カテゴリー「保護者にどう対応するか」の記事

保護者に授業のレベルが塾より低すぎると、指導内容にダメ出しをされたときどうすればよいか

 小学校高学年になると、授業のレベルが低すぎると、授業内容にダメ出しをしてくる保護者がいます。
 授業内容のレベルを上げるように要求したり、指導法にも細かく口出ししてきて困る場合があります。
 
「学校の授業は塾とは違うんだよ」などと、塾に通う子を否定するような態度は避けましょう。子どもや保護者の不信感を大きくしてしまいます。
 子どもから、塾の様子を聞くことで、授業の参考にしたり、塾とは異なる学校ならではの授業の工夫に役立てたりすることができます。
 学校での学習のよさは、異なる能力の子どもたちが、同じ内容を学ぶところに、よさがあります。
 子どもたちがお互いに意見を交流して、さまざまな考え方を学んだり、間違いを認めたり、他の子の意見を取り入れたりと、授業を通して「人として大切な力」を育んでいきます。
 このような、学校で学ぶことのよさを伝え、わが子が授業を楽しんでいる様子が保護者に感じられれば、こうした保護者からの苦情は自然に影をひそめるものです。
 いつも、教科書通りの授業を、何の工夫もせずに続けていると、必ずこのような苦情を言ってくる保護者が出てきます。
 子どもが授業を楽しんでいれば、授業のレベルにかかわらず、保護者は学校の授業に納得してくれるものです。
 ときおり、パズルやクロスワード、迷路やクイズなどを授業に取り入れて「考えること」「学ぶこと」を楽しませましょう。
 当然、レベルの高い問題にも触れさせることになり、保護者も子どもも、学校の授業に満足してくれます。
 理解が早くて計算や漢字技能に長けている子も、ゆっくり確実に習得する子も「よくがんばった」と充実感を味わうことのできる授業にするのが理想です。
 そのためには、学習内容は同じでも、練習量やレベルに応じた課題を与えるような工夫が必要です。
 例えば、学習内容を習得するために、計算ドリルの5番までを全員の課題とし、早く終えた子は10番まで、余裕のある子は発展プリントに進む、などの工夫が考えられます。
(
中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方研究会」を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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親から「子どもも育てたことがないくせに」と若い教師を不安に思ったとき、どうすればよいのでしょうか

 ある保育園長が、新卒のころ園児のトラブルで親と話をしていた際に「子どもを産んだこともないくせに!」と面と向かって言われて本当に落ち込んだことが何度もありました。
「私だって一生懸命なのに」と、腹が立って泣いたことがあります。 
 当時の私は、ちょっと上から目線でモノを言っている雰囲気を漂わせていたんだろうと思います。
 相手の親の家庭の状況をおもんばかったりすることもなく、親の不安やグチ、わが子への思いは聞き流して、ともかく伝えておかなければいけないという一心から、保育園側として言いたいことや論理だけを、押しつけていたんだろうなぁと思います。
 ようやく30歳を過ぎてから、自分も結婚し、子どもができて、働きながら子育てをすることが、どんなに大変かがわかった。
 職場でやらなければいけない仕事は山のように降ってくるし、家のこともやらなきゃいけないし、わが子がどこかで悪さをして、他人に迷惑をかけているのではと不安に思ったり。
 そこでようやく、多くの親が、ときとして激しい口調で「子どもも産んだこともないから、わからないでしょうけど!」と、つっかかってこられる意味がわかりました。だって、ついついそう言いたくなりますもん。
 
「私だってつらいのよ。そのことをちょっとは先生が受け止めてよ!」という、一種の悲鳴にも似た思いがこみあげて出てきたのかもしれません。
 それにね、正直いって、相手が自分より10歳も年下だと「こんな若い先生に、わが子を任せて大丈夫かしら」という漠然とした不安がよぎるのは普通です。
 しかし、若い先生の登場を、子どもたちは待ち望んでいます。だって若くて元気だし、いっしょに遊んでくれるし、話題だって合うことが多い。みずみずしさは、最高の宝物なのです。
 若い教師は「好きで教師になったので、子どもたちとの関係づくりはいいけれど、保護者対応はだいぶ苦手です」という人も多いと思います。
 だって「モンスターペアレント」という言葉も流行っていますし、そもそも大学では、保護者対応について何も教えてもらってないし、不安が先に立つことがありますね。
 先ほどの保育園長の話のように、誰もが一つや二つの失敗や苦い経験を持っています。その先輩教師から、いくつかのアドバイスを謙虚に聞いておくと、いますぐには実行できなかったとしても、一年後にはけっこう役立つと思います。
 恥ずかしくて、そんなこと隣の先生になんか聞けない。忙しそうだし、邪魔しちゃ悪いからと思っていてはだめです。
 誰もが失敗を重ねて、ときには叩かれて、少しずつ自信をつけていくのが若い教師の特権でしょう。
 隙を見せないようによろいで身を固めていると、他の教師も、どうアドバイスしていいかわからなくなります。少し肩の力を抜きませんか。
 ある男性小学校教師が新任で五年生を担任したとき、保護者から「なぜ大事な五年の担任が新人なんだ」と書かれた連絡帳を10冊も受け取ったそうです。その地域は私立中学校への受験熱のたいそう高いところなので、五年生は一つの筋目。
 それで、その教師は「一件一軒、電話をかけては、どういう意味で書かれたんでしょうか?」と聞いたそうです。
 表に見える保護者からの攻撃的な言動にたじろくことはあるでしょうが、ビクついたり、うろたえたりせずに、教師のほうから一歩先の行動を起こすことが大切かもしれませんね。
 もし、あなたが「子どもも育てたことがないくせに!」と親から言われたら、あなたはどう反応しますか?
 
