カテゴリー「保護者にどう対応するか」の記事

授業や子どもの生活の一部をエピソードとして蓄積し、発信すれば教室を楽しくし、保護者の苦情も少ない

 野口晃男さんは小学校長のとき「学校だより」を書いた。
 子育てに奮闘する保護者と若い教師にメッセージを伝えるためだ。
 小学生を持つ保護者は苦労もあると思うが、子どもに最もメッセージを送りやすい時期でもある。
 「一緒に成長するつもりで、子育てを楽しんで」という思いで野口さんは書いた。
 親が子どもに「学校、楽しかった?」と、親が子どもと会話を切り出すときによくする質問だ。
 しかし、野口さんは、
 「具体性がなく、子どもにとっては難しい質問」と言う。
 「きょうは誰と遊んだの?」の方が数段分かりやすい。
 親も子どもの様子が想像できる。
 最も大事なことは「親がどんな話題に関心を示すかで、子どもは話題を選ぶようになる」こと。
 楽しいことを話すという行為は、その子に「プラス思考」という素晴らしい力を育てる。
 その反対で、親がマイナス面にだけ関心を寄せると、子どもは自分の受けた被害の部分だけを学校から持ち帰ることになる。
 子どもの、わがままとのつき合い方、あいさつや手伝いの大切さなど、家庭で実践できる子育てのヒントが随所に書かれていた。
 たとえば「校長室の窓から62号」には「子どもを悪くする3つの方法」が次のように書かれている。
 入学式で入学のお祝いを述べたあとで、保護者の皆様方に子どもを悪くする3つの方法を話しました。
 一つ目の方法は、子どもの前で近所の人にあいさつをしないという方法です。
 近所の人だけでなく、知っている人にもあいさつをしないようにするのです。
 そうすれば、子どもは間違いなく陰気で礼儀知らずの人間に近づいていきます。
 二つ目の方法は、家の中で手伝いをさせないという方法です。
 家のみんなが働いているのに、遊んでいても平気でいられるような子にするのです。
 そうすれば、子どもは学校でもそうしますから、そのうちに多くの友達からの信用を失い、最後はひとりぼっちになってしまいます。
 特に掃除をさせないのがこの場合の一般的な方法です。
 三つ目の方法。それは子どもの頭を悪くする方法です。
 それは、子どもの前で友達の悪口や、近所の人の悪口や先生の悪口を言うことです。
 この方法が効果的である理由は、とてもはっきりしています。
 お父さんやお母さんが悪く言っている人の話は、どんなに素晴らしい話でも、その子の心に響かないのです。
 いま、皆さんに、子どもを悪くする3つの方法を話しました。
 反対に、子どもを良くする方法はたくさんあります。
 これから一つ一つ実践し、子どもを良くする方法を工夫し、ご家庭の皆様とともに協力して育てていきたいと考えています。
 「一部分でも心に残る部分があればうれしい」と野口さん。
 「学校への批判にどうこたえるか」は、家庭や地域との連携を目指す、学校経営者の目がうかがえる。
 心配する声も寄せられた、雨の中の水泳教室や自転車教室。
 保護者や地域住民の不安を解消するため、実施の狙いや当日の子どもたちの様子など情報公開に努めた。
 36年の教員生活。子どもの純真さは変わらないが、親を取り巻く環境は大きく変わった。
