カテゴリー「保護者にどう対応するか」の記事

保護者からの苦情対応の具体的なポイントとは

 あなたは保護者から、つぎのような脅しに似た文句を言われた経験はないだろうか。
「うちの子が言っていることが絶対正しい」
「担任を変えろ」
「子どものけがの治療代を払え」
「学校を訴える」
「慰謝料を払え」
「子どもに土下座をして謝れ」
「校長を出せ」
 そのとき、どんな対応をするのだろう。
 保護者の苦情を「聞くことすら嫌だ」と思う教師は多い。こうした教師の初期対応は、相手に対する思いやりがなく、自ら問題をこじらせてしまう。
 相手の言っていることが嫌だ、他の人に相談するのは恥ずかしいなどと考え、相手を押し返そうとする。
 それも態度や言葉による圧力で対抗する。その結果、保護者の逆鱗に触れてしまう。次には保護者は知識をつけて強硬な態度で対抗してくることになる。
 これらの教師は責められると弱い、対応能力が乏しい。そのくせ管理職に報告するときは、真実を曲げ自分を被害者にしたり、言葉の強弱のつけ方で自分を正当化するのがうまい。
 保護者からの苦情において、トラブルを未然に防ぐためには、まず教師の受け入れる姿勢を変えなければならない。
 教師が姿勢を変えることによって、多く問題の解決が図れる。
 管理職は、保護者からの苦情を最初に受ける教師に、対応の仕方を教えておくべきだ。
 つまり、保護者の話が無理だとわかっていても黙って聴くこと。自分では判断せず「ご提案はお預かりして、校長や教頭に相談してみます」と、その場では伝えることである。
 もちろん、実現は困難だとわかっているのだから、軽い予防線をはるようにする。例えば
「たいへん貴重なご提案をいただきありがとうございます。さっそく会議に諮れるように提案をしてみます。少しお時間をください。」
「しかし、会議で検討しても実現できるかどうかという問題も出ます。なぜなら、学校では年度当初に、〇〇という考えのもとで計画的に決定されていますから、変更はとてもむずかしいと思います」
「その点だけはご承知ください。でも貴重なご意見です。ありがとうございます」
というふうに。
 苦情対処のポイントは、言わずにいられない保護者の気持ちの「落としどころ」が見つかるかどうかである。
 苦情では、一つの問題に対して複数の回答を想定しておかねばならない。
 複数の回答を想定しておけば、その問題に当てはめて応用することができる。
 苦情対応の世界では、一度提案してもお客から拒否されることはいくらでもある。当然、次の手を考え準備しておく。
 それが拒否されたとしても、さらに次の手まで考えておけばよいだけのことだ。
 どんな説明で保護者を納得させるか、話術が必要となる。保護者に「仕方がない」と思わせる会話力だ。
 保護者に我を張らせない話術を持つことは大事である。
 我を張らせない話術には、先を読む推測力とそれを完成させる会話力が必要になる。
 つまり、会話で相手の心を和ませるのだから、相手の心理を読む冷静さと、会話の「間」のよさが求められる。
 保護者の顔色を見ながら笑顔で話し、保護者の顔が少しでもゆるんだ瞬間に
「〇〇くんは、おとなしいけど、芯が強いからなぁ。これからが楽しみだ」
などと、目をあわさずにつぶやく技を持てたらすばらしい。
 保護者は、教師の一言のつぶやきでほっとするのではないだろうか。親心とはそんなものである。
 苦情対応の世界では、問題解決のために、場の設定は絶対に欠くことのできない大道具である。
 保護者も、校長室の隣の応接室などへ通されたら、軽々しい発言はつつしみ、いい加減なことは言えないし、悪態もつけなくなるだろう。
 また、保護者が座ったら、まずお茶を出すべきである。出されるお茶の役割は一呼吸置いたり、目をそらしたりするのに最適な小道具なのである。
(関根眞一:1950年埼玉県生まれ、苦情・クレーム対応アドバイザー。百貨店に34年間在職し、お客様相談室長を経て、メデュケーション(株)代表取締役。新学校保護者関係研究会委員) 

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子どもの行儀の悪さを、すべて学校の責任に転嫁する保護者に、どう対応すればよいのでしょうか

