カテゴリー「子育て・家庭教育」の記事

子どもが問題行動を起こしたとき、親は子どもにどう接すればよいのでしょうか

 子どもが問題行動を起こすと、親は突然の豹変ぶりに驚きあわてる。しかし、子どもの心の中では、以前から変化が生じていたのに、親はそれに気づかなかったことが多い。
 親から「こういう場合、何と言ってやれば、子どもはなおるのでしょうか」とよく聞かれる。
 子ども問題行動の多くは、それまでの親子関係を徐々に組み替えることで解決に向かっていく。
 ひと言で子どもが立ち直るといった魔法の呪文はない。
 しかし、子どもが変わるきっかけとなることはある。
 問題行動を起こしている子どもが、それを周囲の誰かのせいにしているうちは、そこから抜け出せない。
 自分の問題として引き受けたとき、はじめて回復に向かうことができる。
 子どもの問題行動を解決するには、子どもの心に働きかける必要がある。もつれた子どもの心の糸を解きほぐすのは容易ではないが、愛情と時間を惜しまなければ必ずできる。
 いつか回復することを信じて接すれば、親子の絆を取り戻すことができるのだ。
 その過程は決して平たんではないが、試練を通して、子どもが変わり、親も変わり、精神的に成長するだろう。親子の絆は以前よりずっと強くなっているはずだ。
 子どもが問題行動を起こすと、落伍者のレッテルを貼られることが少なくない。親が自分の子どもをそんな目で見てしまうのだ。
 子どもを支えるはずの親が説教したり、非難したりしがちになり、ますます子どもを追いやることになる。
 そんなときこそ、親は子どもを信頼してほしい。子どもへの信頼が何よりも大事なことは、私がスクールカウンセラーを始めたばかりのころ、一人の教師から教えられた。
 子どもに建て前を振りかざして説教するのは、親子のギャップを広げるだけだから、子どもの気持ちを動かそうとしたら、子どもと向き合い親の本音をストレートにぶつけるしかない。
 誰でも子育ては試行錯誤の連続だ。親は自分が子どもだった頃を思い出してほしい。
 思春期の頃は覚えているはずだ。そのころ、何を考えながら過ごしてきたのか、どんなことで悩んでいたのか、親との関係はどうだったのか、などを振り返ってほしい。
 振り返ってみると、親に期待していた言葉を言ってもらえなかったり、無神経な言葉に傷ついたことがあるに違いない。もちろん、楽しかった思い出もあるだろう。
 それを実感とともに思い出せば、いま自分の子どもにどう接すればいいか見えてくるはずだ。
 子どもが悩んでいたら、自分が同じ年頃のときに何を悩んでいたかを子どもに話してみるといい。子どもに本音で接することになるだろう。
 子どもの問題行動でカウンセリングに訪れる親を見ると、ほぼ例外なく、心の余裕を失っている。
 私はカウンセリングで、相談者に目のさめるようなアドバイスをしたりできるわけではない。じっくり相手の話に耳を傾け、その言葉の裏側にあるものを理解し、本当に訴えたいことを導き出そうと努めているだけだ。
 誰でも、自分の心の中にある、言いたくても言えなかったこと、それまで気づかなった本当の問題、一人で抱かえていた悩みや苦しみなどを口にしたとたん、半分は解決したのも同然だ。
 心の中で葛藤したり迷ったりする時間が必要だったのだ。
 子どもの話に耳を傾け、言いたいことを聞き出すのは、親や教師、友だちなどもできる。
 親にお願いしたいことは、子どもが問題行動を起こしたとき、子どもの様子がおかしいときは、子どもの話に耳を傾けてほしい。
「いまの気持ちを話してくれるとありがたいんだけど」
「お前もつらかったんだね」
という具合に聞き役に徹し、重い口を開いてもらう。 
 人は話すことで自分の気持ちを整理したり、言葉にすると気づくことがある。子どもも話しているうちは、自分の心を見つめることができるようになる。
 子どもが親と口を利きたくないようなら、子どもの友だちを家に呼んだり、親戚のお兄さんやお姉さんに来てもらって、話し相手になってもらう。
 心の中の葛藤というのは、何本もの糸が絡まり合った状態だ。それを言葉にすることによって、絡まった糸を一本ずつ抜き取り、ほぐしていく作業になる。
 問い詰めずに、話しやすい雰囲気をつくり、言い出すまで待つことが大切だ。
「言いたいことがあれば、今日でなくてもいいから、言いたくなったら、言いにきなさい」と促せばいい。
 自分の気持ちや言い分を言葉にすることを通じて、子どもは失いかけていた自分を組み立て直す必要がある。
 そのうち子どものほうから、言い出したら「じゃあ、どうしたらいいか考えてみよう」と親子で話し合えばいい。子どもが自分で解決策を考え、自分で選択することが大切なのだ。
 子どもの選択は最善でないかもしれない。しかし、子どもの心は大きく成長するはずだ。たとえ間違った選択でも、自分で選択したことならやり直しができる。
 子どもと気持ちのいいコミュニケーションができないという人は「私メッセージ」を発するといい。
 相手を主語にするのではなく、自分を主語にする。叱るのではなく、自分の気持ちを伝えることになる。たとえば
「あなたは、掃除するそばから、散らかすんだから!」
と叱るのではなく、
「せっかく掃除をしたのに、もう散らかって、お母さんはがっかりだわ」
と言うことになる。
 運動部のコーチに言わせると、子どもは叱るよりも、ほめたほうが伸びるが、ここ一番というときは、叱ったほうがいいことがあるという。
 例えば、いい結果が出ると、慢心する子がいる。練習に熱が入らず、手を抜く。そんなとき「少し上達したからといって、つけあがるな」と雷を落とす。
 そういうときは、やさしく言って聞かせるより、ガツンと叱ったほうが効くそうだ。
 子育ても同じで、いつも叱っていては効果は薄い。9割はほめて、1割は叱る程度でちょうどいい。
 子どもが叱られても、納得できるタイミングをとらえ、ここ一番というときに叱るのだ。ただ、叱るときは、逃げ道を残してやる必要がある。
(
吉田勝明: 1956年福岡県生まれ、横浜相原病院院長)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子育てや教育のキーワードとは何でしょうか、思春期の子どもに具体的にどう接すればよいか