 「車社会によって目的地には早く着くが、手をつないでの親と子の会話などの楽しみをなくした部分も」
 「むだに思えるような時間こそ大切にしてほしい」とアドバイスする。
 野口さんが大切にしている写真がある。
 退職を迎えた中野小の校長室で、子どもたちの笑顔に囲まれた一枚。
 校長室のドアは常に開いていたという。
 「校長だから偉いわけではない。門構えや地位、服装などの見た目で人を判断したり、物おじする人にはなってほしくない」と言う。
 「大切なのは心。一対一で付き合える人間性を養ってほしい」と願う。
 野口さんの教師時代の学校実践の特徴は、次のようである。
 野口さんは、小さいころから叱られることがきらいだった。
 常に叱られない方法、自分が楽しむための方法を考えていた。
 野口さんは教師になっても「その場の中で、できるだけ楽しい方向へ」という発想で実践を行ってきた。
 そのような発想の土台の1つが読書。
 野口さん自身、小学校時代から多くのジャンルの短編本を読んできた。
 多湖 輝の「頭の体操」、「サザエさん」「ふりてんくん」などの本を読んできたことが生きている。
 いたずらや冗談といったことができる姿勢。
 瞬間的に演技し「教室の場を楽しく」するような担任でありたいと。
 そのような教師には保護者からの苦情も少ない。
 学級通信も、長い文章よりは、短くポイントを押さえて書き、発信するように心がけた。
 子どもたちの光輝くものを、忘れっぽいので日々メモをする。写真を撮る。
 そこからポイントを押さえ、瞬間、瞬間の価値を見つけて学級通信の記事にした。
 しゃべることが苦手なので、同じことを何度も言うのではなく学級通信で発信する。
 日頃から、そのようなトレーニングを積み重ねた。文章に赤ペンを入れてくださった先輩の存在も大きい。赤ペンを入れられることを嫌がらなくなった。
 野口さんは教師になってからいつもコンプレックスを持っていた。
 次の新しい学校でもうまくやっていけるだろうか?といった不安をかかえていた。
 そんな時に行ったのは、前任校の資料をとっておき、それを参考にしながら改善点を見つけていくこと。
 よって、資料は基本的に捨てずにとっておいた。
 野口さんのすごいところは、その蓄積力。
 いろんな形で細かく集めて、ためて、それが何かを生み出していく。
 教師になってからも、いずれ来るであろう様々な問題を解決、打開するいろんなアイデアを考えてきた。
 いずれくるであろう苦労を先にやっておく。
 そのようにしておくと、何があってもその場で対応できる。
 野口先生の実践を支えているキーワードは「蓄積力」です。
 授業や子どもの生活の一部を、短いエピソードとして蓄積する。
 そして、それぞれのエピソードの価値を分類・整理し、発信する。
 このようなシステムは、情報の発信を意図した蓄積であり、今後、身につけていきたい技能であると感じました。
(野口晃男:岩手県公立小学校教師、県総合教育センター研修主事・県教育委員会指導主事、盛岡市立小学校校長を歴任。子育て,保護者対応,若い教師の資質向上など役立つ「校長室の窓から」を自費出版、週刊教育資料で校長講話を連載)