 整理整頓ができない、時間を守ることができない、あいさつができないなど、本来、家庭で身につけておかなくてはならないことを、学校任せにし、責任を転嫁する保護者がいて、困ることがあります。
 保護者の要請だからと、すべてを引き受けてはいけません。保護者としての責任感を身につけてもらうことが、子どものためになります。
 そのような保護者には、どのように対応すればよいのでしょうか。
1 保護者に協力を求める姿勢で啓発する
 あまりにも身勝手な苦情や要請に「それは、親の責任でしょ」と嫌みの一つも言いたくなります。
 しかし、感情をあらわにして保護者とぶつかるのは得策ではありません。
 一歩引いて「力不足でした。ご家庭でも、ご協力をお願いします」と、家庭でも保護者の指導が必要なことを暗に伝えるようにします。
2 学校での取り組みを伝える
 学校での生活指導の取り組みを、学年通信や学級通信、保護者会などで、どんどん伝えるようにします。
 すると、保護者は家庭の教育力の必要性について考えざるを得ませんから、ほとんどの保護者が、協力的になってきます。
 もし、しつけは学校の責任と考えている保護者がいたとしても、日頃から、家庭教育について、学校や担任の考え方を伝え、それが他の保護者の理解を得ていれば、苦情を言ってくることはなくなります。
3 その場は我慢し、保護者をほめて協力する意識を高めてもらう
 学校の指導が悪いと苦情を言ってきた保護者に、教師がいくら正論を掲げても、このような保護者に理解してもらうことは、まず無理です。
 とにかく我慢して、相手の話を聞き流しましょう。
 勝負は日頃の保護者との接し方です。
「Aさんが、きちんとあいさつができるのは、ご家庭での指導が行き届いているからですね」
と、保護者のプライドをくすぐりながら、家庭教育の必要性に気づいてもらいます。
 このように、保護者を協力的に変えていくことが、もっとも効果的な方法です。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方研究会」を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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学校にとってイチャモンと感じられる苦情であっても、親としての「思い」や「願い」が背後に透けて見えることも多くある

 幼稚園の園長をしておられる方から「私の園では、こんなことがありましてね」と具体的な事例を次のように話し始められました。
 その幼稚園では広い芝生で有名な公園に遠足を予定していたそうですが、予定日の二日前から雨が降り続いていたため、当日は晴れることがわかっていましたが、遠足を順延する決定をしました。
 ところが、遠足予定日の夕方、ある保護者から
「なぜ、遠足を中止にしたんですか? 子どもがせっかく楽しみにしていたのに」
と、中止決定を非難する電話が幼稚園にかかってきたそうです。
 保護者の方は相当な剣幕だったそうです。
 園長さんは
「二日も前から雨が降っていたために、芝生も水分を含んでいて、とても弁当を広げて食べたり、遊びまわることもできないでしょう」
「大きなビニールシートを持ち込んでも無理なんです。ご理解ください」
と、懇切丁寧に説明を繰り返しました。
 しかし、保護者は納得せず、園側の姿勢を批判し続け、結局は「なんちゅう園長だ」「困った親だ」という電話の切り方になったとのことでした。
 私は話を聞きながら、
「どうして遠足予定日の夕方に園に電話をしてきたのでしょうか?」
「ひょっとしたら、子どもが母親のそばですねて泣いていたのかもしれませんよね」
「夕方の食事準備の忙しさの中で、子どもが遠足中止でダダをこねている。それをなだめすかすことができない母親」
「『そうだ、私がこんなにわが子をなだめたりしても、ちっとも効果がないのは幼稚園が遠足を中止にしたからだ』と思って、その感情をぶつけるかたちで電話をしてきたとしたら、どうでしょうか」
と水を向けました。すると園長は、
「そうですね。そう考えると、親の反応がちがってきたかもしれません」
 こういった場合には、一通り相手の話を聞いたうえで、子どもの状態を聞くこと。
 そして、幼稚園教師の経験をもとに、具体的なかたちで母親に、子どものなだめすかし方についてアドバイスをすることが肝要だろうと伝えました。
 場合によっては、電話口に子どもを出してもらって、直接に話しかける方法もあるかもしれません。
 そうすると、イチャモンで始まった会話が、問題が解決したようなかたちで電話を切ることができるように思います。
 私が、多くの事例を集めて冷静に見直してみると、イチャモンのような形態をとりながらも、じつは別のところに親の願い(真意)が隠れていることがある。
 むしろ、そのツボをおさえて対応すると、かなり異なった反応となっていくことが多いように思えます。
 問題は、そういった冷静さを持ちえるだけの「ゆとり」と「体力」、そして粘り強い「気力」が学校側にあるかどうかです。
 一人で判断せずに、近くにいる関係者たちで「距離を置いて見る」ことが必要でしょう。
 一見すれば、学校側にとってイチャモンに近い内容と感じられる苦情であっても、じつは親としての「思い」や「願い」が背後に透けて見えることも多くあります。
 学校側が当然と思っていることでも、保護者からすれば、わからないことはたくさんあります。
(小野田正利:1955年生まれ、大阪大学教授。専門は教育制度学、学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をスローガンとして、現場に密着した研究活動を展開。学校現場で深刻な問題を取り上げ、多くの共感を呼んでいる)

