カテゴリー「家庭」の記事

子どもたちが問題行動を起こす根底にあるものは何か

 人が「真に愛された」と感じるのは、自己の意思を大切にされたときである。それが満たされないとき、人は見せかけの愛でもいいから、自分に関心を持って欲しいと願う。
 問題行動は圧倒的に離婚や家庭内不和が原因で起きやすい。大人の関心が子どもにいかず、気持ちを置き去りにされたり、意思を無視されたりすることが多いからだ。
 逆に過保護の家庭では、子どもは自己の意思を発揮しないですむ。放任の家庭では、子どもの意思は関心をもたれない。いずれも子どもの「生きる意思」が尊重されないため、子どもは心から満たされた感じを味わえないでいる。
 自己の「生きる意思」を大切にする体験が不足すると、周囲に対して警戒心が強くなり、人を信頼できない性格となることが多いのである。
 私が出会う問題行動を起こした少年少女は、皆一様に自己否定が強い。強く見せたいがために奇抜なファッションをして、威嚇的な言動をする裏には、自尊心の低さが見え隠れする。震えながら、強がっているのである。
 強がりは見せかけで、心の中では自信がない。そのために、自己の意思を抑え、気をつかう。擬似的な人間関係にすがる。家では孤遊び。自室にこもり、テレビ、音楽、ゲームに浸る。ワクワクするような楽しいこと、体が軽くなるような解放感が見つかっていない。反逆する子どもたちも、結局は自他不信が根底にある。
 彼らに、自律心がつき、たくましく生きぬく、ようにするためには、我慢するのではなく、自らが、良き社会人になることを喜び、真に大切にし合う人間関係をつくることを誇りにする、意思を育てる必要がある。
(竹内小代美:日立製作所、大分県立高校英語教師、医科大学卒業しクリニック開業、青少年自立支援センター立ち上げを経て大分県議会議員)

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「父権」が必要な時代である

 戦後の日本社会には、いわゆる「父権的」な行動や考え方が「威圧的・強制的」と捉えられ、できるだけ排除しようとする傾向があったように思う。
 子どもの教育には、「母性」と「父権」のどちらが欠けてもバランスが悪い。ところが我が国では、家庭の中でも、教育における父親の存在感が薄くなる一方だ。子どもの教育を母親に任せきりにしているケースが多い。
父親には「オレみたいに頑張れば幸せになれるぞ」という子どもたちへのメッセージがあった。そうやって、「背中で語る」ことによって、父親が教育的な役割を果たせる時代だったのだ。
 しかし残念ながら、今は父親の「背中」に昔のような説得力がない。いくら頑張って働いても、それが以前ほど「豊かさ」に直結しない時代になってしまったからだ。エリートでさえ、いつリストラされるかわからないような状況になった。さらに世の中の価値観も多様化して、出世や昇給だけが成功や幸福の基準ではなくなった。こうなると、外で必死に働いているだけでは子どもに大切なことを伝えられない。
 わが子が現実逃避をせず、ちゃんと自分の足で壁を乗り越えられるようにしてやるために、ときに子どもと衝突し、「このクソ親父め」と憎まれることがあっても、やって良いことと悪いことの「線引き」を厳しく教えるべきなのである。
(義家弘介:1971年生まれ、高校で退学処分となった不良が、北星学園余市高校の教師となり活躍する。後に横浜市の教育委員、教育再生会議担当室長を経て国会議員となる)

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家庭の機能(やすらげる・巣ごもれる・さ迷える・羽ばたき・巣立ち・しつけ)を生かそう

 家庭でなければならない機能とはどのようなことが期待されるのだろうか。
 
「やすらげる・巣ごもれる・さ迷える・羽ばたける・巣立つ」これらの言葉が、家庭という場に求められる働きなのではないだろうか。
(1)
「やすらぎ」:赤ちゃんは母親によってやすらぎが得られ、生命の安全が保障される。
(2)
「巣ごもり」:自分が自分そのものと向き合う営みは、まさに巣ごもりであろう。
(3)
「さ迷い」:家庭で模索、さ迷いをしている。
(4)
「羽ばたき」:新たな吟味を始める場でもある。
(5)
「巣立ち」:自立への試みをする基地でもある。
 
 そのひとつひとつには、両親や兄弟とのかかわりから得た智恵や力が働いていく。親が子ども時代の失敗を語るのもよい。
 
 親はふだん時間に追われ忙しくしていることを、露骨に子どもにぶつけないようにすれば、子どもは家庭に満足する。
 
 そのうえで、基本的な「しつけ」は人格の成熟を助ける手だてのひとつとして、おりにふれて関心を向けるようにしたい。
 
 「しつけ」とは、人々が集まって暮らしていくのに、お互いに認め合い、許せる基準を持てるようにしていくことである。その結果、人と調和して暮らしていける安定した情緒が発達していくのである。
 
 相手を思いやる気持ちを持たせるのは、家庭ならではの役割である。
 
 あいさつは強制的に子どもに言わせるのではなく、大人がいつも言っている雰囲気が大切である。
 
 社会の基本となる機能を持っている家庭生活で、お互いに尊重し合うことを大切にしていこう。
 
(斎藤慶子:1935年生まれ、武蔵野赤十字病院心の相談室・戸田病院心理室勤務、臨床心理士。障害児保育、病児の教育、ターミナルケア、老人問題、メンタルヘルス、精神障害者のケア、青少年の暮らせる場づくりなどを中心に様々な活動に関与)

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