カテゴリー「子どもの成長をはかる」の記事

「遊び」の効用は限りなく大きい、遊びを活用して「元気はつらつとした子ども」を育てよう

 平成の初め、全国的に都市型過疎化が進行し、東京都台東区に統合して新しい小学校がスタートすることになった。
 そのとき学校が心配したのは「校区が広くなって子どもたちが登校をしぶるのではないか」ということであった。
 そこで、子どもにとって「魅力的な学校を創る」ことをテーマに掲げて、地域人材を活用する授業展開を様々に試みた。
 そうした活動の中で、子どものやりたいこととして選んだのは「遊び」の導入であった。
 毎朝15分間、子どもが好きな遊びを選んで行う。
 ただし、校庭が狭いことからサッカーのようなチームゲームは禁止し、1人で遊べることに限定した。その遊びの種類は、
 マラソン、鉄棒、なわとび、バスケット・シュート、お手玉、折り紙、読書、けん玉、あやとり、竹馬、一輪車、パソコン、自由研究である。
 実はこれらの遊びはすべて「腕が上がる」ようになっている。
 遊びを導入した結果、学校に新しい雰囲気が生まれたのである。
 学校で「好きな遊びができ、遊びを選ぶことができ」「遊びで腕を上げることができ」 「遊びで仲間ができる」という雰囲気が生まれた。
 腕をあげるために、子どもは次にここまで上達したいと「めあて」を決め、学級のボードに「見て見てカード」を掲げる。
 その遊びの時間を「チャレンジ」と名づけている。
 保護者も参加していいが、教えない。子どもが見よう、見まねで上達するのを見守る。
「魅力ある学校づくり」は効果があり、上野小学校に不登校児童がいない状況が何年も続いたのである。
「遊び」の効用は大きかった。遊びの効用とは、
(1)遊びには面白さとともに開放性と自由性があり、夢中になれる
 そのため心身がリフレッショする。朝の遊びは目覚めを促し、気持ちをシャンとさせ、情緒が安定する。
(2)遊びで仲間内での約束やルールを学び、社会性が身につく
 勝ったり負けたりすることで敗者復活の対処の仕方を身につける。
 だから、勝敗にこだわらなくなり、自他の力関係を客観的に判断できるようになる。社会性が自然に身につく。
(3)遊びは練習し、頑張ればできるようになるので忍耐力が身につく
 上達するためには繰り返し練習する必要がある。好きな遊びだから練習が苦にならない。
 自然な形で練習の大切さと、頑張ればできるようになる、という忍耐力や生き方の基本を身につけることができる。
(4)遊びは全身を鍛える
 けん玉や竹馬は全身のバランス感覚が得られる。手先と体と頭が一緒になった運動である。
 巧緻性が高まり、集中力が生まれる。体を動かすことと、精神を働かすことの統合が起こる。
(5)遊びを選ぶことの教育的効果も大きい
 きょうは何で遊ぶか、という「自分のやりたい」ことを選ぶことは子どもの主体性や個性を育てる。
 それは子どもの個々の生活感覚や学習への態度を豊かに形成する。
 小学生の暴力行為が増加しているが、子どもの遊びの減少が背景にあるのではないか。学校は遊びを積極的に生かすべきである。
 東京都品川区のある小学校の朝、登校すると15分間子どもたちは校庭で思いっきり遊ぶ。「生き生きタイム」の時間である。
 どの子どもも元気はつらつとした表情で明るい。「朝ごはんを食べてきたから」と口々にいう。
 校長は「子どもの目覚めが悪いことに気づいて、目覚めを促すために外に出て遊びをさせた。その結果、朝ごはんを食べてくるだけでなく、10時前就寝も多くなった、学力も高まった」と語っている。
 また、高学年担任の教師は、
「これまで朝の授業は反応がなかなか返ってこなかったのが、生き生きタイムを実施したあとは、いい反応が返るようになった」と言う。
 最近の子どものテレビ漬けや夜更かしはかなり深刻な状況であるが「早寝・早起き・朝ごはん」を提唱するだけでは十分でない。それができるための仕掛けが必要である。
 子どもの心に「早起きしなければ」と思わせる動機づけが必要である。「生き生きタイム」はそのための仕掛けである。
 最近の子どもは体全体を動かす遊びが足りない。子ども同士が群れになって行う遊びが少ない。
 遊ばないと、勝ったり負けたりの敗者復活の経験ができない。
 遊びはストレスを発散させる特効薬だが、その薬を与えられないため、すぐキレる、暴力を振るうなどの短絡的な行動に走る。
 遊びだけではない。多くの面で「子どもらしさ」が失われているのではないか。
 将来的には「人間力」形成は重要だが、今の子どもに必要なのは、元気はつらつとした「子ども力」ではないかと考える。
 その意味で、朝の15分間の「生き生きタイム」はどこの学校でも真似してほしいことである。
 それは子どもが1日通して学習も生活も有意義に過ごせることが最も重要だからである。「遊び」は活力の源なのである。
 しかし、最近の子どもはテレビゲームのような室内遊びに熱中するが、戸外で遊ぶ姿を見ることが少なくなっている。
「遊び」の効用は限りなく大きいのである。
(高階玲治:1935年樺太生まれ、北海道で小・中学校教師、北海道立教育研究所副部長、盛岡大学教授、国立教育研究所室長、ベネッセ教育研究所顧問、ベネッセ未来教育センター所長、教育創造センター所長を務めた。専門は、教育経営、学習指導、特別活動など、講演と幅広く活躍した)