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子どもが学校のきまりを守らないことを保護者が容認しているとき、どうすればよいのでしょうか

 アクセサリーを身につけて登校したり、髪の毛を染めたりと、学校のきまりを守らない子どもがいます。
 それを保護者が注意するどころか、容認し、学校が間違っていると批判する保護者がいます。どうすればよいのでしょうか。
 学校のきまりを守らないことを容認している保護者には
「強制はしませんが、お子さんへの指導は続けさせてもらいます」
「きまりを守るのも、大切な勉強ですから」
 と申し伝え、本人への指導は続けることを宣言しておきます。
 ほとんどの保護者は「規律ある学校で、わが子を学ばせたい」という思いを持っています。
 そういう多くの保護者の気持ちを大切にすることを忘れてはいけません。
 学校の方針を理解してもらえなかったとしても、学校の主張は曲げることなく伝え続けることが重要です。
 しかし、教師が何を言っても、持論を譲らない保護者がいます。
 このような保護者に、無理に学校の方針に従ってもらうことは難しいと言わざるをえません。
 だからといって、その保護者の子どもだけに特例を認めることは絶対にしてはなりません。
 怖いのは、一人の例外を許すと、それが伝染して、風紀がどんどん乱れていくことです。
 そうならないように、多くの保護者に、規律を守るための協力を得る取り組みを継続して行いましょう。
 保護者が容認しているからといって、教師が子どもの指導をやめてはいけません。
 他の子どもたちが見ている前で、「直そうね」という穏やかな一言を時折でも、かけるようにします。
 その子が直すか否かではなく、周りの子どもたちへの感化を防ぐためです。
 何も指導しなければ「あの子だけ、なぜ許さているの?」と、子どもや保護者から不満が出ます。
 必ず、機会あるごとに、その子を指導する場面を見せて、規律を乱す行為は許されないことを伝える必要があります。
 強制はしないが、学校の方針を貫くことで、学校の規律を守らせることが大切です。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方研究会」を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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保護者からのクレームがあった時、あわてないための対応の基本とは