 

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親から多いクレームとその対応方法

 サービス社会になって親が学校にサービスを求めるようになった。とうぜん親からのクレームも多くなっている。教育雑誌()には親のクレームについてつぎのような記載があった。
 教師の学習指導力の不足を心配するクレームは多い。中学受験ブームが定着してからは、小学校低学年の親からも学習指導力不足を指摘するクレームが舞い込むという。
 例えば「子どもの算数の成績が急に落ちました。学年が変わって、指導力のない先生に習っているような気がしてなりません。手遅れにならないうちに担任を代えていただきたいです」といったクレームがある。
 クレームは、基本的に親が不安だからいってくることが多いのです。
 親とのコミュニケーションが不足すると、クレームは増えます。ですから、このような不満に対しては、親にきちんと説明責任を果たすのが理想です。
 日頃から学習指導の方針について親へ説明していれば、極端に子どもの成績が落ちないかぎり、大きなクレームはないと思います。
 また、学級通信や親と教師の間の連絡帳でこまめに情報を伝えていくなどの方法も有効です。
 クレームの内容でもっとも目立つのは、教師の生活指導力の不足についての批判である。
 学級運営を円滑に進めていく「生活指導力」が不充分だと、学級崩壊などにつながるので、最近は保護者のほうも敏感になっているようだ。
 年齢が若く、経験の少ない教師の場合は、実際に生活指導力が不足なことも多い。教師になったばかりでは、荒れ気味の子どもたちに対してリーダーシップをとることなどむずかしい。
 相性が合わなかったり、いつも自分が注目されてチヤホヤされていないと満足できない子どももいます。
 そういった子どもには教師はきちんと指導して、ときにはきちんと叱るなどしないといけないのですが、子どものほうは教師への不満が募り、家で親に訴えます。自分の都合のいいように親に伝えて、それを親がうのみにしてしまうケースはやっかいですね。
 このような親子は、繰り返し、それも些細なことでクレームをくり返すことが多いので、教師同士で情報交換して、必要なら教頭や校長などに出てきてもらって、親をなだめて、帰ってもらうようにしています。
 担任相手には、いきまく親でも、教頭や校長など偉い立場の肩書きに弱い親って、けっこう多いんです。校長に文句を言ったということで、それで満足してしまう親もいますしね。
 親からのクレームでいちばん多いのは、担任の頭越しに校長へいきなり連絡がいくものです。
 クレーム内容は担任への不満が多いという。担任に対して直に言うことができないので校長に伝えてしまうというわけです。
 また、なかには担任への嫌がらせとしか思えないクレームもある。
 ふだん担任には笑顔で接していて、いきなり校長の元にきつい抗議をするのです。暗に担任の能力不足を訴えるという心理的な打撃を狙ったものもあります。
 保護者同士でそういう話をしていたりしますから。昔、教師に冷たく扱われるなどして、教師に対して恨みやコンプレックスを持っている親に多いです。
 とくに若い教師にはマジメで繊細な人が多いので、ショックは大きいかもしれませんね。
 このようなクレームは受けたくないからと、自分はなんのクレームも受けていないのに、すごく保護者の動静にビクビクしている教師もいます。
(
)「ザ・小学校教師 別冊宝島」宝島社 2007

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教師をギャフンといわせたいクレーマーには、どう対応すればよいか

 教師を打ち負かすことで、自らの存在を証明したいという欲求を持っている保護者がいます。
「何か教師や学校に落ち度はないか」と、攻撃の機会をねらっているのです。
 やっかいなのは、その計画性としたたかさです。よく周囲の様子を観察したり、自分に絶対的な分があるとき、怒涛の攻めをしてくるのです。
 自らの優位性を示すために準備をしてくるからこそ、対応が難しいといえるでしょう。
 現在、圧倒的に増えているのがこのタイプです。
 教師が対応に苦慮したり、苦痛に顔をゆがめたりする様子を見て、自己肯定感を持つのです。「間違った相手を退治してやった」くらいの感覚です。
「うちの担任ったら、こんな対応をしたのよ。信じられる。まあ、ガツンと言っておいたから、みんなも気をつけてね」
 などという調子です。
 以前、教師の心の傷の程度を調べたことがあります。(神奈川県小学校教師524人)
「とても傷つく」という割合が多かったのもこのタイプです。
「精神的にまいってしまい気分が晴れない」と訴える回答もありました。 
 弱みを見せれば増長し、強く出ればそれを逆手に被害を受けたと訴えてくる場合もあります。
 クレームの内容も絶対的な答えが存在しない問題であることが多い。どうすればよいのでしょうか。
 たとえば、何かその子が問題を起こしたとき、厳しく注意することがあったとします。
保護者「うちの子が悪いことをしたのは分かりますが、注意するにしても、もう少し言葉を選ぶことはできなかったのですか」
教師「悪口がひどかったものですから、今後のことも考えてしっかり指導していくことが大切だと考えました」
保護者「他の言い方はなかったんですか。あれじゃ、先生がうちの子に悪口を言っているようなものです。うちの子に謝罪してください」
 言い過ぎかどうかは、個人の感覚によるもので、絶対的な答えはありません。言った者が勝ちなのです。このような保護者に対する対応術は、
「問題の本質に目をむけさせ、一人では対応せず、保護者自らが線引きしたと錯覚させる」ようにします。
 話し合いは、ここは譲れる、ここは譲れないといった線引きが必要です。
 そこで、あたかも保護者自身が線引きしたかのような錯覚をさせるのです。
教師「そもそも問題の根本は何でしょう?」と、反対に問いかけるのです。ここから先は教師に主導権が移るのです。
主任教師「担任に後で私の方から言っておきます。ここで重要なのは、なぜ子ども同士のもめ事になったのかどうかです。お母さん、思い当たることはありますか?」
主任教師「どうすれば改善できるとお考えですか?」
保護者「私たち大人の姿勢が大切なのではないでしょうか」
 教師が言いたいことを保護者に言わせるのです。
 保護者は自ら口にした線引きは守らなければならず、それ以上教師に悪態をつくことは遠慮するはずです。
(齋藤 浩:神奈川県公立小学校教師。日本国語教育学会員、保護者対応に詳しい)