 人間が生きていくうえで、甘えは絶対必要なものです。決して甘えるなと言ってはならない。
 甘えは、ひとことで言うと、相手の愛情を求めることです。
 甘えが満たされるとき「自分は愛されている」と感じます。「自分は愛される価値のある存在なんだ」と感じます。
 相手に対する信頼と自己肯定感が育ちます。それが安心感につながります。
 自己肯定感は、
「自分は大切な人間だ」「生きている価値があるんだ」「自分は自分でいいんだ」という気持ちのことで、子育て、教育のキーワードで、これ以上大切な言葉はありません。
 この土台があって初めて、しつけや学力が身についていきます。
 相手を信じることのできる人は、思いやりを持ち、深い人間関係を築くことができます。
 甘えが満たされないとき、相手に怒りが生じ、甘えさせてもらえるだけの価値のない人間なんだと思います。それが続くと、周囲に対する不信感や怒りとなり、自己肯定感が低くなります。
 そういう人は、相手を信じることも、甘えることもだきないので、攻撃的になったりしやすく、高じると、さまざまな問題行動や、心の失調となって表れてきます。
 どうすればよいのでしょうか。
 話を聴いてもらうことで、子どもは、親に甘えたい気持ちが満たされ、安心します。また、小学生の間なら、抱っこや、スキンシップなども、まだ十分、有効です。
 少なくとも小学生の間くらいまでは、十分甘えを受け止めてかまいません。
 十歳以降は、親離れしていく時期で、依存の対象は親から友だちに変わってきます。それでも、親の存在は大切です。
 子どもはさまざまに裏切られ、傷つきます。そんなとき、親はしっかり受け止めてやってほしいと思います。
 反抗は自立のサインです。子どもは、批判的なことも口にし、自己主張を始めます。
 そういう話を、しっかり聴く、ということです。子どもはよく見ています。正しいことを、きちんと認めることで、子どもも、自分の感じ方や判断に自信が持てるようになるのです。
 小学校高学年以降、思春期に入ると、自立は、反抗や親への批判、攻撃という形を取ってきます。
 反抗や批判をしてくる、ということは自立がうまく進んでいるということです。子育てが間違っていなかった、と喜んでほしい。
 反抗期が激しく出る場合があります。それはたいてい、それまで反抗ができず、よい子でいたか、あるいは抑えつけられていたため、思春期に一気に爆発した場合に多い。
 そういう場合は、付き合うのに、相当、苦労と忍耐が必要です。
 では、子どもをどのようにして自立させればよいのでしょうか。
 子どもに安心感を与え、自信をもたせる、ということです。
 子どもは自分で悩んで、考えて、成し遂げることで自信を持つのです。
 人から言われた通りにやって、成功しても、子どもの自信にはなりません。ですから、できるだけ手出し、口出しは控えたほうがよいのです。
 子どもが失敗したときは
「ここまで、よくできたじゃないか。ここまで、できただけでもりっぱだ。次は、きっと成功するよ」
 と言われると、自信を回復します。
 思春期にある子どもたちに、どう接していけばよいのでしょうか。
 ひと言でいうと「子どもの揺れに付き合う」「子どものあとをついていく」ということです。子どもに指示、命令をしない。
 子どもの前に立って「あっちへ行け」と指示しない。手を引っ張らない。背中を無理に押さない。先回りしない。ちゃんと歩きだすまで「待つ」ということです。
 もう一つは「見放さない」という態度です。
 子どもに振り回されて「もう知らん、勝手にしろ」と突き放さない。
 子どものあとをついていって、子どもが振り返ったら親が「大丈夫だよ」とうなずいてくれるという関係です。
 ただし、どこへ行こうと「分かったよ」と、ついていくことではありません。
 本当に危ない所に向かっていくときは、きちんと止める。これも「見放さない」ということです。
 思春期に具体的にどう関わればよいのでしょうか。
 まず大切なのは「親が肩の力を抜く」ということです。
 思春期になるまで育ててきました。たとえ親がいなくても、これから何とか生きていくことはできます。ですから、子育てで一番大変な時期はもう過ぎました。
 もう中学生になった子に、いまさらああしろ、こうしろと言っても、そんなに変わりません。
 ここまできたからには、なるようにしかならん、といった現実を認めてしまって、肩の力を抜くということです。
 親が肩の力を抜くと、親が楽になります。親が楽になると子どもも楽になります。
 そうすると、険悪な家庭の雰囲気も次第に和んで、笑いが出るようになります。
 せめて家庭だけでも、ほっとしたいと、みんなが願っているのではないでしょうか。
 思春期に親として出来ることは何でしょうか。
 一番簡単で、大切なことは「話を聴く」ということです。
 思春期の子どもはあまり親に話をしてきません。しかし、ごくたまに、親に話を聴いてほしいと思うことがあります。そういう時には、親がいくら忙しくても、しっかり聴くということです。
 また、親に頼み事をしてくることがあります。よほどの事情があるのですから、そういうときは、親は徹夜をしてでも、真剣に応える必要があります。
 かんじんな時に、親に拒否されたり、無視されたりすると、もう親を当てにしなくなり、相談もしてこなくなります。
 子どもの心が順調に育つために一番大切なことは、自己肯定感を育むことです。そのために大切なことは、子どもを「ほめる」ことです。
 思春期の子どもでも、心にスッと入るほめ言葉は「ありがとう」です。
 上から目線でほめられると思春期の子どもはイライラします。ところが、感謝の言葉である「ありがとう」は、人間として対等です。
 自己肯定感を育む「ありがとう」というほめ言葉は、さまざまな人間関係で苦しむ、思春期の子にこそ、必要なのかもしれません。
(
明橋大二:1959年大阪府生まれ、精神科医。真生会富山病院心療内科部長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子どもが「反抗期だな」と感じたら、親はどうすればいいのでしょうか