 

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集中力とバランス感覚は、子どもたちに小中学校を通じて身につけてほしい一番大事な力です

 社会に出て、自分のキャリアの基礎技術を得る、最初の大事な5年ぐらいが20~30代前半にあります。
 そこでは体力と耐力が必要なわけですが、耐力を支えるのが「集中力」と「バランス感覚」です。ぜひ小中学校で身につけてほしい力です。
 もし、子どもに集中力があるのなら、多少学力が低くても、夢は何かと語れなくても、大目に見てあげてほしいですね。
 集中力を養う方法は、百ます計算や音読がすごくいいと思います。
 今や世界中に広めようとしている陰山英男さんの百ます計算。
 これで養われる力は計算力だけではないですね。
 単純計算を繰り返すことで脳が刺激されて、脳の力、考える力が増すこともあるでしょう。
 それ以上に集中力が増します。
 あるいは「声に出して読みたい日本語」で有名な齋藤 孝さん推奨の音読も、毎日やることで、記憶力だけでなく、集中力が高まるすごくいい方法だと思います。
 また、これらの方法が広まる前から、跳び箱を使ったり、ロボットを作らせたりして、集中力を高めたり、引き出す技術を持った先生が日本中にたくさんいるわけです。
 こういう先生とぜひめぐり会ってほしいですね。
 集中力は、本当に子どものころに身につけることじゃないかと僕は思います。
 興味の対象が見つかったときに、集中力さえあれば、それが絶対に身につきます。
 もう一つのバランス感覚は、主に小中高を通じて身につける力です。
 昔は地域社会が豊かで、兄弟の多い子の兄貴分に鍛えられることがあったんです。
 僕は一人っ子だから兄弟では揉まれなかったんですが、住んでいた公務員住宅の隣に5人兄弟のあきちゃんという子がいました。
 あきちゃんが左利きだったもんですから、僕も一緒にお兄ちゃんに野球を教えてもらって左打ちになっちゃった。
 そういうことが昔はきっといっぱいあったのに、地域社会もごそっとなくなった。
 それに兄弟も親戚付き合いも少ないから、子どもたちは、親と子、先生と生徒という縦の関係と、友達の横の関係だけになりがちなんですね。
 学校がこぢんまりとして暴力的ないじめがなくなった一方で、ナナメの人間関係ができにくいわけです。
 世の中にいる厳しいおじさん、いろいろ教えてくれる優しいおばさん、お兄さん、お姉さん、そういうナナメの関係に揉まれていないので、人間の関係性や距離感が非常に学びにくくなっている。
 僕は、ナナメの関係というのはすごく大事で、地域社会を学校の中に復興させなきゃいけないと主張しています。
 とりわけ人間との距離感を学ばせるためには、今の社会はあまりにも過酷すぎます。
 あまりにも核家族化し、地域社会がなくなり、学校も小規模化しています。
 だから、人の関係に限らず、物やお金を含めた世界全体と自分との距離を学ぶ機会が少ないですね。
 そういう、昔は黙っていても育った、まっとうなバランス感覚が、現在は育ちにくくなっていることを親は非常に意識しなくてはいけません。
 小中学校を通じて、この集中力とバランス感覚はすごく大事です。これがあれば、周りにどんな人が現れても、そこから学びとる力が自然に育まれていきますから、自分の興味がどこへ向かっていっても大丈夫な子になると僕は思っています。
 これが、小中学校でぜひとも身につけたいことの話です。
(藤原 和博:1955年東京都生まれ、東京都初の中学校の民間人校長として杉並区立和田中学校の校長を務めた)