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けんかしてケガをさせた子どもの保護者に、どのように報告すればよいか

1 よくない対応
 教師が忙しいと、けんかをした子どもたちの話を聞く時間を十分とれないことがあります。そのため、経緯を正確に把握せずにケガをさせた子どもだけを注意するなど、簡単な対応ですませがちです。
 ケガの対応に追われて、双方の子どもから話を十分に聞かずに報告してしまうと、教師の説明と子どもの話に食い違いが生じ、教師の対応に不信感を抱いてしまいます。
 教師の対応についての不満をわが子から聞くと、保護者は、わが子の言い分を十分に聞いてくれていないと感じ、いら立ちが湧いてきます。
 わが子から聞いた話と教師による説明が食い違っていると、教師に対する不信感が高まります。教師に否定的な態度をとるようになります。
2 こうしよう
 けんかが発生したその日のうちに、子どもたちから十分に話を聞き、互いに納得してもらったうえで、ケガをさせた子どもの保護者に報告することが重要です。
 かならずその日のうちに、保護者に先手を打って対応していくことが求められます。
 対応に十分な時間をかけられないと感じた場合は、管理職やほかの同僚教師に協力を要請することが大切です。
(1)ケガをさせた子どもと保護者に説明する内容を確認する
 ケガをさせた子どもの気持ちが落ち着き、話ができるようになるまで待ちます。
 ケガをさせてしまったときの感情を本人に寄り添いながら聞き、理解して子どもとの信頼関係を築きます。たとえば、
「〇〇くん、話をしてくれてありがとう。いま話してくれたことを、少し整理させてもらうよ」
「いま確認した話を、先生からお家の人に話そうと思うけど、いいかな?」
「○○くんからも、お家の人に話せるかな?」
(2)教師の推測を含めず、子どもと確認した事実を保護者に正確に伝える
 たとえば、
「今日あったことについて、○○くんから何かお話はありましたか?」
「話が重複するかもしれませんが、確認のため、私からもお話しさせてもらってよろしいですか」
 子どもがすでに話をしている場合には、どんな話を聞いたのか、保護者に尋ねてもよいでしょう。その内容に適宜修正を加えながら、状況を説明します。
(3)今後の対応と保護者との連携について一緒に考える
 学校での配慮の仕方、家庭での接し方、ケガをした子どもやその保護者への対応などについて、保護者の考えを聞きながら、一緒に考えます。たとえば、
「○○くんは、今とても動揺していると思います。明日から○○くんのようすを見守りたいと思います」
「ケガをした△△くんやご家族も心を痛めてらっしゃると思います」
「子ども同士、保護者の方同士の今後の関係にも影響が出てしまう可能性がありますので、できれば、お母さまから△△くんのご家族の方にご家族の方にご連絡をしていただきたいのですが」
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭・教育相談員を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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子ども同士のトラブルが原因で、保護者間のトラブルに発展したとき、教師はどう対応すればよいか

