムカついて、怒ることに注目せず、怒りをおさめた瞬間に注目するのです。
「素敵な顔に戻ったね」と、いう気持ちで、その瞬間に合った言葉をかけます。
「ムカつく」と言うのをおさめて、指示されたことに取り組もうとする瞬間に注目するのです。
 にっこりほほ笑むだけでもかまいません。
 このときに、時間に余裕があれば
教師:「自分でどう思ったから、やる気になれたのかなあ」「よかったら教えて」
と、声をかけます。
 ムカついていた子が、例えば
子ども:「いつまで怒っていてもしょうがないもの」「いやなことだけど、いやなことは早くすませなきゃと思った」
などの言葉が出てきたら
教師:「そうか、そう思えばできるんだよね」
と、認め応じます。
 その言葉が子どもから出てこないときは
教師:「今度、こんな感じになったときに、どう自分に言ったらムカつかなくなったのか、その秘密を教えて」
と、お願いをします。
 気持ちを切りかえるために、自分が「自分自身に向けている言葉」が重要な役割を果たしていることを意識化させるのです。
(2)
気持ちを切りかえるまでの時間に注目する
 気持ちが切り替わり、指示された作業に取り組むまでの時間に注目をします。
 その時間が短くなったことに注目し、評価します。
教師:「取りかかりが早くなったね」「気持ちの切り替えがうまくなったね」と評価するのです。
 教師は子どもに「あなたは、それができる子なのだ」という気持ちで声をかけます。
 これが、子どもに「自分で自分の感情をコントロールできる」という自信を培うのです。
 子どもが「自分は自分の感情をコントロールできる」という感覚が、ささいなことに怒り出さない、ということにまで、影響を及ぼします。
(3)
「子どもが、背伸びをせずに、自分らしくしている」瞬間に注目をする
 子どもは「注目してほしい」「目をかけてほしい」という欲求が強く持っています。
「ムカつく」という場面だけでなく、子どもが「背伸びをせずに、自分らしくしている」瞬間に注目をすることも一つの方法です。
 無理をせず「普通の姿でよいのだ」というメッセージを送ることが大事なように思います。
(
小林正幸:1957年群馬県生まれ、東京都港区教育センター教育相談員、東京都立教育研究所相談部研究主事等を経て東京学芸大学教授。不登校を始め学校不適応、ソーシャルスキル教育、教育相談、教育技術を研究)

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子どもの「死ね」といった教師に対する言葉の暴力に、どう対応すればよいか

 子どもたちは悪気もなく、容姿や体のことに関して、気にしていることをズバッと言うことがあります。私もずいぶん傷ついたことがあります。
 若いころ「先生は足が太いね」と言われた時に、すごく気にしていた私はスカートがはけなくなりました。
 私はプライドが高いというか、自分に自信がなかったからだと思います。
 子どもはそういうことを何気なく言うものだ、ということを認識していれば、ぎこちなく対応することもありません。たとえば、
「そうね、きみのようにすっきりした足だったらいいね」
「そうだよ。でも、失礼だね。あなたに関係ないでしょ」
と、高学年の生意気な子には言ったりして、おおらかに対応すればよかったのではないかと思っています。
 ある女性の新採用の先生は、すごく太っていました。三年生を受け持ったのですが
「先生はデブだ」「かっこ悪い」「体育なんかできないだろ」
とか、ありとあらゆる失礼なことを言われました。
 それで、その先生は家に引きこもり、学年主任の先生が話を聞きに行っても、もう学校には行けないと泣いたそうです。五月になって辞めてしまいました。
 子どもは、心ない言葉を口に出します。それも、弱点だと思っていることや、嫌だろうと思っていることなどを平気で言ってきます。
 そういうことを言うのが、子どもだと思ったほうがいいのです。子どもは天使ではありません。相手を思いやって、話してくれるなんてことはありません。
 大人が見て見ぬふりをしてきたことを、遠慮せず言うのです。そういう意味で、弱みを見せると、また、かさにかかって攻めてきます。
 負けてはいけません。心は動揺しても、口だけは
「そんなこと、あなたに言われる筋合いはない」
「あなたも私くらい太ってみなさい。いっぱいおいしいものを食べてきたから、こんなに大きくなったんだから」
「でぶはやさしいんだよ」
とか、勝手な理屈をこねて、子どもを煙に巻くことも必要です。
 ある校長先生は、低学年の男の子に「死ね」と言われたそうです。
 この子は誰にでも気に食わないことがあると、ひどい言葉を投げつける癖があったそうです。
「死ね」と言われた子や先生は、その子を怒鳴るか、怒ってたしなめるかしていました。「あいつは、何度言ってもわからないんだよ」と、もてあましていました。
 ところが、その校長先生は違いました。
「そうか。死んじゃえばいいんだね。死んでもいいけど、明日から君と話すこともできなくなっちゃうんだね」
「悲しいな。ごはんも食べられなくなっちゃうな」
と、悲しそうに言いました。それを聞いた子はびっくりして思わず
「校長先生、死んじゃだめだよ」
と言ったそうです。
 言葉の暴力に対するには、そういうことを言ってはいけないのだ、ということを教えることも大事ですが、それよりも感じ取らせることが、大切だと思います。
 対応の仕方によっては、こんなに穏やかにその子に気がつくようにさせることができるのです。
(
卯月啓子:1949年東京都生まれ、元公立小学校教師。NHK教育テレビ「わくわく授業 卯月啓子さんの国語」(2002)で好評を得る。「卯月啓子の楽しい国語の会」代表。現職教員のための国語教育研究会の常任講師を務め、後進の指導にあたっている)

