カテゴリー「保護者にどう対応するか」の記事

子どもを別のクラスに替えてほしいと要求する親にどう対応すればよいか   諏訪耕一

 事実を認めようとしなかったり、無理な要求をしたりする親に出会うことがあります。
 そのような親は、問題を抱かえていて余裕がなかったり、困って助けをもとめているのではないかと私は思っています。
 モンスターになる背景を考えながら対応する必要があります。
 例えば、子どもを別のクラスに替えてほしいといった要求には、本人のみクラスを替わったらどうなるか、どんな長所・短所があるのかを、親と一緒に考えてみるとよいと思います。
 子どもがよけい苦しい立場に立たされることに気づけば、親もよりよい解決方法を一緒に考えられるようになるでしょう。
 人々の考え方、生き方が多様化しています。
 自己中心的な、利己的な考え方は道理が抑制されそうで私は心配しています。
 いろいろな考え方や生き方を受け入れることができる基礎条件の一つは、他者の意見を聞くことができることです。
 他者の意見も聞き、自他の併立を図れることが必要なのです。
 私は、モンスターペアレントの要求に対して、何とか現実の学校のしくみと教育の基本を親に理解してもらうべく努力している教師の姿が見られて、意を強くしています。
 このような教師たちの存在でもって、世間を動かしてほしいと思います。
 教師が「みんなのことを思いやる」子どもの育成に邁進する学校がこれからも続くことを期待しています。
(
諏訪耕一:1937年愛知県生まれ、元愛知県公立中学校教師。長野県に不登校の子どもの回復施設「浪合こころの塾」その後「浪合こころの相談室」を開設した)

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保護者との対応で教師が燃え尽きないためには、どのようにすればよいか

 教師が燃え尽きないためには、日ごろから教師と保護者との信頼関係の形成を図ることが重要なポイントになります。信頼関係とは「この人なら自分の思いや悩みを話しても大丈夫」という関係である。そのためには保護者の関心に寄り添って誠実に傾聴することが何より大切となる。さらに
1 保護者への連絡はていねいに、こまめにする。
2 問題があったとき
 (1)
初期対応が肝心である。迅速かつ誠意ある対応をする。
 (2)
すばやく事実確認をして、説明責任を果たす。
 (3)
問題が広がりを見せる場合には複数の教師で対応する。
 (4)
問題が深刻な場合は、電話や連絡帳は避け、直接会う。
 (5)
具体的な対応策を示さず「様子をみましょう」と言うことはやめる。
3 子どもを育てるために、教師と保護者が「協力し合うパートナーとしての関係」を築く。
4 教師と保護者との「目標を一致させる」ように努める
  
子どもの問題をめぐって、教師と保護者との目標が一致しないと混乱をまねくことがよくある。保護者の訴えを「何が問題なのか」を明確にする。訴えの根底にあるものが、子どもの課題なのか、それとも保護者自身の課題なのかを見きわめる。保護者に病理性の疑いがある場合には、教師が「保護者と関わる距離を定める」ことが、教師の燃え尽きを防ぐうえで重要となる。
5 保護者の訴えの「背後にある思いや願い」に気づく
 常識を超えた要求や攻撃的な訴えの根底に、保護者自身の不安や悲しみが潜んでいることも少なくない。表面的な言葉だけでなく、言葉の背後にあるものに思いを向ける必要がある。保護者の訴えが理解できず消耗感や無意味感が教師に増幅されると燃え尽きることがよくあるので、理解をどう深めるかが重要である。
 教師としての役割から離れ、一人の人間として自己開示して語ることで保護者の気持ちを引き出すことができることもある。
6 教師自身の自己理解を深める
 燃え尽きやすい性格として、
(1)
手を抜けない、責任感が強い、一人でがんばる
(2)
理想に燃え「こうでなくては」という「べき思考」に駆り立てられる
(3)
他者の期待に応えようとするあまり、必要な自己主張を我慢してしまう
(4)
妥協することが苦手
 