 

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子どもの脳と心の成長を科学的に解明すると、どのようになるか

「イヤイヤ期はなぜ起きる」「思春期に感情が暴走するのはなぜ」等、ヒトの本質に焦点をあてて、脳と心の成長を科学的に解明します。
 チンパンジーは私たちにたくさんのことを教えてくれます。
 幼少期から集団の中で育つ機会がある野生のチンパンジーは、どんなふうに子育てをしているのかを見て育っています。野生のチンパンジーの育児放棄はほとんどありません。
 ところが、子育てを知らない経験のない動物園のチンパンジーは、出産時にパニックに陥って、足で踏み殺したり、壁に投げつけたりして、半数が育児拒否するといいます。
 大人との身体の触れ合いが乳幼児の脳を発達させます。 
 ヒトは乳児を抱っこし、なで、おっぱいをあげながら「可愛いね」と声をかけ、微笑みを向けます。こうした働きかけを乳児に行うのはヒトだけです。
 乳児が母親から授乳されると、血糖値が高まり、抱かれるとホルモンが分泌され、乳児に心地よい感覚が生まれます。
 乳児が養育者から心地よい感覚を経験し学習することが、その後の対人関係発達の基盤となります。
 この経験が中学生、高校生になった時に、親から離れて自立しても「いざとなったら、頼れる」というイメージを沸き立たせることができます。
 さらには、この乳幼児の対人関係が、親以外の他人に対する期待にも関連していきます。
 子どもの脳の発達には、他者との身体を介した経験が不可欠なのです。
 ヒトは、ことばを獲得する前から他者の行為を真似し始めます。
 そこには、他者の行為から効率よく学習したり、行為の背後にある心を読み取ったりするという、発達における重要な意味があると考えられています。
 異年齢の子どもたちが遊ぶことは非常によい方法だと思います。
 なぜなら「イヤイヤ期」をこれから卒業していく子どもたちは、自分にはできるけれども、自分より小さい子どもにはできないのかなと、視点変換させてイメージする機会を多くもつことになります。
 ヒトの心は他者との関係なくして育ちませんから、ヒトの心を育む環境、つまり、親や社会が果たすべき役割が重要で、「ヒトの子育ては共同養育が基本」ということです。
 ヒトは、所属する集団のメンバーが共同で子育てをしながら進化してきた動物であるからです。
 ヒトの子どもは自立するまでに、たいへんな時間と労力がかかります。ヒトは本来、子どもを複数の手で育ててきました。共同養育を基本として進化してきた動物であるはずです。
 思春期の子どもたちは、この時期特有の脳と心をもっています。彼らは決して、病んだり壊れたりしているわけではない。
 その事実を科学的根拠に基づいて説明します。
 大脳皮質の奥の方には「大脳辺縁系」と呼ばれる場所があります。ここは、自分の意思ではコントロールできない感情が湧き立ちます。
 例えば、何だかいらいらするとか、おかしくて仕方がない、ドキドキするとか、無性に腹が立つ。
 こうした感情が起こる場所が辺縁系です。性ホルモンの影響を受けて、辺縁系が急激に発達するからです。それに伴い、感情爆発が起こり易くなるからです。
 これに対して、脳の前頭前野の重要な働きの一つは、辺縁系の感情爆発を抑制することです。
 しかし、思春期の子どもたちは、辺縁系は活性化しやすいですが、それを抑制する前頭前野が完成するのは25歳です。
 こうしたミスマッチが10年以上も続くわけです。彼らは感情を抑えたくても、それを抑制する脳がまだ成熟していないのです。
 この辺縁系と前頭前野の発達のミスマッチが10年以上も続くことは、精神疾患を発症する時期とも関連するとも言われています。
 ADHD、不安障害、気分障害、統合失調、薬物乱用、その他の精神疾患者の78%は思春期に発症しています。
 IQが高いと評価された人も、子ども期に前頭前野の発達がゆっくりであったという報告もたいへん興味深いものです。
(明和政子: 京都大学霊長類研究所研究員等を経て京都大学教授。専門は比較認知発達科学)

