カテゴリー「授業の展開・演出」の記事

教育の演出はどのようにすればよいか

 子どものなかにある可能性が、豊かに引き出され拡大していくように演出していかなければならない。目的や意図を持った演出でなければならない。
 教材や子どもは絶えず変化する。教材は子どもの変化に伴い、その価値、必要度が絶えず変化し流動していくものである。教材とか子どもに対する解釈は、固定化したものではなく、対象の側に立って、そのなかにある真実とか方向とかをみきわめ、それをさらに高い正しいものへと引き出していくものでなければならない。
 子ども・学級・学校の状況を的確に把握する。子ども・学級・学校が、今どういうものをもっているか、どういうものを必要としているかを、はっきりと見定め、それを明確に把握する。
 子どもや学級、学校の可能性を引き出す創造的な脚本・演出をする。 それにふさわしい材料を与え、ふさわしい演出をしていかなければならない。どのように演出すれば子どもの持っている力が最高にでるか配慮していかなければならない。
 教材の解釈は、隅から隅まで詳細にわかっていること。教材のあらゆる部分について、いくとおりもの解釈や考えや発見や疑問を持っていなければならない。
 どの子どもは教材のどの部分を、どのように解釈しているか、どういう疑問を持っているか、どういうような誤りをしているかということを知っていなければならない。一人ひとりの子どもがどのように変化したり発展したりしているか絶えず詳細に的確に記憶していなければならない。
 教師は、豊かな感覚を持ち、すぐれた解釈力とか洞察とかを持ち、とっさに対象に対応したり変化させたりすることのできる力を豊かに持った人間になっていなければならない。
 例えば、子どものかすかなつぶやき、なにげない発言、目にみえないような表情の動きとかのなかにある、可能性の芽とか真実とかを見落とさず、敏感にとらえ、みんなのものとしてとりあげたり、生かしたり、創造的に発展させたりするような仕事ができなければならない。
 押しつけない。一方的に教師のもっているものを押しつけていくというものであってはならない。子どもが可能性をだしていけるという、意識とか信頼感とか喜びが全体にあることが前提になる。
 教師の演出により、子どもや学級が組織され、相互交流が起き、それぞれの子どもが持っている力が二倍にも三倍にもなってでてくる。
 演出は直観的である。教育の演出は、時々刻々に展開し変化していく対象の瞬間をとらえてとっさの処置をとらなければならないので、きわめて直観的なものであり、条件反射的にやらなければならない場合が多い。
 緊張関係をつくり出す。緊張関係がないと、教育も教師も子どもも一歩も前進しないし新鮮な創造的なものは生まれてこない。
 問題を投げかけることによって大きく波紋を起こし、それによってみんなが激しく衝突し、葛藤を起こしそのなかから新しい考えや疑問や問題をみんなのなかにつくり出す。
 演出は、子どもと子どもの交流・衝突・葛藤のなかでひびき合いを集団のなかにつくり出すことによって、子どもの可能性が引き出され、拡大・深化し再創造されていく。このことにより、子どもは明るくなったり、自信を持ったり、人を大事にしたり親しんだりすることのできる人間になっていく。
 教師が創造的な人間にならなければならない。教師が創造的な人間になるためには、自分の実践に身を打ちこみ、実践により自分を変え、自分の可能性を出し、自分を創造的にしていくことである。
(斎藤喜博:1911年-1981年、群馬県生まれ。1952年に島小学校校長となり11年間子どもの可能性を引き出す学校づくりを教師集団とともに実践し、全国から一万人近い人々が参観した。退職後全国各地の学校を教育行脚、「教授学研究の会」を主宰した。多くの教師に影響を与えた昭和を代表する教育実践者)

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疑問をそのまま学習問題にしてしまうと、子どもの思考をさまたげ意欲を衰退させる

 疑問をそのまま学習問題におきかえてしまうと、子どもの思考をさまたげるばかりでなく、子どもの意欲を衰退させる結果にもなる。
 自問自答という言葉があるが、いわば自問はあるが自答がない状況だからだ。自分が自分に問いかけているが、それに応える物が見つからないで困っている意識の状態である。
 これを学習問題として解決の方向に動き出させるためには、疑問に対して解決の見通しを持つことが必要である。
その見通しを持つためには、2つの条件が考えられる。
(1)
集団である
 集団は教育には不可欠な条件であって、集団を離れて教育は存在できない。集団とは互いに認めあえる仲間で、集団の機能は互いに情報を出しあいながらみんなで考えることができるという点にある。
 この集団のはたらき、対話によって、関係づけられなかったものが関係づけられ、それによって意味づけをすることができるようになる。
 関係づける思考のはたらきを「論理」という。関係づけることによって生まれた意味づけは、その子どもにとって価値あるものとなる。
(2)
学習の対象の教材である
 対象を見るときの認識のものさし(空間・純感覚・時間)も大切な条件になる。
 疑問は、関係づけようとしても関係づけられない状態、いいかえれば論理の組み立てられない意識の状態をさしている。
 対象から得た情報にもとづいて、自分で考えたことを集団の中で表出し、みんなで話し合うことによって疑問に対して意味づけができるようになる。
 その意味づけしたことが果たして正しいかどうか確かめれば、問題は解決できそうだという自信を持つことができる。そこに意欲の高まりを期待することができる。
 疑問を抱いた状態で「問題を持った」と判断してはならない。疑問に対してなんらかの関係づけ・意味づけがなされることによって解決の見通しが立った段階で、子どもが「問題を持った」ことになる。
 それには、集団での対話、そして対象(教材)を何度も見直し、情報を対話の中で役立てることを忘れてはならない。
(荻須正義:19162008年、元東京教育大学付属小学校教師・常葉学園大学教授。問題や疑問を解決しながら理解を深めていく問題解決学習法を小学校の理科の授業で先駆的に実践した)


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