 お子さんの反抗期、苦労していますか。わが子に「クソババァ」と言われて真剣に落ち込んでいませんか。
 子どもはこの時期、恐れと不安の中にいますから、ちょっとしたことでピリピリします。
「ウザイ」とか「うるせえ」とか「死ね」とか、この時期の子どもたちが言う言葉は普通です。別におかしなことでも、怖いことでも、不安に思う必要もありません。
 反抗期は、さらりと受け流すのがいちばんです。
 ひどい言い方をされたら、ユーモアと笑いで切り返しましょう。「じゃまや」と言われたら「あーら、失礼しました」と、どけばいいだけのことです。
 
「クソババァ」と言われたら「反抗期なんてこんなもの」と心で叫んで「なんですか、クソガキさん」とサラリと流せばいいのです。それができない場合、泥沼化する確率が高くなります。
 反抗期の背景を理解するだけで、イライラも腹立たしさも、少しは収まるというものです。
 思春期における反抗期は、子どもの心と身体が急激に変化することによって起こります。変化は危険です。
 彼らには「自立」のときが迫っています。けれど、親との決別は容易なことではありません。子どもは、これまでは、親を受け入れていればよかった。
 身体と心は急激に成長し「早く自立しろ」とあせらせます。短期間に親を断ち切るためには「いい子だった自分」を親にあきらめさせることが必要になります。それが、ひどい言葉や反抗的な態度になって現われます。
 親が「よし来た反抗期。そういう時期なのね」と安定感をもって受け止めることができれば、子どもの反抗はさほどエスカレートしません。
 子どもの反抗を上手にクリアできる親は「大人心」を持っている人です。
 大人の心を持つ人とは
(1)
物事を多方面から考えることのできる人
(2)
思いどおりにならない現実を受けとめ「他人(わが子も含む)は、自分の力で変えられない」と実感できた人
(3)
「事情があって、こういう行動に出ているのだ」と、考えられるようになった人
 思うようにならないわが子を受けとめきれず、自己中心的で、怒鳴り続けている親は「子ども心」のままでしょう。
 
わが子が反抗期を迎えたとき、大人心を持っている親は、子どもの反抗を受けとめられるのです。
 子どもが「反抗期だな」と感じたら、親はどうすればいいのでしょうか。
(1)
過剰に反応しない
 子どもの反抗的な態度や、きつい口調などに対して、過剰に反応しないことです。
 怒ってむりやり謝らせたり、腫れ物に触るようにビクビクしたりはしないこと。
(2)
子どもを「殿様」扱いにしない
 「お願いだから勉強して」「テストで何番になったら、ゲームを買ってあげる」というように、親が頼み込んで、子どもに何かしてもらうという姿勢は見せないほうがいい。
 家庭で「殿様」になってしまいます。
(3)
大人として成長させる
 反抗期が始まったら「自立した大人になってもらおう」という姿勢でかかわってほしいと思います。たとえば、手伝ってもらったら、丁寧な言葉で感謝するようにします。
 親子だから「かたづけなさい」なんて、命令調が当たり前だと思わないこと。「これやってください」と頼みましょう。
(4)
まず親が変わる
 子どもを変えようと思ったら、まずは親自身の言葉や対応を変えることから始めてください。
 反抗期のわが子を変えたいと思うなら、わが子を「よその国から、お預かりした留学生」として扱ってみるといい。「バハア」と言われても、異文化ですから仕方がない。
 あきらめて、通ずる言葉を使ってコミュニケーションをとるのです。ほとんどの問題は解決します。
 子どもに「こういう態度をとってほしい」と思うなら、親がそのような態度をとってください。親が変わるまで、子どもは変わりませんよ。
(5)
子どもが危ないことに巻き込まれそうなとき
 子どもが危ない方向に進もうとしている場合は、ここは親が覚悟してブレーキをかけたり、条件を付けたり、交渉したり、ということは必要な時期だと思います。
 思春期に入ったら、そういうこともあるかもしれないという覚悟はあったほうはいいと思います。
 そういう局面では、親としての絶対軸を示していいと思います。
 取り返しがつかないことについては、起こりうる危険なことは何かを考えて、そっち方向に行きそうだったら、ストップをかける。あるいは膝を突き合わせて親子で話し合うのも大事なことだと思います。
(
菅野 純:早稲田大学教授。専門は発達心理学)
(
菅原ますみ:1958年東京生まれ、お茶ノ水女子大学教授。専門は発達心理学)
(菅原裕子:ハートフルコミュニケーション代表)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

