カテゴリー「人間とは(心理・行動・あり方)」の記事

自分の長所とか短所にこだわる必要はない、持ち味を生かしていけばよい

 人の長所とか短所にこだわる必要はない
 お互い人間は、程度の差こそあれ、長所と短所を併せもっています。
 そこで人は、ときにその長所を誇り、短所を嘆いて、優越感にひたったり劣等感に悩んだりします。
 しかし、考えてみれば、お互いの日々の生活においては、長所がかえって短所になり、短所が長所になるようなことが、しばしばあるからです。
 長年のあいだに接してきた、たくさんの経営者の人たちについても、そういう例をよくみかけます。
 経営者の中には、知識も豊富で話もうまく、行動力も旺盛といった人がいます。
 そういうすぐれた能力を備えた人が経営者であれば、その会社はまちがいなく発展していくようにも思われます。
 しかし、実際には必ずしもそうでない場合が案外に多いのです。
 反対に、一見、特別にこれといったとりえもなく、ごく平凡に見える経営者の会社が、隆々と栄えていることもよくあります。
 どうしてそのようなことになるのか、非常に興味があるところですが、それは結局、経営者の長所がかえって短所になり、短所が長所になっているということではないかと思うのです。
 すぐれた知識や手腕をもつ人は、何でも自分でできるし知っていますから、仕事を進めるにあたっていちいち部下の意見を聞いたり相談をかけたりということをしない傾向があります。
 また部下にまかせても、いちいち細かく口出しをする。そういうことでは、部下はやる気をなくしてしまいます。会社の発展が妨げられるわけです。
 一方、一見平凡に見える経営者の会社が発展するというのは、その反対の姿があるからでしょう。
 部下の意見をよく聞き、仕事をまかせる。そのことによって全員の意欲が高まるといった経営を進めているわけです。
 そういうことを考えるとき、お互いにあまり長所とか短所にこだわる必要はない、という気がするのです。
 基本的には、長所と短所にあまり一喜一憂することなく、おおらかな気持ちで、自分の持ち味全体を生かしていくよう心がけることが、より大切なことではないかと思うのです。


(松下幸之助:18941989年、パナソニック創業者、経営の神様と呼ばれ、日本を代表する経営者)

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人間は信頼されれば応えようとするものです 

 人間は信頼されれば、それに応えようとするものです。
 信頼してだまされるならば、それでも本望だというくらいの気持ちに徹したい。
 
 私は今日まで、いろいろな人とともに仕事をし、さまざまな方々とご縁をもってきました。
 しみじみと感じるのは、やはり人間というものは、大きくみればすばらしいもので、信頼すれば、必ずそれに応えてくれるものだということです。
 また、信頼し合うことによってお互いの生活に物心両面の利がもたらされ、人間関係もよりスムーズになるということです。

 私は、できるかぎり従業員を信頼し、思い切って仕事をまかせるようにしてきました。
 すると、おおむね期待以上の成果をあげてくれたように思うのです。

 そのような体験を幾度となく重ねる中で人間が信頼しあうことの大切さを身にしみて感じるようになったのです。
 もし、ともに働いてくれている人に不信感をもっていたら、どのようになっていたでしょうか。
 きっと、私自身、精神的にも苦痛であったでしょうし、いろいろ仕事の面で非能率な姿が生まれてきたのではないでしょうか。

 確かに人間の心には、愛憎の念とかさまざまな欲望があります。
 ですから、そういったものにとらわれて他人をみれば、自分の持っているものを奪おうとしているのではないか。
 あるいは自分の立場をそこなおうとしているのではないかという疑いの気持ちも起こってくるかもしれません。
 しかし、そうした不信感から生まれてくるのは、不幸で非能率で、悲惨な姿以外の何ものでもないという気がするのです。