 保護者からのクレームが実際あったとき、あわてないためにはどうすればよいのでしょうか。
 望ましいクレームの基本対応の流れを次に示します。
1 クレームがあったとき、正確に聞き取り、関係者に伝える
 クレームの内容と要求を正確に聞き取り、しっかりとメモすることが重要です。
 保護者は不安や不満があるからクレームを言ってきたわけですから、感情的になったり、厳しい口調になりかちです。
 また、わが子から話を聞いてクレームになっていることが多く、事実と異なることも少なくありません。
 だからといって、教師が反論し、口論となっては、保護者に不満が残ります。反論などは一切行わないようにしましょう。
 聞き取ったことを正確に関係者に伝達しなければなりません。
2 回答してよいかチェックをする
 要求内容によっては教師が判断できないこともあります。安易な回答をしないように注意をしましょう。回答ととらえられてしまうような発言は行わないよう心がけましょう。
 回答ができない場合は、検討の期間を考えて、次の対応をいつするか約束することになります。
 クレーム対応はスピードが勝負といわれることがあります。
 しかし、スピードを意識しすぎて、不十分な調査・検討のまま対応すると、かえって満足されない回答となり、問題の解決を遅らせる場合もあります。
3 事実関係の調査
 保護者からのクレームは、わが子から聞き取った内容がもとになることがほとんどです。
 誇張された表現で伝わってくることもよくあるため、保護者のクレームには、思い込みによる主張や事実と異なると思われる主張も少なからず含まれます。
 保護者の要求の根拠となる事実が、教師の認識と異なる場合、事実関係の調査をした上で対応することが必要です。
 例えば、目撃した教師や子どもに聞き取り調査し、内容を検討することになります。
 必要な調査をせずに対応してしまうと、お互いの主張が平行線のまま感情的な対立に終始してしまい、好ましい解決になりません。
 保護者の要求が不当な要求かどうかについては、どのような事実があったのかどうかにより判断が異なります。
4 クレームの内容が正当かどうかを検討する
 調査により判明した事実関係をもとに、保護者の要求に応じるべきかどうかの検討に入ります。
 法的な責任が生じるかという法的な評価と、教育上の観点からどのような対応ができるかという評価を行うことになります。
 学校現場のクレーム対応は、その後も継続的に子どもが学校に通い、教師が指導するという関係にあるので、法的な判断による責任だけでなく、教育的な観点からの対応の検討が必要となります。
 法的な責任を負わない場合も、子どもが通いやすい環境をつくるなどの教育的配慮を検討することも必要でしょう。
5 クレームの回答
 事実関係がつかめず正しい判断ができない場合、期限を優先して安易な回答を行うのではなく、必要な手続きを示して回答の期限を延ばしてもらい、十分な検討を行った後に回答するほうがいいでしょう。
(1)クレームが正当な場合は、要求を一部または全部受け入れる
 責任の範囲と望ましい対応を決定する。
 ポイントは、学校側にミスや配慮が足りない面があったことと、保護者の要求すべて応じなければならないかどうかは別の問題であることを意識する必要があります。
 必要な範囲で謝罪し、保護者の身上面に応えつつ、学校が考える対応の根拠を説明して、協議を重ねながら、改善を含め今後の学校の対応について理解をもらえるように心がけるべきでしょう。
(2)クレーム内容が不当な場合は、要求を拒絶する。ただし教育的配慮をする 
 事実関係が認められない場合、事実関係が認められるが法的に認められず、教育的な観点からも妥当でない場合は、要求を拒絶する回答をおこなうことになります。
 調査の内容、拒絶する根拠を示して、明確な回答を心がける。
 ただし、子どもが継続して学校に通うという点からの教育的配慮も必要です。配慮は行うと説明して、適切な教育関係の継続に向けての努力は必要となるでしょう。
 保護者が納得せず要求を継続しても、安易に対応を変えるべきではないでしょう。
 調査内容の再検討が必要となった場合は、検討することも適切な対応といえます。
 この場合も「法的に必要な措置はどれか」「教育的な観点から妥当な措置は何か」を学校の視点から検討することが重要です。
 要求をのませるための暴言、暴力などに対しては毅然とした対応で臨むべきです。
 限度を超える電話や深夜に及ぶ対応の要求については「学校が回答した通りである」と、それ以上は応じない工夫も必要でしょう。
 法的な観点での見解の相違であれば、弁護士に委任して対応することが望ましいでしょう。
 SNS上での中傷などは、教育的な観点から望ましくないので、保護者会を早く設け、保護者全体に事態と対応の正確な認識を共有してもらうように努力すべきでしょう。
(丸岡慎弥:1983年神奈川県生まれ、大阪市公立小学校教師。教育サークル「REDS大阪」・銅像教育研究会代表、事前学習法研究会会長)
(大西隆司:1976年奈良県生まれ、弁護士)

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モンスターペアレントとは正確にはどのような意味で、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか