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子どもたちの自己肯定感を伸ばすにはどうすればよいか

 自己肯定感とは、自分の価値や存在を、自信を持って認める力のこと。
 人生で困難に直面した時、前向きに生きる力の源になる。
 どうすれば、子どもたちに自己肯定感を育て高めることができるのでしょうか。
 自己肯定感を高める取り組みを実践している学校を紹介する。
 山梨県の船津小学校の4年3組は、帰りの会で、日替わりで黒板の前に立つ子どもをみんなで良いところをほめる「今日のきらり」を実践している。
 例えば「優しい性格です。理科の実験の時に手伝ってくれました」と、全員がほめる。
 全員が発言を終えると、担任がほめる。校長は、
「社会で通用する人間を育てるには、自分の存在を認められる経験が必要」
「認められることで、自分らしさを発揮し、様々なことに挑戦できるようになる」
「欠点ではなく、良いところを見つける力がついた」
と話す。
 他人からほめられる以外に、どんなことで自己肯定感が高まるのだろうか。
 ベネッセ教育総合研究所等の調査結果によると、
「将来の目標が明確になった」「勉強が好きになった」「自分のクラスに愛着を感じるようになった」
と答えた子どもは、自己肯定感が高まる傾向があった。
 気を付けたいのは、保護者や教師など周囲の大人の自己肯定感が低いと、子どもも自己肯定感が低くなりがちだということだ。
 自己肯定感が低いと他者を大切に思うことができず、いじめをしてしまうこともある。
 自分を認める力である自己肯定感は、子どもたちが新しいことにチャレンジし、逆境でも負けずに成長するために大切な力として、教育現場でも注目されている。
(読売新聞2019年11月5日朝刊記事)

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授業中にトイレに行ったり、忘れ物をくり返す子どもがいて、対応に手をやいています、どうすればよいのでしょうか