「そうなんです。まだ若くてすいません。経験が足りなくて」と、このように切り返すと、相手もいくぶんビックリします。事実なんですから、素直に認めるのです。
 そこで、すかさず
「だから、教えて欲しいんです。学校では、お子さんはこういう側面を時々見せることがあります。お家ではいかがでしょう。親御さんなりに感じたり、知っておられることがあれば、教えていただけないでしょうか?」
と言えば、今度は保護者の方がしゃべらなくてはいけなくなるのです。「えぇー、私が答えなきゃいけない場面になっちゃったわぁ」と。
 会話は言葉のキャッチボールなのです。保護者にボールを投げ返せば、そこから会話が始まるのです。
 子どもを真ん中に置きながら、話を進めていく。教師が感じている学級での子どもの状況。それに、子どもの家庭での様子を交えながら話し合う中で「等身大の、その子の評価」を話し合い、保護者自身が願っていることを確認してみませんか。
 子どもの課題を確認して、その成長を喜び合えるところに、教師と保護者の関係づくりの基本があるのです。
 保護者は、わが子が一番です。「一分の一」で見る側面が強いのです。他方で、教師はクラスの中の一人として見ることが多く「40分の一」「30分の一」として考える傾向があります。
 お互いが歩み寄り、そのズレを修正することが、子どもの本当の姿や思いを、いっしょになって確認し手を携えることにつながります。
 保護者と教師は敵ではありません。保護者を怖がらずに、子どもの成長を、ともに喜び合う存在なのです。
(
小野田正利:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいる)

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溺愛型・放任型・過干渉型保護者によりクレームは異なる、どう対応すればよいか

 子どもを持つ家庭の役割は、ひとつは社会人として自立した人間になるよう育て「しつけ」ること。もうひとつは、家で心身を休め、活動のエネルギーを補給する「癒し」です。
 この二つの役割が、家庭で十分に果たされないと、子どもの問題行動につながります。
 家庭の養育態度とクレームの特徴はつぎのように分類されます。
1 溺愛型の保護者
 子どもに温かく接し、癒しはあるのですが、しつけが甘くなってしまうと、わがままな振る舞いをすることが多い子に育ってしまいます。
 子どもに、何をしてもいいんだという気持ちがあると、欲求が疎害されるとすぐに「キレる」、自己中心的な言動にはしりがちです。
 このタイプの親のクレームは、わが子かわいさのゆえ、自分の子どものことだけを考え、無理難題を押し通そうとします。
 例えば「運動会で、うちの子が1位だったのに2位にさせられた。校長に1位にするように教育委員会から言ってください」というように、子どもかわいさゆえのものです。
 その点さえしっかり押さえておけば、問題はこじれることはほとんどありません。「親心の受容に始まり、親心の受容に終わる」これがポイントです。
「お母さんの気持ち、よくわかりますよ。お子さんも悲しかったのでしょうね」と、母親の気持ちを受け入れたうえで、子どもの気持ちに焦点を当てます。
「お母さんの要求で事態が変わったら、お子さんはどう感じるでしょうか?」
「もちろん喜びますよ」ときたら、
「そのことで、まわりの子に迷惑がかかることを考えても、喜ぶでしょうか」
「私には、お母さんがそういう子に育てているとは思えないのですが」
と、二の矢を放ちます。
 このタイプの親に対しては、十分に耳を傾けて聴き、溺愛の弊害について具体的な場面で、機を見て助言するようにしたいものです。
2 放任型の保護者
 しつけがなされていない状態です。子どもは温かな言葉がけやスキンシップを受けていないために「うれしい、楽しい、かわいそう」などの感情がはぐくまれていないことが多い。
 子どもを「ほったらかし」放任している親が、子どものことでクレームをつける場合は、
(1)
放任の姿勢を責められそうになったとき
(2)
放任の姿勢を責められことを避けるために、子どものことを思う親を演じるとき
に分けられます。
 ふだんは子どもをかまってやれていない分、教師へのクレームを通して、その埋め合わせをするかのように、子どもを守る親の役割を果そうとするのです。
 子どもは愛情深い親のようにふるまわれて混乱するばかりです。
 このような親に対するには、教師の側にも強靭な精神力が求められます。
3 過干渉の保護者
 親の思いや考えを子どもに押しつけます。親の厳しい「しつけ」で、子どもは「よい子」を演じるか、チックなどの心身症を表すか、思春期になって家庭内暴力や非行といった暴発を起こすか、大きく三つに分けられます。
 クレーム対応に最も苦慮するタイプです。親が強い思いや考え方をもっているためです。
 その邪魔をする人はみな敵です。そのため攻撃し降伏させようとするのです。
 このクレームに対するには、相当な労力が必要となります。教師が心身ともに疲れ果てるのは、この型のクレーム対応といってもよいくらいです。
4 バランス型の保護者
 ふだんは子どもに温かく接しながらも、子どもの間違った言動に対しては厳しく対応します。母性と父性がある、絶妙な接しかたです。
 生活習慣のしつけは、子どもの言い分に耳を傾けながらも「ダメなことはダメ」と筋を通すことが大切です。
 このような育てられ方をした子どもは、自ら考えて判断し、結果に責任をもてる人間に成長していきます。
 このような姿勢の親は、他の人に対しても同じように接するので、理不尽なクレームは生まれません。
 理想的な子育てをしているわけですから、養育態度に起因するクレームもほとんど問題になることはありません。
 ただし、養育態度とは関係なく生じるクレームも多々ありますから、クレーム問題と無関係と断定するわけにはいきません。
 クレームを防ぐには、保護者から教師への不信感が生じないよう努める必要があります。日頃から教師が教育活動に熱心に取り組むとともに、子どもと教師の人間関係、子どもたちの人間関係の深化に努めることが大切です。
 保護者からのクレームを未然に防いだり、クレーム対応を円滑に進めるためには、日頃から教師と保護者の連携・共働が欠かせません。
 たとえ理不尽なクレームであっても「保護者と教師はパートナーである」との教師の姿勢に揺るぎがあってはなりません。
 クレームを受けたときの初期対応、基本的姿勢、具体的対処法などについての知識や技能が求められます。
 なによりも大切なことは「わが子のために、こんなにも一生懸命になってくれている」と、保護者が思い抱いてくれるよう、子どもの指導に全力を尽くすことが大切です。
(
嶋﨑政男:1951年生まれ、東京都立中学校教師・教育研究所指導主事・中学校長等を経て神田外語大学客員教授)