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きれる子どもの心を理解し、感情が暴走しないようにするには、どうすればよいか

「きれる子」は、ちょっとした出来事をきっかけにして、突然きれて、怒り、衝動的に暴力をふるったり、暴言をはいたりします。
「きれる子」は、身体が安心できるという感覚に身をゆだねることが困難な中で育ってきている傾向があります。
「きれる子」は、周りは常に危険なものであるという感覚におそわれ、一人で自分の身を守ろうとして闘争状態に入ることが考えられるのです。どうればよいのでしょうか。
「きれる子」が、教師を「安全な人」だと認識できるような関係をつくることが、援助を進めていくための基盤になります。教師は叱る人であると感じるようではいけない。
「きれる子」が、きれなくなるためには、大事なことは何でしょうか。
「きれる子」の怒りなどを、身体の感覚のままで感じることができるようになることです。
 教師が「言葉で、きれることが、どんなに悪いことかを言ってきかせる」ことは、ほとんど効果がありません。
「きれる子」と教師が一緒に深呼吸をゆっくりして、身体の感覚として怒りのおさまりを感じさせることが、たいへん援助的です。
 教師が「きれる子」に「怒りをおさめることができたね」ということを、強調して伝えます。
「きれる子」の「怒りに支配されているときの身体感覚」と「落ち着いているときの身体感覚」の差を明確にし、「きれる子」が、身体感覚を感じることができるようになることを助けます。
 怒りをおさめることができたら「どこまで覚えている?」と聞くことで、怒りを引き出す刺激を把握することができます。
 多くの場合「Aくんが、ばかって言った」など、自分を否定するような刺激があったことを話してくれます。
 そのことが「あなたにとっては、とってもいやーなことだったんだね」と全面的に承認することが必要です。
 そのうえで「そのとき、身体のどこがいやーな感じになったのかな?」と、たずねます。
 たとえば「胃がむかむかした」と言えば
「そうか、すごく腹が立ったんだね」
「とってもくやしかったんだね」
「悲しかったんだね」
というように、子どもの身体感覚にあう感情をあらわす言葉を何度も強調します。そうすると感情は暴走しなくなります。
 感情を受け入れてもらえたと「きれる子」が感じたときに、ていねいに深呼吸を教師もともに行うことが、たいへん効果的です。
 身体を通過する深い呼吸は、落ち着いた身体感覚のここちよさを感じることを容易にします。
「きれる子」がよくなっていくためには、家庭のなかでも「安心」できる関係が絶対に必要です。
 家で弱音をはき、ぐずくずし、身体の感じるままの感情を出すことができる子は、学校という社会化の場では、年相応の社会性を学習することができるものです。
 親が子どもの甘えや、ぐずぐずを受け入れても大丈夫で、よい親子関係の証しなのだということを知ることが、ゆとりのある子育てをしていくための援助になります。
(
大河原美以:1958年東京都生まれ、東京学芸大学教授。臨床心理学者。臨床心理士。専門は、子どもの心理療法・家族療法)

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相性があわない子、教師を困らせてやろうする子には、どう対応すればよいか

