家庭も社会も学校に責任を押しつけている
家庭も社会も、教育的役割をはたそうとはせず、何もかも学校や教師に責任を押しつけています。
わが子さえよければという親の過度の要求や、問題が起きれば学校を非難するマスコミが、学校の教育力を弱体化しています。
しつけはがんらい家庭教育が担うべきことです。
しかし、家庭はその責任を十分に果たしていません。
それでいて、親は家庭で「先生の言うことをしっかり聞きなさい」と、いうような育て方がなされてない。
そこにあるのは学校や教師に対する不平不満です。
学校の指導が気にいらないと、わが子と一緒になって学校を非難する。
集団のルールを守らない、わがままなわが子に迎合して、親が学校の指導を非難するのは、わが子から嫌われたくないという、その場しのぎの一瞬の親の幸せを望んでいるだけのためです。
将来を見すえてわが子の成長を願おうとはしません
家庭でそのような育て方をしているため、指導に従わない子どもが増え、教育活動で何か問題がおきれば親やマスコミは学校を非難します。
マスコミの学校批判は現場の実態とずれています。
マスコミが教育について論じているとき、現場の実態とずれていると教師たちは感じます。
論議をしている人のほとんどが、学校現場で苦闘した経験を持たないからだと思います。
学校現場で戦っている教師としては「あなたが教室に来て、実践して」と叫びたくなります。
だから、学校も自己防衛するために教育活動が防衛的・消極的になって後退してきています。
それにともなって、学校の教育力が低下しています。
マスコミは教育の問題が起きても具体的な解決策を提案しないで、親の責任は問わずに学校の責任を追求ばかりいるのが今の社会の現実です。
学校の教育力の低下の原因は、教師の指導力の低下だとするのではなく、学校と家庭・マスコミの関係を見直してみることが解決の糸口になるのではないでしょうか。
(千代多 勝:1946年生まれ、40年間、高校教師)