 基本的生活習慣は、まず家庭で身に付けるものです。
 そして、一人ひとりの子どもが基本的生活習慣を身に付けたうえで、集団としての生活習慣を身に付けさせるところが学校です。
 しかし、保護者の価値観が多様化するなかで、子どもの好きなようにさせることが個性や主体性を育てることになると勘違いしている保護者が多いことも事実です。
 小学校に入学する前に身に付けさせておきたい基本的生活習慣については、どの小学校でも、新一年生の保護者会で説明をします。
 しかし、説明会に参加しなかったり、話を聞いても子どもが言うことを聞かないと、あきらめてしまう保護者もいます。
 教師が基本的生活習慣の重要性をしっかりと認識し、それを保護者に粘り強く説明し協力してもらうことが何より必要です。
 できれば、一年生のうちに保護者の協力を得て、しっかりと身に付けさせておきたいものです。
 まず、基本的生活習慣が身に付いていない具体的な事実をていねいに保護者に伝えるとともに、子どもの力を十分に発揮させるために、身に付けさせることの必要性を説明し、協力を求めることが大切です。
 家庭での様子を教えてもらいながら、学校での様子を具体的に伝え、一緒に力を合わせて子どもの力を伸ばしていきたいという気持ちをしっかりと伝えます。
1 連絡帳や電話を活用する
 基本的生活習慣が身に付いていない原因を探るために、連絡帳や電話を活用します。
 授業中にトイレに行くような場合には、休み時間に必ず声をかけて、トイレに行かせてから遊ぶようにして様子を見ます。
 その結果を連絡長や電話で知らせます。もちろん、家庭での様子も見てもらい、連絡を取り合います。病気かも知れないからです。
 忘れ物をする場合には、連絡帳に持ち物を必ず書かせて保護者に毎日、連絡帳をチェックしてもらいます。そして、様子を見ます。
 いずれにしても、体が病気なのか、精神的な原因や学習障害があるのかなど、原因を見極めることが必要です。
 そして、その見極めは担任だけでなく、養護教諭や教育相談担当教師、スクールカウンセラーなどに相談しながら進めます。
2 養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラー等と連携する
 保護者とのかかわりは、担任一人だけでなく学年主任や養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラーなどと協力して行いたいものです。
 そのためには、早めに相談し、子どもの様子を見てもらいます。
 受診する必要があったり、専門機関にかかった方がよいと判断されたりする場合には、養護教諭、教育相談教師、スクールカウンセラーと一緒に保護者に対応します。
 子どもの力を伸ばすためであるということを伝え、説得にあたり、納得してもらうことが大切です。
3 学校全体で取り組む
 基本的生活習慣は、低学年のうちにしっかりと身に付けさせておきたいものですが、生活指導部などを中心に子どもたちへの指導の徹底を共通理解するとともに、保護者への協力を求める具体的な方法を考えます。
 寝不足や遅刻が多いなど、生活リズムを付けさせたいときは、1週間「生活リズムチェック表」に取り組ませることが効果的です。
 寝た時刻や起きた時刻が守れたか、朝食を食べたか、歯磨きができたか、体調などを子どもたちに記録させ、保護者にもコメントをもらいます。
 また、あいさつの習慣などは、年間を通して指導するだけでなく、近隣の小学校と一緒に「あいさつキャンペーン」の取り組みをして効果を上げているところがあります。 
(岡野由紀枝:元東京都公立小学校校長)

 

