カテゴリー「授業の展開・演出」の記事

授業の最初に子どもたちをしっかりツカむには、どのようにすればよいか

「先生と勝負」という形にすると、子どもたちは乗ってくる。繰り返しやっても、子どもたちは飽きない。
 漫才的な私の授業は、最初が命。最初に子どもたちをツカんで、勢いだけで授業をやりきる必要があるからだ。
 授業の最初に号令をかけ、準備の確認をする。
 その後、私は何も言わないで、黒板に日付と学習するページ書く。
 そして、すぐに「書けた人?」と聞く。
 書き終わっている子は、得意げに手を挙げる。
 そこで、私はとっても悔しげに
「えっ? もう書けたの? 速すぎ! 負けた! 悔しい~!」と言う。
 できるだけオーバーに言う。黒板をたたきながら、泣く真似をすることもある。
 すると、先生に勝った子どもたちは、大喜びだ。
 子どもをほめる時のコツは「驚くこと」である。驚くとわざとらしくならない。子どもも大いに喜ぶ。
 ほめることが苦手な若手教師は
「えっ? もう書けたの? 速すぎ!」と言って、まずは驚いてみよう。子どもたちが大喜びするのが実感できると思う。
 さらに、学習の「めあて」を書く。
 私は「今度こそ、負けないぞ」と言って書き始める。子どもたちは先生に負けまいと素速く書く。
 これは、さすがに教師より先に書ける子どもはいない。そこで「めあて」を赤線で囲む時に、多少の手加減をする。
 私が赤線を引いている内に「書けた!」と声がする。私が赤線を引き終わって子どもたちの方を見ると、クラスの半分くらいの子が得意げに手を挙げて待っている。
「えっ? もう? 先生もがんばったのにな、悔しい~」とオーバーに言うと、子どもたちは喜ぶ。さらに
「きみたちは、速すぎだからね。今書き終わった人だって、中学生レベルだよ。書けた人?」と言う。
 子どもたちは得意げに手を挙げる。さらに、もう一度「書けた人?」と聞き、
「ここまで、合格。〇年生として、十分な速さだよ」とほめる。クラス全員なら、拍手もする。
 学習の「めあて」を書かせた後は、声だしをさせて、子どもたちをさらに元気にする。
「速くかけても、正しく書けてないと意味ないからね。自分が書いた『めあて』を確認しながら、ゆっくり読みます。はい」
 私の「はい」の後に続けて、子どもたちはゆっくりと「めあて」を読む。
「次は、素早く声を揃えて言うよ。『180度をこえる角の大きさを工夫して測ろう』はい」
 さらに、もう一度、今度は素速く声を揃えて「めあて」を読む。
「先生と勝負」学習の「めあて」の一斉音読、これを毎時間繰り返して行う。
 これだけのことだが、授業の最初に子どもたちをしっかりツカむことができる。
 さらに、授業の最初に「誰でも答えられる質問」で全員を巻き込むようにしている。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

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子どもが楽しむ笑いのある授業にするには、どう演出すればよいか