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保護者からの無理な要求は、どのように対応すればよいのでしょうか

 今、教師にとって一番深刻な課題となっている問題は「保護者との関係づくり」であると言ってよいかもしれません。
 保護者の無理難題な要求が急増していると、教師は強く感じています。
 例えば、子どもが石をぶつけてガラスを割ったのに「そこに石が落ちているほうが悪い」「私は、あの子の親と仲が悪いから、子ども同士を同じクラスにするな」「ウチの子に、女の先生はあわないから、担任を代えろ」と言う。
 こういったことをくり返し受けると、教師は保護者からのほんのひと言にも身構える姿勢をとるようになり、トラブルになるかどうかが常に行動基準となる。学校は防御するだけでなく、自信喪失と疑心暗鬼に陥る傾向が強くなります。
 また、少しのミスも責められないように、ありとあらゆる証拠記録を残し、無難で事故のおそれがまったくない教育活動へと縮小し、教師のやる気が失せていきます。
 執拗でくり返しの要望があるとすれば、それは表向きの要求であって、真意や背景事情は別にあるかもしれません。学校不信や子育てで家庭における孤立感やストレスやイライラ、不安があることも珍しくありません。
 それを見定めるには、怒りや攻撃に目を奪われず、まず話を聴きながら「怒りの源」はどこにあるのかを見てとる姿勢が必要です。
 その背景や原因の見立てを行い「保護者とつながって」いく取り組みが必要となります。
 しかし、現実には、学校や教師が、子どもや保護者を見立てるスキルを十分に持っていないため、振り回されてしまい、いたずらに感情的になったり、ノーと言えず無理な要求を受け入れてしまうなど、大切な初期対応を誤ったり、悪循環に陥ることが少なくありません。
 また教師の抱え込みも生じやすく、自己弁護的になってしまい、一層問題がエスカレートしてしまうことも珍しくはありません。
 無理な要求については、応じてはいけません。保護者からの厳しい反応が予想されても、中途半端な受け方をすることなく、早い段階から「不可能である」旨を明確に回答する必要があります。その枠組みを前提として、必要な対応を協議していく必要があります。
 特に最初から、暴力的な雰囲気で、脅し的な要求をしてくる保護者に対しては、たとえ要求内容が合理的なものであっても、応じてはいけません。エスカレートする可能性が高いからです。
 金銭の要求については、スポーツ振興センターの給付以外は不可能であるので対応しやすい。
 ケースによっては「積極的に応じる」のではなく「適切な距離をおきながら接する」ことによって、それ以上に事態を深刻化させないことも必要です。解決できず平行線のまま終わることも当然あるのです。
 保護者の要求に学校が耳をかたむけようとせず、教師のかたくなな姿勢や横柄な態度によって、保護者が怒らなくてもいい問題をトラブルへと発展させていくことも多くあります。
 教師の認識を正すために、教師が保護者役になって、学校相手に苦情の申し立てを演じるロールプレイを取り入れて研修するのもよいと思います。教師たちの対応のまずさを考える、ベテラン教師の対応のうまさを知ることは、自信へとつながる効果をもたらします。
 保護者の要求に対して、学校として、何をすべきで、何ができるのか、何はできないのかなどの判断基準をしっかりもって、対応プランを考えていく必要があります。
そのときの判断基準となるのは
「子どもの最善の利益」
「子どもの成長発達の保障」
「子どもが安定して学校にくることができる環境を確保する」
という視点です。
 保護者の要求の中には従来からの教師の対応能力を超える難しい問題やケースがあります。学校現場の力だけでは何ともならないケースは、別の専門家の知識や介入が必要になっています。
 全国の100近くの教育委員会が「学校問題解決支援チーム」のような組織を立ち上げ、弁護士、カウンセラー、福祉専門家などか構成メンバーとして加わっています。
 ただ、学校の問題は最終的には、学校、教師と保護者、子どもとの関係の中でしか解決できないもであり、それを背景からサポートするのが専門職の役割です。
(
小野田正利編著:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校への親のイチャモンなど、学校現場で深刻な問題を取り上げている)