孤立感、孤独感を抱くなどで、子育てに問題が生じる保護者は、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか 

 子育てに問題が起きる多くのケースを見ると、孤立感、孤独感を保護者が抱いている場合が少なくない。
 保護者が付き合う人々の中で、自分が認められ、他人から支えられている実感があればよい。
 しかし、例えば、夫婦関係が微妙にすれ違うようになるなど孤立感、孤独感などがあると、子育てに問題が生じることがある。
 子育てのやり方によって、子どもに問題が生じる保護者には、つぎのようなタイプが考えられる。子どもにどのような影響を与えるのでしょうか。
1 わが子が優れていることにこだわり、子どもを支配しようとする保護者
 世間からの評価を重視します。そのために、世間から「よい親」と認められることをめざします。他者の評価を気にするので不安感が高い。
 いわゆるお受験は、その代表である。「よい学歴がなかったら不幸な将来が待っている」という思いにとらわれ「よい子」に育てることに必死になる。
 不安を背景として「よい子」作りに保護者が躍起になると、そこで育つ子どもは、感情を抑制する傾向が強くなる。
 そして、保護者が高い不安を持つので、子どもも不安そのものは高い。
 したがって、感情が一定以上高まると、もはや自分ではどうにもコントロールできなくなる。
 さらに、常に保護者の「指示」にさらされているので、他者を「指示」して、コントロールしようとする傾向も強くなる。
 一見、よい子だが、つぎのようなタイプの子どもが育まれてくる。
(1)
学校でだけ問題を起こす外弁慶タイプ
(2)
一度感情を害すると、なかなか気持ちの修復が効かない
(3)
言葉によって仲間を傷つけて、それが当然であるかのように振る舞う
2 自分やわが子だけが尊重されることを第一と考える保護者
 保護者がわが身だけが尊重されること第一と考える。同じように、わが子も尊重したいと考える。
 子どもを受容し「子どもの感情を害しない」ように考える。
 子どもから「よい親」と思われることをめざす。他者の評価を気にするので不安が高い。
 このタイプの保護者は、子どもの感情を乱すことは嫌で、子どもに嫌われたくない。それゆえ、子どもを叱らず、子どものご機嫌を取ってしまう。子どもの意見を尊重する。
 しかし、本来、子育ては、子どもの、不快な感情や、願いがかなわないときに生ずる、怒りや哀しさを保護者がしっかりと受け止めてあげなければならない。
 子どもが感情を害しても、子どもに「ダメなものはダメ」と言い、保護者はニッコリと笑って、子どもに向き合うようにしなければならない。
 これが、保護者が子どもと向き合い、子どもを受け入れることの本来の意味なのだ。
 だが、子どもの不快感に保護者がうろたえると、子どもは不安を覚える。不安と不満がくすぶり続ける。
 しだいに、子どもの不快感を出すことで、大人を動かす道具になっていく。そこで、ますます大人は、子どもの要求に譲歩をし続ける。
 このようにして、ストレスに弱く、感情のコントロールが苦手な子どもが育っていく。
 いろんな場面で、不快感を出すことで、大人をコントロールしようとする癖を持つ子どもになっていくのである。
3 自分の生き方を優先する保護者
 子どもの世話そのものを疎ましく感じる保護者がいる。
 保護者が「生計を立てる」ことに精一杯で、子育てにエネルギーを振り向ける余裕をなくしていることもある。
 風呂に入っていない、学校に腹を空かせて登校するなど、保護者から基本的な生活上のケアをうけていない子どもがいる。
 このような保護者に育てられた場合、そもそも感情のコントロールの仕方を学ぶことができない。
 生活の基本そのものについても、子どもは学ばないまま捨て置かれているからである。保護者から敵意さえ持たれ、関わりを拒絶されているのだ。
 そこで、子どもは愛情に対する飢餓と、他者に対する不信、さらには強い不安と怒りを混在させるようになる。
(
小林正幸:1957年群馬県生まれ、東京都港区教育センター教育相談員、東京都立教育研究所相談部研究主事等を経て東京学芸大学教職大学院教授。不登校を始め学校不適応、ソーシャルスキル教育、教育相談、教育技術を研究)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子どもが反抗期で、ちょっと注意しただけでも「うるせぇー」と怒鳴ります、どうすればよいのでしょうか

 中学生になった息子は反抗期で、ちょっと注意しただけでも「うるせぇー」と怒鳴ります。
 こんな息子の言動が理解できず、何を考えているのか聞いても、親には口をきこうとさえしません。
 毎日、はれものに触るようにして毎日を送っています。どのように対応したらよいのでしょうか。
 子どもは反抗期を通して、精神的にも身体の面でも、子どもから大人へと成長していきます。
 反抗の表れ方には個人差があります。子どもの性格、育ち方、親子関係のあり方などによって表れ方が異なると考えてよいでしょう。
 親への反抗が激しい子どもは、理由がなくても常にイライラしています。
 甘えられる、支配できる、信頼できる人には、理由がなくても感情をついぶつけてしまいます。
 後になって「あんなこと言わなければよかった」と、自己嫌悪が起きたりします。さらに自分に腹を立てたりしてしまう。そんなことを繰り返しています。
 この「甘え」は母親に対して最も強く起こります。口をきいても「小遣いよこせ」「めし早くしろよー」「うるせー」の三種類ぐらいで、命令形です。
 そんな子どもの態度や言葉づかいを親がむきになって、直そうと注意しても、反抗期にはほとんど効果はありません。
 反抗期の子どもを持つ親は、対応の線引きをしっかりつければ、気持ちのうえでも楽になります。線引きのポイントは、
(1)
小学生あつかいしない。中学生として許せる範囲をひろげる。
  その分、責任も生じることを日ごろから理解させておく。
(2)
外食に、親と一緒に行くか、行かないかなどの、非社会的なことは、本人の意思を尊重する。
(3)
法律に触れる行為には、親が絶対に許さない姿勢が大切です。
(
牟田武生:1947年生まれ、民間教育施設「教育研究所」を設立し、特に不登校の子どもの援助活動を中心に行う実践家)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子どもが問題行動をしたとき、子どもを理解して叱るためにはどうすればよいのでしょうか