 子どもも教師も人間ですから、相性があわないこともあるし、教師を困らせてやろうと思う子もいます。
 新年度の始業式から、お互いに、どんな先生か、どんな子どもかを探っていって、次第に折り合いをつけていくのです。
 不幸にして、教師が子どものいじめにあい、学級崩壊になったり、休職に追い込まれたりする場合もあります。教師も生きにくい時代になっているのだと思って、心が痛みます。
 ですが、最終的なところにいく前に、必ずサインは出ているはずです。小さなことでも見逃さず、叱るのではなく、よく話を聞くようにしていかなければならないと思うのです。
 何といっても教師は大人なのですから、余裕をもって大人の知恵を発揮してもらいたいものです。
 始業式で紹介されたら、新採用の若い教師なら、にこにこと笑顔で、簡単に自分の特技や好きなことなどを交えて挨拶するとよいと思います。子どもの心をぐっとつかめたら、しめたものです。
 子どもも、たいていの子は、出会いの一瞬だけは、新しい自分になろうと、期待に胸をふくらませていますから、教師の自己紹介のときがチャンスです。
 しっかり目を向けて、その子を受け止めていくという姿勢を見せていくようにします。
 子どもは教師を見ています。そして、試してきます。ある時の六年生の男の子は
「先生、かったるいから掃除やりたくねぇ。休んでていい」と、ふてくされて言ってきました。教師がどういう対応をとるか試しているのです。そこで、
「やりたくないんなら、やらなくていいよ。遊んで来なさい。あなたが掃除をしなくたって、先生はちっとも困らないんだよ」
「でも、なぜ掃除をしないのか、みんなが不思議に思うよ。全校集会で、なぜ掃除をしないのか、一年生から六年生まで、みんなに説明しなさい」
と、冷ややかに言いました。すると
「あ、そういうことですか。じゃあ、掃除やります」と言って、やりだした。この先生には通じないと思ったようです。
 掃除をしなかったらどうなるか、その子なりに考えたのでしょう。子どもに自分で考えるように仕向けたほうが、よっぽど効果があります。
 頭ごなしに叱られたほうが、子どもは楽です。教師を恨むか、拒否する口実ができ、掃除をしない正当性を持つからです。堂々と掃除をしなくなります。
 そして、叱ることを繰り返して、お互いのメンツがたたなくなるほどになってきて、クラスが荒れてきます。
 そのときは、掃除をするかどうかではなく、叱られることの理不尽さを問題にしてくるからです。
 掃除をやりたくないと言っていた子が少しでもやっていたのを見たら「えらいね。あなたが掃除すると、きれいになって気持ちがいいね」と言ってあげました。
 本当にそう思ったからです。すると、その子は、ちょっとうれしそうな顔をしていました。
 言うことを聞かない子に「どうして、言うことを聞かないの」と聞いても答えるはずがありません。私はそういうとき、部屋を変えて個人的に話すようにしています。
 あるときの六年生の男の子は、目つきと態度で冷ややかに反抗していたので
「あなたは先生を嫌っているかもしれないけど、私はあなたを嫌っていないよ」
「先生は教師だから、いけないことは怒るけど、わけもないのに怒ることはしないつもりだからね」
「いつ、あなたが先生を嫌いになったのか、話してくれると、先生も直しやすいんだけど」と言うと、たくさんの不満をぶちまけてきました。
 誤解している点は正し、私が直さなくてはいけないことは直すと約束し、その子も直すことは直すと約束して、話し合いは終わりました。
 その後も何回か話す機会がありました。目に見えて逆らうことはなくなりましたが、一年間、お互いに笑い合うというところまではいきませんでした。
 それでも、話し合ってよかったと思います。その子の思いも、私の思いもお互いにわかったからです。
 お互いの事情がわかったという経験だけでも、その子には大きいと思います。
 子どもは天使でも、悪魔でもありません。嫌なことはやりたがらない、自分が不幸だったら、人も不幸にするという、普通の人間です。
 教師は子どもの善なるものを導き出し、悪い心を浄化してあげなければなりません。
 教師は自分の感情に押し流されて、怒ったり叱ったりしてはならないのです。
 私は人間ができていないので、わかっていてもなかなか冷静になれませんが、慈愛の心をもって子どもたちに日々接していきたいと願っています。
 私は、少しでも自分が変わらなければ、子どもたちが変わることはないと思っています。
(
卯月啓子:1949年東京都生まれ、元公立小学校教師。NHK教育テレビ「わくわく授業 卯月啓子さんの国語」(2002)で好評を得る。「卯月啓子の楽しい国語の会」代表。現職教員のための国語教育研究会の常任講師を務め、後進の指導にあたっている)

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いくら注意しても教師の言うことをまったく聞かない子は、どうすればよいのでしょうか

 教師にとって「手のかかる子ども」は、実は教師に「目をかけてほしいと思っている子ども」です。先生に自分のことを気付いてほしい、わかってほしいと心の底では思っています。
 そこで、掃除や給食当番などの指導のときではなく、落ち着いた状態のときに「先手必勝」+「当たり前のことをほめる」を取り入れてみましょう。
 教師にしてみれば「どう言えば掃除をするだろうか」「もっと厳しく叱ったほうがいいのだろうか」と考えてしまいがちです。
 こういった子どもの場合、その方法では解決に時間がかかりそうです。
 先手必勝で、子どものよいところを言葉にして、ほめていくとよい。当たり前と思える行動を見つけて、その子にだけ聞こえる声でささやいてください。
 人は自分のことを言われるときは、小さなささやき声でもよく伝わるものです。そんな地道な取り組みによって子どもとの信頼関係が深まっていきます。たとえば
給食当番の仕事をしているとき「ごくろうさま、今日から給食当番なんだね」
係の仕事をしているとき「いつもありがとう。助かるわ」
体育の授業でドッジボールをしているとき「おーカッコイイ、上手に投げることができるね」
(
男子には行動面がカッコイイと伝えます)
休み時間に友だちと遊んでいるとき「たくさん遊べてすばらしいね」
(
子どもはたくさん遊べること自体に価値があります)
 こんなことまで認めると、子どもが図に乗ってしまうのではないか、と思われるでしょうか? 
 しかし、特別にほめることが見当たらないと思うような子こそ、「当たり前」と思われることを認めていく必要があります。
 もしかしたら、ほめたり認められたりという経験が少なかったのかもしれません。教師から認められた経験は、この子にとってみれば間違いなくうれしい経験になっていきます。
 その経験の積み重ねで「この先生は好きだな」と感じることが増え、次第に教師との信頼関係も深まっていくことでしょう。
 そこまで信頼関係ができると、掃除や給食当番などの具体的な指導もぐっとしやすくなります。
 まずは、子どもの様子を目を皿のようにして観察してみてください。そして、当たり前と思われることも、すかさず言葉にしてほめてみましょう。
 子どもの存在を認めることになります。教師がそんなやり方を意識し始めた段階で、不思議と子どもとの関係はよくなります。
「この子は手のかかる子」「また、あの子だわ」と思っていると、ますます手のかかる状態になります。
「この子の何を認めようかな」と目を皿のようにして様子を見ているときは、案外、子どものよい変化が早く見つけられます。
 教師のとらえかたひとつで、いくらでも子どもは変わっていきます。
(
東ちひろ:幼稚園・小学校教師、教育委員会を経て、「東ちひろマザーズセラピー」主宰。「子育て心理学.協会」代表理事。上級教育カウンセラー、生涯学習開発財団認定コーチ)