 授業をしている教師は脚本家であり舞台監督であり、演出家でもあると私は思っています。
 授業のシナリオを書き、必要な環境を準備し、子どもの動きや反応に向き合いながら、子どもが夢中になってくれるよう演出していく。
 遊び心を持ってつくる授業にはその思いの分だけ熱のようなものがこもります。
 その熱が子どもに伝わるからこそ、子どもたちが夢中になる授業が実現できるのではないか。そう思って様々な演出を夢中で試行錯誤しています。
 作文の授業で、私が次の一文を板書します。「悲しくて(    )歩いていました」
 さて、この(  )の中にはどんな言葉が入るかな、と聞くと(トボトボ)と書いた子どもがいました。
 その子どもを指名して前に出てきてもらい「どんな感じなのか歩いてみてくれる?」と実際にみんなの前でやってもらうと、その子は肩を落として、下を向いて、歩いてくれました。
 すかさず私が「確かに悲しそうやなあ」とコメント、子どもたちから笑い声がおき、教室がわきました。
 動作やジェスチャーなどを子どもたちにさせることは、授業を盛り上げる一つの演出になるのです。
 授業中に子どもを指名して発表させるとき、私は状況によって次のように使い分けるようにしています。
(1)
賛成か反対か挙手させる
(2)
まず、意見をノートに書いて、それを読みながら発表させる
(3)
隣同士で話し合いを合をさせてから、どちらか一人に「ペアの意見」として発表させる
(4)
意見が分かれたら人数の少ないほうから発表させる
(5)
一つの列を選んで順番に発表させていく
(6)
言いたい子全員を立たせて発表させる
(7)
教師は指名せず、言いたい子どもに自分で起立して発表させる
 授業中、脱線気味の子どもを注意すれば教室の空気が壊れることがあります。
 同じ子どもに何度も注意していると、次第に空気が淀んできます。クラスの雰囲気を壊さないために、「さっぱりとしたユーモア」を交えて次のように注意するようにしたのです。
「○○ちゃん、もし次、後ろ振り向いたら、きみの真横に森川先生のパネルを立てるから」
「○○ちゃん、スイッチ押したら、穴があいて落ちていくよ」
 笑いの素材は「子どもの言葉」の中にあります。授業における「笑い」で大切なのは「子どもの言葉で笑わせる」ということです。
 笑いをつくるきっかけは教師のツッコミであっても、笑いの主役はあくまで「子ども」にしたいと思うのです。
 子どもがツッコミを入れるからおもしろいのです。例えば、赤ちゃんの話は私のクラスの子どもたちの大好物です。少し、いたずらを仕掛けてみましょう。
「高い高~い。かわいいよね。赤ちゃんは。○○くん、きみもこうやって大事に育ってきたんやで~」「ほ~ら、高い、高~~~い」天高く赤ちゃんを放り投げるジェスチャー。
 子どもたちは、間髪入れずに「あかんやん」クラス中が大爆笑です。
 ここでこの子なら「こう言ってくれるだろう」「こんなことをしてくれるはず」というようなことを想像できるのは担任だけです。
 そのために、授業中の空気をよみとり、その子がお笑い担当なのか、笑いの受け手側にいるのか。子どもの性格や、生活の調子がいいときか、悪いときか、細かな観察が必要です。
 言葉に温かく対応できるクラスをつくろうとする教師の思いが、教師のツッコミを生み、笑いにつながる「子どものひと言」を生むのです。
 子どもたちが一番聞きたいのは自分のことやクラスの友だちが出てくる話です。
 話の中に個人名を入れて、鮮度が高いうちに具体的なエピソードを話してみましょう。子どもたちの食いつきは明らかに変わってくるはずです。
 教師の話し方を磨いてくれるのが、子どもたちの反応です。大きな笑いが起こった。反応が薄かった。子どもたちの様子を見て、ウケた話は記録しておくようにして、次に生かします。
 子どもたちが話を聞くとき、教師が一方的に話をすると、途中で飽きてしまうことがあります。そうならないようにするには、どうすればよいでしょうか。
 例えば、教師が子どもに「わかる? わかるよね? どうなったか!」といった「話の中に共感できる」ことが出てくれば、子どもたちを話に巻き込むことができます。話すときは「共感」の飛び石を置きましょう。
 話力をつけるために大切なことは、日ごろから「ストーリー思考」でいることです。
 遭遇したおもしろい話を「いかに子どもたちにリアルに話すか」を念頭に置きながら頭の中で話すことをくり返します。
 子どもたちはここで笑ってと、冒頭からオチまでをまず考えます。私は毎日のように、どう話したら子どもたちが笑ってくれるだろう、ということを考えています。
 授業で、うわあ、これはうまい伝え方だなあ、子どもがノッているなあ、という場面では必ず「話し方」に工夫があります。
 教師がそれまで蓄積してきた技が凝縮されてその空気をつくりだしているのです。話がうまくいったときはメモをします。常に意識していなければ話し上手になることはありません。
(
森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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教育の演出はどのようにすればよいか

 教育の演出は、子どものなかにある可能性が、豊かに引き出され拡大していくように演出していかなければならない。
○教材や子どもを固定的に見ない。
 教材は子どもの変化に伴い、その価値、必要度が絶えず変化し流動していくものである。
 教材とか子どもに対する解釈は、固定化したものではなく、対象の側に立って、そのなかにある真実とか方向とかをみきわめ、それをさらに高い正しいものへと引き出していくものでなければならない。
○「子ども、学級、学校」の状況を的確に把握しなければならない。
 