 モンスターペアレントとは、学校や教職員に対して、理不尽で自己中心的な要求を行う保護者のことをいいます。
 親の資質だけでなく、核家族化が進み、親自身も孤立している中で、学校等に対する不信感を募らせているという事情が背景にあるとの指摘もあります。
 正当な権利行使の範囲を超えて、常軌を逸したクレームをする親のことをモンスターペアレントと呼ばれています。
 このようなクレームに対応する教職員が過度のストレスを抱かえてうつ病を患ったりするなど、学校関係者の頭を悩ます重大な問題の一つとなっています。
 モンスターペアレントの具体例としては、次のような要求などが挙げられます。
1 自分の子どもを学園祭の主役にしてほしい。
2 仲が悪い生徒がいるため、クラスを替えてほしい。
3 子どもの成績が一向に上がらないため、担任の先生を替えてほしい。
4 子どもが朝起きられないため、モーニングコールをして起こすか、迎えに来てほしい。
5 志望校に合格しなかったのは学校の責任であるため、支払った授業料を返してほしい。
6 早朝、夜間など時間を問わず毎日のように学校や担任の先生に電話をかける。
7 プライバシーの侵害であるからと、自宅訪問に応じない。
8 面談中に激高し、担任に暴力を振るう。
9 事実無根の内容をインターネット上で公開したりするなどして、学校や担任の先生を誹謗中傷する。
(弁護士法人 飛翔法律事務所著:大阪市)

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対応するのが困難な保護者の特徴と、話の聞き方のポイントとは

 教師が疲れきってダウンしてしまう原因のひとつに、保護者対応があります。
 保護者の要求の内容は、事実に即したものもありますが、すべてを担任や学校の責任にして、自分の子どもの実態から目をそらすケースが見られます。
 対応するのが困難な保護者が、学校に攻撃的になるのは、教師のせいというよりは、何かの理由によって、その保護者が非常に不安であったり、情緒不安定であったりすることが多いのです。
 真面目な教師ほど、文句を言われると「自分はダメだ」「できていないから、言われるのだ」と自分を責める傾向にあります。
 対応困難な保護者に苦情を言われたときには、この保護者は不安なのかもしれない「不安だから、話を聞いて」と言えずに攻撃するのかもしれないと教師が思うことで、多少冷静になれるかもしれません。
 こういう保護者には、教師が一人で対応してはいけません。信頼している教師と、複数で対応してください。
 特に対応困難な保護者の特徴として、次のようなものがあります。
1 人のせいにする
「周囲の人が悪いから」といった、人のせいにする物言いになる。
 例えば「先生が怒ったから、私は腹が立ったのだ」と、人のせいにする。
 自分がネガティブな感情を持っていると認めることに耐えられないのだ。
2 自分の都合の悪いことは、なかったことにする
 例えば、保護者が怒鳴ったので、教師が、少々声を強くして「とにかく座ってください」と言った。
 そうすると、保護者が「突然、先生が恫喝した」というふうに、自分の都合の悪いことはなかったことにする。
3 ものの見方が極端であり、人に対して、全部良いか、全部悪い人か、といった捉え方をする
 保護者の話を受け入れて、教師が聞いてくれている間は、教師は神様扱いだが、1つ思うように聞いてもらえないと極悪人扱いになり、いっさい話が通じなくなる。
 教師は「話を聞くこと」のプロではありません。学校現場に出てから保護者の対応を迫られるので気の毒だと思います。
 話してもわからない対応困難な保護者の話の聞き方のポイントは、
(1)歓迎する
 気持ちはすぐ相手に見抜かれます。歓迎するつもりで接してください。できれば「またおお会いしましたねぇ」と迎えるほうが、うまくいきます。どうしても歓迎が難しいときは、お腹のなかで「嫌やなぁ」と覚悟して迎えてください。
(2)苦情の種類によって対応を変える
「まともな要求」は誠実に対応する。「ある程度対応すべき苦情」は、ここまではできるけど、ここからはできかねることを伝えます。
 納得しない場合は管理職と相談する。「理不尽な苦情」は一人で対応せず管理職と相談して複数の教師が関わりましょう。
(3)初期対応が大切
 最初は迎え入れる気持ちで接する。否定的な「でも」といった言葉を用いず、ていねいに聴くと、その後がうまくいくことが多い。引きぎわを待っていることもあるので、時間は一時間をめどに「〇○のお話が聞けました」と区切りをつける。
(4)本音は何かをさぐりながら聴く
 話を真摯に聴きながら、「この人は、こんなにも強い調子で話しているが、この人の悲しみの中心は何だろう?」と、本音をいろいろ空想し、質問して尋ねたりしながら聴きます。
(5)心の中は自由に何を感じてもよい
 真面目な教師ほど、「相手を悪く思ってはいけない」と自分の心を拘束しがちです。顔に出さないようにして、心の中では何を感じてもいいのです。
(6)気持ちを短く伝える
 相手の言葉があまりにきついとき、自分の気持ちを短く伝えるとよい。短くがミソです。「そこまで言われると、キツイなぁ」「わからなくなってきました。よくわかる先生を呼びますね」と、いったん席を外し、ひと呼吸できる間をとるといい。
(7)目的を共有しながら聴く
 対応困難な人の話は、話がそれることが多いので「今日は〇○についてお話に来られたのでしたね」と確認をはさみます。やりすぎると怒られることがあるので注意する。
 わかりにくい話の場合、わかったふりをして終えると、後で理解がずれたとき「聞いていなかったのか!」と怒ることがあります。
 わかりにくい話のときは、首をひねってもいいと思います。「今日は〇○についてお聞きできました」「熱心に考えてくださっているのがわかりました」と、わかったことのみを最後に伝えて帰ってもらうとよい。
(8)話の限界を設定する
 筋のおかしい話を全部飲むわけにはいきません。「ここまではできるが、ここからはできない」という限界を伝えていいと思います。
 遅い時間の家庭訪問や電話を要求されるケースもあります。緊急でないかぎり「○時までは対応できるけれど、○時以降は対応できかねます」と言っていいと思います。
(井上麻紀: 臨床心理士。公立学校共済組合近畿中央病院メンタルヘルスケア・センター副センター長。10年以上にわたり、学校教職員の専門病院で、教員に特化したメンタルヘルスケアや職場復帰支援をおこなってきた)