 子ども同士のトラブルをきっかけに、保護者同士のトラブルに発展することがあります。
 保護者は、わが子が話した情報を信じ、悪いのは相手の子どもであると考えがちです。
 実際は、どちらが悪いというように簡単に整理できるものではないことが多い。
 教師が善し悪しを判断する審判の役割をしてしまうと、双方の保護者から不信感を抱かれることになりかねません。
 教師は、双方の保護者の気持ちを十分に理解したうえで、納得できる折り合い点を見つける手助けをする、という姿勢で臨みます。
1 よくない対応
 教師が相手の保護者をかばうような発言をしてしまう。
 保護者の誤解や、情報不足が原因で関係がさらに悪化しないようにするため、教師は食い違いを正そうとして、結果的に相手をかばうような発言をしてしまいがちです。
 たとえば、
保護者A「うちの子が先にボールで遊んでいたら、マサシくんがボールを勝手に持っていったんです」
教師「そうですか。でも、マサシくんは、仲間に入れてもらえなくて、ボールを取ってしまったようなんです」
保護者A「じゃあ、うちの子が悪いっていうんですか!?」
 教師が客観的な根拠を示して説明をしても、保護者は、相手側の言い分を教師は信じるのだと感じます。
 保護者は感情的に納得することができず、相手の保護者や教師に対する不信感まで高まってします。
 保護者は「教師は平等に対応しない」という色メガネで教師を評価するようになります。
 教師の言動を常にネガティブに解釈してしまい、批判をするようになります。
2 こうしよう
(1)双方の保護者の感情を十分に受け止め、冷静さを取り戻させる
 どちらの訴えが正しいのか、間違っているのか、白黒をつけようとしない。
 まずは、双方の保護者の言い分を十分に受け止めることで、高ぶった感情を落ち着け、冷静さ取り戻してもらうようにします。
2 今後の行動について話し合う
 教師は事実だけを憶測を交えずに話す。
 そのうえで、子どもたちをどのように指導・支援するのか、保護者にはどのような対応をお願いしたいのかを確認する。たとえば、
教師「(事実を話した後)、学校では、2人とも楽しく休み時間を過ごせるように支えていきたいと思います。それぞれのご家庭でもサポートをお願いしたいと考えています」
保護者A「わかりました。マサシくんの気持ちについて、シンジと考えようと思います」
保護者B「納得できないときは、まずは言葉で気持ちを伝えることを、教えていきたいと思います」
3 保護者同士の今後の関わり方を具体的に確認する
 些細なトラブルであっても、一度もめ事に発展してしまうと、お互いに気まずさや不信感を拭い去ることはむずかしいものです。
 そのような感情をできるだけ残さず、学級に関わってもらえるように、対応策を一緒に考えます。たとえば、
教師「お二人には、今後ともぜひ、ご協力いただきたいと思っています。いかがですか?」
保護者A,B「子どものことでまた何か気になることがあれば、こじれる前に確認し合えるといいかもしれません」
 保護者同士の問題は、双方の話し合いで解決してほしい、深入りしたくないと感じるかもしれません。
 しかし、保護者はお互いの状況が見えず、どうしてよいかわからないということがあります。
 学校で起きたことだから、教師に助けを求めてきたのだと考えて、ていねいな対応をすることで、保護者との信頼関係を深めるきっかけにつながります。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭・教育相談員を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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理不尽な保護者との対応で大切なのは、一人で対応せず教職員が役割分担すること、戦略的なシナリオを考えること