「子ども、学級、学校」が、今どういうものをもっているか、どういうものを必要としているかを、はっきりと見定め、それを明確に把握します。
○子どもたちや学級の可能性を引き出す創造的な脚本・演出をする。
 それにふさわしい材料を与え、ふさわしい演出をしていかなければならない。どのように演出すれば子どもの持っている力が最高にでるか配慮していかなければならない。
○教材の解釈は、隅から隅まで詳細にわかっていること。
 教材のあらゆる部分について、いく通りもの解釈や考えや発見や疑問を持っていなければならない。
 どの子どもは、教材のどの部分をどのように解釈しているか、どういう疑問を持っているか、どういうような誤りをしているかということを知っていなければならない。
 一人ひとりの子どもがどのように変化したり発展したりしているか絶えず詳細に的確に記憶していなければならない。
○教師は、豊かな感覚を持ち、すぐれた解釈力とか洞察とかを持ち、とっさに対象に対応したり変化させたりすることのできる力を豊かに持った人間になっていなければならない。
 例えば、子どものかすかなつぶやき、なにげない発言、目にみえないような表情の動きとかのなかにある、可能性の芽とか真実とかを見落とさず、敏感にとらえ、みんなのものとしてとりあげたり、生かしたり、創造的に発展させたりするような仕事ができなければならない。
○子どもに押しつけない。
 一方的に教師のもっているものを押しつけていくというものであってはならない。子どもが可能性を出していけるという、意識とか信頼感とか喜びが全体にあることが前提になる。
 教師の演出により、子どもや学級が組織され、相互交流が起き、それぞれの子どもが持っている力が二倍にも三倍にもなってでてくる。
○目的や意図をも持った演出をする。
 一人ひとりの子どもの可能性を引き出し拡大するという目的や意図を持った演出でなければならない。
○演出は直観的である。
 教育の演出は、時々刻々に展開し変化していく対象の瞬間をとらえてとっさの処置をとらなければならないので、きわめて直観的なものであり、条件反射的にやらなければならない場合が多い。
○緊張関係をつくり出す。
 緊張関係がないと、教育も教師も子どもも一歩も前進しないし新鮮な創造的なものは生まれてこない。
 問題を投げかけることによって大きく波紋を起こし、それによってみんなが激しく衝突し、葛藤を起こしそのなかから新しい考えや疑問や問題をみんなのなかにつくり出す。
 演出は、子どもと子どもの交流・衝突・葛藤のなかでひびき合いを集団のなかにつくり出すことによって、子どもの可能性が引き出され、拡大・深化し再創造されていく。
 このことにより、子どもは明るくなったり、自信を持ったり、人を大事にしたり親しんだりすることのできる人間になっていく。
○教師が創造的な人間にならなければならない。
 教師が創造的な人間になるためには、自分の実践に身を打ちこみ、実践により自分を変え、自分の可能性を出し、自分を創造的にしていくことである。
(
斎藤喜博:1911年-1981年、元小学校校長。島小学校などに優れた実践を残した昭和の代表的な実践者)

