カテゴリー「子どもたちに対する思い」の記事

子どもとよい関係をつくるためには、教師はどうすればよいか

 いまの子どもたちとつきあうのは、本当に疲れる。いいかげんにしてくれよと言いたくなる。とにかく子どもたちは我慢ができない。トラブルは日替わりメニューのように起きる。教室にはトラブルメーカーの子どももいる。こうした子どもたちを相手に教師はどうすればいいのだろうか。
 子どもの荒れが広がり始めたころ、私は子どもの言動を許せず苛立っていた。教室にザラついて空気が流れ、不信は不信を呼び、子どもたちは私の言うことを聞かなくなった。
 現実を変えることができないと悟ったとき、子どもへのまなざしを変えなければと考えた。腹立たしい子どもを嫌わないためには子どもの見方を変えるほかない。
 私の家庭での子育ての経験がヒントになった。家で小学生の姉が失敗した。私は思わず激しく怒ったのに、幼い弟が同じ過ちをしても、幼児は「できなくて当たり前」と思うから腹は立たなかった。
 一人ひとりの子どもの細部を丁寧に見れば、どんな子どもにも健気な気持ちや成長したいという願いと小さながんばりがあり愛おしくなる。肯定的に子どもを見て、よさを発見することが教師と子どもとの関係を変える。
 そう考えると、教育は恋愛に似ていると思い始めました。人は恋すると好意を寄せ、よさを見出してくれる。好きな人のために、自分を向上させようとするエネルギーが生まれる。片思いでさえも好意が伝わる。
 教師の子どもへのあたたかい感情なしに教育は成り立たない。苦手な子、なかなか好きになれない子でも、関心や期待を寄せることならできる。
 どんな子どもも、愛されたいと願っている、誇りがある、心の奥で自分を成長させたいと願っていることを胸に刻んでおきたい。
 子どもへの対応にはマニュアルはない。教師は学校現場で学び、幅広い読書や文化のなかからできるだけ人間的な直観を養うほかない。「子どもだった自分なら、こうは言われたくない、こう接してほしい」と思う対応ができれば、子どもの心に届くものがあるはずだ。
 子どもたちは私たちがかつてそうであったように、大人になる過程でいつか変わり、成長する。根っこから悪い子も、いつまでも悪い子もめったにいない。
 そうだとすれば、目の前の悪い子を嫌わず、いつか「変わりゆく子」のために、何かを心に残すことが教師の仕事だと考えるようになった。それは「悪かったが、信頼してくれた先生がいた」という思いであり、すぐに成果が出るかどうかより、教師が何を願い、何を試みていたかが子どもの人生に残ればいいと思う。
(
佐藤 博:1948年香川県生まれ、元東京都公立中学校教師。千葉大学・法政大学非常勤講師。教育科学研究会常任委員、「学びをつくる会」世話人)

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子どものおこないを善意でとらえると、これまでとちがった教育の世界が開けてくる

 子どものおこないの見方について家本芳郎はつぎのように述べています。
 教師は毎日、子どもの行為に接していますが、基本的に、善意でとらえることです。
 たとえば、遅刻する子どもがいます。この子どもと対話をはじめるとき、教師は善意と悪意のどちらに立って接するかで、子どもとの接し方が正反対になります。
 遅刻した子どもを悪意でとらえると「規則を破るだらしない子ども」だとなります。そういうとらえ方をして、子どもに接すると、よい結果をもたらしません。教師の悪意はすぐに子どもに察せられ、反発をまねくからです。
 善意でとらえると「何かわけがあって遅れたにちがいない。でも、よく学校に来てくれた。うれしいことだ」となります。そうとらえれば、「よく学校に来てくれたね」と、ねぎらいの言葉をかけることから、対話をはじめることができます。
 なにごとによらず、あくまで善意で子どもをとらえることが望まれています。たとえその結果、裏切られてもいいではないか。裏切られても、裏切られても、善意でとらえ、信じてやる、それが教師の仕事だと思います。
 「そうはいっても、とてもそんな気持ちにはなれない」というのが現実でしょうが、ときに、余裕をもって、だまされたと思って、三回に一回でもいい、善意でとらえてみれば、またちがった教育の世界が開けてくると思います。
(
家本芳郎:19302006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)

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