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勉強ギライが治る英語の勉強法とは

 英語の学習のポイントは、モードチェンジのおもしろさです。
「ファンタスティク」とか「オフコース」「リアリィ?」などをドンドン入れて、英語で話していると日本語では味わえない、頭や体のモードにチェンジしますし、雰囲気が盛り上がってきます。
 英語の嫌いな人って、ほとんどは単語を覚えるのが嫌いな人じゃないでしょうか。
 でも、英語の基本は単語力です。これがなければ何も始まらない。
 単語を知らないと、英語を楽しめません。単語を覚えてしまうと、ストレスが非常に減るんですね。
 単語は、記憶力の良し悪しは考えないで、とにかく覚えるしかないというのが結論です。
 単語をたくさん、どんどん覚えていく方が、効率がいいのです。一日に5個や10個ずつ着実に覚えたつもりでも、1か月後には忘れていますから。
 忘れても、それ以上に覚える。人の頭は、どうせ穴のあいたバケツみたいなものだから、忘れた分の以上にまた覚える、というのをくり返す。
 単語の暗記は、卓球でひたすら素振りをするようなもの。これがないと、体が動くようにならない。
 単語をマスターしたら、ストレスのない英語の世界が開けてきますよ。
 英語の学習で身につける必要があるのが、単語力と構文力です。
 構文の違いにつまずく人も多いですね。でも、やっているとパズルを解くようで快感があるんですよ。
 構文をやるときは、まず中心になる主語や動詞を見つける。それ以外の関係代名詞などは全部カッコに入れてしまう。
 すると、全部の単語はわからなくても、おおよその意味が見えてきます。
 そういう練習をしていると、英語的な語順がわかってくるのです。
 たとえば、日本語の単語で「~は」と「~である」の語順はすぐわかるでしょう。こういうのが英語でも身についてくるのです。
 英語の勉強の仕方としては、まず訳を読んでおく。それから英文を音読するのがいいと思いますね。
 意味がわかって英文を読むと、落ち着いて読めるのです。イメージができているところに言葉が張りついていくので、言葉が定着しやすい。
 さらに、日本語の意味がわかっていると、英語ではこう表現するのかという、英語らしさを味わえる。
 日本語で訳された本を読んでから、英語の本を読む。英語というものを楽しめるはずです。
(齋藤 孝:1960年静岡県生まれ、明治大学教授。「身体感覚を取り戻す」で新潮学芸賞を受賞。専門は教育学、身体論)

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勉強して成績が上がるための技とコツとは、どのようなものでしょうか

 勉強をやっても成績があがらないという人がよくいますが、それはやり方に問題がある場合が多いと私は思います。
 勉強のコツと技を押さえておけば、勉強の効率はかなりアップするでしょう。
 本は、本という物として見ないで、人との出会いとしてとらえる。そう考えるだけで、ずいぶん変わってきます。
 私は参考書に対して、その本を書いた著者につきあっている感覚でやっていました。
 著者があたかも肉声で教えてくれているという感じが全面に出ているものを探すのがいいですね。
 すると、本で勉強するという無機質な感じが薄らいできます。
 有名な予備校の先生の本などは「もし、この先生に家庭教師してもらったなら、すごく高いよな」と思って読むと、さらにやる気が出ますね。 
 問題集は自分には効く、というものを探しあてると、すごく楽しくなります。作った人の感覚が自分に合うかどうかという相性があるのです。
 学力をアップさせる基本は、とにかく問題を解くこと。どれだけ勉強ができるようになるかは、解いた問題の量なのです。
 参考書と問題集を兼ね備えたような解答が充実している問題集がいい。
 解答は、どうしてそういう答えになっているのか、丁寧に解説してあるのが理想的な問題集です。
 問題集の勉強のやり方は、すぐに解けた問題はやらなくていい。できなかった問題は印をつけておいて、できるようになるまで何度でもやります。
 わからない問題は、あまり長く考えずに解答をすぐ見て、理解して記憶し、もう一度やる。
 しばらくして、同じ問題をやると、答えを忘れて解けないときは、また答を見る。
 そうやって、できない問題ができるまでくり返します。
 できなかった問題をできるようにしなければ学力は決してあがりません。
 予習をすると、すごく勉強の効率がアップします。授業中、わからずジーッと聞かされると苦痛を感じる。それが予習で少しでもわかっていると全然違う。
 試験勉強は、ほとんどが暗記です。記憶力は向上するものです。
 単語なら、0から100語を覚えるまでは大変ですが、1000語覚えた人が1100語目を覚えるのは簡単です。覚えるコツがわかるようになる。
 だから暗記が苦手という人も、きっとアップするという強い自信を持つべきです。
 舞台役者さんたちは、1000行のセリフを間違えずに言いますよね。彼らは勉強が苦手だったという人が多い。そこに暗記のヒントが見えてきます。
 それは声を出すということ。これが効果的なんですね。役者さんも、セリフを声に出して読むのが暗記のコツになっているのです。
 次に書くこと。メモを取ることが記憶させる基本です。メモを取ると、頭の整理がついて情報の吸収能力がグンと上がります。
 色の記憶というのはバカにできない。間違った問題の解答は赤で、教科書に線を引く。ノートも色を使って書くと、重要なポイントがひと目でわかる。
 図で覚えると、理解度が深まって頭にスンナリと入ってくる。図は記憶に残るものです。
(齋藤 孝:1960年静岡県生まれ、明治大学教授。「身体感覚を取り戻す」で新潮学芸賞を受賞。専門は教育学、身体論)