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教師を取り巻く過酷な現状とは、保護者対応など、どうすれば解決できるか

 「教師を支える会」の代表である私は、いろいろな学校現場の先生方の悩みをカウンセラーとして十数年間、お聞きしてきました。その中で感じるのは、現代はまさに「教師受難の時代である」ということです。
 学校の教師でうつ病にかかる者の割合は、一般企業の2.5倍にものぼると言われています。教師を追い込み、メンタルヘメスを悪化させてきた背景には、つぎの要因が相互に絡み合っています。
1 多忙さ
 いろいろな学校を見ていても、教師が放課後に子どもとゆっくり話し込んだり、勉強を指導して語り合ったりという場面はほとんど見られません。
 多くの先生方は「もっと子どもとふれあう時間が欲しい。けれども忙しくて時間が確保できない」と言います。それほど多くの書類に追われているのです。
2 学級経営、生徒指導の困難
 小学校の学級崩壊が話題になったのは1990年代半ばです。その頃から子どもたちの間に「わがままを貫き通せば先生は言いなりになるんだ」という風潮が高まってきました。
 その原因のひとつに、教師の指示を聞けない子どもが増えてきたことが挙げられます。その背景には、子どもたちの「どうせ私なんか」と自分を卑下する自己肯定感の低下、心の脆弱さがあります。
3 保護者対応の難しさ
 教師たちの大きな悩みのひとつとなっているのが、保護者対応の問題です。「教師を辞めたい」と訴える先生方の悩みの約7割は、保護者との関係の悪化がなんらかの仕方で影響しています。
 特に20歳代の若手教師や、50歳代のベテラン教師に対する視線には厳しいものがあります。集中攻撃を受けた教師は、たまったものではありません。精神的にボロボロになっていきます。
 
「それは、あまりにも、ひどい。相手が教師だったら、何をやってもいいというのか。教師も、人間なんだぞ」
 教師の悩みを聴いてきたカウンセラーとして、これまで、そんな怒りを感じずにいられなかったことが何度もありました。
 今や「保護者と良好な関係を作ることができる」「難しい保護者にうまく対応できる」ことが、教師人生を続けていくうえで、不可欠な能力となっているのです。
 学校に批判的な親の対応においては「関係づくり」が何より重要です。まじめな教師ほど「正論」で説得しがちです。その結果「わかってくれない」と敵対心を募らせます。
 まずは、じっくりと話を聴き「この先生は信頼できそうだ」という気持ちを抱いてもらえるまで、ねばり強く対応することが重要です。
 クレーマーの大半が「傷ついている親」で、内心は「被害者感情」でいっぱいなのです。したがって「自分は大切にされているかどうか」にひどく敏感です。
 こうした心理を敏感に感じ取って「大切にされている」という感情を抱いてもらうように対応することで、攻撃が緩和されていくことが多々あります。
 関係づくりができたところで「いっしょに考えていきましょう」と、共に問題解決を考える姿勢を打ち出していくようにします。
 さらに信頼関係が作れたならば「ひとつだけお願いがあるんですけど」と切り出していきます。このような慎重な姿勢が大切です。
 配慮すべきポイントは
(1)
チームで対応すること
 教師と保護者の間で「言った、言わない」と応酬することがあります。チームで対応することで回避できます。
(2)
「できないことは、できない」と明確に伝える
 こじれるケースでしばしばあるのが、保護者の怒りを買うのを恐れて、実現可能性の低い要求に対して、あいまいな回答をすることです。保護者の要求がエスカレートしがちです。
(3)
謝罪すべきことは明確に謝罪する
 謝罪すべきことは、最初に明確に謝罪するほうが、その後の信頼関係の回復につながりやすい。
(4)
話す時間枠を設定する
 保護者からの長時間に及ぶクレームで、メンタルヘルスを崩す教師も少なくありません。最初に「今日は、○○時までしか時間をお取りできないんです」と時間枠を明示することで、面談を進めやすくなります。
(5)
教師の個人情報を守る
 教師の家に保護者が何回も長時間訪れたり、電話したりして苦情を寄せられ精神疾患になったり、家庭崩壊に追い込まれてしまうことも少なくありません。
 教師の人権とメンタルヘルスを守るためにも、教師の個人情報を守る学校態勢づくりが必要です。
4 同僚や管理職との人間関係の難しさ
 今は教師受難の時代です。現場教師の支え合い、チームワークが必要になります。しかし、教師同士のチームワークは弱体化し、教師の支え合いの欠如がメンタルヘルスの悪化に大きく影響しています。
 原因のひとつは、教師の人事考課の問題です。荒れた学校で全教職員が一丸となって成果を上げても悪い評価の教師を出さなければなりません。給与に反映させている自治体においてはひびが入りつつあるのが実情です。
 同僚や管理職との人間関係ができていない教師が精神的に追い込まれていきます。精神疾患による休職教師の約半数が、その学校への勤務をはじめて2年以内に休職している、という事実にも示されています。
 教師にとって、同僚や管理職による支えほど、教師人生の危機を乗り越えるうえで大きな力になります。
 「弱音を吐ける職員室」「支え合える職員室」が、個々の教師を支えます。学級崩壊のような危機的状況にあっても、その問題をみんなで共有できる学校では、共に危機を乗り越えていくことを通して、一人ひとりの教師が成長していけるのです。
 教師には「学級経営の失敗をさらすのは恥である」といった意識が根強い人がいます。しかし、担任が問題を抱え込むと、保護者との関係の悪化などの問題が生じる可能性が高くなります。
 このようなことを防ぐためには、早期対応であり、教師には「上手に助けを求める力」が求められます。それが教師に求められる資質であると考えられます。
 メンタルヘメス不調の教師の多くは「学校で孤立しています」「誰も私の苦しみをわかってくれる人はいません」と言います。
 一人でもいいので「何でも言える人」「わかり合える仲間」を見つけていきましょう。このような仲間の存在こそが、教師人生をまっとうしていくうえで、最大の支えとなるのです。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)