 まず、子どもの起こした問題行動に対しては、親自身が心を平静に保つことが求められます。そのためには
「ア」:あわてない
「イ」:いらいらしない
「ウ」:うろたえない
「エ」:遠慮しないで、全容が分かるまで冷静に話を聞く
「オ」:怒らない。何も理解しないうちに子どもを怒らない。
「ニ」:逃げないで、子どもと一緒になって解決していきましょう。
 問題が起こった時には、その背景を理解することによって、子どもの心の動きや問題の深さがわかります。そしてそのことが、今後の問題行動の予防にもなります。
 子どもが悪いことをしたら
「そのような悪いことをする気持ちがどうして起きたのか」
「どうして、そのような間違った行動をしたのか」
「その時、葛藤、苦しみ、良心の痛みがなかったのか」
を親が理解し、子どもの問題点を整理することが大切です。
そのためには、
「カ」:過去のことを整理する。問題行動に関連する過去のことを整理しましょう。
「キ」:気持ちを聞く。感情を深く分かってあげる。
「ク」:苦しみを理解してあげる。
「ケ」:結論をなぜ出したのか。
「コ」:行動した気持ちや思いの変化を考える。
 そうすることの中に、子どもが自然と誤りに気づくテクニックが潜んでいるのです。
 子どもが問題行動を起こした時に、その気持ちや苦しみを親が理解して「誤りを正す」のと、何も理解しないで「頭から誤りを正す」のとでは、親と子どもとの信頼関係は全く異なってきます。
 最後に、「悪いものは、悪い」と、親の考えを明確に伝えることにしましょう。子どもを叱るときには、
「サ」:先取りした注意をやってはいけません。
   「もう一度、同じことをしたら承知しないよ」
   といった、先取りした注意は「親は私のことを信用していない」と、子どもの心を傷つけます。
「シ」:しっかりとした態度で叱る。
「ス」:すっきりと分かりやすく。
「セ」:責任の所在を明確にする。
「ソ」:「相談はいつでものるからね」と伝えてあげましょう。
 たとえ、親が受容し、子どもを理解しても、子どもに反省がなければ、人間として成長できません。悪いことをしたときは、子どもを叱ることが必要になります。
(
牟田武生:1947年生まれ、民間教育施設「教育研究所」を設立し、特に不登校の子どもの援助活動を中心に行う実践家)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子どもと関わるときに、してはいけないこと、すべきこととはなんでしょうか

 昔から言われている子育ての知恵をごぞんじですか。
 乳児は肌を離すな。幼児は肌を離して手を離すな。少年になったら、手を離して目を離すな。青年期に入ったら、目を離して心を離さないようにと。
 思春期の子どもと向き合うときに、してはいけないことがあります。
1
 子どもと対等になって衝突しない
 子どもが罵詈雑言をぶつけてきたときカチンとくるのは、子どもと同じ精神年齢になっているからです。子どもと同じレベルになると、衝突が起きるので、同じレベルにならないことが大事です。
2 子どもを傷つける言葉を使わない
 今の多くの子どもたちは荒い言葉を使います。子育てで「荒い言葉しか、かけられてこなかったのだろう」と私は思います。大事にされなかった子どもは、相手を大事にすることができません。
 子どもに優しい言葉をかけるようにしてください。
3 ガミガミ言わない
 過去にさかのぼって怒らない。話が長引くと、いやになってしまいます。目の前のことだけを短く(3分以内)さとすこと。
4 子どもを追いつめたり、つきはなしたりしない
 やりすぎは禁物です。「勝手にしなさい」といった言葉は子どもの心を深く傷つける。
 子どもが思春期になれば、安心して生活できる環境を整えましょう。「待ってやること」が大事です。
 だから、距離をとって「いつも見守っているよ」というメッセージは伝えてください。
 大人が子どもに話を聞いてもらいたいのであれば、大人が子どもの思いを聴いてやることです。そのうえで話すと、最低ひとつは、子どもの心に入っていきます。
 子どもの問題行動に大人の問題が隠れていることはよくあります。
 大人がそれに気づくと、子どもへの対応が違ってきます。大人が自分をふり返り、ありようを考えることで、再生のきっかけになることはたくさんあると思います。
 子どもを変えようと考えないで、大人がちょっとした工夫や努力をしてみてください。子どもの態度にも変化が生まれてきます。
 気持ちが揺れる思春期だからこそ「ほめる、認める」が必要なのです。そのためには
 まず、子どもにまなざしを注ぎ続ける。つぎに子どもの言葉にじっと耳を傾ける。
 そうすれば、必ずといってよいほど、ほめるべき言葉が出てきます。子どもをほめていくうちに、大人の喜びも増えるはずです。
 「どうせ自分なんて」と口ぐせの自己肯定感の低い子どもには、できてあたりまえのことでもほめるようにします。
 そういう子どもたちは、反抗的な態度をとって強がっていても、精神的には弱りきっています。
 成長するには水やりが欠かせません。ほめることは愛情という水やりです。
 Iメッセージで「がんばりを見ていて、私も励まされたわ」と、子どもの行動をどう感じたか伝えるとよい。
 できるだけ肯定語で「さとす」ことも大事です。「○○するな」ではなく「○○しようね」とか「○○をしてみるといいよ」という言い方を心がけましょう。
 何よりも大事なのは、叱った後には、その何倍も「その子の良いところ」をほめてあげることです。大人が「心から心配しているんだ」というメッセージが伝わってこそ、子どもは素直に謝ることができます。
 子どもと向き合うとき私が心がけていることは、声を荒げないこと。目を見て話すこと。
 声を荒げると、子どもも声を荒げます。強い言葉を出しても、子どもの心に入っていくわけではありません。
 目を見て穏やかに話すことは、子どもと向き合う出発点です。「私はこれをあなたに伝えたいのよ」という思いを込めてていねいに話してください。
 そして、必ずほめて終わること。「最後までよく聞けたね」「がんばったね。ご苦労さん」と声をかけて終わります。
 子どもの自尊感情を高め、お互いの絆を確かめる言葉かけは、とても大事です。
(
土井高徳:1954年福岡県生まれ、里親。心に傷を抱かえた子どもを養育する「土井ホーム」代表)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子どもが反抗するとき、大人はどのように対応すればよいのでしょうか