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勉強ギライが治る国語の勉強法とは

 勉強が社会で役立つかというと問えば、国語は社会で使い続けるので、国語は確実に役立つと断言できます。
 国語の能力が高いと、仕事の効率もいいし、仕事の幅も広くなる。国語は最も勉強する意味のある教科と言えます。
 ふだん「この人は、頭がいいね」と言われる、その頭の良さは、国語力によるものと私は思っています。
 具体的に言うと、頭の良さとは、国語で問われる「文脈力」によるものです。
 国語でよく「これはどういう意味でしょう」という問いがあります。
 それは「前後の文章から考えて、どういう意味に推測できますか?」という意味である場合がほとんどです。
 それは「どんな背景があるのかな」とか「こう物事を進めたいんだろう」と、推測する力、それが文脈力です。
 前後のヒントから、結論や相手の考えが早く正確に理解できる文脈力のある人は、仕事ができるものです。
 国語は勉強の仕方がわからないと言われています。また、答が絶対的でなく、あいまいなものであるとされています。
 しかし、国語力が高く、成績がいい人にとっては、答えはひとつなのです。
 国語の問題は、出題者との対話とも言えます。
「出題者が、課題文をどう読んでほしいか」を理解するのが、国語ができるということなのです。
 つまり、出題者が「この文章は、こういう読み方をしろ」と言っているわけで、その意図を正しくくみ取ることができれば正解になります。
 国語力をつけるには主観的に読むだけではダメです。出題者の考えをつかんで文章を読む。これは、思考を客観的にする作業なのです。
 文脈力を問う問題を解くコツは、途中ちょっと飛ばしてもいいから、最後までまず読む。
 1回読んでわかるものは問題にしません。3回くらいザーッと通して読んでみると「ああ、そうだったのか」と見えてくるものです。
 多くの問題は、傍線部の近くにヒントがあります。その付近を重点的に調べる。キーワードと思われるものに丸をつけて、囲みながら読む。
 何文字以内という設問なら、このあたりが大事だなというワードを四角で囲むのです。
 そうやって問題を解く練習をする。国語も問題を多くこなしていけば、できるようになります。
 国語は意外と問題を解くことがなおざりにされがちな教科です。
 国語の勉強の仕方がわからないと言っている人は、たくさん問題を解くことです。高校入試やセンター試験の過去問は最大の宝庫です。使わないのはもったいない。
(齋藤 孝:1960年静岡県生まれ、明治大学教授。「身体感覚を取り戻す」で新潮学芸賞を受賞。専門は教育学、身体論)

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子どもたちの(スポーツ等での)心づくり指導はどのようにすればよいのでしょうか