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「成績が悪いのは担任の教え方が悪いからだ」と保護者が何回も学校へ押しかけ、担任は精神的に疲弊し休みがちになった、どうすればよかったのでしょうか

 「成績が悪いのは担任の教え方が悪いからだ」と保護者が電話を入れ、学校に押しかけてきた。担任がどんな指導をしているのか資料を提出するよう要求した。
 担任は若い教師だが、指導力もあり、子どもからも信頼されていた。担任は資料を見せ、指導内容を説明したが、保護者は改善点を指摘した。
 何回も繰り返すなかで、保護者は病気の夫が働けず経済的に苦しいと話したことがあった。しかし、担任は軽くうなずく程度しか関心を示さず、作成した資料を勢いよく差し出し、指導に間違いがないことを主張した。
 保護者は、その後も頻繁に学校に押しかけては「私の言うことなんか、理解してくれない」とぐちをこぼしながら、指導の改善個所を指摘した。担任の業務はその都度停滞した。
 担任は精神的に疲弊していき、学校を休みがちになってしまった。どうすればよかったのでしょうか。
 保護者のクレームの要因は「家庭環境の問題が、学校に対するクレームへと変化した」ことにあると考えられる。
 保護者の家庭でのストレスや問題が、学校に対する理不尽なクレームへと変化したケースである。
 クレームの状況を悪化させた要因は、
(1)
担任が保護者の置かれた家庭環境を理解する態度を示さなかったこと
 担任は教職員という安定的な職業につき、子どもたちからの信頼もある。
 一方、保護者はわが子の成績が悪く、家庭で問題を抱かえ、かなり追いつめられ、担任を羨んでいた可能性がある。
 そのような状況を、担任が察知できなかったことがクレームを悪化させた。
(2)
担任が自己の正当性を主張し続けたこと
 保護者は理解してもらいたい欲求を抱いているが、担任は指導の正当性を主張し、保護者を徹底的に否定してしまった。
 クレームの解決のポイントは
「保護者の心情を理解しながら、人間関係を築く」「管理職に相談する」こと。
保護者のクレームの根底にあるのは、
「生活や子どもの将来への不安」
「自分を承認して欲しい」という欲求
だと、考えられる。
 保護者の話に対して、共感的な言葉をおりまぜながら話を聞くようにする。保護者に積極的に意見を求めてみることも一案である。
 保護者と距離を置くのではなく、子どものために共同的な関係を築く努力をして欲しい。   
 また、管理職への相談も行い、一人で抱かえ込まないことが大切である。
 保護者のクレームに対して、今後の対策は
「一人の人間として保護者と向き合う」ようにする。
 教師は「学校=教育の場」という枠の中で問題解決の方法を考えることが多い。
 これは職業上当然のことであるものの、クレーム対応では、この枠を外し、一人の人間として保護者と向き合って解決を図る必要がある。枠を外すということは、視野を広げて問題解決を考えるということである。
(
宮下賢路:学校リスクマネジメント推進機構代表)

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教師になって三年目までが勝負、すばらしい出会いが教師を変える

 私は、中学校社会科教師をめざしていたが、採用試験に不合格となり、学習塾に勤めてやっと岩手県の小学校の教師になった。希望の職業になれた嬉しさで「張り切って仕事をするぞ」という思いであった。
 三年生の担任になり、毎日校庭でサッカーや遊具で遊んだ。しかし、教材研究や指導技術もないに等しいのだから、子どもたちが集中せず、反応も悪いのは当然であった。
 そういう状況のなか、六月に新採用教師対象に研究授業をすることになった。校内の先生方の授業を見る機会がなかった。「どうやって勉強したらいいのだろう」と考えているうちに、また次の日が来てしまうありさまだった。
 研究授業まであと10日あまりになったとき、他校の研究授業を参観する機会があった。ベテラン教師の六年生社会科の授業だった。
 