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こだわりの強い子は、どのように支援すればよいのでしようか

 日常生活に支障が出るほどのこだわり行動をする子がいる。
こだわり行動のみに注目し「やっちゃダメだよ」と無理やり封じ込めようとしても、よけいに強いこだわりになったり、他の形で出るようになったりすることがある。
 
「禁止」することよりも、まずは、なぜそんな行動をしなくてはならないのか、その意味や意図を「理解」することから始めたい。こだわり行動の果している役割があるはずだから。
 こだわり行動を理解するには、どのような条件、状況、環境において出るのか、子どもを観察する必要がある。
 こだわりは、その子にとって「信念」「価値」「プライド」「人生を支えているもの」の場合もあるので、大事にしたい。
 こだわる理由や苦しさを理解し
「これをすると、すっきりして気持ちがいいんだね」
「安心するんだよね」
と声をかけて、その子の満足感をわかってあげるだけでも、悪化を防ぐことにつながる。
 効果的な支援をあげると
(1)
こだわり行動ができる時間と場所を保障する
 自閉症の小学六年生の子は「下品な言葉」にこだわりがあり、みんなが嫌がる表情をすればするほど、喜々として言い続けていた。
 そこで、通級での活動メニューの中に「下品な言葉タイム」を設定し
「今から思う存分、下品な言葉を言っていいよ」
と、聴くようにしていると
「何か、言う気持ちがなくなった」
と言うのをやめたのである。
 保障されたことで、執着がなくなったようだ。
(2)
見通しを持たせたり、練習したりする
 急な変更にどう対処してよいかわからず、パニックになる子もいる。
 よく変更があるのは水泳の授業であるが、晴れていても水温が低い場合は、プールに入れないこともある。
 そこで、未然に混乱を避けるために、水温計を示して「この水温より高かったらプール、低かったら体育館」と、ルールを明確にした。  
 伝えたいことは、写真や絵など、視覚的なものを提示するとわかりやすい。
(3)
こだわりを生かしたり、活用したりする
 ゲームやアニメが好きな子は、登場人物の名前を漢字で書く練習をしたり、主人公が登場する問題を作って解いたりした。
 一つのことにこだわれる、ということは、強みにもなり得て、その道の第一人者として活躍できる可能性も秘めている。
(4)
別の行動や物に替える(代替え)
 代替え行動は、本人にとって魅力的である必要がある。そうでなければ、また元の行動に戻ってしまう可能性が高い。
 その子の好きな他の行動に切り替えることも効果的である。
(5)
「○○でなければダメ」を「○○でも大丈夫」という言葉に変える
 こだわりの強い子は「○○でなければダメ」という思考パターンであることが多い。
 それを「○○できたらいいなぁ」「○○でも大丈夫」「まぁ、いいか」という言葉に変えていくだけでも、少し楽になれる。
 頑なに一つの方法にこだわっている子には、変化していくことは成長であるという価値観も教えてあげたい。
「自分でコントロールできるって大人だね」と声をかけていくのも、効果的である。
 大好きな人の言葉、信頼している人の言葉は、すっと入るものである。
 うまくいかなくても「失敗は成功のもとだよね」「失敗体験も役に立ったよね」と声をかけてあげたい。
 そうすることで、安心して新しいことにもチャレンジしていけるようになっていくのである。
 やはり、一番大切なのは「理解者」と、「安心して生活できる環境」なんだろうな、と私は感じている。
 これからも、子どもたちにとっての安心できる人、場所であり続けたい。
(
森 亜矢子:静岡県総合教育センター指導主事)

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暴れる子どもに対して、どのように対処すればよいのでしょうか

 以前受け持った小学校三年生に、すごく暴れる男の子がいた。不登校ぎみで、学校に来ても気に入らないことがあると、授業中に突然、物を投げたり、教室を飛び出して廊下でひっくり返って動かない。
 前の担任は教務主任といっしょに力ずくで席に着かせていました。私は「こんなことを続けていても、らちがあかない」と思っていました。
 その子の担任になって最初に暴れ出したときは、両足でその子を挟んで押さえたまま授業をした。事前に母親には「押さえることくらいはいいですね」とお許しをもらっていた。
 