(1)子どもたちの心づくりを成功させるためには「心を使う」(目標設定、イメージの原則)
私は、オリンピックの金メダリストたちの分析で、心の大切さを知った。
「どれだけ強烈に自分は勝つと思っているか」
最後は、その心の強さで決まる。勝つ秘訣は「心づくり」です。
心を使うとは「書く」ということです。
目標設定用紙に書いて、目標を立て、達成のための方策、予想される問題点、解決策などを考え書く。
本当にハッキリするまで書くということです。
(2)心を強くする(できることの継続と特例禁止)
登山家の講演会でヒントをもらった「継続」です。
毎日、自分が決めた家のお手伝いを三年間つづけさせます。そして、教師に報告します。
(3)心を整理する(過去の中の後悔、未来への不安の解消)
自分ではどうすることもできない未来のことや過去の後悔などに、心が縛られて萎縮してしまうことがある。
いまの楽しさだけを求めてしまうこともある。
そういう心のマイナス要素を整理して、気持ちを未来に持っていくこと。
そのために役立つのが日誌です。日誌に、その日の反省、明日やるべきこと、自分の決意などを書きます。
私は子どもたちの日誌を読んで、必ずコメントを書いていきます。そうすることで、その子の持っているエネルギーを前に押し出すための後押しができるのです。
(4)心をきれいにする(感謝の心。奉仕活動。清掃活動。エコ活動)
感謝の気持ち、謙虚な心を養うことです。
スポーツで優勝しても天狗になっては意味がありません。自分の力だけで勝ったという傲慢で利己的な発想を排除すべきものなのです。
「ありがというございます」「おかげさまです」の心を育てるために、子どもたちに清掃活動(大会会場の清掃)や奉仕活動をさせています。
(5)心を広くする(生き方ノウハウの提供、自利即利他の原則)
強い選手、日本一になれる選手ほど、嫌がることなく真剣に仲間をサポートします。決して利己的な態度、言動はとりません。
そういう精神を持っている子どもこそ、自立型人間と呼ぶにふさわしいと思います。謙虚であるということです。
 そして、次の四つの方法で実践しています。
 それぞれ「プラン、ドゥ、シー、ショウ」に落とし込んでいきます。
 プラン・・・・目標を決め、計画を立てる
 ドゥ・・・・・・実行する
 シー・・・・・・検証する
 ショウ・・・・公表、共有する
(原田隆史:1960年生まれ 20年間大阪市公立中学校教師、教師塾主宰を経て原田教育研究所社長。大阪市立松虫中学校を態度教育・価値観教育・自立型人間育成教育により建て直し、陸上競技では7年間で13回の日本一を達成した)

 

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子どもたちのよさを引き出す「魔法の質問」とは

 教師が自分から、子どもにかかわっていくことができ、短時間で子どもたちのよさを引き出すことができる方法です。
 例えば、友だちとうまくいかずに悩んでいる子が、相談に来たとしましょう。
 そのとき、次のような、子どもたちのよさを引き出す「魔法の質問」を行うのです。
魔法の質問1
 奇跡が起きて、すべての問題が解決したらどうなるのかなあ、とたずねる方法です。
「もし、あなたがひとばん寝たら、すべての問題が解決しているとしましょう」
「奇跡が起きて、すべての問題がひとばんにして解決してしまうのです」
「そうしたら、あなたはどんなあなたになっているでしょうか」
「あなたは、どう振る舞っているでしょうか」
 すると、その子の持っている一番いいところが引き出されると考えます。
 つまり、
「奇跡が起きて、ひとばん寝ている間に、すべての問題が片付いちゃったら、どうなるのかなあ」
と質問する中で、その子のいいところを引き出していくのです。
魔法の質問2
 子どもたちに自分の状態を「今、何点かな」とたずねていく方法です。
例えば
教師「〇〇ちゃん、先週の水曜日、最悪だったんだよね」
  「先週の水曜日が0点だとしたら、今の〇〇ちゃんは何点かなー」
〇〇ちゃん「4点くらいかなー」
教師「じゃあ、0点と4点とは、どう違うの?」
  「4点を5点にするためには何ができるかな」
このように聞いていくわけです。
 つまり、最低の状態が0点だとしたら、今は何点で、そこからまた1点あげるためには何をする必要があるかを聞いていくのです。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)


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