 理不尽な保護者の対応で大切なのは、まずは一人で対応せず教職員が役割分担することです。
 私は教師になって30数年ですが、理不尽な保護者の対応を、たった一人で対応して傷ついたり、余計に問題を大きくしたりしたケースが多々ありました。
 ある教師は「一人で対応せざるを得なかったのは、誰も助けてくれなかったからです」と言っていました。
 先輩教師が入ることで、保護者を諭してくれたら、どんなにか助かったことでしょう。
 例えば、誰かが嫌われ役を買って出て「それは、お母さんにも責任があります」と、ズバッと言ってくれたら、危機を乗り切ることもできたはずです。
 私が知っている範囲でも、誰もフォローしてくれずに孤立し、最終的には辞めざるを得なくなった若手教師が何人もいます。
 若手教師と先輩教師とのコミュニケーションが不足し「助けを求めてこない」と先輩教師は言います。
 職員室では、教師がお互いに余計なことを言って「ウザい」と思われないかと気にしています。
 若手教師もベテラン教師も一人で対処せざるを得ない状況に陥っているのです。
 他の教師が誰も助けてくれないとしたら、教師の取る手だては「申し訳ございません」と、ひたすら謝り続けることしかできません。
 それが事態の解決にならないと知っていても、そうするしか選択肢がないからです。
 複雑化した要望や要求がエスカレートする難しい問題であれば、とても担任が一人で対処できるものではありません。
 理不尽な保護者の対応は、教職員がチームで役割分担するようにします。教職員全員で役割を分かち合えば、その痛みは分散されます。
 もう一つ理不尽な保護者の対応で大切なのは、シナリオを考えておくことです。
 教師は保護者に「誠意をもって接すれば、何とかなる」と思い込んでいる節があります。
 確かに多くの場合、何とかなるのですが、何とかならないケース存在します。
 保護者の対応は、戦略を立てるべき時期にきていると思います。
 保護者の特徴や訴えを理解したうえで、シナリオを考えることが不可欠です。
 例えば、シナリオは、想定問題集を作るようなものです。
 保護者がどんなタイプで何を求めているのか分析し、事前にシナリオを考えることが不可欠です。
 そうすれば、役割分担も適切なものになるでしょう。
 過去の事例についても、どのようなやり取りがあったのか記録し、次に生かすことも求められます。
 事例の蓄積が、次の対応のヒントになることもあるでしょう。
 やはり、教職員の役割分担と戦略的なシナリオは欠かせない方策となるはずです。
(齋藤 浩:神奈川県公立小学校教師。日本国語教育学会員、保護者対応に詳しい)

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保護者への対応が苦手な私がどのようにして苦にならなくなったか

 保護者への対応は、教師になった私にとって苦手な分野だった。
 もともと人と積極的に交わるタイプではないし、交友関係も広いわけではない。
 そのような私は、保護者と話すことは、とても気が重かった。
 特に、うまく指導ができていない子どもの保護者に対しては「何か言われるかも」と苦手意識が先立ち、余計に口数が少なくなった。
 しかし、私は保護者に助けられた。
 どうしても、その日に渡さなければいけない集金袋を配布するのを忘れて、一軒一軒、夜にバイクで渡したことがあった。
 あとで、保護者から「あの時に、ずいぶん責任感のある先生だと思った」と話された。保護者が新任教師を育てているようなものだった。
 保護者対応が苦手といっても、何も工夫しなければ、ずっと苦手なままである。
 私が新任の時には、授業力向上を優先していたので、そのまま半年が過ぎてしまった。
 そんななか、地区のPTAバレー大会が11月にあるので、その練習の誘いを受けた。毎年若手教師も何名か参加しているという。
 運動が得意なわけでもなかったが「まずは参加してみることが大事」と考えた。
 実際に参加してみると、大きなメリットがあった。
 まず、一緒に運動をすることで親近感が生まれ、保護者との距離がどんどん縮まった。
 そうすると「教師と保護者」という関係ではなく、「大人と大人」の関係になり、雑談もできるようになった。
 担任している保護者もいて、懇談会や家庭訪問の時とは違い、わりと気軽に話せるようになった。
 それまでは、保護者というのを意識しすぎて「何か言われるのでは」と構えていたのかもしれない。
「子どもをよりよく成長させたい」という思いは同じなんだから「パートナー」と考えればいいのだと思うようになった。
 不思議なもので、見方が変われば対応も自然に変わってくる。
 保護者から「〇〇してくれませんか」と注文を受けた時にも「自分が責められているのではない。子どもたちの成長のために言っているんだなあ」と思うと、素直に受け入れられた。
 保護者との距離が縮まると、積極的に連絡をするようになった。
 子どもたちの成長が見られたには「今日の○○くん、すばらしかったです。というのは・・・・」というように連絡帳に書くようになった。
 わが子の成長ぶりを聞いて、喜ばない保護者はいない。
 苦手だった保護者対応にも、少しずつ手ごたえを感じるようになった。 
(佐藤正寿:1962年秋田県生まれ。岩手県公立小学校副校長。「地域と日本のよさを伝える授業」をメインテーマに教材開発に力を入れている)