「放せー、放せー」って、その子が叫ぶ。「悪いけど放せないんだ。ケガしたり、教室から出ていったりしたら困るから」と、私は怒りもしない。
 私はクールに対応して授業を続けた。学級の子どもたちはびっくりした。そんなことする教師を見たことがないから。
 授業が終わって「おい、休み時間になったけど、どうする?」「トイレに行きたい」「教室にちゃんと戻ってくるか?」と聞くと「絶対に戻ってくる」というから、外してやった。
 その日は、ちゃんと教室に戻ってきた。翌日からは「おはようございます」と言って、登校してくる。今はまだ遅刻は多いけど、すっかりフツーの子になりました。
 それまでの教師は、子どもに対して淡々とつきあうことができなかったんでしょうね。「なんとかしてやろう」「話せばわかる」で、やってきたんじゃないかな。
 だけど「話せばわかる子」なら、問題は起こさんと思うわけ。口でいくらいってもダメなら、現実的にやっていかなきゃいけないこともあるんです。
 そういう子どもたちをいままで受け持ってきて思うのは「毎日いっしょに暮らしていれば、お互いにわかってくる」ということですね。
 
「こいつは、こういう子だ」「この先生は、こういう先生だ」と慣れてくる。生活の慣れって、大きいですよ。生活している時間が解決してくれることもあるんです。
 しばらく我慢して子どもとバトルしていると、子どもは変わっていくことがある。
 例えば「この子は忘れものが多いけど、どうしたらいいか」と、叱ったり、悩んだりしているうちに、いつのまにか忘れものをしなくなったりね。
 根本的な解決にはならないし、即効性もないけど、しんどい時間を共有することで、物事が進むことはある。子どもって、確実に育っていくものだから。
 もちろん、万事、それで解決できるわけじゃないですよ。子どもの生育歴や気質の違いもあるからね。
 
「こうすれば必ずうまくいく」なんてノウハウはない。教師たちには「マニュアルに頼るな」といいたいですね。
 自己中心的な教師はけっこういますよ。自分がどう評価されているか、常に気にしているからだと思うんですよ。
 学級崩壊の原因でよくあるのは「自分のクラスは、ヤバい」と思っていても、まわりに言わないことなんだよね。
 優等生の教師ほど言わない。ベテランほど言わない。プライドがあるから、失敗や間違いを認めたがらない。それで傷口がどんどん大きくなって、大変になるんです。
 そして「子どもが悪いから、しょうがないでしょう」と、すぐに言いわけをする。でも、その後、どうやって解決するか、見通しをまったく持ってないんですよ。
 教師の仕事柄、いちばん必要なことですけど、臨機応変に対応できない教師も多いです。他人事じゃないんですよ。私自身も。
 全部の教師が素晴らしいなんてあり得ないでしょう。未熟さをお互いに助け合っていくことを考えるべきですよ。
 私は保護者にも自分にも、よくいい聞かせているんだけどね「自分が幸せにならいかぎり、子どもも幸せにならない」って。
 教師が自分の生活を楽しんでなきゃ、子どもがおもしろがる授業は、できるわけないでしょ。だから「先生はいつも能天気でいいわねえ」と言われたら、正解なんですよ。
(岡崎 勝:1952年生まれ 元名古屋市小学校教師、フリープログラムスクール理事。子どもの居場所「アーレの樹」を運営。学校マガジン『おそい・はやい・ひくい・たかい』編集人、中日新聞『子どもってワケわからん』連載中)

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発達障がいのある子の特徴と、その対応のポイントはなにか

 ひと口に発達障がいといっても、発達障がいとそうでない子との境目はありません。
 発達に遅れがあったり、かたよりがあったりして「うちの子、発達障がいかも」と悩む親が増えています。
 気になると、親としてわが子を何とか治してあげたい、周囲に適応するように修正してあげたいと思いがちです。 
 私は仕事上、たくさんの発達障がいの子どもや大人たちに会ってきました。
 私がいま考える、一番じょうずな育て方とは「発達障がいのまま生きていけばいい」と思って育てることです。
 そういう感覚を、親をはじめ、周囲がもったときに子どもは、いきいき、のびのびと力を発揮するようになるのです。
 そして、発達障がいのまま適応できる環境を、こちらが努力してつくってあげることです。その子がありのままで、学びやすく、働きやすい環境をじょうずにつくることが、もっとも重要なのです。
 発達障がいの子どもは、苦手なことを治そうとすればするほど、不幸な状態に陥ります。なぜかというと、発達障がいは治らないからです。
 治らないものを治そうとすると、子どもたちを苦しめることになる。そのことに早く気づかねばなりません。
 私がアメリカの大学で研究していたとき、自閉症は治療しても治るものではない。自閉症の人は能力が劣っているわけではなく、得意なことと苦手なことが一般の人に比べてはっきりしていること知り、衝撃を受けました。
 苦手なことを無理にでも克服させるような環境は、何のプラスにもならないのです。能力を発揮できないどころか、うまく適応できないストレスから二次的な情緒障がいを現すことが少なくないのです。
 発達障がいの子どもたちは、何か努力して克服し喜ぶといった回路がとても弱いのです。彼らが何か努力し、苦労して乗り越えたように見えたときは、喜びでなく、傷のほうが深く残ってしまうことが多いのです。
 たとえ善意と愛情によるものでも、彼らをがんばらせることが、本人を傷つけ、苦しめていることが多いということを理解してほしいのです。
 発達障がいのまま安心して適応できるようにしてあげれば、彼らは高い能力を発揮できるのです。
 発達障がいの人たちの特徴のひとつに、興味や関心の対象が狭くて深いというのがあります。そのため、一芸に秀でた能力を発揮する人が多く、専門家になっているケースも少なくありません。
 高い能力を発揮する理由のひとつは、興味・関心のあることに対しては、とことんのめり込んでいくことです。
 発達障がいの人は、相手の立場や気持ちがわからず、空気を読めないことが多い。そこで、さまざまな人間関係のトラブルが起きるのですが、本人は悪意はないのです。この子たちに「相手の気持ちをわかるように努力しろ」と言うのは残酷なことです。
 発達障がいの子どもには、できないことをできるようにがんばらせるのではなく、できることを最大限に伸ばしてあげる育て方が必要です。
 発達障がいの子は、落ち着きがなくて、驚くほどひらめきがある。人の気持ちはわかりにくくても、計算が抜群に早い、すばぬけた記憶力があるといったケースも多いのです。できることを伸ばすことで、彼らのもつ個性的な能力が開花します。
(
佐々木正美:1935年群馬県生まれ、児童精神科医。様々な大学や機関を経て、川崎医療福祉大学特任教授、横浜市リハビリテーション事業団参与。子どもの発達について幼稚園等と勉強会を重ねている)