ということがあげられる。
 自分が縛られている固定的な見方を点検し、視点を少しずらすことで気持ちが楽になったり周りが見えるようになると、燃え尽き防止につながる。
7 組織的に対応する
 解決できないように見える問題を解決するには、教師集団の知恵を集めることが必要になる。学校で対応できる範囲を超えた問題は、関係機関との連携を検討する。
 カウンセリング的な受容・共感の対応と現実原則に基づく指導的・法律的による対応のバランスをとることが求められる。
 難しい問題には、キーパーソンを明確にし、一人で抱かえ込まずに役割分担して組織として対応していくことが燃え尽き防止の観点からも重要である。 
(
古川 治:1948年生まれ、大阪府公立小学校教師・指導主事・校長、東大阪大学教授を経て、甲南大学特任教授
)



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教師が親にクレームをつけられないためにはどうすればよいか

 親にクレームをつけられないようにするにはどうすればよいか、多賀幹子はつぎのように述べています。
 クレームの集中砲火を浴びせるモンスターペアレントと呼ばれる親がいる。

 東京都内の小学校のある教師は、かすり傷を負った子どもの親から「絆創膏をはるほどのケガなのに、なぜ親にしらせないのか」と電話でどなりつけられた。
 親はさらに学校を訪れ、教師を数時間にわたり叱責した。
 教師はその夜から眠れなくなり、うつ病と診断された。

 教師の真摯な取り組みや地道な努力を踏みにじるモンスターペアレントには心から憤りを感じる。
 誠実な教師ほど苦しんでしまうのだろう。

 小・中学校で親の対応が増えて神経を痛め、休職や退職に追い込まれる教師が増えている。
 授業の準備時間が足りないという教師も7割を上回る。

 クレームで最も多いのは、「うちの子をいじめた子を転校させて」といった、自分の子どもを最優先させるタイプである。
 こうした親に共通しているのは、孤立と孤独だろうと思う。
 楽しく充実した毎日とはほど遠い生活を送り、欲求不満を募らせている。
 善意の集団である学校は、苦情を持ちこむにはうってつけの場所なのだ。

 これに対して、各教育委員会などが、支援制度や支援チームを組んで、対応に乗り出し、ある程度の抑止力になっている。
「しっかりした制度」は親のモンスター化を防止するかもしれない。忙しい教師にとって願ってもないことだ。

 岩手県の苦情対応マニュアルでは、身構えることなく、事実をもとに冷静に対処する。
 言い分を十分聞いたうえで正しい情報を伝える。
 プライドの高い親には、発言を無視されると攻撃的になるので丁重なあいさつなどに留意する。
 愉快犯型の親は、苦情などにとまどう様子を見て快感を得ようとするので、決して一人では対応しない。
 金品を要求してくる親に対しては、毅然とした姿勢を貫き、警察と連携を密にとる。
 といった対応が示されている。

 かつては、「子どもが好き」で教師の仕事を選んだ人が多いが、クレーム社会となった今は、子どものことをやっていればよい時代ではなくなった。
「子どもや親と関わることが好き」でなくてはいけない時代になっている。
 教師は、子どもにとってプラスになることを親とともに考える、という姿勢を持つことが大切になってきた。

 教師と親の対立でもっとも損害を被るのは子どもたちである。
 子どもたちのためなら教師と親は協働できるはず。
 教師は親からのクレームにたじろがないでほしい。

 むしろ、ふだんから親とのコミュニケーションを積極的に取ってほしい。
 子どものプラス情報を、ここぞというときに親に伝えてほしい。
「先生はちゃんと見ていてくれたんだ」
「気がついていてくれるんだ」
 と感じることほど、親に信頼感を持たせることはない。

「うちの子は大事にされている」と感じ取れば、クレームをつける親などいないだろう。
(
多賀幹子:広告会社の編集者を経て、フリージャーナリスト。女性・教育・異文化を取り上げる)




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親の要望・苦情に対して、教育委員会の手引をもとにした対応のポイント