 子どもに反抗されると、腹が立ちます。けれども反抗は子どもの自立には欠かせないことなのです。
 親がわが子をいつまでも、子ども扱いしていると、次第に「うるさい」「ほっといて」となっていきます。この親に反発する時期を反抗期といっているわけです。
 子どもは、反抗しているわりには、親に甘えたい気持ちものこっています。自分では反抗と甘えが矛盾した行為であると、客観的に見るだけの心のゆとりがないのです。
 反抗すると言っても、それは親の言うことや社会のルールを「どうして?」と、考え直している過程なのです。
 それを積み重ねて行って「自分で考えて、自分で納得して、自分で行動できる自立した人間」になるのです。だから、反抗は子どもの「精神の自立」には欠かせないのです。
 それをわかっていると「うるさい、くそババア」と、子どもに反抗されても、親は余裕を持って受け止めることができるはずです。
 わが家でも、中学生だった息子と口論になり「あんたみたいな古いヤツは・・・・」と言われたときは「親に向かってあんたとはなんだ!」と、頭にきて怒りましたけれど、あとで「初めて言えたな、成長したな」と思いました。
 この時期に親と子どもは葛藤しないといけないのです。だから、親は本気で怒って親子ゲンカしていいのです。
 その一方で「やっと親に反抗し始めたな」と思って、それまでより少し距離をとるようにしてほしい。
 そして「自分で決めろ。その代わり、失敗しても自分の責任だぞ」という世界を広げてやってほしい。子どもが自分自身で決めるように、親は少し態度を変えるのです。
 子どもの屁理屈も自分を説明しようとして一生懸命に考え、考える力を伸ばすので、大事にしてあげてほしい。
 失敗しても、それは間違いなく成長の糧になりますから、結局は失敗でなくなります。何とかするはずと子どもを信頼するのです。
 
「自分のことは自分で決める」ことのほかに、家のお手伝いは、子どもの自立には欠かせません。
 意識的に家族みんなで家事を分担して、子どもに家事をやらせてみるとよいと思います。
 掃除や料理は身辺自立、お手伝いしてお小遣いをかせぐのは経済的自立、買い物や親せきへの届もの、家族旅行の切符の手配などのお手伝いは、子どもが社会で自立するための練習になります。
 わが子が格差社会でも、しっかり生きていけるように子育てするには、どうすればよいのでしょうか。
 ぜひとも「自分への信頼感」をしっかりと育ててやってほしい。
 遊びでも習い事でも、お手伝いでも勉強でも、部活でも何でもいいのですが、小さいころからいろんなものにチャレンジして「達成できた!」という達成感が大切です。
 
「私はできる」「がんばればできる」という自分に対する信頼感、そして自分にはいいところがあるという自己認識を育ててやることが、とても大事なことだと思います。
 
「子どもに自分で決めさせて、どんどんチャレンジさせる」「親は子どもを後ろから応援する」この子育ての基本を忘れないでください。待つということも大事なことだと思います。
(
汐見稔幸:1947年生まれ、東京大学附属中等学校長、白梅学園大学・同短期大学学長、東京大学名誉教授。専門は教育学、教育人間学、育児学)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てるコツとは

 脳の専門家である私に、脳画像から新しい事実が見えてきました。「どういうふうに育った子どもが賢くなるか」ということです。
 子どもを賢く育てる秘訣は「好奇心」にあります。
 