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教師の指導に不満を感じ、教育委員会に連絡すると言われたとき、どうすればよいか

 近年、学校で問題があったり、教師の指導に不満を感じたりしたときに、教育委員会に連絡しますと口にする保護者が増えています。
 教育委員会がサービス機関的な存在だと保護者に認識されるようになっています。
 実際に、保護者が教育委員会に訴えると、教育委員会は即座に対応し、保護者の訴えを聞き、その旨を学校に連絡しますので、こうしたケースが増えています。
 保護者がどのようなことに納得していないのか、担任に話しづらいことがあったのか、できれば担任として直接会って話を伺いたいなど、ていねいな対応に心がけます。
 そして、保護者から聞き取った話の内容については管理職に伝えます。
 よくない対応は、保護者からの訴えに、あいまいな返答を繰り返すことです。
 教育委員会に連絡すると言われると、教師はあわててしまいがちです。
 その結果「担任として努力します」といったあいまいな返答をしてしまい、保護者のせっぱつまった思いに寄り添った対応ができないことがあります。
 保護者は、すぐに対応してもらえると考え、期待したような努力をしてくれない、問題の重大さを認識していないと感じると、学校への不信感が急速に高まっていきます。
 次のように対応しましょう。
1 担任としての対応のまずさを、まずお詫びする
「お子さんの気持ちを十分に理解できず、申し訳ございません」
「一度、お話し合いの機会を持たせていただけませんか?」
 保護者から厳しい言葉をあびせられるかもしれません。
 まず、保護者の不安な気持ちを十分聞き、わびるところは素直にわび、保護者の気持ちを受けとめる姿勢を示します。
 保護者の不安を少しでも軽減させることが求められます。
2 話し合いの場を設定し、子どもへの対応を確認する
「学校にお越しいただき、ありがとうございます」
「私の対応に不備がありましたことをお詫びいたします」
「今日は、私の指導についてお話しをし、担任として改めるべきことをご指南いただきたいと思います」
 保護者も教育委員会に話をすることは勇気を必要とします。
 保護者が担任や学校に望む対応を直接面接して確認し、お互いの認識の差をうめることが大切です。
3 学級として確実に対応することを伝え、信頼関係の構築を図る。
「お子さんの様子をお聞きし、自分でも厳しすぎたと反省しています」
「今後は、子どもたちの考えを取り入れて、楽しく過ごしていきたいと考えています」
「お子さんを不安にさせてすみませんでした」
 保護者はわが子が元気に毎日、学校に通うことが何よりの喜びです。
 指導方針はきちんと持ちつつ、過度な指導にならないよう注意します。
 子どもの学校でのようすを見てもらうだけで、保護者の理解を得られることがあります。
 保護者に学校参観を促したり、連絡帳でこまめに子どものようすを伝えたりするなど、指導の様子を発信する努力が必要です。
 保護者会で教師が積極的に自己開示することも、保護者が教師に相談しやすい関係をつくることにつながります。
 保護者からの訴えが教師一人では解決できない内容だと考えたら、一人で悩まず、学年主任や管理職に相談することが大切です。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学総合科学学術院教授。15年間公立学校教諭・教育相談員を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