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普通の学校では学習できない問題児を再生する教師はどのような人か

 私は米国のネヴァダ州でも最低と呼ばれる高校で「日本文化」の講師を勤めた。モラルのかけらもない生徒と接しながら、米国社会のひずみを見た。
 生徒たちが常識を身につけていないのは「しつけ」てくれる大人がいないからだ。生徒たちは崩壊した家庭に育ち、貧困にあえいでいた。親が不法労働者であったり、刑務所に入っていたり、ドラッグに溺れていたりしていた。
 私なりに全力で生徒たちと向き合ったが、限られた時間では手に負えず、諦めた生徒もいた。私が教室を去った後、受け持った生徒たちのほとんどが高校を中退していた。
 その後、私は問題児と呼ばれる小学生を、大人が支えるボランティア活動に参加した。活動の一環として、普通の学校では学習できない、問題を起こした子どもを預かる特別な学校を訪ねた。
 この学校では特別授業をする。30日から45日ごとにサイクルを決め、段階に応じた「しつけ」を施す。「通常の生活が可能」と判断された子どもは、それぞれ市内の別の学校で再スタートする。
 小学部の責任者のテイラー・ハーパーは
「この学校に送られてくる子どもの98%は家庭が崩壊しています。それも、かなり深刻な状態で」と彼女は言った。
 彼女の部屋には、教室が見える特殊ミラーがある。彼女は教室の最後部席に座る5年生くらいの男の子を凝視した。彼は身体を左右に揺らし、何かの曲を口ずさんでいる。動きが激しくなり、机を叩きながらラップを歌い始めた。
 彼女は彼の元へ走り、話かけた。
「随分、ご機嫌ね。どうしたの?」「えっ、ああ」
「今、何をする時間か知っているわよね」「あ、うん」 
「じゃあ、決められたことをやりましょうよ」
 彼が戸惑った顔をすると、ハーパーは
「ちょっと、校庭を一周しようか?」
と、彼をうながし、教室の外へ連れ出した。
「今日はいい天気ね。さぁ、大きく深呼吸をして!」
と、ハーパーは大きな声で呼びかけ、彼と一緒に小走りで校舎の周りを駆け始めた。
 この学校には、いじめを受けて、いじめっ子に銃口を向けた子(我慢の限界を超えて、お祖父さんの机から拳銃を持ち出したのだ)。水道がない、使えなくなったトレーラー車で生活している子。同性愛者に犯されてしまった子。など、絶望的な生活環境のなかで生きている子どもたちである。
 子どもたちが置かれた現状を聞かされると、悲惨な生活環境で気持ちが暗くなる。しかし、教室からはネガティブな空気は感じられない。その理由は教師であるハーパーがエネルギッシュでバイタリティに満ちているからである。
 ハーパーは「子どもを再生させるカギは、常に子どもをポジティブな気持ちにさせてあげること。だから、私がはつらつとした姿をみせることだ」と、述べています。
 ハーパーは大学を卒業し教師になった時、荒れた小学校を希望した。9年間務めた小学校では、9割以上の保護者がトレーラー車内で生活し、ドラッグに溺れていた。だから、小学生でドラッグを覚えてしまう。
 
「私が自分に約束したのは、絶対に子どもたちから逃げないということ。それから、どんな子どもにも同じように接することを心がけています」とハーパー言う。 
 ハーパーが勤務する学校の代表のフリーマン(他の高校の校長を8年間務めた経験がある)
「私はタフですよ。自分の限界に挑むつもりで仕事をこなしています。絶対にあきらめたりしません」
「子どもたち一人ひとりの特色を見きわめて、最善の方法を探すことこそ教育者の務めだと思う。ハートとハートで付き合っていくことが第一です。信頼関係を築くことがカギです」
と述べています。
 二人に共通するのは、陽気さとみなぎるエネルギーである。
(
林 壮一:1969年埼玉県生まれ、プロボクサーを断念し、週刊誌記者を経てノンフィクションライター。渡米し弱者の目線から米国の問題児の姿を追い続けた)