「これが本物の授業なんだ」と目を開かされる思いだった。教師が使う資料が独自に調べたもので、中尊寺のポスターに、子どもたちが「美しい、すごい」という声があがり、子どもたちが一気に引き込まれていく様子がよくわかった。
 しかも、学級全員がよく集中している。ユーモアある発言には、よく笑う子どもたち。とにかく教室が明るかった。
 また、授業のまとめの場面では、子どもたちが自主的に立って発表していた。いつも指名ばかりだった自分は「こんな方法もあるのか」と衝撃を受けた。
 どんな人と出会ったか、どんな授業と出会ったかで、その教師の人生は大きく変わる。
 初めて参観した授業がすばらしいものだったことは、私にとって偶然に得た幸運であった。
 すばらしい研究授業との出会いで「理想とする授業」のイメージができた。取り組みにも意欲的になった。本や教育雑誌を一気に購入した。読んで見ると、いかに自分は学習方法を意識していなかったかがわかった。
一回目の研究授業の経験で、研究授業は
(1)
自分がその分野について新しい知識を本や同僚教師から身につけられる。
(2)
学級の子どもたちの「発言力や学習規律」を伸ばす場となる。
(3)
教師の授業力をアップする場になる。
以降、私は研究授業を求められれば積極的に手をあげるようにした。新採用の年には五回の研究授業を行った。
 本や雑誌から学ぶことも多かったが、いちばん勉強になったのは、やはりベテランの同僚教師から学ぶことだった。
 私が苦手とした図工は校内の研究授業を参観したことが一番参考になった。音楽も苦手だったが、音楽に堪能な教師と合同で練習した。生で音楽指導を見ることができた。
 五年生を担任していたときに、週に一時間の空き時間があった。その時間を利用して、他の先生にお願いして授業を見せてもらった。家に帰ってから、自分の学びを1ページくらいにまとめ、ファイルにした。
 2年目、新校長の授業参観があった。感想を聞きたいと校長室を訪ねると「この分野ならあの先生にと言われるようになりなさい」と言われた。社会科が小学生のときから好きだったので社会科の授業に力を注いできた。
 それ以外に他の先生より努力できそうなのは学級通信だった。
 発行は教職2年目の二学期からだった。発行してみると実に面白い。学級の情報を保護者に伝えられる喜び。子どもたちが「ぼくの作文が載っている!」と喜ぶ。そして私自身の実践が記録される充実感。
 学級通信を発行してから確実に変わったことは
(1)
保護者の反応
 「学校の様子がよくわかります」「社会科の授業、私も受けてみたいです」といった好意的な声をいただいた。
(2)
私の教育実践
 学級通信に授業の様子を掲載することは、同時に自分の実践記録の蓄積につながった。実践ネタが増えることになる。時には教育研究集会の資料になった。
(3)
子どもたち
 子どもたちの励みになるように、作文、よい行い、エピソードを具体的に名前入りで紹介した。帰りの会で「今日のお便りのヒーローは○○さんです」と話した。その子が家で誇らしげに見せたというのを聞いて、私は学級通信を発行する意義を改めて感じた。
 保護者対応は私にとって苦手であった。もともと人と積極的に交わるタイプではない。そんなときに、変わるきっかけとなったのは地区のPTAバレーボール大会であった。その練習の誘いを受けた。
 週2回、夜間2時間は負担と思ったが「まずは参加してみることが大事」と考えた。参加してみると、大きなメリットがあった。一緒に運動することで親近感が生まれ、保護者との距離が縮まった。気軽に雑談もできるようになった。
 それまでは保護者ということを意識して「何か言われるのではないか」と構えていたのかもしれない。「子どもを成長させたい」という思いは同じなのだから「パートナー」と考えればいいのだ。そのように思い直した。
 見方が変われば対応も変わってくる。保護者から「○○してくれませんか」と注文を受けたときも「自分が責められているのではない。子どもの成長のために言っている」と思うと素直に受け入れられた。
 また、保護者との距離が縮まると、積極的に連絡をするようになった。特に成長が見られたときは、連絡帳に書くようになった。喜ばない保護者はいない。
 苦手だった保護者対応も、少しずつ手応えを感じるようになった。
(
佐藤正寿:1962年秋田県生まれ。岩手県公立小学校副校長。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに教材開発に力を入れている)

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子どもが「学校のきまりを守らない」ことを保護者が認めているとき、どうすればよいか

 子どもがアクセサリーを身につけて登校したり、髪を染めたりなど、学校のきまりを守らない子どもがいます。
 それを、わが子に注意するどころか、認め、学校が間違っていると批判する保護者がいて、指導に困ることがあります。どうすればよいのでしょうか。
 このような保護者の中には、教師が何を言っても持論を譲らない人がいます。恫喝や威嚇するような態度で主張する人もいます。
 
「個人の自由だ、人権の侵害だ」と、声を上げる人の意見は影響力があります。しかし、特殊な少数意見である場合が多いので、慌てて早まった結論を出さないようにします。 
「きまりを守るのも、学校の大切な勉強ですから」
「強制はしませんが、お子さんの指導は続けさせてもらいます」
 