 親の要望・苦情に対しては、大阪市教育委員会の手引(大阪大学の小田野教授が協力)をもとにした法的な対応も前提にした対応のポイントは
1 適切な初期対応
(1)
相手の主張をまずは最後まで丁寧に聞く
(2)
その時点での事実をつかむ(事実と、思い込みや推測、感情との区別)
(3)
相手の要望・苦情の趣旨をつかむ(誰に対して、何について不満を持っているか、何を求めているのか)
(4)
加害者や被害者といった関係者のある場合は、双方の言い分を聞く(一方だけで判断しない)
(5)
その日のうちに動く(場合によっては即刻の対応が求められる)
(6)
管理職に報告・相談する
(7)
詳細に記録を残す
(8)
即答できないことは後日返事をする。(迷うときは即答を避ける。明らかに謝罪すべきことは、その場で謝罪する)
2 事実の確認
(1)
時系列で事実を正確に整理する
(2)
複数で対応する
(3)
記録を残す
3 組織的な対応
 管理職は正確な事実確認とそれに基づいた判断をすること。
 教職員を孤立させず、心情を理解しながら支えること。
 親の訴えに真摯に向き合うこと。
 そして組織的な対応をリードすることである。
(1)
当該の教職員だけで対応させないようにする(時間的、精神的にかなりの労力になるため)
(2)
対応内容と課題を整理・分析し、対応策を共有する
(3)
対応窓口を明確にする
(4)
適切に情報を管理する(外部に漏れないようにする配慮が必要)
4 関係機関との連携
 管理職を通じて、教育委員会に報告・相談をする。
 内容により、教育センター・児童相談所・保健福祉センター・警察などとともに解決に向けて動く必要がでてくる。
(
渋井哲也:1969年生まれ、ライター、ジャーナリスト、ノンフィクション作家)




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子どもや親とのコミュニケーションのポイントはメンツや自尊心をつぶさない  田中和美

 子どもや親とのコミュニケーションについて田中和美はつぎのように述べています。
 経験が浅い教師にとって、十人十色の子どもたちやその親ときちんとコミュニケーションをとることは容易なことではありません。
 これまで、うまくいったコミュニケーションの経験を自分のひとつの「型」にして、相手の反応が予想と違ったら、軌道修正していくことが考えられます。「型」を意識してみるのです。
 ここでポイントにしたいのは相手のメンツや自尊心をつぶさないということです。
 たとえば、親への電話で、つぎのようなサンドイッチの型にしてコミュニケーションをとります。
「お伺いしたいことがあります」+「要件」+「お伺いしてよかったです」と、肯定的にコミュニケーションすることを意識します。
 子どもの指導は、まず、子どものいいところをしっかりと認める。これがとても大切です。
 たとえば、机間巡視でつぎのように声かけします。
「ここまでは、出来ているよ」+「指導」+「こうやってごらん。あと少し」
 体育の時間は体操服に着替えるのがルールなのに、着替えないで出て、サッカーをしていたとします。
「こら、ルール違反だぞ!」と言っても、ルール違反をわかっていてやっているのでだめです。そこで、
「おっ、サッカーやる気あるな。でも、ルールがある。着替えて来い!」と言えばどうでしょう。
 指導するときに、認めるなど一言を入れるようにします。
 コミュニケーションする順番は、まず、いいことを言ってから、課題を続けると相手は聞きやすくなるものです。
 相手の自尊感情に敏感であれば、教師の思いは通じるものです。
(
田中和美:元大阪府公立中学校教師、教育委員会相談員)

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保護者に「校長に会わせろ」といわれたらどうすべきか   星 幸広