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学級崩壊を起こさない注意の方法や、指導が難しい子はどうすればよいか

 注意や叱責で子どもたちを動かそうとする教師は意外と多くいます。最初は教師の注意が怖くて、子どもたちは注意されたことに従うことが多いでしょう。
 しかし、それは教師の怒りを収める対応にすぎないので、子どもは同じような行動を繰り返します。そして、子どもは教師の注意や叱責にだんだんなれてきます。
 したがって、注意や叱責で子どもを動かしている教師は、だんだんと自分の指示が通らなくなってくるのです。これは学級崩壊で苦しむ八割近くの教師が陥る盲点です。
 注意や叱責だけで子どもたちを動かそうとしないことが大切です。注意のあとの指導が大事なのです。 
「何を怒られたよく分からなかったけど、先生はとても怒っていた」と、教師の怒りだけに子どもたちの注意がいってしまうのは、注意の仕方としては失格です。
 そう考えると、注意や叱責で子どもを動かそうとするよりも、ほめて子どもを動かすほうが、次の指導に向かわせやすいすいことがわかるでしょう。
 学級集団に対して注意をするときは、子どもたち一人ひとりが自分の問題ととらえるようにするようにします。自分は関係ないという子どもがいると、学級全体に注意が浸透しないのです。
 その意味では、教師が行う注意が、学級全体になされるべきなのか、個別グループの子どもたちになされるべきなのか、個人になされるべきなのかという事前の吟味は必ず必要です。
1 学級全体に注意するとき
(1)
子どもの不安の強さに応じた注意をする
 教師の注意は、すべての子どもに同じように受け取られているわけではありません。平気な子どももいれば、注意に委縮する子どももいるわけです。強く注意し過ぎたなと思ったら、委縮した子どもをフォローしてあげることが必要です。
 従って、不安な子どももその内容を理解できるレベルがいいのです。
(2)
注意は短く簡潔にする
 人から注意されるのは嫌なものです。したがって、教師は注意する目的をしっかり定め、その方法を吟味し、簡潔に伝えることが効果的なのです。
(3)
気の緩みのミスは注意し、試行錯誤の失敗はその原因を分析させる
 怠慢やさぼりから起こってしまったミスは、なあなあで済ませると、ルールが崩れてきますから、小さなことでもキチンと指摘し、注意することが大切です。
 しかし、試行錯誤したうえの失敗は、意欲をほめ、次はどのようにすれば失敗しないかを分析させることが必要です。
(4)
子どもが気づかない問題は、注意するのではなく、質問や例え話をして考えさせる
(5)
教師の感情をつけ加える
 注意する内容を冷静に説明したあと「先生はとてもかなしかったな」と、自分の感情をサッと付け加えることで、子どもが反省する意欲を高めるのです。しかし、グチは逆効果になります。
(6)
注意したあとは、単純作業を
 注意したあとは、教師も子どもも気まずいものです。そこで、子どもが一人で作業ができるドリルなどを30分くらいやらせるのです。作業しながら教師の注意について考え心に定着させていくのです。 
 そしてその後は、その問題に言及しないで、次の授業に取り組むようにするわけです。
2 子ども個人に注意するとき
 教師の注意が子どもに受け入れられずに反発され、教師が特定の子どもと感情的にやりあってしまうことがあります。頻繁にあると、子どもたちの教師に対する信頼感が徐々に低下してしまいます。
 学級には、教師の感情を逆なでするような発言をしたりバカにしたような態度をする子どもがいます。このようなとき、事前に対応する言葉がけを身につけておけば、感情的になることを防ぐことができます。
(1)
注意するタイミングと場所、時間を考える
 他の子どもが見ている前で注意を受けた場合、子どもはプライドをひどく傷つけられたと感じます。
 注意する場合は、子どものプライドを傷つけない配慮が必要です。そのためには、注意するタイミングと場所、時間の長さを、その子に合わせることが必要なのです。
(2)
子どもの抵抗を軽減する
 まず、子どもが教師の言葉を素直に聞く姿勢をつくり、子どもの反発を少なくする関わりが大切です。例えば「きみも気づいていると思うが・・・・」という具合に前置きして、いきなり叱責しないような配慮が必要です。
(3)
注意する内容は現在の行動や態度だけにしぼって短く
(4)
フォローの仕方も計画に入れて注意する
 注意のあとのフォローは、子どもたちの感情の高まりを静め、冷静にどのように行動すべきかを考え、行動に移す意欲を喚起します。
(5)
責任のとり方、今後の対応の仕方を確認する
 例えば、掃除のさぼりを注意されたら、今日のさぼりをどのように責任をとるのか、明日からどのように取り組むのかを考えさせ、確認することが必要なのです。
3 指導の難しい子どもの対応
(1)
教師に感情をぶつけてくる子ども
 教師が感情的に対応したら指導ではなくなります。まず、教師が感情的になってしまう自分の問題は何かを考えることです。
 次に、感情的にならないよう、いったん断ち切る言葉がけや対策を事前に決めておくことです。例えば「これ以上話していたら、先生もキレちゃうから、あとはお昼休みに相談室でじっくり話しましょう」と、その場をいったん収めてしまうのです。
(2)
反抗的な子どもへの対応
 反抗的な子どもには、教師が途中でその言動を否定しないで、最初にどんどんしゃべらせるのです。その後、具体的な事実を提示し、そのことについて認めさせます。
 そして、対応策を教師がいくつか示して、そのなかから選ぶようにさせます。最後に、その内容を復唱させて、終わりにします。
(3)
注意すると言い訳ばかりする子どもへの対応
 注意しても言い訳ばかりして、徹底的に自分の責任を回避し、教師の言葉じりをつかまえて、逆に攻撃してくるような子どもです。
 こういう子どもには、少し淡々と接し、言いたいことを言わせた後に、「ではどうすれば いいの」と逆に質問します。
 答えられなかったり、「別に」とごまかしてきたら、「案がなければ先生が言ったようにやってみて。あとで違うやり方を思いついたら、伝えに来てください」と終わりにするのです。
(4)
聞く耳を持たない子どもへの対応
 このような子どもへの対応は、必ず一対一になれる場所と時間を確保してからする必要があります。教師はその子どものそばに寄り、感情面を中心にトーンを落として淡々と語ってあげます。
 最後に「きみはどう思う」と質問します。返事がなかったら、「先生の言ったことを考えておいてね」と伝えて帰します。
 反応がないからといって、その子どもに必要な注意を怠ってしまうと、それは他の子どもたちに転移します。教師が他の子どもを注意したとき「A男は同じことをしても、何も言われないじゃないか」と反発され、新たな問題行動を起こした子どもにも、注意しづらくなるのです。
(5)
自分は悪くないと言いはる子どもへの対応
 友だちをなぐって泣かしてしまったのに、自分は悪くないと言いはるタイプの子どもです。このような子どもは、まず心を十分に受け入れることが必要です。
 