「親の年収の高い家庭ほど子どもの成績がよい」といった、年収と学歴の関係はいろいろな調査で示されています。
 しかし、それは「どれだけ子どもにいろいろな経験をさせられたか」が影響しているのではないかと、私は考えています。
 本質は「好奇心の差」です。
 子どもの好奇心を十分に伸ばせば、親の収入は関係がなくなります。お金をかけずに好奇心を育てる工夫の余地はいくらでもあります。好奇心を持てば、親を越えて才能を開花させていくのです。
 厳しいことを言うようですが、子どもの能力が伸びるのも、伸びないのも親のかかわり方です。好奇心のネタを見つけ、その子にあった方法を見つけてあげることができれば、どんどん力を発揮できる子に育っていきます。
「好奇心」を引き出してあげるには、つぎのようなコツがあります。
 成績が伸びていった子は、幼い頃から「図鑑」が大好きで、よく見ていたということです。伸びる子の親は図鑑などを使って、子どもの好奇心を伸ばす役割を果していたのです。
 大切なのは、親も図鑑が好きだというのを子どもに示してあげること。
 例えば、乗り物の図鑑で子どもが電車に興味を持ったら、親は実物を見に、わが子を駅まで連れていく。
 そうやって、子どもの中で「バーチャルの世界」と「リアルな体験」が結びつくと、子どものワクワク感が大きくなり「知る」ことに喜びや楽しさを感じます。
 それが、より強い刺激となって、脳に成長をもたらすのです。
 子どもの中に育った好奇や心は、やがて意欲や競争心となって、生涯にわたってその子の財産となっていくはずです。
 単に成績がよい子は、「知りたい、学びたい」という好奇心がないと、必ずどこかで限界がきます。しかし、好奇心を持っていれば、必ず成績も伸びていきます。
 好きなことに一生懸命に取り組んだ子は、自分で自分の力を伸ばすことができます。
 他の分野についても脳を成長させやすくなる、という脳の特徴があるのです。
 好奇心があれば、努力が努力でなくなります。賢い子は努力を続けられる子だと思います。
 脳が成長のスピードを上げる、おすすめの生活習慣があります。
 それは、好奇心とは別に、脳の働きを左右する「脳のコンディション」をよくすることです。
 頭がいい子は、脳のコンディションをよりよく保つ、つぎのような生活習慣をしていることが多い。
(1)
子どもの脳の成長にとって欠かすことができないのは「十分な睡眠」です
 脳の記憶をつかさどる「海馬」の成長は、睡眠の量に影響を受けることがわかっています。
 十分な睡眠時間をとっている子どもは、海馬も大きく、記憶力も優れているということが脳画像からわかっています。逆に睡眠不足になると海馬は育たなくなってしまう。 
 年代別の適正な睡眠時間は、3~5歳で1013時間、6~13歳で9~11時間、1417歳で8~10時間です。
 勉強した内容は寝ている間に脳に定着します。勉強して何かを覚えたら、そのまま寝てしまうのがよい。「早く寝なさい」が、子どもの成績を上げるキーワードになるのではないか。
(2)
朝食を食べ、朝食を変えるだけでIQが上がります
 私たちの研究では、朝食にご飯を食べている子どもは、菓子パンを食べている子どもに比べて、理解力や記憶力が高いという結果が出ています。
 子どもの朝食は、脳が活動するために十分なエネルギーをしっかり摂取することが大切なのです。
 子どもの脳は常にエネルギーを必要としていますから、長時間にわたってブドウ糖を得たほうが脳の成長にはいいのです。タンパク質や脂質の多い食品や、野菜などがよいのです。
(3)
叱るより、ほめる
 叱られるなど日常的にストレスを受け続けると、記憶をつかさどる海馬が委縮することがわかっています。
 子どもをほめると脳に少し変化が出るのです。ほめることの大切さはさまざまなところで言われていますが、脳の面から見てもそれは事実です。
(
瀧 靖之:1070年生まれ、東北大学加齢医学研究所教授。MRI画像(16万人)を用い、脳の発達や加齢を研究)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子どもを育てるときの「ほめ方」「叱り方」の鉄則とは何でしょうか