 大切なのは、やはりまず信頼するということ。
 信頼することによって、だまされるとか、それで損をするということも、ときにはあるかもれません。
 かりにそういうことがあったとしても、信頼してだまされるのならば自分としてはそれでも本望だ、というぐらいに徹底できれば案外、人はだまされないものだと思います。
 自分を信じてくれる人をだますということは、人間の良心がそうは許さないのでしょう。

「人間というものは信頼に価するもの」と、そう言ってよいのではないかと思うのです。
(
松下幸之助:18941989年 パナソニック創業者、経営の神様と呼ばれ、日本を代表する経営者)

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若いとき多くの挫折を経験したが、うまくいく人といかない人がなぜいるのだろうか 

 稲盛和夫は、若いときに大学受験失敗、就職試験も失敗と、ことごとくうまくいかず、多くの挫折や苦労を経験しました。
 大学を卒業後、松風工業というつぶれかけた会社にようやく入社することができた。
 セラミックの研究に寝食を忘れて打ち込み、新しい材料の開発に成功することによって、挫折続きの人生に終止符を打ち、新しい人生の扉を開いてくれたのです。
 独立して京セラという会社をつくり、燃えるような情熱を持ち、先頭に立って身を粉にして働きました。
 同時に、私心を無くし自らの人格を高め、社員から信頼されるように努力しました。
 社員たちも、苦労を苦労とも思わず、夢中になって働き通しました。そんな仕事への打ち込みが素晴らしい人格を育んでくれました。
 前向きに必死に働いたことで、今日の自分があることに気づき、世のため人のために一生懸命に働くことの大切さを痛感した。
 このようなことから、私のような平凡な人間が、人生を生きていくには何が必要なのかと考えた。
 また、人間には人生や仕事でうまくいく人といかない人がなぜいるのだろうといった疑問があった。
 考えだした結論は「考え方」「熱意」「能力」の要素が影響するということであった。
 頭脳が優秀であっても、才能を過信して努力を怠り熱意が少ないとすばらしい結果は得られません。
 稲森は三つの要素の中で「考え方」がもっとも大切であると思っています。
 苦労をいやがらず、みんなのために一生懸命に生きていく考え方は人生や仕事によい結果をもたらす。
 人をねたみ世の中をすねるマイナスの考え方はお金をもっていても、みじめな結果になってしまうと。
 ささやかなことに喜びや感動を感じる心を持ち、その感動から懸命に生きるエネルギーをもらう。
 悪いことをしたら素直に反省し、明日からやり直そうという反省のある日々を送れば人生において心を高めていくことができるのです。
 稲森の、人生や仕事に実りをもたらしてくれる考えかたは、つぎのように、つねに前向きである。
(1)
協調性がある。
(2)
肯定的で明るい。
(3)
善意に満ちている。
(4)
優しく思いやりがある。
 他人の悲しみを自分のことにように嘆き、励ましてあげる。さらには他人への憎しみや怒りを抑え、優しい思いやりの心で接する
(5)
素直で謙虚で努力家である。
 成功を収めても、謙虚さを忘れず、足ることを知り、すべてのことに感謝し続けること。一方、不運にであっても、それを素直に受け入れ、前向きな生き方を続けること。
(6)
利己的でなく、利他的である。
 こころのなかに利己的な自分だけがよければいいという気持ちを抱けば、その抱いたようなことが周囲にあらわれるし、逆に美しい思いやりに満ちた心、利他の心を抱けば、やはり周囲にそういうものがあらわれると思っています。
 善きことを思い、善きことを行えば人生はいい方向へ変わるし、悪いことを思い、悪いことを行えば、悪い結果が生じる。人生とはそういうものだと考えています。
(7)
感謝の心をもっている。
といった考え方である。
(
稲盛和夫:1932年生まれ、実業家。京セラ・KDDI創業者、稲盛財団理事長として国際賞「京都賞」を創設し人類社会の進歩発展に功績のあった人を顕彰、日本航空を再建し取締役名誉会長、若い経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長)


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