 保護者に「校長に会わせろ」といわれたらどうすべきか星 幸広はつぎのように述べています。
 旧態依然として要求どおり正直に校長が会っている学校がまだまだ多い。
 これでは、相手の思うつぼである。
 相手対校長の構図となり組織として対応できなくなる。これではいけない。
 相手対学校という組織対応の型にもっていくことである。
 相手が「校長に会わせろ」と声を荒げても、「この件は私が任されていますから」と教頭が別室で対応してしのぐべきである。
 教頭が別室で対応している間に、校長は時間的余裕をもって、当事者から事実の確認ができるし、教育委員会の指導も受けられる。
 学校としても校長を中心に意思の統一も図れる。
 また、相手の意図も把握できるし、対応の準備や心構えができる。
 その結果、学校としては組織の総合力を駆使して相手と対応することができるのである。
 「校長に会わせろ」などと剣幕が強ければ強いほど、その親は、子どもに対する愛情が深いのだなと思えばよいのである。
 学校として「子どもを愛する」姿勢に自信がありさえすれば、親と対等である。親の苦情などに何らひるむ必要はない。
 日頃から「子どものために」自分は頑張っているということに自信をもっていれば、内面から自分を支えてくれるものである。
 日頃の自分のあり方が肝心なのである。
 日頃、子どもに対して愛情と情熱を持って接していれば、教師のその誠実さは、子どもを介して、必ず親に伝わるものである(不誠実であれば、不誠実が)。
 親は自分が人にほめられるよりも、子どもがほめられる方がよりうれしいのが親心である。
 ときには短時間で理解されることもあれば、長い時間を要することもある。
 要は継続することである。
 親は必ず、担任や学校のよき協力者に変わるであろう。
(星 幸広:元千葉県警察署長等を歴任し、子育て・しつけや学校危機管理に関する講演を全国的に展開している)

 

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子どもを叱ったとき、保護者からクレームがこないようにするにはどうすればよいか

 教師として保護者に望むことのひとつは、「親は自分の子どもことだけではなく、他の子どものことも考えてほしい」である。
 こう思うことが教師にとってしばしばある。
 しかし、親は自分の子どもが一番かわいい。
 どの保護者でも関心は常に自分の子どもにあるということを教師は常に頭に置いておくことが大切である。
 子どもが叱られて帰ってくると連絡帳にクレームを書いたり、すぐに電話をかけてきたりする保護者がいる。
 このような保護者とは、信頼関係をできる限り早くつくるようにしなければならない。
 こういった保護者の子どもを叱る場合、特に気をつけておきたいことは、「子どもに納得させる」ことである。
 子どもが少しでも納得いかなければ、必ず保護者から連絡があると思って間違いない。
 叱り方には注意して、決して大きな声で怒鳴ったりしてはいけない。
 そのような叱り方をすれば、子どもは冷静に教師の話しを聞くことができなくなり、叱られたことに納得することはできない。
 したがって、できる限り穏やかに叱り、最後に必ず「何が悪かったか、なぜ叱られたのか」を本人の口から言わせる。
 そして、子どもが元気に笑顔で下校することができるように配慮することが大事である。
 保護者が担任の人柄が分かり、指導方針に賛同し、担任を信頼するようになれば、熱心な保護者ほど頼りになるものはない。
 私も何かあるとすぐに電話をかけてくる保護者がいた。
 大方は私の指導に対する不満であった。
 しかし、何度も話をしたり、連絡帳でやりとりしているうちに親しくなり、信頼関係ができてからは、子どもに対して効果的な指導ができるようになった。
 子どもを叱っても、保護者の理解が得られなければ、いくら叱っても効果が少ない。
 効果的に指導できるようにするためには
(1)
子どもを叱った日には保護者に電話する。
(2)
子どもが暗い顔をして下校した日には学校の様子を連絡する。
(3)
子どもの良い行いが目にとまったら、連絡帳で伝える
(4)
保護者のクレームは可能なかぎり、学校に来てもらうか、家庭訪問して直接聞くようにする。
 まずは、保護者の言い分を聞くことに徹する。
 親しみのある態度で話をする。
 話の中で子どもの良さを言い、向上の期待を伝えるようにする。
(
中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教師を経て、奈良市立小学校校長)

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事故が起こったとき保護者に対してどのように対応すればよいか