と伝えます。
 このような保護者に、無理に学校の方針に従ってもらうことは難しいと言わざるを得ません。だからといって、その保護者の子どもだけに特例を認めることは、絶対にしてはいけません。
 結果として、学校の方針を理解してもらえなかったとしても、学校の主張は曲げることなく伝え続けることが重要です。
 このような保護者は、そう多くはいません。ほとんどの保護者は、良識的で学校の方針に協力してくれます。
 ですから、大勢の保護者の「規律ある学校でわが子を学ばせたい」という気持ちを大切つにすることを、忘れてはいけません。
 怖いのは、一人例外を許すと、それが「伝染」して、学級や学校の風紀がどんどん乱れていくことです。
 そうならないように、多くの保護者に「規律を守るための協力を得る」取り組みを継続して行いましょう。
 子どもが学校のきまりを守らないことを保護者が認めているからといって、教師が子どもの指導をやめてはいけません。
 他の子どもが見ている前で 「直そうね」と、穏やかなひと言を、時折でもかけるようにしましょう。
 その子が直すかどうかではなく、周りの子どもたちへの感化を防ぐためです。
 何も指導しなければ「なぜ、あの子だけ許されるの?」と、子どもたちや保護者から不満がでます。
 必ず、機会あるごとに、その子を指導する場面を見せて、規律を乱す行為は許されないことを伝える必要があります。
 強制はしないが、学校の方針を貫くことで、学校の規律を守らせることが大切です。
(
中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方研究会」を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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子どもや保護者が満足する、プロの教師をめざすにはどのようにすればよいか

 子どもを学校に通わせている親のいちばんの関心事は何でしょうか? 
 成績を別にすれば、「子どもが教わる先生はどんな人か」という、教師の人格と実力に一番の興味と関心を持っています。
 子どもを、易しく伸びやかで、公平に扱ってくれるような教師を求めています。親から見れば、授業の実力もさることながら、わが子を大事に扱ってくれるかどうかが重大な関心事となります。したがって、教師はこの親の気持ちを理解することから、始めなければいけません。
 どのように、やるべきことをやるかという方法に教師の個性と実力が表れ、そこにプロとしての力量が問われるのです。
 自分なりのやり方が確立していない試行錯誤の状態であれば、同僚や先輩の教師の技を盗むことも必要です。他の教師の教室内の指導の実態はわかりにくいので、盗めなければ教わるより仕方がないのです。
 私の経験からいうと、生徒指導はやり方の問題です。子どもと保護者を大切にするという気持ちを根底におき、生徒指導の具体的なやり方にどのように反映するかです。
 おかれた状況により違うので、画一的に「このようにするというノウハウ」は必要ありません。むしろ、有害無益です。
 ただ、どのような場合でも、保護者にしっかりと説明する必要があります。明確な説明をしてくれないと保護者は不安になり、教師に文句を言うのは当然です。
 しかし、小学校も高学年になるにつれ、教師の「人柄」だけではダメです。教師としての「指導力」と「学力」が問題となってきます。
 教師が指導力を発揮して、子どもたちが安全で安心して過ごすことができるかを親は気にしています。
 さらに、学校は学ぶための場所です。教師が教える内容と技術について豊富な知識と経験があるかどうかが大切です。
 特に小学校では算数と国語が主要教科であるから、この二教科とりわけ算数は教え方によって上達度が違います。好き嫌いにも影響します。
 教師には親ではできないことをやる使命と役割が与えられているのです。愛情があればあるほど親子間では距離が取りにくい。
 アカの他人であればこそ、ある種の冷淡さが子どもたちから甘えを取り去り、自立心や独立心を育む作用をするのです。つまり教師は他人としての適度の冷たさが必要だということです。
 学校で一番大事な授業は情熱だけではできません。必要なのは知性と教養です。問題解決の方法を考え出す経験や専門的な知識に支えられた知性のほうが、役立つことは言うまでもないことです。
 学校教育は、言うことと行うことを、なるべく一致させることが望ましい。異なると不信感を保護者が持ちます。
 教師に「忙しい」が口癖みたいな人がいます。しかし、プロといわれる教師は、子どもが担任ところへ行っても「今、忙しいから後で」とは言いません。教師にとって最大の仕事は子どもとその親を相手にすることだということがわかっているからです。
 教師はプロとしてやるべきことを粛々とやり、何ごとについても言い分けせずに結果を見てくれという姿勢を持って臨んで欲しいものです。
 学校の教師は自分流でいける職業です。しかし、プロ意識が欠如していると、問題が生じるのです。教師は教育のプロです。プロとは自分の知識や技能を売って給料をもらっているのです。
 学校教育のプロとしての基本の仕事である「授業」と「生徒指導」がきちんとできないのなら、給料ドロボーと言われても仕方がありません。大事なことは問題解決から逃げないことです。
 授業が成立しない、学級経営がうまくいかない、そういう場合は、本人が同僚に相談するにしろ、最後は自分で解決するしか方法はないから、何がなんでも解決のすじ道を見つけなければなりません。
 一番のカギは授業です。良い授業をしている教師に「学級崩壊」などということはあり得ません。ダメな教師の授業は子どもが相手にしないから、授業が成り立たないで「学級崩壊」するのは、昔も今も変わりがないことがよくわかります。
 よい授業とは、子どもたちに「素晴らしい授業」と評価される授業が「よい授業」なのです。
 授業を改善するには、子どもたちから率直な意見をきく、同僚の授業を見せてもらい参考にするなど、あらゆる方法で、日々、授業の改善工夫を凝らす以外に道はないのです。これが教師の仕事のキーポイントです。
 学級経営では子どもが安心して勉強に専念できる雰囲気をつくることが肝要です。学級をワルのボスに仕切られたのでは、子どもは学校へ行くのが嫌になります。いじめを防止することも最重要課題です。
 それでは子どもに理解され、受け入れられる「よい授業」と何でしょうか。
 まずは、子どもの「興味を引く」、「おもしろい」という要素が大事です。さらに、子どもにとって「役に立つ」「ためになる」という要素も大事です。
 教える内容をいかにわかりやすく、興味深く教えるためには、教師自身にかなりの学識がないとできません。
 日々、自分自身に投資して、せめて最低、年間100冊を超える本を読まなければ、子どもたちを満足させる授業を行うことは難しいのではないかと思います。
 また、塾が子どもたちに評価されているのだから、教師もその技を盗むような努力をしてもらいたい。
 塾は子どものニーズに即して、授業内容をどんどん改変します。飽きさせないように、さまざまな工夫を凝らします。
 塾は授業者自身のキャラクターも商品なので、おもしろ系、ハッタリ系、アカデミー系のキャラを作り、子どもの方に顔を向け、必死に自分の授業をアピールします。根本に成果主義があるから、結果を出すためのパフォーマンスが必要なのです。
 教師が、いつまでも「先生」という権威に安住していると、自分の能力は劣化してしまいます。だからこそ、塾の切実感を学校の教師も学んでほしいのです。
(
戸田忠雄:1937年生まれ、長野県の私立、公立学校の教師、公立高校長、信学会長野予備学校長などを歴任し、政策研究大学院大学政策研究科客員教授。XYサタデースクールネットワーク代表。専門は教育政策・学校論など。政府の審議会専門委員も務めた)