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問題を起こした子どもの保護者から話を聴くとき、どのようにすれば保護者と連携することができるか

 まず、子育てに対するねぎらいの言葉から始めて、保護者の語る話に全神経を集中して、最後までしっかりと聞き、話を受け入れていくことが大切です。
 不安や不信、親の怒りや困っている感情など全ての思いを聞き取ろうとする心構えが求められます。
 このとき、保護者の言い分を十分に聞かないまま、学校が説明し説得しようとすると、保護者に聴いてもらえなかった不満が残ったり、不信感が生じて、非協力的となり、問題がこじれてしまうこともあります。
 このような状況に陥ると、いくら正しい内容を伝えても、受け入れてもらえないことになります。
 保護者との関係が悪化する背景をみると、保護者の話を傾聴し、受容する姿勢に欠いていることが原因となっている場合が少なくありません。
 保護者と連携するには、初期において、保護者の心情を理解し、子どものことで悩んでいれば、解決に協力し、今後も気にかけていくことを伝えながら、信頼関係をつくっていくことがポイントとなります。
 保護者への問題行動の事実関係の説明はどのようにすればよいのでしょうか。
 今回の件に関連した学校やクラスの状況を説明した後に、その子の問題を説明するという流れが、保護者の正確な理解につながっていきます。
 つまり、全体から個人へという流れで説明するとよい。
 気をつけたいことは、保護者の語る内容を「事実と意見」に分けて話を整理するようにします。
 例えば「AくんがBくんの教科書を破いた」のは周囲の子どもも見ていた事実ですが、それが「いじめによるもの」と保護者が判断していることは意見になります。
 多くの語りは、事実と意見が混在したものであることに注意が必要です。二つを整理しながら聴くことが求められます。
 保護者の発言内容に教師の感情が揺れ動き、中立的な立場をもち続けることが難しくなります。
 どうすれば冷静さを保てるかというと、
(1)感情が揺れ動くのは当たり前という心構えをもつ。
(2)もう一人の自分が感じ取るモニタリングを行う。
ことが手だてとなります。
 保護者が学校に期待している対応を確認することは、保護者の心情の理解に役立ちます。
 しかし、保護者が期待する対応が現実には難しいと判断した場合は、
(1)そうすることが、周囲の子どもたちから特別視される。
(2)反発を招く可能性がある。
ことを保護者に伝えながら、学校が集団生活の場であることに、目を向けてもらう必要があります。
 保護者と話がこじれてきたときには、例えば、その場で即答せずに「この話は、いったんお預かりして、検討した上で連絡します」と、クールダウンすることもスキルの一つです。
 日頃は、教師と子どもとは「教える-教えられる」の関係ですが、教師と保護者とは、子どもの成長を「見守る-指導する」という同じ土俵にいる大人同士の関係にあります。
 保護者と連携するには、教師の教える姿勢はいったん封印し、子どもの問題解決という同じ目標をもっていることを確認しながら、保護者への支援を進めていくことが大切です。 
(石橋昭良:警視庁少年警察部門心理職を経て文教大学教授。臨床心理士)