 困ったなと考えず、保護者と信頼関係を築くよい機会と前向きに受け止めることである。
 親は人それぞれ異なるものさし(基準)を持っている。
 これを理解することが、相手の立場に立ったスタートなのである。
 親を変えることができる。教師に子どもがほめられるとうれしいのが親心である。
 日ごろ、子どもに対する愛情と情熱を持って接していれば、教師のその誠実さは、子どもを介して必ず親に伝わるものである。
 人間は攻めに強く、守りに入ると弱いという習性を持っているものである。
 どのような場合でも、攻める気持ちを忘れないことだ。絶対にひるまないこと。
 事案が発生した場合、より早く校長に報告が届き、校長が事実を正確に把握して、正しい判断をすることが大切である。
 これを誤ると打つ手がすべて後手となり、学校の対応のまずさに外部から大きな非難をあびることになる。
 詫びると決めたら説明責任を果たし、徹底して親が感心するくらい頭を下げることが大切。
「校長先生にそこまで頭を下げられたらどうしょうもないな」と言わしめるまで。中途半端だと「しっかり謝れ、なんだその頭の下げ方は」となる。
 また、詫びないと決めたら最後までひるむことなく、毅然とした態度をとること。
 校長の方針がブレると、もっと傷口を大きくする。
 つぎに、教職員全員に「何が起きたのか」緊急事態の発生を周知徹底し、子どもの安全を確保する手だてを組織的に迅速に講ずることである。
 そのために、職員室の黒板に新しい情報や判明したことを誰でも書き加えていくことである。
 さらに、教育委員会、警察など関係機関に連絡し、指導を受けると共に、連携を図ることが大切である。
 事案によっては親に緊急事態の発生を知らせ、子どもの引き取りや安全な下校の措置をとらなければならない。
 親からの問い合わせに説明が異ならないよう、電話受理体制を確立する。
 もし、負傷者が出た場合は、親にかかりつけの病院があるか確認し、速やかに医師の診断を受けさせる。
 親への第一報は極めて大切で、今後の話し合いの成否を左右するといっても過言ではない。
 何よりも大事なのはスピード。
 誠意ある素早い対応が、その後の責任追及を緩和した例は極めて多い。
 緊急事態が発生したときは、正確さより早さを優先すべきである。
 正確さは後で補正できるが、早さはカバーできない。
 悪い状況というものは、時間が経過すればするほど拡大し、手がつけられなくなるものだ。そうなると解決の選択肢も限られてしまう。
 事案が発生したらならば、今の時代、必ず訴訟を起こされるとの心構えで事に当たらなければならない。
 法廷に立ったとき、親からの苦情を受けたとき、自分を守ってくれるのは、経過を記したメモである。
 客観的事実のみを箇条書きにするとよい。
 記録がなければ誰もその事実を証明してくれない。
 公式に認められるのは言葉ではなく文字。そのメモが後日、免責の契機となることもあるのだ。
(
星 幸広:元千葉県警察署長等を歴任し、子育て・しつけや学校危機管理に関する講演を全国的に展開している)

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担任が保護者に最も好かれることとは何か

 保護者に好かれる担任についてのアンケートで不動の1位は、
「うちの子をよく見てくれている」
 ということです。
「この先生は、うちの子をよく見てくれている」
 これが保護者から信頼される担任の最大の特徴です。
「最近、うちの子はどうでしょうか?」
 と、保護者から聞かれて
「ええ、うまくやっていますよ」
 という返事だけではもの足りません。
「うちの子をよく見てくれている」とは、細かな点までよく情報をもっているという意味です。
 具体的なエピソードを思い出せなければ意味がありません。
 そうならないためには、気づいたことはメモしておくクセをつけておくことです。
 具体的な情報がたくさん得られます。
 まめに保護者に連絡することも心がけましょう。まめさが重要です。
「よく見ている」「連絡する」という姿勢を伝えるのが重要です。
(諸富祥彦:1963年福岡県生まれ、 明治大学文学部教授。「現場教師の作戦参謀」として、抽象的ではない実際に役立つアドバイスを先生方に与えている。「教師を支える会」代表)

