親が子育てで陥りやすい傾向と気を付けなければならないこと 菅原裕子
1 子どもに依存する親
子どもに依存している親は人生の喜びを子どもに求めてしまいます。
親は「子どもに押しつけている」とは気づいていません。
子どもの生き方や人生を指図する権利は親にはありません。
成功している親は「こうあるべき」と型にはめようとします。それは間違いです。
子どもにかなえたい夢があるなら、親はだまって背中を押し「困ったことがあればいつでも相談しなさい」と声をかけるべきでしょう。
「自分の人生は幸せでない」と感じている親は、「この子だけは幸せになってほしい」と言います。
自分ができなかったことを子どもに託し、子どもを自己実現の道具としようとします。
子どもには子どもの人生があります。親は環境を整え、その才能が開花するまで見守ればそれでいいのです。
2 自我に執着する親
思春期の子どもは、親が意見を言うと反抗することはあるでしょう。
「口ごたえするな」「ちゃんと聞きなさい」と血相を変えて叱る親がいます。
「こけんに関わる」「なめられてたまるか」という親の考えかたは、怖れに基づいています。
子どもをコントロールできなくなることに対して恐れを抱いているのです。
「自分は親としてこうあるべき」という考えに執着している親は、あるべき姿からはずれることを恐れます。
だから、押さえようのない怒りの感情が湧きあがります。
自分に自信のある自立した親なら、子どもに反論、無視されても平気です。
「あれっ、言い返し手きたぞ。無視したな」と冷静に受け止め、一歩引いて対処できます。
自分の考えを伝えるチャンスを待つこともできるのです。
3 被害者意識が強い親
子育てがうまくいかないとき、責任は自分以外にあると主張します。
ささいなことを必要以上にとらえ、問題を大きくしてしまいます。
たとえば、子どもが「学校で叱られた」ことを知らされた被害者意識の強い親は、まるで自分の子育てを否定されたように感じて「うちの子のどこが悪いのかきちんと説明してください」と教師につめよるケースに発展してしまいます。
このような場合は親の「認知のゆがみ」(ものごとを認識する基準にゆがみがあること)を疑ったほうがいいかもしれません。
「認知のゆがみ」とは
「認知のゆがみ」は特殊なことではないので私を含め、自分にあてはまる人はたくさんいるでしょう。例をあげると、
(1)「白か黒か」の二者択一で処理する
ほとんどの事実は、その間のグレーゾーンに存在するものです。
(2)過度の一般化
ひとつ悪いことがあっただけなのに「いつものことだ」と考える傾向。どんなことでも否定的にとらえるようになるので気分は晴れません。
(3)心にフイルターがかかる
ひとつのことにこだわって考えるあまり、ほかのことが見えなくなる状態。
(4)拡大解釈と過小評価
自分の失敗や欠点を拡大解釈し、成功や長所を過小評価してしまいます。
(5)感情的決めつけ
自分の感情で物ごとを判断してしまう。
(6)マイナス思考
すべてを「悪いこと」にすり替えてしまう。
(7)結論の飛躍
思い込みで、現実とはかけはなれた悲観的な結論を出してしまう。
(8)「~すべき」思考
何かをやるとき「~すべき」と考え、その基準に無理に合わせようとすることで、自分を追いつめてしまいます。
(9)レッテル貼り
失敗したとき「自分は能力がない」とレッテルを貼ってしまう傾向。冷静な判断ができなくなります。
(10)自分のせいにしてしまう
トラブルが発生したとき、責任がない場合でも自分のせいにしてしまう傾向。
「自分がもう少し努力をしていればこんなことにならなかった」と考えます。
では、どのようにすればよいのでしょうか。
認知がゆがんでいると、ひとつの考え方にとらわれてしまいます。
ものごとは負のスパイラルに入りやすく悪いほうへと流れていきます。
そんなとき、救いようがないように感じられますが、じつはそれはひとつの見方でしかないのです。
ものの見方が変われば、現実と思っていることが変わってきます。
(菅原裕子:人材開発コンサルタント。(有)ワイズコミュニケーション社長、NPOハートフルコミュニケーション代表理事。仕事の現場で学んだ「育成」の考えを子育てに応用して「ハートフルコミュニケーション」を開発し、親の子育てや自己実現を援助する活動をしている)
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