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保護者からの要求に、どのような場合、弁護士に介入を求めるとよいか

 保護者からのクレームも多種多様で、リスクの程度も様々である。しかし、すべてを弁護士に相談するというわけにもいきません。
 要求内容が多すぎたり、暴言や暴行等の不当な手段を用いたりされるなど、学校が毅然とした対応をとることができず、リスクも大きいと判断される場合には、早い段階で、学校法務に精通した弁護士に相談して介入してもらうよう、積極的に考えるべきです。
 弁護士に相談して対応することにより、窓口が弁護士となり、学校側が時間を作る必要がなくなって、その分を本来の業務に充てることができるようになります。
 また、学校側が弁護士を付けることにより、相手の保護者側も弁護士に依頼する可能性が生じます。
 過剰な要求をする保護者は、往々にして感情的になっているものです。
 弁護士が介在することにより、感情論からは離れて、法律等に則した冷静な話し合いが可能となります。
(弁護士法人 飛翔法律事務所著:大阪市)

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保護者からのクレームに、教師目線に立って教師が少しでも傷つかないような対応をするにはどうすればよいのでしょうか

 近年の世の中の風潮は、教師に対して厳しすぎると言えるでしょう。教師も人間で傷つくということが分かっていないかのようです。
 教師は、たった一つの心ない言葉で寝込むほどのショックを受けるのです。心ない言動に学校は無防備です。
「これ以上、事を荒立てないように、とりあえず謝ってください」と、穏便に済ますようにと促す管理職が多いのも事実です。
「どうせ言っても、相手の心に届かないから」と話し合いを避け、先手を打って謝る教師も増えています。
 当たり前のように学校現場で繰り広げられている光景ですが、正常な対応でしょうか。
 保護者との関係を悪化させず、なおかつ教師の尊厳を保つ方法があるはずです。
 私は、その方法は「教職員間の役割分担」と「シナリオ」だと考えています。
 教師一人では対応が難しくても、教職員間で役割分担をきちんと行い、保護者の特徴や言動の中身を見極めたうえで、話し合いをする前に簡単なシナリオを作成すれば、ある程度の着地点に落とし込めると考えています。
 教師を打ち負かすことにより、自の存在を証明したいという欲求を持っている保護者がいます。
 これまでも何かあるたびに「先生を訴えますよ」と脅し、担任や校長が謝罪に追い込む保護者がいます。
 例えば、次のような例について考えます。
 保護者が予告もなしに校長室に入るなり
「うちの子が掃除をやっているのに、掃除をしていないと担任が注意した。もし謝罪がなければ、訴える」
 と、クレームをつけました。
 今度の新しい校長は担任を呼び共に頭を下げて解決はせず、担任と児童指導主任を呼ぶと、教職員間で役割分担をし、話し合いをするように指示した。
 その子は掃除をさぼっていたが、自分がしらを切り通せば親が何とかするということを学んでいました。
 何人かの子どもの証言を得て、さぼっていたと限定することも可能ですが、不毛な時間を費やすだけです。
「名前が挙がるには、それ相応の理由がある」ということを何とか理解してもらわなければなりません。
 そのためには、どちらの肩を持たない調整役の名演が求められます。時には担任を責めますが、時に保護者の姿勢も正すという役です。
 また、似たような事例で何度も顔を出さないように、スクールカウンセラーにもお願いするのも一つの方法です。
 教職員間で役割分担は、舵取り役:今までの経緯を知っている学年主任、調整役:児童指導主任、冷静な主張役:担任、第三者:スクールカウンセラー
 シナリオのポイントは、
(1)一方的に保護者が悪いと結論付けないで、喧嘩両成敗のスタンスを基本とする。
(2)さり気なく釘を刺しながら、保護者を持ち上げることも忘れない。
(3)話し合いを、子ども成長という方向にもっていく。
(4)話をすり替えようとしたら、舵取り役が元にもどす。
(5)担任を矢面に立たせない。
(6)校長が効果的に登場する。
(齋藤 浩:神奈川県公立小学校教師。日本国語教育学会員、保護者対応に詳しい)

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