「きみがA男をぶってしまった気持ちは、先生もわかるような気がするよ。もし先生が君の立場だったら、絶対にぶたなかったとは言い切れないものな。そのとき君はどういう気持ちだったんだい」
という具合に子どもの感情や思いを引き出し、受け入れてあげるのです。
 その後、今度同じようなことがあったら、どうすればよいのか二人で話し合い、暴力に訴えない他の行動の仕方を二人で確認するのである。
(6)
「別に」と言って心を閉ざす子どもへの対応
 このような子どもは教師に対して強い抵抗を持っています。子どもは、自分が説明したところで、教師にはわかってもらえないだろうというあきらめや、自分は教師に嫌われているのだという強い思いです。
 したがって、教師の質問に無理やり答えさせようとする必要はありません。しばらく待って「何か言いたくなったら、いつでも言いにおいで。きみが心に嫌なことがなく生活できるほうが、先生もうれしいからね」と伝えて帰します。
(7)
うぬぼれの強い子どもへの対応
 勉強やスポーツができる、家が金持ちであるなどという理由で、うぬぼれの強い子どもがいます。こういう子どもは、教師を軽んじ、注意してもたかをくくって、受け答えする場合があります。
 こういう子どもには、うぬぼれることへのいましめを一般論として、そして教師の感情も合わせて伝え、子どもの考えを語らせるのです。
 例えば「少し勉強ができるからといって、成績の悪い子どもをバカにするのは情けないと先生は思うんだけど、君はどう思う」という具合です。
(8)
あまのじゃくな子どもへの対応
 教師の注意に反抗して、反対なことをするタイプの子どもです。
 このような子どもには「こういうと君は怒るかもしれないけどね・・・・・」と言って、機先を制した前置きをゆっくりし、怒らないで話を聞こうとする姿勢を促すことも有効です。
(9)
プライドの高い子どもへの対応
 このような子どもは、最初にプライドを傷つけられると、注意をまったく聞かない状態になります。
 したがって、事前にプライドを満たす言葉がけをしておき「あとA、Bができるともっといいね」とより高いレベルになるためのアドバイスのような形で注意するのが有効です。
(10)
ものごとを投げやりにする子どもへの対応
 
「面倒臭い、もうこれでいいよ」と取り組みに対して投げやりで、その結果もおもわしくない子どもがいます。
 その投げやりな態度をいくら指導しても、なかなか変わらないと思います。逆にふてくされて、取り組むこと自体を放棄してしまうことも少なくありません。
 こういう子どもは、自分がいくら頑張ってもたいした結果は残せないんだとあきらめている子どもです。したがって、できる範囲で頑張ったらいい結果に結びついたとか、教師や周りの子どもから認められたという体験を積み重ねることが大事なのです。
 そのため、取り組む際に個人指導で「この辺を工夫するととてもおもしろいよ」という具合にビジョンを与え、意欲を喚起してあげることが必要です。
 そして、こまめに取り組んでいる態度をほめてあげたり、質問したりして取り組んでいることに教師が興味を持っていることを伝えてあげることが大事です。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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