 

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保護者からの苦情をこじらせないようにするにはどのようにすればよいか

 大阪大学(小野田正利教授)の調査(2005)によれば、保護者対応のむずかしさを日頃から感じると答えた教師は全体の九割に達した。
 「担任を替えろ」といった保護者の申し入れに「聞くことすら嫌だ」と思う教師は多い。
 事なかれ主義の教師など、申し入れへの対応力が乏しい教師は、
 保護者の言っていることが嫌だ、
 どう対応すればよいか判断ができない、
 他の教師や管理職に相談するのは恥ずかしい、
 などと考え、保護者を態度や言葉による圧力で一方的に押し返そうとしてしまう。
 こうした教師の初期対応は、保護者に対する思いやりがなく、保護者の逆鱗に触れ、自ら問題をこじらせてしまう。
 保護者からの苦情によるトラブルを未然に防ぐためには、まず教師の姿勢を変えなければならない。
 それによって多くの問題の解決が図れる。
 トラブルを引き起こす原因のひとつに教師の高いプライドがある。
 そのプライドのため、保護者から強い口調や強硬な態度に出られると、教師は形勢をばん回しようと、日ごろ子どもを相手にしている癖で、無意識のうちに保護者に教えたり叱ったりする立場に立ってしまい、それが態度と言葉に出てしまうのだ。
 その結果、保護者は教師にバカにされたように感じ、さらに怒ってしまうことも多い。
 せめて、保護者の申し入れを聴くときぐらいは、プライドという重い鎧を脱いだらいかがだろうか。対等の立場で話を聴いても窮地に陥ることはない。
 保護者の申し入れがイチャモンなのかその判断がむつかしいこともある。
 しかし、ひとまずすべて「苦情」として受けとめることができれば、対応の失敗は最小限となる。
 保護者の申し入れは、その多くは簡単に採用できる内容ではないだろう。
 その場での対応としては、即決せず「学校の検討課題としてご意見をいただく」と伝えるだけでよい。
 ただ、その時に「きっとこの提案は実現できないだろう」とわかっていると、どうしても困惑が顔や会話に出てしまうだろう。
 しかし、申し入れを「苦情」として対応すれば、そうはならない。
 なぜなら、提案を採用するか、しないかよりも、言わずにいられない保護者の気持ちの「落としどころ」が見つかるかどうかがポイントになるからである。
 管理職としては、保護者からの申し入れを最初に受ける担任に、対応の仕方を教えておくべきだ。
 つまり、保護者の話が無理な相談だとわかっていても黙って聴くこと。
 自分で判断せず「ご提案はお預かりして、校長や副校長に相談してみます」と、その場で伝えるようにする。
 もちろん、実現は困難だとわかっているのだから、軽い予防線を張らせることも忘れてはならない。
 たとえば、
「たいへん貴重なご提案をいただきありがとうございます」
「さっそく会議に諮れるよう提案してみます。少しお時間をください」
「しかし、その会議で検討しても実現できるかどうかという問題もあります。その点だけはご承知ください」
「でも貴重なご意見です。ありがとうございました」
 というふうに。
 一方、保護者の申し入れ内容が学校に非がある場合は学校が謝罪することになる。
 謝罪しているのに許さないと、我を張る保護者がいる。
 そのときは我を張らせない話術が必要となる。
 謝罪しながらも、保護者に「仕方がない」と思わせる会話力が大事である。
 会話で保護者の心を和ませようとするのだから、保護者の心理を読む冷静さと会話の間のよさが求められる。
 苦情対応の世界では、一度提案してもお客から拒否されることはいくらでもある。
 当然、つぎの手を考えて準備をしておく。
 それが拒否されたとしても、さらに次の手まで考えておけばよいだけのことだ。
(
関根眞一:1950年埼玉県生まれ、苦情・クレーム対応アドバイザー。百貨店に34年間在職し、お客様相談室長を経て、メデュケーション()代表取締役) 

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