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教育の演出はどのようにすればよいか

 子どものなかにある可能性が、豊かに引き出され拡大していくように演出していかなければならない。目的や意図を持った演出でなければならない。
 教材や子どもは絶えず変化する。教材は子どもの変化に伴い、その価値、必要度が絶えず変化し流動していくものである。教材とか子どもに対する解釈は、固定化したものではなく、対象の側に立って、そのなかにある真実とか方向とかをみきわめ、それをさらに高い正しいものへと引き出していくものでなければならない。
 子ども・学級・学校の状況を的確に把握する。子ども・学級・学校が、今どういうものをもっているか、どういうものを必要としているかを、はっきりと見定め、それを明確に把握する。
 子どもや学級、学校の可能性を引き出す創造的な脚本・演出をする。 それにふさわしい材料を与え、ふさわしい演出をしていかなければならない。どのように演出すれば子どもの持っている力が最高にでるか配慮していかなければならない。
 教材の解釈は、隅から隅まで詳細にわかっていること。教材のあらゆる部分について、いくとおりもの解釈や考えや発見や疑問を持っていなければならない。
 どの子どもは教材のどの部分を、どのように解釈しているか、どういう疑問を持っているか、どういうような誤りをしているかということを知っていなければならない。一人ひとりの子どもがどのように変化したり発展したりしているか絶えず詳細に的確に記憶していなければならない。
 教師は、豊かな感覚を持ち、すぐれた解釈力とか洞察とかを持ち、とっさに対象に対応したり変化させたりすることのできる力を豊かに持った人間になっていなければならない。
 例えば、子どものかすかなつぶやき、なにげない発言、目にみえないような表情の動きとかのなかにある、可能性の芽とか真実とかを見落とさず、敏感にとらえ、みんなのものとしてとりあげたり、生かしたり、創造的に発展させたりするような仕事ができなければならない。
 押しつけない。一方的に教師のもっているものを押しつけていくというものであってはならない。子どもが可能性をだしていけるという、意識とか信頼感とか喜びが全体にあることが前提になる。
 教師の演出により、子どもや学級が組織され、相互交流が起き、それぞれの子どもが持っている力が二倍にも三倍にもなってでてくる。
 演出は直観的である。教育の演出は、時々刻々に展開し変化していく対象の瞬間をとらえてとっさの処置をとらなければならないので、きわめて直観的なものであり、条件反射的にやらなければならない場合が多い。
 緊張関係をつくり出す。緊張関係がないと、教育も教師も子どもも一歩も前進しないし新鮮な創造的なものは生まれてこない。
 問題を投げかけることによって大きく波紋を起こし、それによってみんなが激しく衝突し、葛藤を起こしそのなかから新しい考えや疑問や問題をみんなのなかにつくり出す。
 演出は、子どもと子どもの交流・衝突・葛藤のなかでひびき合いを集団のなかにつくり出すことによって、子どもの可能性が引き出され、拡大・深化し再創造されていく。このことにより、子どもは明るくなったり、自信を持ったり、人を大事にしたり親しんだりすることのできる人間になっていく。
 教師が創造的な人間にならなければならない。教師が創造的な人間になるためには、自分の実践に身を打ちこみ、実践により自分を変え、自分の可能性を出し、自分を創造的にしていくことである。
(斎藤喜博:1911年-1981年、群馬県生まれ。1952年に島小学校校長となり11年間子どもの可能性を引き出す学校づくりを教師集団とともに実践し、全国から一万人近い人々が参観した。退職後全国各地の学校を教育行脚、「教授学研究の会」を主宰した。多くの教師に影響を与えた昭和を代表する教育実践者)

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疑問をそのまま学習問題にしてしまうと、子どもの思考をさまたげ意欲を衰退させる

 疑問をそのまま学習問題におきかえてしまうと、子どもの思考をさまたげるばかりでなく、子どもの意欲を衰退させる結果にもなる。
 自問自答という言葉があるが、いわば自問はあるが自答がない状況だからだ。自分が自分に問いかけているが、それに応える物が見つからないで困っている意識の状態である。
 これを学習問題として解決の方向に動き出させるためには、疑問に対して解決の見通しを持つことが必要である。
その見通しを持つためには、2つの条件が考えられる。
(1)
集団である
 集団は教育には不可欠な条件であって、集団を離れて教育は存在できない。集団とは互いに認めあえる仲間で、集団の機能は互いに情報を出しあいながらみんなで考えることができるという点にある。
 この集団のはたらき、対話によって、関係づけられなかったものが関係づけられ、それによって意味づけをすることができるようになる。
 関係づける思考のはたらきを「論理」という。関係づけることによって生まれた意味づけは、その子どもにとって価値あるものとなる。
(2)
学習の対象の教材である
 対象を見るときの認識のものさし(空間・純感覚・時間)も大切な条件になる。
 疑問は、関係づけようとしても関係づけられない状態、いいかえれば論理の組み立てられない意識の状態をさしている。
 対象から得た情報にもとづいて、自分で考えたことを集団の中で表出し、みんなで話し合うことによって疑問に対して意味づけができるようになる。
 その意味づけしたことが果たして正しいかどうか確かめれば、問題は解決できそうだという自信を持つことができる。そこに意欲の高まりを期待することができる。
 疑問を抱いた状態で「問題を持った」と判断してはならない。疑問に対してなんらかの関係づけ・意味づけがなされることによって解決の見通しが立った段階で、子どもが「問題を持った」ことになる。
 それには、集団での対話、そして対象(教材)を何度も見直し、情報を対話の中で役立てることを忘れてはならない。
(荻須正義:19162008年、元東京教育大学付属小学校教師・常葉学園大学教授。問題や疑問を解決しながら理解を深めていく問題解決学習法を小学校の理科の授業で先駆的に実践した)


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