 私は長い警察官生活の中で、道を踏み外した子ども、そしてその子を育てた親と接し、たくさんの話を聞きました。
 話を聞くと、一緒に住んでいるのに気持ちはすれ違い、かみ合ってないことや、お母さんが子どものために良かれと思っていたことが、子どものためになっていないことなど、家庭でさまざまな問題を抱かえていたことが分かってきます。
 子どもたちに不幸を生まないためには、子どもの頃からしっかりと、しつけを行うことが必要なのです。
 子育てにおいて愛情が基本なのは当然のことです。しかし、愛情に溺れず、どこかで冷静に距離をおいて子どもに接するのが親の役目なのです。
 叱るときも、本気で叱りながらも、怒りをぶつけてはいけません。あくまで親という役割の必要性からそうしているのです。
 子育ては、時代が変わっても押さえるべき「子育ての鉄則」は変わりません。私の長年の経験から確信をもって言えることです。やろうと思えば誰にでもできることです。
 子どもを育てるとき、子どもの「ほめ方」「叱り方」の鉄則とは
(1)
かわいがることと溺愛は大違い
 かわいがられたことのない子は、よい子に育ちません。しかし、溺愛ほど有害なものはありません。溺愛だけで「しつけ」のない親があまりにも多い。
 今の親は甘やかす傾向が強く、必要以上に子どもに迎合する親や「友だち親子」になっていて、叱らなければならない時に、それができず、むやみにかわいがってばかりいる親が多いのが懸念されます。
 子どもに甘く、子どもの要求をやたらに受け入れる親は、理解のある親だと思われたいのでしょうが、とんでもないことです。
 子どもが転んだら手を貸して起こしてやるといった子育ては避けるべきです。親が先回りしてやってしまうと、何かに耐えたり、我慢したりする、生きていく上で大切な力が子どもの身につかないのです。
 自分で立つことを学ばせることはとても大事なことです。それが「しつけ」であり教育なのです。
 子どもがキレて、わめくと「ああ、分かった、やってあげるからね」と助けてしまう。すると、子どもは駄々をこねれば何でも通るということを覚えてしまうのです。
 そんな子に育っていくのが最も恐ろしい。やがて親にとっていちばん苦労する子になってしまうのです。
(2)
叱ることを恐れない
 まるで腫れ物にさわるかのように子どもに接している親がいます。これが一番よくないと私は言っています。必要以上に子どもの機嫌をとってはいけないのです。
 叱るということを、あまり恐れてはいけません。叱り方さえ間違えなければ、子どもは親から離れることはありません。
 親は子どもに「間違ったことをしたら叱られる」のだということを教えるべきです。子どもは世の中のことを知りません。間違ったことをやって当たり前です。
 叱るべき時は厳しく叱る。そのかわりよいことをしたら、とことんほめる。抱きしめてほめてあげてください。その時に、親と子の結びつきができるのです。「叱る」「ほめる」という行為は、そういう意味でも大事なことなのです。
 気をつけることは、叱るときに感情的になると「怒る」ことになります。その分だけ愛情が抜けてしまうのです。子育てにおいて、感情と愛情はなかなか同居しにくいものなのです。そのことを忘れないでください。
 叱る時には、絶対に人の前で叱ってはいけません。子どものプライドを軽視してはいけません。ほかの子と比較はしない。自尊心を傷つけます。
 叱るときは肌を接して叱ってほしい。特に厳しく叱る時は、必ず子どものどこか(手を握るとか、頭に手を乗せるとか、肩を組むなど)に触っていてください。親が考えている以上に、子どもは孤独感と恐怖感を覚えるのです。
 叱ったあと、後味の悪さを引きずったままでは、親子の関係が離れ、やがて結べない距離になってしまいます。「きつく叱ったな」と思ったら、必ず「なり直し」(フォロー)をやってあげる。
「ね、分かった? お母さんの言うこと」「うん」などと、気持ちを寄せ合って、子どもが不安を引きずらないようにしましょう。
 毎日の子どもとの触れ合いの中で「叱る」より「小言」が多すぎると、子どもも「またか」と、うんざりするだけで、言うことを聞こうという気持ちにはなりません。
 これは、子どもに近づきすぎていることが原因です。子どもとの距離を少しとって口を出したいと思っても、子どもを信じて黙って見守ってみてください。
 自分で問題を解決することにより、子どもはものごとの処理能力を身につけた大人へと成長していけるのです。
(3)
子育ての責任者は親である
 何のために子どもをしつけるのでしょう。子育ての目的は、社会生活をするために必要なルール、作法や物事の善悪を判断する力を身につけさせること。
 そして、この子育ての責任は親にあることをよく自覚していただきたいのです。このことが分からず、他人や学校に文句ばかり言う親がいますが、子育ての責任はあくまで親だということを忘れないでほしい。
(4)
まずは、さきに「ほめる」
 
「ほめて」よいところを伸ばしていけば、やがて黙っていても悪いところは立ち枯れるものです。「よくがんばったね」と、よくできたところをほめた方が効果的です。
 ほめて自信をつけさせて「やればできるのだ」と暗示をかけて育てる方が大事ではないかと思うのです。やがて、この暗示が本物になるのです。
 
「あなたのいけないところはこれ、早く直しなさい」と、先に悪い点を言う親が非常に多い。そうではなく「今日はよいこと一杯できたね。明日はここをがんばろうね」と、よいところを指摘しながら励ますようにします。
(
星 幸広:1944年生まれ、千葉県警察官、千葉県鉄道警察隊長、警察庁警備局、千葉県少年課長、 千葉県警察署長、地域部参事官等を歴任し、千葉大学ジェネラル・サポーター。「子育て、しつけ」や「学校危機管理」に関する講演を全国的に展開 している)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

いじめの指導 | さまざまな子どもの指導 | ものの見方・考え方 | カウンセリング | 不登校 | 人間の生きかた | 保護者との協力関係をつくる | 保護者にどう対応するか | 保護者の実態 | 優れた先生に学ぶ | 優れた授業とは | 優れた教科授業例 | 先生の実態 | 危機管理 | 叱る・ほめる・しつける | 各国の教育 | 各教科の授業 | 同僚・管理職との関係 | 問題行動の指導 | 国語科の授業 | 地域 | 子どもから学ぶ | 子どもたちに対する思い | 子どもたちの関係づくり | 子どもと向き合う | 子どもの失敗 | 子どもの実態 | 子どもの成長をはかる | 子どもの指導の方法 | 子どもの見かた | 子どもの話し方 | 子育て・家庭教育 | 学び合う学び | 学校の実態 | 学校経営と組織 | 学級づくり | 学級の組織と活動 | 学級の荒れ | 学級崩壊 | 学級通信 | 学習指導・学力 | 学習指導案 | 実践のための資料 | 家庭 | 掃除 | 授業づくり | 授業のさまざまな方法 | 授業の展開・演出 | 授業の技術 | 授業中の生活指導 | 教師との関係 | 教師と子どもの関係づくり | 教師に必要とされる能力 | 教師の人間としての生きかた・考えかた | 教師の仕事 | 教師の心の安定 | 教師の成長・研修 | 教師の話しかた | 教師の身体表現力 | 教材・指導案 | 教材研究 | 教育の技術 | 教育の方法 | 教育の理念や思い | 教育史(教育の歴史と変化) | 教育改革 | 教育法規 | 教育行政(国・地方の教育委員会) | 新学級づくり | 理科の授業 | 社会環境(社会・マスコミ・地域) | 社会科の授業 | 算数・数学科の授業 | 経営とは | 英語科の授業 | 評価 | 話の聞きかた