 

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教室でケンカが起きたとき、保護者とこじれないようにするには、どのように保護者に伝えればよいか

 教室ではケンカが起きる。ケンカが起きないクラスはあり得ない。
 ケンカでJくんがKくんにケガをさせてはまったとしよう。
 この責任は誰にあるのか?
 最も責任が重いのはJくんではない。では、誰か? クラスの担任である。
 だから、Kくんの保護者には、当然、担任も謝罪する必要がある。
 また、Jくんの保護者にも、担任が謝罪する必要がある。Jくんを加害者にしてしまったのは、担任の責任なのだ。
 教室で起こったことは、全て担任の責任である。
 そのことを強く自覚しておけば、素直な気持ちで謝罪できる。
 頭を下げて謝罪すれば、保護者も悪い印象は受けず、大きな問題には発展しない。
 それなのに、Kくんの保護者に「ケガをさせてしまって、大変申し訳ありません」と言えない教師が多い。
 また、Jくんの保護者に「Jくんが友だちにケガをさせることになってしまい、大変申し訳ありません」と言えない教師は、もっと多い。
 だから、話がこじれてしまうのだ。
 苦情の対応がまずくて大問題に発展したら、もっと面倒くさいことになる。
 先行投資して、予防をしておこう。予防が大切である。
 最初を面倒くさがると、後がものすごく面倒くさくなる。
 最初に楽をすると、後々面倒くさい事態に発展してしまうことが多いということを私は経験上、知っている。
 最初の対応を面倒くさがって、後でもっと面倒くさい目に遭う同僚をたくさん見てきたからである。
 後で「ものすごく」大変な思いをするぐらいなら、先に大変な思いをしておいた方が楽だ。
 面倒くさいと思う気持ちを我慢し、時間と労力を先に使って、家庭訪問をしておこう。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

 

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保護者から「通知表に納得がいきません」とクレームがあったとき、どうすればよいか

「今日いただいた通知表について説明してください」
「国語の評価について保護者に分かるように説明してください」
「これまでの授業からして今回の評価は納得がいきません」
などと、保護者からクレームが寄せられたとき、基本的には次のような対応が求められるでしょう。
(1)保護者の申し出をまず受け止める。
(2)「何に問題がある」と考えているか理解する。
(3)言い訳や説得をしようとする態度はとらない。
(4)学級担任一人での対応にならないにする。
(5)成績処理の仕方について整理し、日頃の授業の方法や成績に対する根拠を具体的に説明できるようにしておく。
 通知表に対する保護者の思いは、学級担任が悩んで評価しているのと同じように、子どもへの心配と期待からきているのです。
 その評価に納得がいかないとなれば、担任への相談、苦情があるのも当然のことです。
 通知表を、これまでの授業評価を振り返る場とし、所見と評価が一貫性をもったものになるように心がけましょう。
 子どもにとっても、通知表は学びの証となる宝であり、いつまでも大切に扱うものです。
 その意味でも、保護者に誠実に対応し、
(1)評価に対する説明責任を果たそう。
 通知表はテストの点数はもちんのこと、製作物、実技、日頃の授業への参画態度、関心、意欲にいたるまでを積み重ねて評価してものです。
 その根拠を明確に示して、具体的な例をあげて説明できるようにしておきましょう。
 保護者には、学期のはじめに評価の仕方を伝えておき、学期末の保護者会では、改めて評価の見方を知らせましょう。
 オープンにできることはオープンにし、保護者に分かるように説明責任を果たすことが大事です。
(2)評価の根拠となる資料を日頃から蓄積しておこう。
(釼持 勉:東京都公立高校・小学校教師、教育庁、小学校長を経て、帝京大学教育学部教授、帝京科学大学教授)

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