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担任が若いと保護者があまり信用してくれない、どうすればよいか

 教職につくと、初任者であっても初めからベテランの教師と同じことをしなければならない。だれでも最初からうまくできる人はいないものである。
 子どもの指導に関することだけでなく、社会人としての生き方、接し方についての配慮も必要なので悩むのは当然のことである。
 若さやベテランにかかわりなく信頼されるための基本となるものは、専門職としての見識と実践力である。
 指導方針や学級をどう作るのか、具体的な抱負を明らかにして、学級懇談会や学級通信などで保護者へ周知するとよい。
 最も大切なのは、一人ひとりの子どもをよく知っていることである。
 保護者は若い教師の新鮮な活力に期待しているはずである。
 子どもは常に一緒に行動する人に親近感とともに信頼感を感じるものである。
 授業も大切だが、子どもといつも一緒に遊んだり掃除などの学級活動を共にしたりすると、子どもを十分観察できることから一人ひとりの長所が把握できる。子どもから、親近感とともに信頼される度合いが増していく。
 そうなると、子どものほうから話しかけてくるので、聞き役に徹すると、きょうだいけんかや父や母のことなどを教えてくれる。
 そして、先生との会話は家でも報告され、子どもと一緒に汗を流す先生のことを、安心感と尊敬の念をもって温かい目で見てくれるようになる。
 子どもの家での生活の様子をつかみ、それを生んだ環境や状況を知っておくことも大切である。その子の気持ちをつかみ、励まし、支えていくようにするとよい。
 教科指導と生活指導の両面のデータを十分に蓄えておくと、保護者との直接の話し合いでも、具体的に子どもの実情を伝えることができる。保護者は担任の指導ぶりがよく分かって満足する。
 子どもに対し、接し方や気配りが次のようにできていると、保護者は安心する。
(1)
一人ひとりの子どもに対して公平に指名してくれる。
(2)
子どもへの対応に温かさが感じられる。
(3)
子どものレベルに合わせた楽しい雰囲気が感じられる。
(4)
子どもの作品をよく観て、温かいコメントがある。
(5)
黒板の板書が丁寧である。
(6)
教室がきれいで落ち着きがある。
(7)
子どもの机や学用品を見てくれている。
 保護者に対して、謙虚さだけでは、若いからかえって心配されるし、子どもの具体的な対応が見えてこない抽象的な教育論で終始する自己本位な態度もあまり信用されない。
 保護者会などが近づくと気が重いという若い教師は多い。「大変だ」「いやだ」と受けとめないで、専門的な見識を披露する絶好の機会だとプラス思考で迎えたい。
 保護者会で保護者が期待するのは、
(1)
担任はどんな考えを持っているか
(2)
わが子にどのような考えで接しているか
(3)
わが子の学級の生活や学力などの傾向や特徴
(4)
年齢に応じた、わが子の発達の状況を知りたい
などである。
 保護者が知りたがっていることを前もって押さえておけば、内容が多くなり話題が豊富になる。保護者は熱心に聞いてくれる。
 準備を整えて、次のような態度で保護者と接したい。
(1)
構え過ぎない
 構えてしまって、柔軟性に欠けた対応になると、保護者はその様子に不安感をもつ。
(2)
笑顔で
 ユーモアがでれば安心。難しければ笑顔で公平に。
(3)
明るく丁寧な話し方で接する
 明るい表情で、自分の考えを実践をもとに分かりやすく、熱心に語りかける。一人ひとりの保護者に丁寧に接する。
(4)
包容力のある対応をしよう
 批判的な保護者には温かく接する。
(5)
清潔な髪型と服装
 だらしない、不潔、場違いと思われるようなスタイルを避けよう。
 一人ひとりの子どもの毎日の変化をとらえ、励まし、支えていくように日々努力する。不安ではあるが、解決をめざして自分の総力をもって実践していく。教育とはそういうものではないかと思う。
(
関口 寛:1931年生まれ、宮城県教育研修センター指導主事を経て元仙台市立小学校長)

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